- 更新日 : 2026年1月5日
建設業許可の専任技術者が退職したらどうする?変更届の期限、後任不在のリスクや名義貸しの違法性を解説
建設業許可を維持する上で、営業所に常駐する専任技術者(営業所技術者等)の存在は不可欠です。しかし、急な退職や死亡により、この要件を満たせなくなる事態はどの企業にも起こり得ます。この時、対応を誤ると許可の取消しという最悪の事態を招きかねません。
この記事では、専任技術者が退職した際に必要な手続きと厳格な期限(2週間以内)、後任がいない場合の対処法、そして絶対にやってはいけない名義貸しのリスクについて解説します。
目次
専任技術者が退職した場合、建設業許可はどうなるのか?
後任の技術者を直ちに補充できなければ、建設業許可の要件欠格となります。状況を放置すれば、原則としてその業種の許可は維持できず、当該業種の許可取消しや廃業届の提出を求められるリスクが高まります。
空白期間ができた場合のリスク
専任技術者が不在の間は、その許可業種に関わる500万円以上の請負契約を新たに結ぶことはできません。また、後任が決まらないまま放置すると、許可の取消し対象となります。
建設業許可の有効期間中(5年間)は、常に専任技術者が営業所に常勤している必要があります。たとえ1日でも不在の期間(空白期間)が生じると、法律上は許可の要件を満たしていない状態となります。そのため、退職と同時に後任者が就任できるよう、切れ目なく交代するのが原則です。
変更届の提出期限と手続きは?
何らかの事情で専任技術者が退職した場合、退職(変更)があった日から2週間(14日)以内に、管轄の行政庁へ変更届を提出する義務があります。
代表者や商号の変更は30日以内ですが、専任技術者や経営業務の管理責任者といった人に関する変更は、許可の根幹に関わるため2週間以内という短い期限が設定されています。
必要な手続きの流れ
- 後任の技術者を選定する
退職者の有していた資格や実務経験と同等以上の要件を満たす後任者を社内で探すか、新たに採用します。 - 書類を準備する
変更届出書、後任者の資格証明書(合格証や実務経験証明書)、常勤性を証明する書類(健康保険証の写しなど)を揃えます。 - 行政庁へ提出する
期限内に都道府県の窓口や土木事務所へ提出します。
変更届を忘れていた(期限を過ぎた)場合
期限を過ぎてしまった場合でも、気づいた時点ですぐに提出してください。その際、遅延理由書(始末書)の添付を求められることが一般的です。放置して更新時期を迎えると、更新が受け付けられない可能性があります。
後任者がいない(要件を満たせない)場合はどうすべきか?
許可要件を満たせなくなった日(専任技術者が欠けた日)から30日以内に、廃業届(一部廃業)を提出しなければなりません。
社内に要件を満たす資格者や実務経験者がおらず、外部からの採用も間に合わない場合、残念ながらその業種の許可は維持できません。
廃業届(一部廃業)の提出
全ての建設業許可を失うわけではなく、退職した技術者が担当していた業種のみを取り下げる一部廃業の手続きを行います。
例えば、内装工事と電気工事の許可を持っており、電気工事の専任技術者が退職して後任がいない場合、電気工事の許可のみを廃業し、内装工事の許可は維持することが可能です(内装の技術者が別途いる場合)。
許可の維持に向けた対策
廃業を避けるためには、既存の従業員の中に実務経験(10年や指定学科卒の3~5年)を満たす者がいないか、改めて経歴を洗い出すことが重要です。他の社員が要件を満たしているケースもあります。
なお、「廃業届」を出して許可を返上した場合でも、要件が整えばすぐに再申請が可能です。
名義貸しは絶対にやってはいけないのか?
名義貸しは建設業法違反であり、発覚すれば許可の即時取消しに加え、刑事罰の対象となる重大な違法行為です。
後任が見つからないからといって、退職した技術者の名前をそのまま使い続けたり、社外の知人の名前だけを借りて登録したりすることは絶対にしてはいけません。
名義貸しがバレる理由
行政による立入検査や、社会保険の加入状況の確認(常勤性のチェック)、あるいは元従業員や競合他社からの通報によって発覚するケースが多いです。
違反のペナルティ
名義貸しは建設業法17条違反であり、虚偽の申請・届出と評価されるため、建設業法50条に基づき「6か月以下の懲役または100万円以下の罰金」の対象となる可能性があります。さらに、その状態で無許可に等しい形で工事を請け負っていた場合には、無許可営業として「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」の対象となるリスクもあります。
こうした違反が認定されると、許可の取消し処分を受けるだけでなく、その後5年間は新たに許可を取得できません。
監理技術者が退職した場合や死亡した場合は?
専任技術者と同様の手続きが必要ですが、現場配置のルールにも注意が必要です。
監理技術者の退職
営業所の専任技術者として登録されている監理技術者が退職した場合は、前述の通り2週間以内に変更届の提出が必要です。
一方、現場専任の監理技術者が工事途中で退職する場合、直ちに後任の監理技術者を現場に配置し、発注者へ報告する必要があります。工事の実施期間中は、原則として専任の監理技術者(または主任技術者)の配置義務があり、合理的な理由がない限り、技術者不在の期間(空白期間)を作らないことが求められます。
死亡した場合
専任技術者が死亡した場合も、事実を知った日から2週間以内に届出が必要です。退職と同様に扱われますが、予期せぬ事態であるため、速やかに行政庁や専門家に相談することをお勧めします。
事前のリスク管理と迅速な対応を
本記事では、建設業許可の専任技術者が退職した際の手続きやリスクについて解説しました。
専任技術者の退職は、企業の存続に関わる重大な事態です。2週間という期限は非常に短いため、日頃から複数の資格者を育成しておく、あるいは実務経験者を把握しておくといったリスク管理が重要です。万が一の際は、速やかに正規の手続きを行うことが会社を守るうえで欠かせません。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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