• 作成日 : 2025年6月24日

一人親方の仕事探しとは?マッチングサイト比較や収入安定のコツ

一人親方として安定して仕事を得ることは、多くの職人さんにとって切実なテーマではないでしょうか。この記事では、最新の情報を基に、具体的な仕事探しの方法から収入を安定させるための工夫まで疑問や不安に応えます。人脈作りや求人サイト、マッチングアプリの活用、そして業界動向まで幅広く解説し、皆さんの事業継続と発展を後押しします。

一人親方が仕事を探す方法

建設業界では深刻な人手不足が続いており、技術を持つ一人親方への需要は高まっています。しかし、「誰かが声をかけてくれるだろう」と受け身でいるだけでは、仕事が安定するとは限りません。自ら積極的に情報を集め、動くことが、仕事を確保し続けるためには欠かせません。

一人親方が仕事を探す手段は多様化していますが、なかでも代表的なのは以下のような方法です。

1. 過去の取引先や職人仲間からの紹介

建設業界は信頼関係を重視する傾向が強く、それが仕事に直結することも少なくありません。

紹介による営業は、すでにある程度の信頼関係が土台となっているため、全くの新規で営業するよりもスムーズに話が進みやすく、受注につながりやすいです。

過去の取引先や、共に仕事をしたことのある職人仲間など、これまでに築いてきた人脈は積極的に活用しましょう。誰に仕事を依頼するかを考える際、知っている、信頼できるというのは大きなアドバンテージになります。

2. 既存顧客からの受注

また、既存のお客さまを大切にすることも、継続的な仕事の確保につながります。一度依頼された仕事に対して、期待以上の成果を出すことで、次回の依頼(リピート受注)や、そのお客さまからの新たな紹介につながることも少なくありません。

単に仕事をこなすだけでなく、丁寧なコミュニケーションを心がけ、良好な関係を維持することが、将来の仕事を生み出す土壌となります。現場での休憩時間などに、他の職人さんと積極的にコミュニケーションをとることも、思わぬ人脈形成につながることがあります。

3. 新規営業や交流会

事業をさらに広げたいと考えている場合には、新規顧客の開拓が欠かせません。

地域の建設会社や工務店へは、企業のホームページ等で募集情報を確認し、直接アプローチしましょう。

その際は、保有資格や得意な工事、これまでの実績といった具体的なスキルや強みをしっかりとアピールすることが肝心です。そうすることで、相手もあなたの能力をイメージしやすくなり、受注につながる可能性が高まります。

また、現場や事務所で「職人募集中」と書かれた掲示を見かけたら、積極的に声をかけ、名刺を渡す「飛び込み営業」も有効です。名刺は自分を覚えてもらう重要ツールですので、常に携帯し、積極的に配る習慣をつけましょう。

加えて、商工会議所などが主催する建設業関連の交流会や異業種交流会への参加も、直接自分を売り込める良い機会です。経営者や決裁権を持つ人が参加していることも多いため、名刺交換の際には、自分の専門分野や強みを簡潔に伝えることを意識しましょう。

4. 求人サイトの活用

一般的な求人情報サイト(Indeedなど)には、建設関連の求人があります。また、近年は「ブルカラ」のような建設業界に特化した求人サイトも増えています。これらの専門サイトは、自分の職種や希望条件に合った求人を見つけやすいのが利点です。

仕事を早く見つけるためには、1つのサイトや会社に絞らず、複数の媒体や企業へ同時にアプローチする方が効率的です。応募の際は受け身にならず、積極的に自身の強みをアピールし、他の応募者との差別化を図りましょう。

5. 建設業マッチングサービスで探す

近年では、仕事を探している一人親方や職人と、人手を求めている建設会社・工務店をインターネット上で結びつける「マッチングサイト」や「マッチングアプリ」が広まっています。

スマートフォンやパソコンから簡単に登録でき、案件の検索や応募も手軽に行えるため、スキマ時間を使って仕事を探したい人にも便利です。まずは気になるサイトに事前に登録しておき、プロフィールや実績をしっかり入力しておくことで、スムーズに案件へ応募できるようになります。

ただし、人気の高い案件には応募が殺到することもあるため、必ずしもすぐに受注につながるとは限りません。差別化を図るためには、自己紹介文や過去の施工例、得意分野などを具体的に記載しておくとよいでしょう。

一人親方の仕事探しに役立つ建設業マッチングサービス比較

仕事探しの新たな手段として定着しつつある「マッチングサイト」や「マッチングアプリ」の主要なサービスを取り上げ、その特徴や料金体系、利点や注意点を紹介します。

※2025年5月時点の情報です。

助太刀

登録事業者数が20万を超えるなど、業界最大級の規模を誇ります。80以上の職種に対応しており、アプリ内で発注者と直接メッセージのやり取りができ、工事代金の受け取り機能(助太刀あんしん払い)も提供されています。LINEのような手軽さが特徴で、大手ゼネコンも利用しています。評価機能「みんなの太鼓判」で相手の評判を確認することも可能です。

ツクリンク

登録社数10万社以上を誇る大規模なプラットフォームです。協力会社や元請け業者を探すことができ、自社の情報を登録してプロフィールページを作成し、ホームページのように活用することも可能です。気になる会社に直接メッセージを送って交渉できます。認証制度を設けて信頼性向上を図っており、トラブル相談窓口もあります。

CraftBank(クラフトバンク)

約3万2千社が登録し、高いマッチング率(86%など)を特徴としています。特に専門工事会社のマッチングに強みがあり、案件紹介や面談を無料で行えます。有料プランでは、より細かく検索条件を絞ったり、問い合わせの一斉送信が可能になったりします。また、「職人酒場」というリアルな交流イベントを定期的に開催しており、直接的な人脈作りの場としても活用されています。

ビーバーズフリーランス

週2~3日から働けたり、土日祝は休んだりといった柔軟な案件を多く扱っているのが特徴です。専属のエージェントが仲介に入ることで、ミスマッチを防ぎ、安心して働ける環境を提供しようとしています。最短1日で仕事を紹介できるスピード感も売りにしています。

請負市場

登録企業数3万社以上、取扱案件数約1万2千件と、こちらも大規模なサイトです。ランキングや評価制度があるため、実績を積むことで有利になる可能性があります。登録料やマッチング手数料が無料である点も特徴です。

この他にも、「CAREECON」「ゼヒトモ」「ローカルワークス」「POWER WORK」「サガツク」「建築建設biz」「KIZUNA」など、多様なサービスが存在します。

マッチングサイト活用の注意点

マッチングサイトは手軽に応募できる反面、人気の高い案件には応募が集中し、なかなか受注につながらないこともあります。

また、多くのサイトには評価システムが導入されており、発注者からの評価が低いと、その後の仕事獲得が難しくなる可能性があります。逆に、誠実な仕事ぶりで高い評価を得られれば、指名での依頼が増えるなど、有利に働くこともあります。

料金体系もよく確認しましょう。登録は無料でも、成約時に手数料が発生したり、特定の機能を利用するために月額や年額の費用がかかるプランがあったりします。

最も注意したいのは、取引相手の信頼性です。顔が見えないインターネット上のやり取りでは、残念ながら不誠実な業者やトラブルに遭遇するリスクもゼロではありません。「実際に会ってみたら印象が違った」「支払いに関して問題が発生した」といったケースもあります。

そのため、特に初めて取引する相手とは、契約前に一度直接会って話をする、契約内容を書面でしっかり確認するなど、慎重に進めることがトラブル防止につながります。相手の評価やレビューをよく確認することも大切です。

一人親方が仕事探しを成功するために意識すべきこと

一人親方として安定した事業を続けるには、日々の営業活動に加え、自身の価値を高め、変化に対応する姿勢が不可欠です。

技術力向上と資格取得

建設業界において、技術は仕事獲得と単価アップの基本です。常に技術を磨き、関連資格(建築大工技能士、施工管理技士など)を取得することで、信頼性と仕事の幅が広がります。

技術講習会やセミナーなどに参加して、新しい工法や材料についての知識を深めることも、自身の価値を高める上で役立ちます。

建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、国土交通省が推進する、技能者一人ひとりの就業実績や保有資格、社会保険加入状況などを業界統一のルールで登録・蓄積する仕組みです。

CCUSに登録すると自身の経験やスキルが客観的なデータとして記録されるため、能力に応じた公正な評価を受けやすくなります。新たな取引先との交渉において有利に働く可能性があります。

また、現場での就業履歴が専用カードリーダーで自動的に記録されるため、事務的な手間が省け、自身のキャリア管理が容易になります。

さらに、大手ゼネコンなどの現場では、CCUSへの登録や、登録情報に基づいた社会保険加入状況の確認が、必須条件となることもあります。CCUSに登録しておくことで、こうした現場の仕事も受注しやすくなるでしょう。

信頼される一人親方になる

技術力や資格だけでなく、「この人にまた頼みたい」「安心して任せられる」と思ってもらえるような、信頼される一人親方になることが、長期的な成功につながります。

信頼を得るためには、まず、請け負った仕事を誠実に、納期を守って完成させることが基本です。期待された品質を提供するのはもちろんのこと、少しでも期待を上回るような丁寧な仕事を心がけることで、良い評判が自然と広がっていきます。

コミュニケーション能力も欠かせません。元請けや他の職人さんとの円滑な連携、お客さまへの分かりやすい説明など、相手の話をよく聞き、自分の考えを的確に伝える力が求められます。独りよがりな仕事の進め方や、強引な提案(押し売り)は信頼を損ねます。

また、意外に見落としがちなのが、身だしなみです。清潔感のある作業着を着用するなど、第一印象にも気を配ることは、プロフェッショナルとしての意識を示す上で大切です。

加えて、スケジュール管理能力も信頼に関わります。複数の現場を掛け持ちすることも多い一人親方にとって、納期遅延や急なキャンセルは大きな信用失墜につながります。無理のない範囲で、かつ効率的に仕事を進められるよう、日々のスケジュール管理を徹底することが求められます。

一人親方の仕事の収入と安定性

全建総連東京都連合会の調査では、一人親方の収入は、会社に雇用されている常用労働者と比較して高い傾向にあるという結果が出ています。例えば、2023年の賃金調査報告書によると、一人親方の一日あたりの賃金は2万1,848円に対し、常用が1万7,929円であり、一人親方の方が上回ります。しかし、職種や地域、仕事の受注状況などによって大きく変動するため、あくまで平均値や目安として捉えるべきでしょう。

収入を安定させるための工夫

一人親方は仕事がある月とない月の差が激しくなることがあり、収入が途絶えるリスクも伴います。

基本は取引先を複数持ち、1つの元請けへの依存リスクを避けましょう。その会社からの仕事がなくなったり、倒産したりした場合に、収入が途絶えてしまいます。

仕事が少なくなる閑散期には、普段できないような新しい取引先の開拓(直接営業や交流会参加)に時間を使ったり、インターネットの求人サイトやマッチングサイトで短期の仕事を探したり、場合によっては副業を検討するのも1つの手です。

また、仕事を安定して受注するためには、スケジュール管理能力が欠かせません。無理なスケジュールを組んで断ることが多くなると、「あの人は忙しいから頼みにくい」と思われ、依頼が減ってしまうこともあります。複数の現場を効率よく回せるよう、常にスケジュールの調整を心がけましょう。

さらに、技術力を高めて単価アップを目指しましょう。将来的には元請けとして仕事を受注できれば、利益率向上も期待できます。

将来的には、下請けだけでなく、自ら元請けとして仕事を受注できるようになれば、利益率も上がり、収入の大幅アップが期待できます。そのためには、営業力や経営に関する知識も必要になってきます。

一人親方の仕事探しは複数の手段を活用しよう

一人親方として安定した仕事を得るには、受け身ではなく「自ら動く姿勢」が欠かせません。人脈や既存顧客の活用に加え、求人サイトやマッチングサービスなど複数の手段を併用し、常に情報を収集することが大切です。

さらに、技術力の向上や信頼関係の構築、労災保険の加入なども、継続的な受注と安心した働き方につながります。積極的な行動こそが、未来を切り開く第一歩です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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