- 作成日 : 2025年2月20日
図面の拾い出しにおすすめ積算ソフト9選!無料・有料を紹介
図面の拾い出しとは、設計図から必要な材料や工事の内容を正確に拾い出し、コストを算出する作業のことを指します。特に建築業においては日常的に行われる業務です。しかし、この作業を手作業で行うと、時間がかかりミスも発生しやすくなります。ここで、積算ソフトを使うことで多くのメリットが得られます。この記事では、図面の拾い出し、積算に役立つツールやソフトを紹介します。
目次
図面拾い出しに積算ソフトを利用するメリットは?
図面拾い出しを行う際に積算ソフトを利用することには多くのメリットがあります。特に、効率性や正確性を重視する現代の施工管理においては、これらのメリットが大きな影響を持つのです。以下に、積算ソフトを利用することで得られる主な利点をいくつかご紹介します。
ミスの削減と精度の向上
手作業での拾い出しは複雑な計算が必要なため、間違いが起きる可能性があります。積算ソフトを利用することで、自動的に数量やコストを計算してくれるため、ヒューマンエラーのリスクを低減し、正確なデータを計算することができます。
作業時間の短縮
手作業で図面を確認し、一つひとつの部材や材料を拾い出していく作業は、非常に時間がかかります。一人親方や小規模な工務店では、現場と事務作業の両方を兼務することも多いため、少しでも効率化できる部分を探すことが重要です。積算ソフトを使えば、図面から自動で拾い出しを行い、数分で結果を出すことが可能です。例えば、設計図の面積や長さから材料の必要量を自動で計算する機能があるため、作業時間を大幅に短縮できます。
コスト管理の最適化
積算ソフトは、図面拾い出しだけでなく、材料費や工事費の計算も簡単に行えます。これにより、予算管理がしやすくなり、無駄な出費を抑えることができます。
データの一元管理と再利用
手作業で作成した拾い出しデータは、紙のメモやExcelファイルなど、バラバラに管理されることが多いです。しかし、積算ソフトを使うことで、全てのデータを一元管理できます。過去のプロジェクトのデータを簡単に呼び出して再利用することも可能です。例えば、類似したプロジェクトの拾い出し結果を使って、次回の見積り作成に活用することができます。
手作業での図面の拾い出し方法
手作業で図面の拾い出しとは、図面上で壁の長さや床の広さを測り、縮尺に基づいて数値を計測し、適切な換算率で実際のサイズに直していくことです。それを基に、実際にどれだけの材料が必要かを計算します。特に初心者にとって大変な作業となることがあります。手作業での拾い出しは、鉛筆や定規(スケール)、電卓などが必要になります。以下では、手作業で図面を拾い出すステップやポイントについて詳しく説明します。
①図面を確認する
最初に図面を用意します。最新の図面を使用し、サイズの情報が明記されているか確認します。古い図面を使うと、実際の計測と合わない可能性があります。
また、図面の縮尺を確認し、どの部分を拾い出す必要があるかを明確にします。縮尺が1/100であれば、1cmが実際の1mに相当することになります。計測時にこの縮尺を忘れないようにしましょう。
②寸法を計測する
定規やスケールを使って、図面上の壁や床などの縦と横の寸法を計測します。実際には窓やドアなどの開口部を差し引いて施工するため、開口部の寸法も計測します。次に、各部分の面積を縦×横で計算し、それらを合計して総面積を出します。そして、この総面積から先ほど測った開口部の面積を差し引きます。
この計算により、実際に施工が必要な正味の面積が導き出されます。つまり、必要な総面積は「総面積 – 開口部の面積」となります。
そして、図面の縮尺に合わせて、電卓を使用して実際の寸法に換算します。
③必要な材料の数量を計算する
拾い出した寸法に基づいて、必要な材料の量を計算します。例えば、床材の場合、面積を計算してから、1平米あたりに必要な材料の数を掛け算します。
ここでの数量は、図面を計測して導き出した材料の数量(設計数量)に加えて、施工中に発生する切り無駄やロス、不良品の予備なども含みます。これを、所要数量と呼びます。
通常、設計数量に一定のロス率(多くの場合5%〜20%程度)を掛けて算出します。
④工事費を計算する
前述の数量を基に工事費の計算を行います。基本的な計算式は以下の通りです。
単価の計算には、施工にかかる人件費や運搬費、その他の付帯費用も考慮する必要があります。
例えば、壁の塗装工事の場合、1平方メートルあたりの単価には以下が含まれます。
- 塗料の費用
- 塗装作業員の人件費
- 塗装機器の使用料
- その他の諸経費
この複合的な単価を使用することで、数量との掛け算で総工事費を算出することができます。
手作業での図面の拾い出しは、時間がかかる作業のため、計算のミスを防ぐため、ダブルチェックを行うことが非常に重要です。
積算ソフトの主な機能
積算ソフトを利用することで業務の効率化につながります。建設工事において、複雑な計算を自動で行うことができ、また図面から必要な材料や数量を拾えるため、積算に必要な工数を削減することができます。
設計図や仕様書から建材費やコストを算出する
設計図や仕様書には、建材や工事に必要な情報が詳細に記載されています。この情報を元に建材費やコストを正確に算出することは、プロジェクトの予算管理や資金計画において非常に重要です。ここでは、図面拾い出しソフトを活用して、建材費やコストを算出する方法について解説します。
工事にかかる原価を算出する
工事にかかる原価を正確に把握することで、予算を適切に管理し、無駄を省くことができます。
積算ソフトを利用すれば、原価の算出が効率的に行えます。以下は、一般的な流れです。
- 設計図面や仕様書の入力:まず、建設に関する設計図や仕様書をソフトに入力します。
- 素材と数量の選定:使用する材料や数量を選定し、それに基づいてコストが自動的に計算されます。
- 原価の項目別集計:積算ソフトは、材料費や人件費などを項目別に集計し、総原価を算出します。
- 報告書の作成:最終的に、算出された原価をもとに報告書を生成し、関係者と共有します。
このように、積算ソフトを利用することで、効率的に工事にかかる原価を算出することができます。特に、データ管理や再利用が容易で、過去のデータを参考にすることも可能です。これにより、精度の高い予測ができるようになります。
無料、もしくは無料から使える積算ソフト4選
Excel(エクセル)積算ソフト
Excel積算ソフトは、Excelを活用して図面から数量を自動的に抽出し、見積書の作成をすることができます。拾い出しにかかる作業は自動計算で処理されるため、電卓を使う必要がありません。そのため、手作業に比べると見積作成にかかる時間を短縮することができます。
また、工種別や部屋別、シート別など、24種類以上の見積書を作成することが可能です。
- 拾い出し作業はすべて自動計算
- 工事に合わせた24種類以上の見積書の作成ができる
- 過去の見積書と比較することができ、変更点が一目でわかる
環境 | ダウンロード型 |
---|---|
価格 | 5,000円 |
無料試用期間 | 30日 |
参考:工種別・部屋別・シート別集計に対応し完全に見積書と連動|Excel積算ソフト
EXCEL建築積算用紙
EXCEL建築積算用紙は、無料で利用でき、建築計算を補助するソフトです。
Excelの基本操作ができる方なら、どなたでも簡単に使いこなすことが可能です。複数行の合計を半自動的に算出できるため、手作業よりも迅速で正確な作業をすることが可能です。
- 複数行の合計を半自動で算出
- 計算式を残しておくことで、確認が簡単でミスの防止に役立つ
- 操作がシンプルで使いやすい
環境 | ダウンロード型 |
---|---|
価格 | 無料/フリー |
無料試用期間 | – |
参考:建築積算の計算支援EXCELシート|EXCEL建築積算用紙
積算助っ人
積算助っ人は、建築の積算業務を支援するフリーソフトです。材料データから簡単に入力でき、グループ別や材料別、クロス集計表など、さまざまな形式でデータを出力することが可能です。
- 手拾い、ワープロ感覚の建築の積算業務ができる
- グループ別、材料別、クロス集計表など多様な形式でデータを出力可能
- 見積助っ人の材料データを活用できる
環境 | ダウンロード型 |
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価格 | 無料/フリー |
無料試用期間 | – |
KENSEKI
KENSEKIは、建築内装工事の積算が可能なフリーソフトです。床、腰壁、天井、巾木、回縁などの数量を算出できるため、木造住宅向けの積算ソフトとして最適です。また、室数60室、仕上げ材・60種類の登録ができ、大規模な工事にも対応できます。
データの入力や修正、削除も簡単に操作できる使いやすいソフトです。
- 室数60室、仕上げ材60種(床や壁、天井など)登録可能
- 積算データの再利用や、設計変更に伴う再計算も可能
- 腰壁と小壁の計算が同時に行える
環境 | ダウンロード型 |
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価格 | 無料/フリー |
無料試用期間 | – |
有料のおすすめ積算ソフト5選
ヒロイくんⅢ
「ヒロイくんⅢ」は、PDFやCAD図面を読み込み、図面をクリックするだけで拾い出しができるソフトです。外壁面積や勾配にも対応し、窓や扉などの開口部減算やサッシの周長なども同時に拾い出せます。拾い出した結果は自動でリスト化し、Excel出力も可能です。
- 床、壁、面積、体積など同時に拾い出し
- 立面図にも対応
- 拾い出した結果は自動でリスト化し集計
価格:3,800円
Tetra21
Tetra21は、小規模物件から大型案件まで建設工事の見積もりを作成できる積算ソフトです。物件も100,000件以上登録でき、部材マスターに関しては640,000件以上の部材を登録可能です。また同時編集もでき、一つの見積もりを社内の複数人で共有して編集が可能です。
- スピーディーに見積書を作成できる
- 自由にカスタマイズできる見積システム
- 物件も100,000件以上登録でき大型案件の見積書も作成できる
価格:要問い合わせ
参考:建設業向 建築・設備 見積り積算システムTetra21
せきさん係長
「せきさん係長」は、複雑な図面入力を必要とせず、間取りは単線の入力ですみます。また、従来では対応が難しかった増改築などのリフォームの積算業務にも対応しています。
- リフォームの積算業務にも対応
- 手拾いと変わらない精度で正確に積算する
- 簡単な操作で早く積算可能
環境 | インストール型 |
---|---|
価格 | 要問合せ |
無料試用期間 | 要問合せ |
参考:せきさん係長
楽王3(アークシステム)
「楽王3」は、自社の積算基準に基づいた内訳明細や総括表を使って、見積書を作成できるほか、項目の追加も自由に行えます。さらに、見積コピー機能を活用することで、作業時間を大幅に短縮できます。
- 柔軟なカスタマイズ業務フローをそのまま乗せられる
- 見積コピー機能により、新旧2つの見積書を比較しながらの作業か可能
- 電話やリモートなど充実のサポート体制
環境 | インストール型 |
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価格 | 要問合せ |
無料試用期間 | 要問合せ |
参考:楽王3(アークシステム)
ざっくり建築費見積りくん
「ざっくり建築費見積りくん」は、木造住宅の概算見積りを、一般的な「坪単価 × 坪数」の計算よりも精度高く行うソフトです。通常の方法では誤差や費用項目の不明確さが課題ですが、このソフトは詳細な見積データを活用することで、より正確な概算が可能となっています。
- スピーディーな概算見積り
- 精度の高い概算見積りをおこなえる
環境 | ダウンロード型 |
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価格 | 1,200円(体験版は無料) |
無料試用期間 | 試供品あり |
積算ソフトを選ぶポイント
積算ソフトを選ぶ際は、さまざまなポイントに注意を払うことが重要です。自分のニーズや作業スタイルに適したソフトを見つけるために、以下のポイントを考慮してください。
1. 利用目的の明確化
まず、どのような目的で積算ソフトを使用するのかを明確にしましょう。例えば、施工業者や設計事務所によって必要とする機能は異なるため、具体的なニーズを洗い出すことが大切です。
2. 操作の簡便さ
初心者でも使いやすいインターフェースが整っているかどうかも重要なポイントです。視覚的に分かりやすく、直感的に操作できるソフトを選ぶことで、効率良く作業を進めることができます。
3. 対応するファイル形式
多様なファイル形式に対応しているか確認しましょう。特に、一般的に使用されるCADデータやExcelファイルからのデータインポートが可能なソフトは、業務の効率を大幅に向上させます。
4. サポート体制の充実度
操作に不明点があった際に、しっかりとしたサポートが受けられるかどうかも選び方のポイントです。公式サイトやフォーラムでの FAQ の有無、直接問い合わせできる窓口などがあると安心です。
5. コストパフォーマンス
無料で使えるソフトも多いですが、有料のソフトはその分充実した機能を提供しています。自身の予算とニーズに合わせて、コストパフォーマンスをしっかりと考慮しましょう。
工事の規模に応じた積算ソフトを利用しよう
「図面拾い出しソフト 無料」は、建築業界においてコスト管理と効率化を実現する重要なツールです。手作業での拾い出し作業は時間がかかり、ヒューマンエラーも避けられませんが、積算ソフトを利用することで、正確かつ迅速にデータを抽出できます。特に無料のソフトウェアは初期投資が不要で、導入が容易なため、小規模なプロジェクトや個人事業主にも最適です。信頼できる無料ソフトの活用を通じて、業務を効率化し、競争力を高めていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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