- 作成日 : 2025年6月13日
民事再生法とは?仕組みやメリット・デメリット、過去の事例を徹底解説
企業の経営が行き詰まり、倒産の危機に瀕したとき、事業を立て直すための法的な手続きの一つが「民事再生法」です。民事再生法は、破産とは異なり、会社を清算せずに事業の継続と再生を目指す制度です。
この記事では、民事再生法の仕組みやメリット・デメリット、相談窓口などを解説していきます。
目次
民事再生法とは?
民事再生法は、経済的に窮境にある債務者について、その事業の再生を図ることを目的とした法律です。
具体的には、債権者の多数の同意と裁判所の認可を得た再生計画を定めることにより、債務者と債権者間の民事上の権利関係を適切に調整し、債務者の事業または経済生活の再建を目指します。これは、債務超過に陥った企業が、継続的な事業活動を維持するために再建を図る制度と捉えられます。
民事再生法の目的
この法律の主な目的は、企業の経営再建を通じて倒産や清算を回避することにあります。一時的な財務困難に直面しているだけで、潜在的な経済価値を持つ企業も少なくありません。民事再生法は、このような企業の価値を最大限に引き出すことを目指します。また、債務の一部免除によって、企業再建のための資金調達を容易にすることも目的の一つです。債務超過企業が再生できれば、債権者も一定の債務回収が可能となるため、債務超過企業の倒産や清算に比べて、債権者にとってもメリットがあると考えられています。
民事再生は、破産手続のような清算型手続とは異なり、再建型手続であることが大きな特徴です。破産手続では、破産管財人が選任され、財産管理処分権は管財人に専属され、債務者の事業は原則として廃止され清算されます。一方、民事再生手続では、原則として債務者は業務遂行権と財産管理処分権を失わず、裁判所が選任する監督人が後見的に監督しますが、事業を継続しながら再生を目指す点が大きく異なります。
民事再生法は、2000年4月に施行され、それまで存在した和議法を廃止し、会社整理手続も会社法の改正によって廃止されました。これは、従来の整理手続の問題点を克服し、債権者と債務者の権利関係をより適切に調整するための制度として新たに設けられたものです。特に、中小企業などがより簡便な手続きで迅速に債務を整理し、事業再建を可能にすることを想定して制定されました。実際、大手の上場会社を含む多くの法人がこの法律を活用して事業の再建に成功しています。会社更生法と比較すると、従来の経営陣の下で再建を進めることが可能であり、手続きも民事再生法はより簡素かつ柔軟な手続きが定められており、予納金も低額で、比較的に短期間に終了するケースが多くなっています。
民事再生法の対象となる債務者
民事再生法は、債務者の種類に制限がなく、法人(株式会社、有限会社、合同会社、合資会社、一般社団法人、学校法人、医療法人など)だけでなく、個人(個人事業主を含む自然人)も対象となります。これは、株式会社のみが対象となる会社更生法との大きな違いです。
法律上の定義では、「再生債務者」とは、経済的に窮境にある債務者であって、その者について再生手続開始の申立てがされ、再生手続開始の決定がされ、または再生計画が遂行されているものを指します。つまり、再生手続の開始決定前から、再生手続を経て再生計画の遂行に至るまで、民事再生法に基づく事業または経済生活の再生の対象となる者が再生債務者と呼ばれます。
民事再生手続の対象となるのは、破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合、または事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができない場合です。具体的には、支払不能や債務超過の状態、あるいは近い将来にそのような状態に陥る可能性が高い場合に、民事再生法の適用を受けることができます。
個人が民事再生手続(個人再生)を利用する場合、住宅ローンを除く借金の総額が5000万円以下であること、将来的に安定して収入を得られる見込みがあること、そして支払不能のおそれがあることが主な条件となります。個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、それぞれ対象となる債務者の範囲や再生計画案の決議方法などが異なります。
民事再生手続の詳しい内容については、以下の記事もご参照ください。
民事再生法の法的構成
民事再生法は、平成12年に制定された法律で、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的としています(同法第1条)。
民事再生法は、全15章と附則から構成されており、再生手続の開始から終結までのあらゆる側面を規定しています。主要な章には、総則(第1章)、再生手続の開始(第2章)、再生手続の機関(第3章)、再生債権(第4章)、共益債権、一般優先債権及び開始後債権(第5章)、再生債務者の財産の調査及び確保(第6章)、再生計画(第7章)、再生計画認可後の手続(第8章)、再生手続の廃止(第9章)、住宅資金貸付債権に関する特則(第10章)、外国倒産処理手続がある場合の特則(第11章)、簡易再生及び同意再生に関する特則(第12章)、小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則(第13章)、再生手続と破産手続との間の移行(第14章)、罰則(第15章)などがあります。
特に重要な条文としては、再生手続開始の申立ての要件を定める第21条、再生手続開始の決定について定める第33条、再生債務者の地位を定める第38条、再生債権について定める第84条、再生計画の条項について定める第154条、再生計画の認可または不認可の決定について定める第174条などが挙げられます。これらの条文は、民事再生手続の根幹をなしており、手続の開始、進行、そして債務者の再建において重要な役割を果たします。
民事再生法の仕組み
では、民事再生法とはどのように施行されるのでしょうか。ここでは民事再生法の流れや手続きについて解説します。
民事再生の手続きは、一般的に以下の流れで進みます。
- 申立て・保全処分
債務者(または債権者)が裁判所に民事再生手続開始の申立てを行います。申立てと同時に、債権者からの強硬な債権回収行為を禁止するための保全処分(弁済禁止の保全処分など)が発令されることが一般的です。 - 監督委員の選任と監督命令の発令
裁判所は、通常、倒産手続に精通した弁護士を監督委員に選任します。監督委員は、債務者の業務遂行や財産管理が適切に行われるよう監督する役割を担います。監督委員が選任される際には、監督命令が発令され、債務者が一定の行為(財産の処分、借入れなど)を行う際に監督委員の同意が必要となる場合があります。 - 民事再生手続開始決定
裁判所は、申立て書類などを審査し、民事再生手続開始の要件を満たしていると判断した場合、再生手続開始の決定を行います。申立てから開始決定まで、通常は2週間程度かかることが多いです。 - 債権届出・財産評定と財産状況の報告
再生手続に参加しようとする債権者は、裁判所が定めた期間内に債権届出を行う必要があります。一方、申立人(再生会社)は、裁判所に対し、開始時点における財産の価額の評定や財産状況の報告を行います。 - 債権認否書の提出・債権調査期間
申立人(再生会社)は、債権者から届け出のあった債権の内容について認否を行い、その結果を債権認否書にまとめて裁判所に提出します。その後、裁判所が定めた債権調査期間において、債権者や債務者は届出られた債権について異議を述べることができます。 - 再生計画案の作成・決議と認可・再生計画の遂行
申立人(再生会社)は、債権者への弁済方法などを定めた再生計画案を作成し、裁判所に提出します。提出された再生計画案は、債権者集会で決議にかけられます。可決には、議決権を行使できる債権者のうち、債権者集会に参加した債権者の過半数の同意(頭数要件)と、議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意(議決権数要件)が必要です。再生計画案が可決されると、裁判所は再生計画を認可する決定を行います。認可決定が確定した後、債務者は再生計画に従って債務の弁済を行っていくことになります。申立てから認可まで、通常は5~6ヶ月程度かかることが多いです。再生計画の遂行期間中は、監督委員による監督が継続される場合があります。
再生計画とは
再生計画とは、民事再生手続(個人再生を含む)において、債務者の債務整理を進めるために策定されるもので、債権の減額や返済スケジュールなどの内容が定められた計画を指します。債権者による決議と裁判所の認可を経て確定し、その後、債務者は再生計画に従い、減額後の債務を債権者に対して弁済します。
再生計画案には、以下の事項を記載する必要があります。
- 全部または一部の再生債権者の権利の変更(債権額の減額、弁済期の変更など)
- 共益債権および一般優先債権の弁済方法
- 知れている開始後債権があるときは、その内容
その他、債務者以外の者による債務引受・保証・担保提供、未確定の再生債権の取扱い、別除権者の権利に関する事項などを定めることもできます。
再生計画案における権利変更の内容は、弁済総額が仮に破産した場合の配当額を上回ること(清算価値保証の原則)、および権利変更の内容が再生債権者間で平等であること(債権者平等原則)が必要です。
個人再生においては、再生計画案は、債務額に応じた最低弁済額基準、清算価値基準、過去2年間の可処分所得基準(給与所得者等再生の場合)のうち、最も高額となる基準額を下回らないように作成する必要があります。
これらの要件を満たせない再生計画案しか立てられない場合、再生計画は認可されず、破産手続などに移行する場合があります。
再生計画案は、債権者の多数決(議決権者の過半数および議決権額の1/2以上の賛成)による可決と裁判所の認可により確定します。
債権者集会と債権者委員会
債権者集会は、提出された再生計画案について債権者の意見を聞き、決議を行うための重要な手続きです。再生計画案が可決されるためには、議決権者の過半数の同意と、議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意が必要です。
債権者委員会については、本資料からは直接的な情報が得られませんでした。一般的には、債権者の代表で構成され、債権者全体の利益を代表して、再生手続の進行や再生計画案の内容について債務者や裁判所と協議・交渉を行う役割を担うと考えられます。大規模な民事再生事件などでは、債権者が多数に上るため、債権者委員会が設置されることで、効率的な手続の進行が期待されます。
裁判所の役割
裁判所は、民事再生手続全体を監督し、公正かつ適正な手続の進行を確保する役割を担います。具体的には、再生手続開始の申立てがあった場合に、その要件を満たしているかどうかを審査し、開始決定を行います。また、監督委員を選任し、必要に応じて監督命令を発令します。
裁判所は、債務者から提出された再生計画案が法律の規定に適合しているか、債権者の一般の利益に反しないかなどを審査し、債権者集会での決議結果を踏まえて、最終的に再生計画を認可するかどうかを決定します。再生計画が認可されない場合には、再生手続が廃止されたり、破産手続に移行したりする可能性があります。
監督委員は、裁判所の補助機関として、再生手続が適法かつ適正に進められているかを監督する役割を担います。監督委員は、債務者から業務執行や再生手続について報告を受けたり、債務者が重要な行為を行う際に同意を与えたりします。また、債務者が提出した再生計画案に法的な不認可事由が存在しないかを確認し、その調査結果をもとに意見書を作成して裁判所に提出します。
民事再生法の種類
民事再生法は、個人や法人など手続きを行う方の立場により4種類にわけられます。それぞれの違いをみていきましょう。
個人再生
個人再生は、主に個人を対象とした民事再生手続であり、住宅などの財産を維持したまま、大幅に減額された負債を原則として3年間で分割して返済していく手続きです。
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
- 小規模個人再生:主に個人商店や小規模の事業を営んでいる個人を対象としており、再生計画案について債権者の半数の反対、または2分の1を超える債権額の債権者の反対がない場合に認可されます。
- 給与所得者等再生:主に給与所得のある会社員などを対象としており、債権者の同意は不要ですが、一定の計算方法により算出された1年間の可処分所得の2年分以上の金額を支払う再生計画でなければなりません。
個人再生のメリットとしては、借金が大幅に減額されること、住宅ローン特則を利用すれば住宅を残せる可能性があること、自己破産のような資格制限がないこと、借金の理由が問われないことなどが挙げられます。
デメリットとしては、信用情報に登録されること、官報に公告されること、手続きが複雑で時間がかかること、すべての債権が対象となることなどが挙げられます。
法人再生
法人再生は、経済的に窮境にある法人について、事業の継続と再建を目指す手続きです。原則として、現経営陣が経営権を維持したまま(DIP型)、裁判所や監督委員の監督のもとで再生計画を作成し、債権者の同意と裁判所の認可を得て事業の再建を図ります。
法人再生のメリットとしては、事業を継続できること、現経営者の経営権が原則として維持されること、債務の大幅な減額や弁済期間の延長が認められる可能性があること、必要な資金を確保できる可能性があること、反対する債権者がいても一定の条件で再生計画が認可される可能性があることなどが挙げられます。
デメリットとしては、手続きにコスト(予納金、弁護士費用など)が発生すること、担保権を有する債権者による担保権の行使を原則として防ぐことができないこと、債務免除益課税が発生する可能性があること、社会的信用が低下する可能性があることなどが挙げられます。
DIP型民事再生
DIP型民事再生(DebtorinPossession型民事再生)は、法人再生における主要な特徴の一つであり、管財人が選任されることなく、再生債務者である企業の経営陣が引き続き事業の経営権を保持しながら、自ら再建計画を策定し、実行していく手続きです。
DIP型民事再生のメリットとしては、経営者が自社の営業力や技術力を再建に活かすことができる、早期の申立てが期待できる、適切な再生計画案の検討に必要な時間が与えられる、一定の場合には担保権の実行を中止できるなどが挙げられます。また、DIPファイナンスと呼ばれる、民事再生手続中に事業継続に必要な資金を調達できる仕組みがあり、これは共益債権として扱われ、申立て以前の債権よりも優先して弁済を受けることができます。
DIP型民事再生は、経営陣が事業の現状や課題を最もよく理解している場合に、その知識や経験を再建に活かせるという利点があります。
スポンサー型民事再生
スポンサー型民事再生は、民事再生手続において、スポンサーとなる企業からの資金援助(出資や融資)を受けて事業の再建を目指す手法です。スポンサーに事業譲渡して会社を清算する方法もスポンサー型に分類されます。
スポンサー型民事再生のメリットとしては、スポンサーからの資金援助により、自力での再建が困難な場合でも事業継続が可能になる、スポンサーの持つ経営ノウハウや信用力を活用できる、早期に経営再建が実現する可能性がある、スポンサーの存在を公表することで企業の信頼回復につながるなどが挙げられます。
スポンサーの選定方法としては、会社に直接交渉する、債権者である金融機関に相談する、M&A仲介会社に委託する、入札を行うなどの方法があります。民事再生前にスポンサーを確保しておくプレパッケージ型民事再生という手法もあります。
スポンサー型民事再生は、事業の一部譲渡、会社分割、株式譲渡・募集株式の引き受けなどの方法で行われることがあります。
民事再生法のメリット・デメリット
民事再生法には、債務者・債権者にとってのメリット・デメリットがそれぞれ存在します。
債務者側のメリット・デメリット
メリット
- 事業を継続できる:会社を清算せずに事業を存続させることが可能です。
- 経営権を維持できる:原則として、現経営者が経営権を維持したまま手続きを進めることができます。
- 手元にある資金を確保できる:民事再生の申立て後、金融機関による預金との相殺が禁止されるため、手元の資金を事業再建に活用できます。
- 借金の減額・分割弁済ができる:再生計画が認可されると、債務が大幅に減額され、分割での弁済が可能になります。
- 最長10年の弁済期間延長:再生計画に基づき、弁済期間を最長10年まで延長することができます。
- 迅速な再建の可能性:比較的短期間(半年程度)で再建計画を策定し、債権債務の整理を行うことができます。
デメリット
- 社会的なブランド力・信用が低下する:倒産手続であるため、社会的な信用やブランドイメージの低下は避けられません。
- 担保提供している財産が取られる可能性がある:担保権を有する債権者は、原則として担保権を行使できるため、担保権行使により事業に必要な資産を失う可能性があります。
- 債務免除益課税が発生する可能性がある:債務が免除された場合、その免除益に対して課税されることがあります。
- 失敗により破産する可能性がある:民事再生に失敗した場合、破産手続に移行する可能性があります。
- 手続きにコストが発生する:裁判所への予納金や弁護士費用など、一定の費用負担が必要です。
- 債権者に一律弁済できない:手続中は、一部の少額債権を除き、債権者への弁済が禁止されます。
債権者側のメリット・デメリット
メリット
- 会社を残せる:債務者の事業が継続されることで、将来的な債権回収の可能性が残ります。
- 経営権を残せる:経営陣が交代しないことで、事業運営の混乱を避けられる可能性があります。
- 手元にある資金を確保できる:債務者が手元資金を確保し、事業を継続することで、弁済原資が確保される可能性があります。
- 借金の減額・分割弁済:債務者の破産・清算よりも多くの回収が見込まれる可能性があります。
- 短期間で再生できる可能性:会社更生よりも迅速な再生が期待できる場合があります。
デメリット
- 社会的なブランド力・信用が低下する:債務者の信用低下により、取引条件が悪化する可能性があります。
- 担保提供している財産が取られる可能性がある:担保権を行使しても、債権全額を回収できない場合があります。
- 債務免除益課税が発生する可能性がある:債務者の債務免除益に対して課税が発生し、債権回収に影響を与える可能性があります。
- 失敗により破産する可能性がある:債務者の再生が失敗した場合、債権回収がさらに困難になる可能性があります。
- 債権者の同意が必要:再生計画案の決議において、債権者の同意を得る必要があります。
- 債権額が減額されたり返済期間が長期化されたりする:再生計画が認可されれば、債権額が減額されたり、返済期間が長期化されたりする可能性があります。
他の債務整理との比較における、民事再生のメリット・デメリット
手続 | 目的 | 事業継続 | 経営権 | 債務減額 | 資産処分 | 裁判所関与 | 公告 | 保証人への影響 | 法的拘束力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
民事再生 | 事業または経済生活の再建 | 可能 | 維持 | 大きい | 原則なし | あり | あり | あり | あり |
破産 | 債務の清算、免責 | 不可 | 交代 | 全額免除 | あり | あり | あり | あり | あり |
任意整理 | 債権者との交渉による債務減額、利息カット | 可能 | 維持 | 比較的少ない | なし | なし | なし | 原則なし | なし |
民事再生は、破産のように事業を清算するのではなく、事業を継続しながら債務を整理し、再建を目指す点で大きなメリットがあります。また、任意整理と比較すると、裁判所の関与があるため法的拘束力があり、債務の大幅な減額が期待できる一方、手続きが煩雑で、信用情報への影響や官報公告といったデメリットがあります。
民事再生法に関する相談窓口
民事再生法に関するご相談は、会社の状況や法的な手続きが複雑に絡み合うため、専門家や専門機関に早めに相談することが非常に重要です。以下に主な相談窓口をご紹介します。
弁護士
民事再生手続の申立て代理、債権者との交渉、再生計画案の作成に関する法的なアドバイスや具体的な手続きの依頼が可能です。各地の弁護士会が運営する相談センターや、日本司法支援センターが運営する法テラスでお気軽にご相談できます。
なかでも、事業再生や倒産法務に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
司法書士
民事再生手続を申し立てる際には、申立書、財産目録、債権者一覧表など、非常に多くの複雑な書類を作成し、裁判所に提出する必要があります。司法書士は、これらの裁判所提出書類の作成を支援・代行することができるため、実際に手続きを行う前に司法書士へ相談することもお勧めです。
中小企業再生支援協議会
中小企業再生支援協議会は、中小企業の再生を支援する目的で設立された機関です。経営状況が悪化した中小企業に対して、専門家による相談や指導、再生計画の策定支援などを行っています。
民事再生手続の利用についても相談が可能であり、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家を紹介してもらうこともできます。中小企業再生支援協議会は、各都道府県に設置されており、地域の経済状況や中小企業の特性に応じた支援を行っています。
民事再生法は再建を目指すためのもの
民事再生法は、経済的に窮境にある企業が事業を継続しながら再建を目指すための重要な法的枠組みです。M&Aに携わる企業担当者にとって、民事再生手続にある企業は、事業再編や事業拡大の機会を提供する可能性があります。
民事再生の仕組み、メリット・デメリット、そして過去の事例を理解することは、これらの機会を適切に評価し、リスクを管理する上で不可欠です。特に、DIP型民事再生やスポンサー型民事再生は、M&Aと深く関連する手続きであり、その特徴を把握しておくことが重要です。
民事再生は複雑な法的手続きであるため、検討する際には専門家(弁護士など)への相談が不可欠です。中小企業の場合は、中小企業再生支援協議会も有効な相談窓口となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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