- 更新日 : 2026年4月1日
建設業の許可票の掲示義務とは?サイズ、現場でのルール、緩和措置や罰則まで解説
建設業許可を取得した事業者は、営業所および工事現場の見やすい場所に、法律で定められた「建設業の許可票(標識)」を掲示する義務があります。このルールを怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
この記事では、建設業の専門家が、許可票の正しい掲示場所、法律で定められたサイズ(A4で代用できるか?)、下請業者の掲示義務、そして近年のデジタル化による規制緩和の内容について分かりやすく解説します。
目次
建設業の許可票(標識)の掲示義務とは何か?
建設業法第40条に基づき、建設業許可を受けた事業者(元請)は、営業所の公衆の見やすい場所に許可票を掲示しなければなりません。加えて、発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとにも、所定事項を記載した許可票(標識)を掲示する必要があります。
この義務は、発注者や第三者に対し、その業者が正規の許可を受けた適正な業者であることを示し、責任の所在を明確にするために設けられています。一般的に、営業所に掲げるものは「金看板」、工事現場に掲げるものは「労災保険関係成立票」などと並べて掲示される白いボードやシート状のものがよく見られます。
掲示義務の対象者
掲示義務の対象者は、2020年10月の改正以降、元請業者に限定されています。下請業者はこの義務が免除され、許可票の掲示は不要です。代わりに、元請は施工体系図を掲示し、下請け情報を明らかにする必要があります。
掲示場所とそれぞれのサイズ・記載内容は?
「営業所」と「工事現場」の2カ所で掲示が必要であり、それぞれ法律で定められたサイズ(縦横の長さ)や記載事項が異なります。
営業所での掲示(本店・支店)
公衆の見やすい場所に掲示する必要があります。
- サイズ:縦35cm以上 × 横40cm以上
- 材質:金属製(金看板)が一般的ですが、耐久性があれば材質は問われません。
- 記載事項:商号、代表者名、許可番号、許可年月日、許可業種など。
工事現場での掲示
工事現場の入り口など、公衆が見やすい場所に掲示します。
- サイズ:縦25cm以上 × 横35cm以上
- 材質:雨風に耐えられる材質(プラスチック板やラミネート加工した紙など)。
- 記載事項:営業所の掲示内容に加え、現場の「主任技術者」または「監理技術者」の氏名、専任の有無などを記載します。
A4サイズで作成しても問題ないか?
A4用紙のサイズは「21cm × 29.7cm」であり、工事現場用の法定サイズ(縦25cm以上 × 横35cm以上)よりも小さいため、A4サイズそのままでは法律違反となります。
PCで作成して印刷する場合は、B4やA3サイズで出力するか、拡大印刷をして規定のサイズ(25cm×35cm)を満たすように調整する必要があります。
下請業者も現場に許可票を掲示する必要があるか?
現行法では、工事現場で許可票(標識)の掲示義務を負うのは、発注者から直接請け負った元請業者です。下請業者は現場での許可票掲示義務は原則ありません(※ただし改正前に締結した工事では従前運用となる場合があります)。
掲示義務の「緩和」とは?(デジタルサイネージ等)
国土交通省による規制緩和により、従来の物理的な看板だけでなく、デジタルサイネージ(電子表示機器)等を使用した掲示も認められるようになりました。
建設現場の生産性向上や業務効率化を目的として、ICTの活用が進められています。一定の視認性(明るさや大きさ)を確保し、公衆が常時確認できる状態であれば、モニターやタブレット端末などを使って許可票の内容を表示することも可能です。
デジタルサイネージで掲示する場合は、内容を容易に確認できる画面・文字サイズ等であることに加え、当該機器で標識等を確認できる旨を表示するなど、通知で示された要件を満たす必要があります。これにより、掲示物の作成や貼り替えの手間を削減できます。
掲示義務に違反した場合の罰則は?
建設業法違反として、10万円以下の過料が科される可能性があります。(建設業法第55条)許可票を掲示していなかったり、記載内容に誤りがあったり、サイズが規定より小さかったりする場合、このペナルティの対象となります。
「たかが看板」と軽視せず、現場が始まる際には必ず規定の許可票を準備し、見やすい場所に設置することが、コンプライアンス遵守の基本です。
正しい掲示が、現場の信頼を作る
本記事では、建設業の許可票の掲示義務について、サイズや場所、下請業者の扱いなどを解説しました。
許可票は、その現場が法令を守る適正な業者によって施工されていることを証明する、現場の「顔」ともいえる重要な標識です。A4サイズでの代用不可といった細かいルールや、デジタル活用などの新しい動きを正しく理解し、適切な掲示を行うことが、発注者や近隣住民からの信頼獲得につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 法律・許認可・制度
電気通信工事施工管理技士と電気工事施工管理技士の違いとは?難易度・受験資格・仕事内容を比較解説するには?
電気工事施工管理技士は主に電力・動力・照明などの電気設備工事を扱い、電気通信工事施工管理技士は通信回線・ネットワーク設備・情報伝送設備などを扱います。どちらも建設業における国家資格…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業許可をとる「裏ワザ」は存在するか?正規の取得条件、名義貸しや5年未満のリスクまで解説
建設業許可の取得を考える際、「経営経験5年未満でもとれないか」「500万円の資金がなくても取得できる裏ワザはないか」といった疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。結論からいえば…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
2級建築施工管理技士は建設業許可でどのような役割を果たすか?
2級建築施工管理技士資格があれば、一般建設業許可を取得するために必要な「営業所の専任技術者(営業所技術者等)」および現場に配置する「主任技術者」になれます。 建設業者が建設業許可を…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業許可の専任技術者要件とは?必要な資格一覧、10年の実務経験、要件緩和まで分かりやすく解説
建設業許可をとるには、許可を受けたい業種に応じた「専任技術者」を営業所に配置することが法律で義務付けられています。この要件を満たすには、国家資格を保有するか、学歴に応じた一定期間の…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
建設業許可は経営経験5年未満でも取れる?要件緩和の仕組みや裏ワザのリスクを解説
建設業許可を取得するためには、原則として「5年以上の経営経験」が必要です。しかし、2020年の法改正による要件緩和によって、個人としての経験年数が5年に満たない場合でも、組織体制を…
詳しくみる -
# 法律・許認可・制度
2級建築施工管理技士補のメリットとは?技士との違い、難易度を解説
2級建築施工管理技士補の資格は、建設業界で働くうえでの第一歩として注目されています。人手不足が続く建設業界では、資格を持つ人材の重要性が高まっており、個人にとっても企業にとっても活…
詳しくみる