• 作成日 : 2026年1月5日

電気工事における「建設業許可」と「電気工事業登録」の違いは?

電気工事の事業拡大を目指す際、多くの経営者が迷うのが「建設業許可」と「電気工事業登録」の違いです。名前は似ていますが、根拠となる法律や目的は全く異なり、誤解したまま営業すると法令違反になるリスクもあります。

この記事では、2つの制度の決定的な違いや、許可が必要になる金額の基準、手続きのポイントについて解説します。複雑なルールを整理し、自社に必要な手続きを正しく理解しましょう。

建設業許可と電気工事業登録の決定的な違いとは?

建設業許可は「請負金額の大きさ」を規制する国土交通省管轄の制度であり、電気工事業登録は「電気工事の保安(安全)」を規制する経済産業省管轄の制度です。電気工事を行う場合、原則として登録は必須ですが、大規模な工事を行うには許可が必要になります。

多くの電気工事業者が混乱しやすいポイントですが、この2つは全く別の法律に基づいています。

電気工事業登録(電気工事業の業務の適正化に関する法律)

一般用電気工作物(住宅など)や自家用電気工作物(工場・ビルなど)の電気工事を行うすべての業者が、都道府県知事への「登録」または「通知」を行う必要があります。これは工事の大小にかかわらず、電気工事を業として行うための最低条件です。

建設業許可(建設業法)

建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円(税込)以上の工事で建設業許可が必要です。建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金が500万円(税込)以上の電気工事を請け負う場合に建設業許可が必要です。

許可を取得した場合の手続き(みなし登録)

建設業許可を取得した業者は、改めて電気工事業の「登録」を行う必要はありません。その代わり、電気工事業法に基づき「建設業許可を受けた電気工事業者(みなし登録電気工事業者)」として、行政庁へ「届出」を行う必要があります。許可をとれば登録が不要になるわけではなく、手続きの種類が変わる点に注意が必要です。

建設業許可が必要になる「500万円」の基準とは?

1件の工事の請負代金が500万円(税込)以上となる電気工事を請け負う場合に、建設業許可が必要です(建築一式工事の場合は1,500万円以上)。

500万円未満の工事のみを請け負う場合は「軽微な建設工事」とみなされ、建設業許可は「不要」です(ただし、前述の電気工事業登録は必要です)。

金額に含まれるもの

この500万円という基準には、消費税が含まれます。また、発注者からエアコンや照明器具などの材料(支給材)が提供される場合、その市場価格や運送費も請負代金に合算して判断する必要があります。

許可をとるための「専任技術者」の要件は?(資格・実務経験)

営業所に常勤する「専任技術者」として、1級・2級電気工事施工管理技士などの国家資格保持者、または一定の実務経験を持つ者を配置する必要があります。

電気工事の建設業許可を取得する上で、最もハードルとなるのがこの技術者の要件です。

認められる主な国家資格(一般建設業の場合)

以下のような資格を持っていれば、実務経験の証明なしで専任技術者になれます。

  • 1級・2級 電気工事施工管理技士
  • 第一種電気工事士
  • 技術士(建設・電気電子部門など)
  • 第二種電気工事士(ただし、免許交付後3年以上の実務経験が必要)

実務経験のみで取得する場合

一定の国家資格や学歴がない場合でも、10年以上の実務経験があれば、建設業の専任技術者になれます。なお、指定学科(電気工学など)を卒業していれば、期間が3年または5年に短縮されます。

ただし、電気工事の専任技術者資格がない場合、原則として実務経験だけで要件を満たすことはできません。電気工事業の専任技術者になるには、電気工事士の資格を保持していることが必須です。電気工事士法により、無資格者が電気工事を行うことは原則禁止されているため、実務経験の期間中に適切な資格(第二種電気工事士など)を持って従事していたか、あるいは資格不要な軽微な作業であったかの証明が厳しく問われます。

「一般」と「特定」の違いは何か?

元請として受注した工事を、下請に出す金額の合計が5,000万円以上になるかどうかで区分されます。

  • 一般建設業許可
    元請として受注した工事で、下請に出す金額が5,000万円未満の場合。または下請として工事を受注する場合。多くの業者はまずこの「一般」を取得します。
  • 特定建設業許可
    元請として受注した工事で、下請に出す金額が合計5,000万円以上となる場合。より厳しい財産要件(資本金2,000万円以上など)や、1級資格者の配置が求められます。

許可取得にかかる費用はどれくらいか?

行政庁に納める法定手数料として9万円(知事許可の場合)、行政書士に依頼する場合は報酬として10万円から20万円程度が相場となります。

法定手数料(実費)

  • 知事許可(一つの都道府県に営業所がある場合):90,000円
  • 大臣許可(複数の都道府県に営業所がある場合):150,000円

この手数料は、申請時に必ず納付する必要があります。行政書士に依頼する場合は、この実費に加えて書類作成や申請代行の報酬が発生します。電気工事の許可申請は、電気工事業法の届出もセットで行うケースが多いため、その分の費用も考慮しておく必要があります。

事業拡大には許可と届出の両方が重要

本記事では、電気工事における建設業許可について、電気工事業登録との違いや500万円の基準、専任技術者の要件を中心に解説しました。

電気工事で500万円以上の案件を受注し、事業を大きくするためには建設業許可が不可欠です。しかし、許可を取れば終わりではなく、電気工事業法に基づく「みなし登録」の届出も忘れずに行う必要があります。二つの法律が絡む複雑な分野ですので、資格要件や手続きの流れを正しく理解し、計画的に取得を進めることが重要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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