持続化給付金の対象者拡大を分かりやすく解説

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新型コロナウイルス感染症の拡大で売上が減少した事業者を支援する持続化給付金 は、インターネットから簡単に申請することができます。その持続化給付金の対象者が、2020年6月末から拡大されたことをご存じでしょうか?
本記事では持続化給付金の対象者拡大について説明します。当初は対象になっておらず申請をあきらめた方も、再度確認してみてください。

個人事業主でも最大100万円もらえる!持続化給付金とは?

新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を支援する制度のひとつが、持続化給付金です。個人事業者の場合だと最大で100万円が給付されます。

コロナで経営が悪化した個人事業主・中小法人が対象

持続化給付金は、コロナ禍で売上が減少した事業者に対し、国から給付される給付金です。事業の継続や立て直しなど、事業全般に幅広く使うことができます。

持続化給付金の対象は、個人事業主及び資本金10億円未満(または従業員数2,000万人以下)の中小法人となっています。

給付金がもらえる要件

持続化給付金の対象は、2020年1月以降、前年同月と比べて事業収入が50%以上減少した月があることが要件となっています。

例えば、2019年3月の事業収入が50万円で、2020年3月の事業収入が20万円まで減ってしまった場合には、要件をみたすことになります。

給付額の計算方法と上限

給付額を計算する際には、前年同月と比べて事業収入が50%以上減少した月の中から、任意で対象月を選べます。給付額の計算式は次のようになります。

給付額=2019年度の年間事業収入-対象月の事業収入×12

なお、給付額の上限は、個人事業主が100万円、中小法人は200万円となっています。

給付金の申請に必要な書類

持続化給付金を申請する際には、2019年度の確定申告書の控えや2020年度の対象月の売上台帳など、売上情報がわかるものを提出します。その他に、振込口座の通帳等の写し、個人事業主の場合には本人確認書類(免許証、マイナンバーカード等)も必要です。

給付金の申請方法

持続化給付金の申請は、電子申請により行います。まずサイトにアクセスし、メールアドレスを登録してマイページを作成します。申請情報の入力や証拠書類のアップロードは、マイページにログインして行います。

持続化給付金の申請期限は、2021年1月15日までです。自分で電子申請するのが困難な場合には、全国に設置されたサポート会場で、電子申請をサポートしてもらえます。

2020年6月29日より給付金の対象者が拡大

2020年5月22日、経済産業省は、当初持続化給付金の対象外だった創業まもない事業者も対象に含める旨を発表しました。同時に、主な収入を雑所得や給与所得として確定申告しているフリーランス等も、対象に含められることになりました。

持続化給付金の対象者を拡大した新制度は、2020年6月29日にスタートしています。以下、新制度で対象に含められた事業者の要件等について説明します。

【新たな対象者1】主たる収入が雑所得・給与所得の個人事業主

新制度では主たる収入の要件が緩和され、事業所得以外で確定申告している人も申請が可能になっています。

  • 主たる収入が事業所得でなくてもOK
  • 雇用契約ではなく業務委託契約で仕事をしているフリーランスの場合、収入は事業所得として申告するのが一般的です。しかし、実際には、雑所得や給与所得として申告しているケースもよくあります。

    従来の制度では、主たる収入が事業所得の個人事業主のみが対象でした。新制度では、主たる収入を雑所得または給与所得として確定申告した人も対象となります。

    なお、持続化給付金を申請するには、今後も事業継続する意思があることが前提になります。これは従来の制度でも同様です。

  • 前年度月平均と比べて50%以上の収入減少が要件
  • 主たる収入を雑所得・給与所得として申告しているフリーランスの場合、前年度月平均と比べて50%以上減少している月があれば、持続化給付金の対象となります。

    事業所得を青色申告している人の場合、通常は青色申告決算書に月間事業収入を記載しているため、前年同月と簡単に比較できます。雑所得・給与所得で申告している人は前年同月の収入を証明する資料がないので、前年度の年間収入を12で割って月平均収入とし、月平均収入と比較します。

    給付額の計算方法や給付額の上限が100万円である点は、従来の制度と同じです。

  • 業務委託契約書等の提出が必要
  • 主たる収入が雑所得・給与所得のフリーランスが持続化給付金を申請する場合、業務委託契約などにもとづき収入が発生していることを証明するために、以下の書類のうち2つを追加で提出しなければなりません。

    (1)業務委託契約書の写し等
    当事者が署名または記名押印した業務委託契約書があれば、写しを提出します。契約書がない場合には、所定の様式を用いて「持続化給付金業務委託契約等契約申立書」を作成し、当事者が署名または記名押印して提出します。

    (2)支払調書または源泉徴収
    報酬の支払者が発行した支払調書または源泉徴収票を提出します。支払者の署名または記名押印のある支払明細書(様式問わず)でもかまいません。なお、支払調書または源泉徴収票を提出する場合は、業務委託契約書の写し等の提出が必須となります。

    (3)支払があったことを示す通帳の写し
    申請者本人名義の通帳のうち、報酬の入金がわかる部分をコピーして提出します。

  • 被雇用者や被扶養者は対象外
  • 業務委託契約にもとづき収入を得ている人でも、2019年以前から会社に雇用されている人(パート・アルバイト等も含む)は、持続化給付金を申請できません。ただし、2019年中に独立した場合には、対象となることがあります。

    2019年以前から被扶養者だった人(配偶者や親などの扶養に入っている人)も、持続化給付金の申請はできません。

【新たな対象者2】創業したばかりの中小法人・個人事業主

新制度では、2020年に創業した事業者も、持続化給付金の申請が可能になっています。

  • 2020年1月~3月創業なら新規創業・新規開業特例の対象に
  • 持続化給付金の対象は、前年同月比で50%以上事業収入が減少した月があることが要件となります。本年度創業した事業者は前年度の事業収入がないため、従来の制度では対象外でした。

    新制度では特例が設けられ、2020年1月から3月の間に創業した事業者も持続化給付金の申請が可能です。これは、中小法人については「2020年新規創業特例」、個人事業主については「2020年新規開業特例」と呼ばれます。

  • 前年度ではなく本年度の収入で比較
  • 2020年1月~3月創業の事業者の場合、創業月から3月までの月平均収入と比べて、対象月の収入が50%以上減少していれば持続化給付金を申請できます。

    <例>

    1月(創業)2月3月4月5月6月
    50万円40万円60万円40万円30万円20万円
    1~3月平均収入50万円50%以上減少

    上記の例では、1月~3月の月平均収入は50万円です。これを基準にすると、6月には収入が50%減少しているため、6月を対象月として申請できます。

  • 新規創業特例・新規開業特例の必要書類
  • 中小法人が2020年新規創業特例を利用する場合には、会社設立日の証明のため、履歴事項全部証明書を提出しなければなりません。個人事業主が2020年新規開業特例を利用する場合には、税務署の受付印のある個人事業の開業・廃業等届出書を提出します。

  • 税理士の確認を受ける必要がある
  • 2020年に創業した事業者は、確定申告書で収入を証明することができません。そのため、持続化給付金に係る収入等申立書を作成し、この申立書に税理士の確認を受ける必要があります。

    もし書類を偽造するなどして不正受給と判断された場合には、延滞金を含め2割加算した金額を返還しなければなりません。税理士の確認手続きは必ず受けるようにしましょう。
    なお、日本税理士会連合会では、税理士への確認依頼の受付窓口を設けています。無料で利用できるので、税理士に直接依頼するのが困難な人は、サイトを参照してみてください。

まとめ

コロナ禍で事業収入が減っているなら、持続化給付金を活用して立て直しを図りましょう。対象者が拡大され、従来は支援が受けられなかったフリーランスが幅広く対象に含められています。なお、申請の詳しい要件等は、持続化給付金事務局のサイトで確認してください。

【参考】
持続化給付金ホームページ
中小企業庁 持続化給付金申請要領
経済産業省・中小企業庁 持続化給付金対象拡大に関するお知らせ

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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