- 作成日 : 2026年1月5日
建設業許可は経営経験5年未満でも取れる?要件緩和の仕組みや裏ワザのリスクを解説
建設業許可を取得するためには、原則として「5年以上の経営経験」が必要です。しかし、2020年の法改正による要件緩和によって、個人としての経験年数が5年に満たない場合でも、組織体制を整えることで許可を取得できるルートが設けられました。
この記事では、建設業の専門家が、経営経験が5年未満でも許可を取得できる具体的な条件や、実務経験の短縮方法、そして「裏ワザ」と呼ばれる違法行為のリスクについて解説します。これから許可取得を目指す方が、最短ルートで適法に許可を得るための手引きとしてご覧ください。
目次
建設業許可における「5年の壁」とは何か?
建設業許可を取得するための5つの要件のうち、ハードルが高いとされるのが「経営業務の管理責任者(経管)」の要件です。これは、建設業の経営を適正に行う能力を担保するために設けられており、原則として「建設業に関し5年以上の経営経験」が求められます。
この要件は、建設業が請負契約という特殊な取引形態であり、多額の資金が動くことから、経営者に高い責任能力と実務知識を求めているために存在します。
原則的な要件(5年以上の経営経験)
法人の場合は常勤の役員、個人事業主の場合は事業主本人が、過去に建設業の経営(取締役や事業主として)に携わった期間が通算で5年以上あることが基本となります。
2020年の法改正による変化
以前は「個人の経験」のみが重視されていましたが、2020年10月の建設業法改正により、個人の経験が不足していても「組織としての補佐体制」があれば許可を認めるという、柔軟な制度へと変更されました。これにより、経営経験が5年未満の役員であっても許可取得の可能性が広がりました。
経営経験が「5年未満」でも許可をとる方法
役員としての経験年数が5年に満たない場合でも、一定の条件を満たすことで「経営業務の管理責任者」として認められるケースがあります。ここでは、法改正によって新設された「組織認定」のルートを中心に解説します。
2年以上の役員経験+補佐者の配置
申請する役員(常勤)の建設業での役員経験が「5年未満」であっても、以下の条件をすべて満たせば要件をクリアできます。
- 建設業での役員経験が2年以上あり、かつ建設業での役員経験以外の「経営業務を管理または補佐した経験」を含めて通算5年以上あること
- 建設業での役員経験が2年以上あり、かつ建設業での「経営業務を管理または補佐した経験」が5年以上あること(通算7年)。その役員を直接補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営の各分野で5年以上の実務経験を持つ常勤の者3名を配置すること
- 建設業で6年以上の経営補佐経験があること
この仕組みを使えば、例えば「建設業の役員経験が2年」しかない後継者であっても、ベテランの経理担当者や工事部長などが補佐することで、許可を取得できる可能性があります。なお、いずれも個別事情の立証資料で判断されるため、許可行政庁への事前確認が必須です。
6年以上の「経営補佐経験」を活用する
これは「5年未満」の短縮ではありませんが、役員としての経験がない(0年)場合でも使えるルートです。
法人において、役員(取締役など)ではなくても、支店長や営業所長、あるいは経営陣に準ずる地位(執行役員など)で、建設業の経営業務を補佐した経験が「6年以上」あれば、経営業務の管理責任者として認められます。
技術者の「実務経験」を5年未満に短縮する方法
建設業許可には、経営経験だけでなく「専任技術者(技術力)※」の要件も必要です。こちらは原則として「10年の実務経験」が必要ですが、学歴や資格によって大幅に短縮できます。
※正式名称は「営業所技術者等」
国家資格による免除(実務経験0年)
許可を受けたい業種に対応する国家資格(施工管理技士、建築士、電気工事士など)を保有していれば、実務経験は問われません。つまり、実務経験が0年や5年未満であっても、その業種に対応する資格なら実務経験年数による立証が不要です。これが最も確実で早い方法です。
指定学科卒業による短縮
許可を受けたい業種に関連する「指定学科」を卒業している場合、必要な実務経験期間が短縮されます。
- 大学・高等専門学校(指定学科)卒業:実務経験3年以上
- 高等学校・中等教育学校(指定学科)卒業:実務経験5年以上
例えば、大学の建築学科を卒業していれば、実務経験が3年あれば建築一式工事などの専任技術者になれるため、「10年」待つ必要はありません。
建設業許可取得に「裏ワザ」は存在するか?
ネット上では「裏ワザ」という言葉が散見されますが、法令を遵守しない形での抜け道は存在しません。要件を満たしていないのに虚偽の申請を行うことは、極めて高いリスクを伴います。
名義貸しの違法性
経営経験や資格を持つ他人の名前だけを借りて、実際にはその会社で常勤していないのに役員や技術者として登録する行為は「名義貸し」と呼ばれ、建設業法で厳しく禁止されています。
虚偽申請のリスク
実務経験の証明書を偽造したり、常勤していない人物を常勤と偽ったりして許可を取得した場合、それが発覚すると「許可の取消処分」を受けます。さらに、その後5年間は新たに許可を取得することができなくなります。また、悪質な場合は懲役や罰金などの刑事罰が科されることもあります。
「経営経験なし」でとる唯一の方法
もし現時点で社内に経営経験要件を満たす人材が誰もいない場合、唯一の解決策は「要件を満たす人材を外部から常勤役員として招き入れること」です。これも裏ワザではなく、正当な経営判断の一つです。
許可の有効期間と更新について
建設業許可を取得した後も、5年ごとの更新手続きが必要です。
5年ごとの更新
建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年間です。期間が満了する30日前までに更新の手続きを行わなければ、許可は失効してしまいます。この更新の際にも、経営業務の管理責任者や専任技術者が常勤し続けているかどうかが確認されます。
要件を満たし続けることの重要性
許可取得時だけでなく、5年間の有効期間中、常に要件を満たしている必要があります。役員の退任や技術者の退職によって要件を欠いてしまった場合は、速やかに後任を補充し、変更届を提出しなければなりません。放置すると許可の取消し対象となります。
正しい知識で最短の許可取得を目指す
本記事では、建設業許可における「5年未満」の可能性について、経営経験と実務経験の両面から解説しました。
2020年の法改正により、個人の経験年数が不足していても、組織力でカバーできる道が開かれました。自社の状況が要件緩和の対象になるかどうかは判断が難しいため、建設業専門の行政書士などの専門家に相談し、適切な準備を進めることをお勧めします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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