- 作成日 : 2025年6月9日
クロスボーダーM&Aとは?手法や流れ、事例を解説
近年、ビジネスのグローバル化が進む中で、「クロスボーダーM&A」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。海外企業とのM&Aは、国内市場の成熟化や競争激化といった課題を抱える日本企業にとって、新たな成長戦略を描く上で非常に重要な選択肢となっています。
しかし、国境を越えるM&Aは、国内のM&Aとは異なる難しさや注意点も多く存在します。この記事では、クロスボーダーM&Aについてその基本的な知識から具体的な手法、成功のポイントまで、分かりやすく解説していきます。
目次
クロスボーダーM&Aとは?
クロスボーダーM&Aとは、その名の通り「国境(border)を越えて(cross)」行われるM&A(企業の合併・買収)のことを指します。具体的には、買い手企業と売り手が異なる国に籍を置くM&Aを意味します。
国内M&Aとの違い
国内の企業同士で行われるM&A(国内M&A)との最も大きな違いは、関係する国の法律、税制、会計基準、そして文化や言語が異なるという点です。
比較項目 | クロスボーダーM&A | 国内M&A |
---|---|---|
関係する国 | 2カ国以上 | 1カ国(日本国内) |
適用される法律 | 関係国の法律が複数適用される可能性あり | 主に日本の会社法などが適用される |
税制・会計基準 | 関係国の制度が影響し、複雑になる傾向 | 日本の制度が適用される |
言語・文化 | 多様であり、コミュニケーションに配慮が必要 | 基本的に日本語・日本文化が前提 |
為替リスク | 為替変動による影響を受ける | 基本的に影響を受けない |
カントリーリスク | 対象国の政治・経済情勢のリスクを考慮 | 限定的 |
このように、クロスボーダーM&Aでは、国内M&Aにはない特有の課題やリスクが存在するため、より慎重な検討と準備が必要になります。
なぜ今、クロスボーダーM&Aが注目されるのか?
クロスボーダーM&Aへの関心が高まっている背景には、いくつかの要因があります。
まず、多くの日本企業にとって、国内市場だけでは大きな成長を見込むのが難しくなってきている点が挙げられます。少子高齢化による人口減少や市場の成熟化が進む中で、海外の成長市場に活路を見出す動きが活発になっています。
また、グローバル競争が激化する中で、海外の優れた技術やノウハウ、ブランド力を獲得し、自社の競争力を強化したいというニーズも高まっています。ゼロから海外拠点を立ち上げるよりも、M&Aによってスピーディーに事業基盤を獲得する方が効率的と考える企業が増えていることも日本企業による海外企業の買収(IN-OUT案件)を後押しする一因となっています。
一方で、海外企業から見れば、日本の高い技術力や安定した市場は魅力的であり、円安の進行も後押しし、日本企業を買収する動き(OUT-IN案件)も引き続き見られます。
このように、国内外の経済環境の変化や企業の成長戦略が、クロスボーダーM&Aへの注目を高めているのです。
クロスボーダーM&Aの種類
クロスボーダーM&Aは、日本企業が買い手となるか、海外企業が買い手となるかによって、大きく2つの種類に分けられます。
IN-OUT(インアウト)型
日本企業が海外企業を買収するケースです。「IN(日本国内)からOUT(海外)へ」という意味合いです。日本企業が海外市場へ進出したり、海外の技術や販路を獲得したりする目的で行われることが多いです。
OUT-IN(アウトイン)型
海外企業が日本企業を買収するケースです。「OUT(海外)からIN(日本国内)へ」という意味合いになります。海外企業が日本の技術力やブランド、国内市場へのアクセスを求めて行う場合が典型的です。
どちらの類型かによって、留意すべき点や適用される法規制などが変わってきます。
クロスボーダーM&Aの手法
クロスボーダーM&Aを実現するための手法は、国内M&Aと同様にいくつかありますが、代表的なものとしては以下のものが挙げられます。
株式取得
株式譲渡: 売り手企業の株主から既存の株式を買い取る方法です。手続きが比較的シンプルで、最もよく用いられる手法の一つです。
第三者割当増資: 売り手企業が新たに発行する株式を買い手企業が引き受ける方法です。売り手企業は資金調達ができ、買い手企業は株主となります。
株式交換: 買い手企業が自社の株式を対価として、売り手企業の株式を取得する方法です。買い手企業は現金を準備する必要がないメリットがあります。
事業譲渡
売り手企業の特定の事業部門や資産だけを選んで買収する方法です。不要な資産や負債を引き継がずに済むメリットがありますが、許認可や契約関係の引き継ぎが煩雑になる場合があります。
合併
複数の企業が法的に一つの企業になる方法です。手続きが複雑で時間もかかりますが、完全な一体化を図ることができます。クロスボーダーでの合併は法制度の違いから、より複雑性が増します。
どの手法を選択するかは、買収の目的、対象企業の状況、法規制、税務上の影響などを総合的に考慮して決定する必要があります。特にクロスボーダーM&Aでは、相手国の法制度が手法の選択に大きく影響するため、現地の専門家との連携が不可欠です。
クロスボーダーM&Aの目的
企業がクロスボーダーM&Aを行う目的は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような点が挙げられます。
- 海外市場への進出・拡大: 最も一般的な目的の一つです。現地の企業を買収することで、その企業が持つ販路や顧客基盤、ブランド力を活用し、スムーズかつ迅速に海外市場へ参入・拡大を図ることができます。
- 新規技術・ノウハウの獲得: 自社にない先進的な技術や特許、専門知識を持つ海外企業を買収し、製品開発力の強化やイノベーションの促進を目指します。
- サプライチェーンの強化・効率化: 海外の原材料供給元や生産拠点、販売網を持つ企業を買収することで、グローバルなサプライチェーンを構築・強化し、コスト削減や安定供給を実現します。
- 事業規模の拡大による競争力強化: M&Aによって企業規模を拡大し、スケールメリット(規模の経済性)を追求することで、コスト競争力や市場での影響力を高めます。
- 優秀な人材の獲得: 海外の優秀な経営陣や技術者、専門人材を獲得することも重要な目的の一つです。
- 事業ポートフォリオの多角化・リスク分散: 新たな地域や事業分野に進出することで、特定の市場や事業への依存度を下げ、経営リスクを分散します。
これらの目的を達成するために、クロスボーダーM&Aは有効な戦略的選択肢となり得るのです。
クロスボーダーM&Aの流れ
クロスボーダーM&Aが実際にどのように進められていくのか、その一般的なプロセスを解説します。
クロスボーダーM&Aのプロセスは、国内M&Aと共通する部分も多いですが、国境を越えることによる特有のステップや留意点があります。一般的な流れは以下の通りです。
- M&A戦略の策定: まず、自社がなぜクロスボーダーM&Aを行うのか、目的を明確にし、どのような地域・業種・規模の企業をターゲットとするかなど、具体的な戦略を練ります。
- ターゲット企業の選定(ソーシング): 戦略に基づき、M&Aの候補となる海外企業を探し、リストアップします。M&A仲介会社やフィナンシャル・アドバイザー(FA)などの専門家の協力が有効です。
- 初期接触・交渉: 候補企業にアプローチし、M&Aの意向を確認します。秘密保持契約(NDA)を締結した上で、初期的な情報交換や条件交渉を行います。
- 基本合意(LOI/MOU): 主要な条件(買収価格、スキーム、スケジュールなど)について基本的な合意に達したら、基本合意書(Letter of Intent / Memorandum of Understanding)を締結します。法的拘束力を持たないことが多いですが、独占交渉権などが定められる場合があります。
- デューデリジェンス(DD): 買収対象企業の価値やリスクを詳細に調査するプロセスです。財務、法務、税務、ビジネス、人事など多岐にわたる調査を行います。クロスボーダーM&Aでは、相手国の法規制、会計基準、商慣習などを踏まえた調査が不可欠であり、現地の弁護士や公認会計士などの専門家との連携が重要になります。
- 最終交渉・契約締結: デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な買収条件を交渉し、株式譲渡契約(SPA)などの最終契約を締結します。契約書は英文で作成されることが多く、準拠法や紛争解決手続きなども重要な交渉ポイントとなります。
- 許認可取得・クロージング: M&Aの実行に必要な関係各国の許認可(競争法当局の承認など)を取得し、最終契約に定められた条件が満たされたら、代金の決済と株式や資産の移転(クロージング)を行います。
- PMI(Post Merger Integration): M&A成立後、最も重要とも言えるのがPMIです。買収した企業と自社の経営方針、組織、業務プロセス、企業文化などを統合し、M&Aによるシナジー効果を最大化するための活動です。クロスボーダーM&Aでは、文化や言語の違いを乗り越え、効果的な統合プロセスを進めることが成功の鍵となります。
各ステップにおいて、言語、文化、法制度の違いなどを常に意識し、専門家の助言を得ながら慎重に進めることが求められます。
クロスボーダーM&Aのメリット
クロスボーダーM&Aは、多くの困難を伴う一方で、成功すれば企業に大きなメリットをもたらします。
- スピーディーな海外展開: 新たな市場にゼロから参入する場合に比べ、既に事業基盤を持つ企業を買収することで、短期間で市場シェアや販路、顧客を獲得できます。
- 技術・ブランド・ノウハウの獲得: 自社にない先進技術や確立されたブランド、特定のノウハウなどを獲得し、製品・サービスの競争力を向上させることができます。
- グローバル人材の獲得: 海外の優秀な経営者や技術者、マーケターなどを獲得し、組織全体の能力向上につなげられます。
- スケールメリットによるコスト削減: 生産拠点や販売網を統合・最適化することで、調達コストや生産コスト、物流コストなどを削減できる可能性があります。
- リスク分散: 特定の国や地域への依存度を下げ、地政学リスクや市場変動リスクなどを分散させることができます。
- 新たな事業機会の創出: 異なる市場や技術を持つ企業同士が組み合わさることで、これまでになかった新たな製品やサービス、ビジネスモデルを生み出すきっかけになります。
これらのメリットを最大限に引き出すことが、クロスボーダーM&Aの目標となります。
クロスボーダーM&Aのデメリット
多くのメリットがある一方で、クロスボーダーM&Aには特有の難しさやリスクも存在します。これらを事前に認識し、対策を講じることが重要です。
- 法規制・税制・会計基準の違い: 各国の法規制や税制は複雑で、予期せぬコンプライアンス違反や税務上の問題が発生するリスクがあります。会計基準の違いも、財務状況の正確な把握や連結決算を難しくします。
- 文化・言語・商慣習の壁: 従業員の価値観や働き方、コミュニケーションスタイル、ビジネスの進め方などが大きく異なる場合があり、意思疎通の齟齬や組織内の摩擦が生じやすくなります。これがPMIの失敗につながるケースも少なくありません。
- カントリーリスク: 対象国の政治情勢の不安定化、経済危機、法制度の急な変更、為替の急変動など、予測困難なリスクが存在します。
- 買収価格の高騰: 魅力的な企業に対しては複数の買い手が競争することもあり、適正価格を大幅に上回る価格で買収してしまう(高値掴み)リスクがあります。
- デューデリジェンスの困難さ: 情報開示の程度や質が国によって異なり、十分な情報収集が難しい場合があります。また、言語や地理的な問題から、調査が制限される可能性もあります。
- PMIの複雑性と長期化: 文化や制度の違いから、組織や業務プロセスの統合が計画通りに進まず、期待したシナジー効果が得られない、あるいは時間がかかりすぎるリスクがあります。
- 想定外の簿外債務や訴訟リスク: デューデリジェンスで見抜けなかった債務や、将来的な訴訟リスクが顕在化する可能性があります。
これらのデメリットやリスクを最小限に抑えるためには、事前の綿密な調査と準備、そして専門家の活用が不可欠です。
クロスボーダーM&A成功のポイント
クロスボーダーM&Aは難易度が高いと言われますが、以下の点を押さえることで成功の確率を高めることができます。
- 明確なM&A戦略と目的意識: なぜクロスボーダーM&Aを行うのか、それによって何を実現したいのか、という明確な目的と戦略を持つことが全ての出発点です。これが曖昧だと、交渉やPMIの過程で判断がブレてしまいます。
- 適切なターゲット選定とパートナーシップ: 自社の戦略に合致し、かつ文化的な親和性も期待できる企業を慎重に選定することが重要です。友好的な関係を築き、対等なパートナーとして尊重する姿勢が求められます。
- 徹底したデューデリジェンス(DD): リスクを洗い出し、企業の価値を正確に評価するために、財務・法務・ビジネスなど多角的なDDを徹底的に行う必要があります。現地の専門家を起用し、現地の法規制や慣習を踏まえた調査が不可欠です。
- 異文化理解とコミュニケーション: 言語や文化、商慣習の違いを乗り越えるための努力が欠かせません。相手の文化を尊重し、積極的にコミュニケーションを図り、相互理解を深めることが重要です。通訳や異文化研修なども有効活用しましょう。
- 丁寧かつ迅速なPMI(統合プロセス): M&A成立後のPMIこそが、M&Aの成否を分ける最大の鍵と言っても過言ではありません。早期に統合計画を策定し、経営陣が強いリーダーシップを発揮して、両社の従業員の不安を取り除きながら、着実に統合を進める必要があります。文化的な融合にも時間をかけて丁寧に取り組むことが大切です。
- 柔軟性と忍耐力: クロスボーダーM&Aでは予期せぬ問題が発生することも少なくありません。計画通りに進まなくても、状況に応じて柔軟に対応し、粘り強く交渉や統合を進める忍耐力が求められます。
- 専門家の活用: 法律、会計、税務、ファイナンス、異文化マネジメントなど、各分野の専門家の知見を積極的に活用しましょう。特に現地の事情に精通した専門家のサポートは不可欠です。
これらの要素をバランス良く実行していくことが、クロスボーダーM&Aを成功に導く道筋となります。
クロスボーダーM&Aの注意点
このセクションでは、クロスボーダーM&Aを進める上で特に注意すべき具体的なポイントをいくつか挙げます。
- 各国の競争法(独占禁止法): 一定規模以上のM&Aは、関係国の競争法当局への届出や承認が必要になる場合があります。手続きを怠ると、M&A自体が無効になったり、多額の制裁金が課されたりする可能性があるため、事前に確認が必要です。
- 外資規制・安全保障審査: 国によっては、特定の産業分野への外国からの投資を規制していたり、国の安全保障に関わるM&Aに対して審査を行ったりする場合があります。日本の外為法も同様の規制を設けています。これらの規制に該当しないか、事前に確認が必要です。
- 為替リスク: 契約締結からクロージングまでの間や、買収後の業績報告などにおいて、為替レートの変動が買収価格や損益に影響を与える可能性があります。為替予約などのリスクヘッジ策を検討する必要があります。
- 地政学リスク・カントリーリスク: 対象国の政治・経済情勢の変化、国際関係の緊張などが、事業運営に大きな影響を与える可能性があります。最新の情報を収集し、リスクを評価することが重要です。
- 労務関連法規と慣行: 従業員の雇用条件や解雇規制、労働組合との関係などは国によって大きく異なります。買収後の人事・労務管理におけるリスクを事前に把握しておく必要があります。
- 知的財産権の取り扱い: 特許権や商標権などの知的財産権の保護範囲や効力は国ごとに異なります。買収対象企業の知的財産権が相手国で適切に保護されているか、侵害リスクはないかなどを確認する必要があります。
- 契約書の準拠法と紛争解決条項: M&Aに関する契約書において、どの国の法律を適用するか(準拠法)、万が一紛争が発生した場合にどの裁判所や仲裁機関で解決するかを明確に定めておくことが非常に重要です。
これらの注意点を事前に洗い出し、専門家と相談しながら対策を講じることが、トラブルを未然に防ぐために不可欠です。
クロスボーダーM&Aの事例
このセクションでは、実際にあったクロスボーダーM&Aの事例をいくつかご紹介します。
成功事例
代表的な成功事例を紹介します。
武田薬品工業によるシャイアー(アイルランド)買収 (2019年完了)
これは、日本企業によるM&Aとしては過去最大級の約6.2兆円(発表当時)という巨額の買収案件であり、大きな注目を集めました。武田薬品は、この買収により、自社が強みを持たない希少疾患領域におけるグローバルリーダーとしての地位を獲得し、研究開発パイプラインと海外市場(特に米国)での事業基盤を大幅に強化しました。巨額の有利子負債を抱えるといった財務リスクも指摘されましたが、「グローバルな研究開発型の製薬企業へと変貌を遂げる」という明確な戦略的目的 に基づき、大胆な決断を下した事例と言えます。
日本たばこ産業(JT)による海外たばこ事業の段階的買収
JTは、国内のたばこ市場の縮小を早期に見据え、1999年のRJRナビスコ社からの米国外たばこ事業買収、2007年の英国ギャラハー社の買収など、段階的に海外の大型たばこ事業を買収してきました。これにより、グローバル市場での確固たる地位を築き上げ、収益源を国内から海外へと大きくシフトさせることに成功しました。長期的な視点に立った戦略的な買収と、買収したブランドを維持・活用するPMIが奏功した代表的な成功事例と評価されています。
近年のトレンドを示す事例(業界別)
最近のクロスボーダーM&Aのニュースを見ると、特定の分野での動きが活発であることが分かります。
IT/テクノロジー分野
デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の流れを汲んだ買収が目立ちます。例えば、三菱電機によるシンガポールのEvercomm社(製造業のカーボンニュートラル支援ソリューション)との協業契約 、コマツによるオーストラリアのiVolve Holdings社(建設・鉱山機械の運行管理システム)の買収 、ZOZOによる英国のファッションECプラットフォームLYST社の買収 などが挙げられます。これらは、新たな技術の獲得や、グローバルなプラットフォーム構築を目指す戦略的な動きと考えられます。
エネルギー/資源/環境分野
脱炭素化に向けた動きが世界的に加速する中、日本企業も再生可能エネルギーや次世代燃料(水素、アンモニア)、二酸化炭素回収・貯留(CCS/CCUS)といった分野での海外投資・提携を活発化させています。特にオーストラリアでは、INPEX、出光興産、商船三井、三菱重工業、三井物産、丸紅、JX石油開発、日本製鉄など、多くの日本企業がグリーン水素・アンモニア製造やCCS関連のプロジェクトに参画・投資しています。大阪ガスによる豪州のカーボンファイバー企業への出資 などもこの流れに沿ったものです。
食品/小売分野
海外のニッチ市場や特定ブランドを獲得し、グローバル展開を加速させる動きが見られます。例えば、オーウイルによる米国の漬物ガリ生姜メーカーNIITAKAYA U.S.A.の子会社化 や、サンクゼールグループによる米国の加工食品販売事業者KELLY’S JELLYからの事業譲受 などが最近の事例として報じられています。
物流分野
グローバルなサプライチェーンの重要性が増す中で、国際的な物流ネットワークの強化を目的としたM&Aも行われています。SBSホールディングスによるインドネシアやオランダの物流企業の買収 などがその例です。
種類や手法を理解してクロスボーダーM&Aを成功させよう
この記事では、クロスボーダーM&Aの基礎知識から、その種類、手法、目的、具体的な流れ、メリット・デメリット、そして成功のための鍵や注意点、事例に至るまで、幅広く解説してきました。
クロスボーダーM&Aは、企業のグローバルな成長戦略を実現するための強力な手段となり得ますが、国内M&Aにはない特有の複雑性やリスクが伴います。言語や文化、法制度の壁を乗り越え、異なる背景を持つ組織を一つにまとめていくプロセスは、決して容易ではありません。
しかし、明確な戦略に基づき、十分な準備と調査を行い、相手への敬意を持って対話を進め、そして何よりもM&A後の統合プロセス(PMI)に真摯に取り組むことで、成功の確率を大幅に高めることができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ホワイトナイトとは?M&Aにおける意味や事例、メリット・デメリットを解説
M&Aにおいて、自社が予期せぬ買収の標的となってしまった場合、会社と大切なステークホルダーを守るためにどのような手段があるのでしょうか? この記事では、そのような状況において、まるで白馬に乗った騎士のように現れる「ホワイトナイト」と…
詳しくみるIRR(内部収益率)とは?計算方法やNPVとの違いを解説
M&Aや新規事業への投資。企業の未来を左右する重要な意思決定ですよね。その際、「この投資、本当にリターンが見込めるのかな?」「複数の選択肢があるけど、どれが一番効率的なんだろう?」と悩むことはありませんか?そんなときに役立つ判断材料…
詳しくみるEPS(一株当たり利益)とは?計算式や活用方法を解説
企業の財務状況を分析する際、様々な指標が用いられますが、中でも「一株当たり利益(EPS:Earnings Per Share)」は、投資家やM&A担当者にとって非常に重要な指標の一つです。 この記事では、EPSがなぜ注目されるのか、…
詳しくみるマーケットアプローチとは?メリット・デメリット、他の方法との違いを解説
「M&Aの価格交渉で『マーケットアプローチ』という言葉を聞いたけど、具体的にどういうものなの?」 「自社の価値を評価する際に、どの方法を使えばいいか迷っている…」 「マーケットアプローチのメリットやデメリット、注意点があれば知りたい…
詳しくみる零細企業とは?中小企業との違いやメリット・デメリットについて解説
「零細企業」という言葉は、日々のビジネスシーンで耳にすることがあるかもしれません。しかし、その明確な定義については、意外と知られていないのではないでしょうか。この記事では、零細企業とその他の企業との違い、メリット・デメリットや零細企業で働く…
詳しくみるチェンジオブコントロール条項とは?メリットや記載例を解説
企業の成長戦略として、M&A(合併・買収)は今や当たり前の選択肢となりました。しかし、M&Aによって会社の「顔」が変わることは、取引先との関係にも影響を与えかねません。「あの会社、買収されたらしいけど、うちとの契約はどうなる…
詳しくみる