ダブルワークとは?

ダブルワークとは、アルバイトやネットビジネスなどで本業とは別に収入を得ている状態のことといわれています。

経営者がダブルワークについて考えるべき事項は、「ダブルワークの禁止に法的根拠があるか」「ダブルワークをしている社員の源泉徴収はどうなるか」の二つです。これらの事項に関して、法律的・経理的な観点から解説していきます。

ダブルワーク禁止の法的根拠

従業員のダブルワークを就業規則などで禁止している企業は多く、その理由としては以下のようなことが挙げられます。

・自社の機密情報の漏えい防止
・従業員の仕事の能率維持

これらは、企業側が自社の利益を最大限に高めていくためには欠かせない事柄です。経営者の視点から考えると、ダブルワークを容認してしまうことで、情報漏えいや従業員の能率低下などのリスクを背負う可能性があります。

しかし、企業側が従業員のダブルワークを規制する法的根拠はありません。法律がないため、従業員の副業禁止に関する事項は企業が独自に定める「就業規則」によって規定されます。

副業禁止と解雇権

企業側が副業禁止を就業規則で定めたとしても、法的根拠がない以上その規定は企業が独自に定めたものです。副業禁止に違反したことを理由に企業側が従業員に不利益を与えた場合、従業員側からそれを不服として訴訟を起こされるような可能性もあります。

実際に従業員が訴訟を起こした判例として、「小川建設事件」が挙げられます。この事件は、従業員が本業として勤務する会社の退勤後に飲食店で勤務するダブルワークを11ヶ月間続けていたことに対して、企業が解雇したことが発端です。

従業員は企業に対して、解雇処分の無効を理由とした「地位保全」の仮処分を提起し、企業の副業禁止規定が適正かを争いました。

判例の中では副業禁止規定について、企業が副業を全面的に禁止することはできないが、労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮したうえでの「許可制」は合理的であるとされました。

そして、小川建設事件においては、従業員が終業後に深夜12時まで飲食店で働いており、翌日の企業における業務に支障が出てしまうことから、解雇処分は企業秩序維持のためにやむをえないものと判断され結果的に判決では従業員側が敗訴となりました。

ダブルワークと源泉徴収

企業がダブルワークを行っている従業員に対して源泉徴収を行う場合、従業員が副業の収入を事業所得や雑所得などの形で得ているか、副業で「給与所得」として収入を得ているかによって企業の対応が変わります。

従業員が副業の収入を事業所得や雑所得などの形で得ている場合、企業側は源泉徴収を副業をしていない状態と同じように行って問題ありません。

従業員が副業先で給与所得を得ている場合

従業員が2ヶ所から給与所得を得ている場合、一般的には給与の支払い額が多い方を「主たる給与支払者」、少ない方を「従たる給与支払者」として区別します。

自社が「主たる給与支払者」か「従たる給与支払者」かについては、年末調整の書類である給与所得者の扶養控除等申告書が提出されているか否かで判断します。自社が主たる給与支払者であれば、源泉徴収税額票の「甲欄」を利用して年末調整を行います。

自社が従たる給与支払者であれば、源泉徴収税額票の「乙欄」を利用して源泉徴収を行います。基本的に、従たる給与支払者は源泉徴収を行うのみで、年末調整は行えません。そのため、従たる給与分がある場合には、従業員自らが確定申告を行って税額を確定させる必要があります。

従業員自身が確定申告を行う場合の条件

従業員が副業で事業所得や雑所得などの収入を一定以上得ている場合、その金額によって自分で確定申告をする必要が出てくる可能性があります。所得の基準は、以下の表のようになります。

条件確定申告の有無
給与所得者で副業による所得が 20 万円未満申告不要
給与所得者で副業による所得が 20 万円以上申告必要

従業員は副業による所得が20万円を超えていて確定申告が必要な場合、確定申告を行います。

まとめ

ダブルワークを禁止することに関して法的根拠はなく、また判例では全面的に禁止することは認められないとされています。企業側はダブルワークに関して、条件付きの容認などを盛り込んだ合理的な就業規則作成を求められます。

また、従業員側でも得た収入については、確定申告をする必要がある可能性があることに留意しましょう。

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BIZ KARTE編集部

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