• 作成日 : 2026年9月10日

シャドーAIとは?企業に必要な対策やリスク、安全なAI利用ルールを解説

PointシャドーAI対策、何から始める?

シャドーAI対策は、利用実態の把握・承認環境の整備・ガイドライン策定の組み合わせが基本です。

  • 禁止だけでは個人端末からの利用を防げない
  • 入力禁止情報を具体的に定義することが重要
  • 法人向けAI環境と教育をセットで整備する

Q. シャドーAIの代表的なリスクは何ですか?

A. 会社が利用状況を把握できず、機密情報・個人情報が外部サービスへ送信されるリスクです。

生成AIの業務利用が広がる一方、会社が把握・承認していないAIツールを従業員が利用する「シャドーAI」が新たな情報セキュリティ上の課題となっています。個人アカウントで機密情報や個人情報を入力すると、情報漏洩や法令違反、誤情報の利用などにつながる可能性があります。

本記事では、シャドーAIの意味やリスク、企業が取り組むべき対策や社内ガイドラインの作り方を解説します。

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※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。

シャドーAIとは?

シャドーAIとは、企業のIT部門や管理者が把握・承認していない状態で、従業員が生成AIなどを業務利用することです。個人契約の生成AIを仕事に使うケースなどが該当します。AI利用自体ではなく、企業が利用状況や入力データを管理できないことが問題となります。

シャドーAIは会社が管理していないAIの業務利用

従業員が個人のChatGPTやGeminiなどを使い、議事録の要約やメールの下書き、データ分析を行っているものの、会社がその利用を承認・把握していない場合はシャドーAIに該当します。

Microsoft・LinkedInの2024年調査では、AI利用者の78%が自分で用意したAIツールを職場に持ち込んでおり、中小企業では80%に達しました。シャドーAIは一部のIT企業だけの問題ではなく、生成AIの普及とともに幅広い企業で起こり得る課題といえます。

従業員側には、「文章作成を早く終わらせたい」「会社が使えるAIを用意していない」といった事情があります。単純に違反者を探すだけでは根本的な解決になりません。

参考:日本でも進む “Bring Your Own AI”

入力データの取り扱いを確認する必要がある

生成AIに入力した情報がどのように取り扱われるかは、サービスや契約プラン、設定によって異なります。

「生成AIに入力すると必ず学習される」と考えるのも、「有料サービスなら何を入力しても安全」と考えるのも適切ではありません。会社側でサービスの利用規約、データ保存、学習利用、国外移転などの条件を確認したうえで利用範囲を決める必要があります。

シャドーAIはシャドーITよりデータ利用の確認項目が増える

シャドーITとは、会社が承認していないクラウドストレージやチャットアプリなどを従業員が業務利用することです。シャドーAIも広い意味ではシャドーITの一種ですが、生成AI特有の確認事項があります。

比較項目 シャドーIT シャドーAI
主な例 個人用クラウドストレージ、チャットアプリ 個人契約の生成AI、AIエージェント
主な用途 保存、共有、連絡 要約、生成、分析、検索など
主なリスク 情報漏洩、アクセス管理不備 情報漏洩、誤情報、権利侵害など
データ面の確認 保存場所、共有範囲など 保存場所、学習利用、保持期間など
主な対策 利用サービスの統制 利用サービス・入力情報・出力利用の統制

生成AIでは「どのサービスを使うか」だけではなく、「何を入力するか」「生成された内容をどう利用するか」まで管理することが重要です。

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この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

AI活用の教科書

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人事労務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ14選

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人事労務業務に特化!人事労務・採用担当者がChat GPTをどのように活用できるのか、主なアイデアを14選まとめたガイドです。

プロンプトと出力内容も掲載しており、PDFからコピペで簡単に試すことも可能です。

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経理担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選

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経理業務に特化!経理担当者がChat GPTをどのように活用できるか、主なアイデアを12選まとめたガイドです。

お手元における保存版としてはもちろん、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。

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法務担当者向け!Chat GPTの活用アイデア・プロンプトまとめ12選

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法務担当者がchat GPTで使えるプロンプトのアイデアをまとめた資料を無料で提供しています。

chat GPT以外の生成AIでも活用できるので、普段利用する生成AIに入力してご活用ください。

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シャドーAIのリスクは?対策前に知るべき問題点

シャドーAIには、機密情報・個人情報の漏洩、著作権などの権利侵害、AIが生成した誤情報の利用といったリスクがあります。問題なのは、会社が利用状況を把握していないため、事故が起きるまでリスクを認識しにくい点です。

機密情報が外部サービスへ送信される

シャドーAIでは、従業員が契約書、ソースコード、売上データ、取引条件などを個人契約の生成AIに入力する可能性があります。

問題は、AIそのものだけではありません。利用しているサービスの保存期間や学習利用の条件、アクセス権限、データ処理地域などを会社が確認できない状態で、営業秘密や社外秘情報が外部サービスへ送信されることにあります。

生成AIを導入する企業では、情報セキュリティポリシーの中でAIに入力できる情報の範囲まで明確にする必要があります。

個人情報の入力では個人情報保護法への対応が必要

履歴書、顧客情報、従業員情報などの個人データを生成AIに入力する場合は、個人情報保護法上の取り扱いを確認する必要があります。

個人情報保護委員会は、事業者が生成AIサービスに個人データを含むプロンプトを入力する場合、利用目的の範囲内かを確認するとともに、サービス提供事業者が入力情報を機械学習に利用しないことなどを十分確認するよう注意喚起しています。提供条件によっては、個人情報保護法上の第三者提供等に関する規定への対応が必要となるためです。

「履歴書をAIに入力すれば直ちに違法」と一律に判断するのではなく、利用目的、契約関係、データの取り扱いなどを確認したうえで利用可否を判断する必要があります。

参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について|個人情報保護委員会

AI生成物には著作権上の問題が生じる可能性がある

生成AIによる文章や画像を社外向けコンテンツとして利用する場合、既存の著作物との類似性にも注意が必要です。

文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」を公表しており、AI生成物の利用段階では、既存著作物との類似性や依拠性など、通常の著作権侵害と同様の考え方が問題になる場合があります。

AIが生成したから自由に利用できるとは限りません。広告、Web記事、商品画像など外部公開する成果物では、人によるチェックを運用に組み込むことが重要です。

参考:AIと著作権について|文化庁

ハルシネーションによる誤情報の利用リスクがある

ハルシネーションとは、生成AIが事実と異なる情報をもっともらしく出力する現象です。

実在しない法令や統計、架空の事例、誤った計算結果などが生成される場合があります。担当者が内容を検証せず提案書や顧客メールに転用すると、誤情報がそのまま社外へ発信される可能性があります。

生成AIの出力だけで事実確認を完結させるのは適切ではありません。重要な数値、法令、引用、固有名詞については一次情報と照合するルールを設ける必要があります。

シャドーAIの主な対策方法は?

シャドーAI対策では、利用実態の把握、ルール策定、安全な利用環境の提供、教育、モニタリングを組み合わせます。企業規模によって必要な仕組みは異なり、中小企業ではアンケートや利用サービスの限定など、低コストな施策から始められます。

利用実態を調査してシャドーAIを可視化する

最初に確認したいのは、現在どのような生成AIが業務で利用されているかです。

社内アンケートでは次の項目を確認します。

  • 業務で利用しているAIサービス
  • 利用しているアカウントの種類
  • AIを利用している業務
  • 入力している情報の種類
  • AI生成物を社外へ利用しているか
  • 会社に利用してほしいAIサービス

調査目的を「違反者を特定するため」ではなく、「安全なAI利用環境を整備するため」と説明することで、実態を把握しやすくなります。

マネーフォワードが無料で提供する『マネーフォワード クラウドAIトークン管理』は、ツール・モデル・ユーザー別にコストと利用量を確認できるので、まずAI利用の実態を把握したい方におすすめです。

AI利用ガイドラインで利用可能範囲を明確にする

「AIを使ってよい業務」「入力してはいけない情報」「出力内容の確認方法」を決めます。

公開情報を使った文章の構成案作成は許可する一方、顧客の個人情報や未公開財務情報、パスワードなどの入力は禁止するといったルールです。

経済産業省・総務省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」でも、AI利用者がリスクを把握し、適切な利用環境を整える考え方が示されています。

参考:AI事業者ガイドライン|経済産業省

会社が承認した安全なAI環境を提供する

従業員が個人アカウントを使う背景には、「仕事で利用できる公式AIがない」という事情もあります。

そのため、会社が利用を承認したAIサービスとアカウントを用意する方法があります。

例えばChatGPT Businessでは、組織のデータはデフォルトでモデルの学習・改善に利用されません。APIについても入力・出力はデフォルトでモデルの学習に利用されないとされています。

ただし、「学習されない=機密情報を自由に入力できる」という意味ではありません。保存条件、アクセス管理、利用目的なども含めて自社の情報セキュリティポリシーと照合する必要があります。

従業員教育で具体的な判断基準を共有する

「機密情報を入力しないでください」と伝えるだけでは、従業員によって判断が分かれます。

研修では、実際の業務を例にして判断基準を共有すると効果的です。

例えば、「公開済みの商品説明→利用可能」「顧客名付きの商談記録→入力禁止」「社内資料→承認済み環境のみ」といった形で具体化します。

必要に応じてCASBやDLPなどで利用状況を管理する

従業員数や扱うデータ量が多い企業では、技術的な対策も検討します。

CASB(Cloud Access Security Broker)はクラウドサービスの利用状況を可視化・制御する仕組みで、DLP(Data Loss Prevention)は機密情報の外部送信を検知・制御する技術です。これらを利用して生成AIへのアクセスやデータ送信を管理する方法があります。

ただし、中小企業が最初から高額なCASBやDLPを導入する必要があるとは限りません。承認サービスの限定、アカウント管理、アクセス制御、利用ログ確認など、現在の情報セキュリティ対策をAIにも広げることから検討できます。

シャドーAI対策で全面禁止だけでは不十分な理由は?

シャドーAI対策として利用禁止を設定すること自体が誤りとは限りません。ただし全面禁止だけでは個人端末や個人アカウントからの利用を完全には把握できないため、利用環境とルールの整備を組み合わせる必要があります。

全面禁止だけでは見えないAI利用が残る可能性がある

会社のPCから生成AIサイトへのアクセスを遮断しても、個人のスマートフォンや私物PCから利用できる場合があります。

また、生成AI機能は文章作成ツール、検索エンジン、ブラウザ、オンライン会議サービスなどにも組み込まれています。「ChatGPTへのアクセスだけを禁止する」といった対策では、AI利用全体を統制することは困難です。

禁止する場合でも、禁止対象となる情報・業務を明確にし、利用可能なAIとの境界を従業員が判断できる状態にすることが求められます。

適切なAI利用まで止めると生産性向上の機会を失う

生成AIには業務効率を高められる分野があります。

顧客サポート業務などでは、生成AIによる支援を利用して従業員の生産性が向上する可能性があります。一方で、AIを使えばあらゆる業務で生産性が上がるわけではなく、AIを利用した場合に作業時間が長くなるケースもあります。

「AIは禁止すべき」「AIなら必ず効率化できる」のどちらも適切ではありません。業務ごとに効果とリスクを評価し、安全に利用できる用途を定めることが現実的です。

シャドーAI対策のガイドライン作成のポイントは?

シャドーAI対策を個人の判断に任せないためには、生成AI利用ガイドラインを文書化します。利用可能なサービス、禁止情報、人による確認、事故時の報告方法まで決めておくと、従業員が迷ったときの判断基準になります。

入力禁止データを具体的に定義する

ガイドラインでは、「機密情報は禁止」とだけ書くのではなく、対象となる情報を具体的に示します。

たとえば以下の情報が候補となります。

  • マイナンバーなどの特定個人情報
  • 顧客・取引先の非公開情報
  • 未公開の財務・経営情報
  • パスワードやAPIキーなどの認証情報
  • 未発表の商品・サービス情報
  • 営業秘密
  • 契約上、第三者への開示を制限されている情報

会社によって重要情報は異なるため、既存の情報セキュリティポリシーや秘密情報管理規程と整合させます。

誤入力・誤送信時の報告フローを定める

禁止情報を誤ってAIへ入力した場合に備え、インシデント対応も決めておきます。

基本的な流れは、「速やかな報告→入力情報とAIサービスの特定→サービス側で可能な削除等の対応→影響範囲の評価→必要に応じた関係者への対応→再発防止」です。

重要なのは、従業員が報告をためらわない運用にすることです。情報セキュリティ事故は初動が遅れるほど対応が難しくなるため、報告先と連絡方法を明確にします。

ガイドラインには利用から事故対応までをまとめる

社内ガイドラインは、次のように整理できます。

セクション 主な内容
目的・適用範囲 対象者、対象業務、対象AI
承認済みAI 利用可能なサービス・アカウント
利用可能な用途 要約、文章案、公開情報調査など
入力禁止制限情報 個人情報、営業秘密、認証情報など
出力利用ルール ファクトチェック、著作権確認、人による承認
アカウント管理 個人アカウント利用の可否
インシデント対応 誤入力時の報告先・初動
教育 研修・周知方法
モニタリング 利用状況やログの確認
改定管理 責任者、改定日、改定履歴

生成AIサービスやAIエージェントは機能変更が速いため、固定した規程を作って終わりにするのではなく、新しいサービスや利用方法が登場したときにも見直せる運用にしておく必要があります。

シャドーAI対策のために利用を把握し安全な環境を整えよう

シャドーAI対策では、生成AIを全面禁止するだけでなく、「誰が・どのAIを・何の業務で・どの情報を使っているか」を把握できる状態を作ることが重要です。

まず利用実態を調査し、承認するAIサービスと入力禁止情報を明確にします。そのうえで、法人向けAI環境、社内ガイドライン、従業員教育、利用状況のモニタリングを組み合わせることで、情報漏洩や個人情報の不適切な取扱い、誤情報などのリスクを抑えながら生成AIを活用できます。

生成AIの仕様や利用形態は変化するため、シャドーAI対策も継続的に見直す仕組みとして運用していきましょう。

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