- 作成日 : 2025年5月30日
ハンバーガー屋は儲かる?利益率や売上、かかる経費などまとめ
日本のハンバーガーショップ(個人経営店・小規模チェーン・フランチャイズ)における収益性について、利益率や売上規模、原価構成、経費内訳、開業費用、開業までの流れを詳しく解説します。飲食店オーナーや開業予定者、業界トレンドに関心のある方に向けて、最新データや業界レポートをもとに有益な情報をまとめました。
目次
ハンバーガー屋の利益率の相場
ハンバーガー店の平均的な利益率はおおよそ10~15%程度といわれます。飲食店全般では営業利益率10%を確保できれば優良とされるので、ハンバーガー業態も工夫次第で同程度またはそれ以上の利益率を実現できるかもしれません。
利益率向上のポイントとしては、廃棄ロスの削減や原価管理が重要です。材料の無駄を極力減らし、注文予測に基づいた仕込みを行うことで利益率への悪影響を防げます。また、人件費圧縮のため最適な人員配置で営業する、居抜き物件を活用して固定費負担を軽減する、客単価アップを図るメニュー開発やセット販売を行うといった工夫で利益率を底上げできます。特にフランチャイズ店の場合、ロイヤリティ等の支払いがあるため、なお一層コスト管理と売上拡大のバランスが重要です。
ハンバーガー屋の売上相場
ハンバーガー店の売上は店舗規模や立地、ブランド力によって大きく異なりますが、1店舗あたり月商で数百万円規模が一つの目安です。個人経営の小規模店では月商100~200万円程度のケースもあります。
立地による違いも大きく、駅前や繁華街の店舗は集客力が高いため売上も上振れしやすいですが、その分家賃や競合も多くなります。郊外や住宅街立地の店舗は売上規模が抑えられるものの、地域密着で固定客を掴み安定した売上を維持するケースもあります。また、テイクアウト専門店やキッチンカーなどイートイン席を持たない業態では、低コスト運営と引き換えに売上規模もやや小さくなる傾向があります。
ハンバーガー1個にかかる原価
ハンバーガー1個あたりの原価は、主に(1)食材費 (2)包装資材費 (3)人件費に分類できます。
まず食材費ですが、ハンバーガーはバンズ・パティ・野菜・ソースなど比較的シンプルな材料構成のため、原価率(材料費の売価に占める割合)は30%~50%が一般的です。例えば平均単価870円のハンバーガーなら、材料費はおよそ261~435円という計算になります。
低価格戦略のチェーンでも、100~200円台のハンバーガーで原価率30%程度に抑えられるケースがあります。一方、肉厚のパティや高品質チーズなどプレミアム食材を使った場合は原価率50%近くになる場合もあります。
包装費は、ハンバーガー用の包装紙や箱、テイクアウト用袋などのコストです。包装資材費は1個あたり数円程度で、価格に占める割合は数%と比較的小さいですが、使い捨て資材であるため大量販売時には無視できない費用です。
最近では簡易包装やリサイクル材の利用でコスト削減と環境配慮を両立する動きもあります。例えば紙包装と紙袋で1食あたり5円程度かかるところを、簡易包装にすることでさらに包装コストの削減につなげるといった工夫も考えられます。
人件費はハンバーガー1個ごとに直接計算するのは難しいものの、売上に対する人件費率として把握できます。一般的な飲食店では人件費は売上の25~35%程度が目安であり、ハンバーガーショップも同程度です。個人店でオーナー自身が調理・接客を担えば人件費率はさらに低くできますし、逆にスタッフを手厚く配置すれば人件費率は上がります。
以上をまとめると、ハンバーガーの原価構成は「材料費約30%+包装数%+人件費25~30%+その他経費」で、残りが利益という形になります。商品力を維持しつつ原価率を抑えるには、仕入れ先の選定や食材のロス削減、適切なメニュー価格設定が重要です。
ハンバーガー屋の経費の内訳
ハンバーガー店の経費は、大きく固定費(毎月一定額かかる費用)と変動費(売上に応じて増減する費用)に分けられます。主な経費項目と目安は以下のとおりです。
家賃(物件賃料)
売上の約10~15%が目安。立地が良いほど家賃は高くなりますが、その分売上増も見込めます。小規模店舗や郊外では月10万円前後、都市部の好立地大型店では月数十万円に及ぶこともあります。
人件費
売上の25~35%程度。アルバイトの時給や社員給与など人件費は経営に大きく影響します。営業時間帯に応じたシフト最適化や過剰サービスの見直しでコントロールします。
水道光熱費
売上の5%前後。厨房機器や空調の電気代、給水・下水道代です。営業時間が長いファストフード業態では光熱費も多めですが、省エネ設備の導入やこまめな電源OFFで削減可能です。目安として小~中規模店で月数万円台、24時間営業に近い店舗では十万円超になる場合もあります。
食材費
前述のとおり売上の30~50%と幅がありますが、これは変動費の性格です。売上増に応じて仕入れ量も増えます。食材廃棄ロスを減らし、無駄な仕入れをしないことで粗利益を確保します。
包装・消耗品費
ナプキンや紙コップ、包装紙などの消耗品費用です。売上の数%程度ですが、まとめ仕入れや再利用可能品の採用で節約できます。
広告宣伝費
全体の数%程度。チラシや看板、ネット広告、クーポン配布など集客にかかる費用です。最近ではSNS活用など低コストで高効果な宣伝もあるため、必ずしも多額の広告費をかけずとも集客可能です。
ロイヤリティ(フランチャイズの場合)
売上に対し3~5%程度が本部への支払いとして発生するケースが多いです。本部広告や研修費が別途かかることもあります。
削減可能なコストと対策
まず食材ロスの削減は利益直結のため最優先です。仕入れ量の適正化や在庫管理の徹底で「ロスゼロ」を目指します。次に人件費は効率的なオペレーションで圧縮します。忙しい時間帯に必要な人数を配置し、閑散時は少人数で回すなどシフト調整を行います。また調理のマニュアル化やセルフオーダー機導入で省力化を図る店舗も増えています。
家賃については、立地選定の段階でコストに見合う売上が見込めるかシミュレーションが必要です。必ずしも一等地に出店せずとも、多少立地が悪くても商品力・マーケティングでカバーできれば十分戦えます。固定費を抑えるため、可能であれば居抜き物件を借りて初期内装費を減らし、減価償却負担を軽減することも有効です。
水道光熱費は省エネ機器の活用や無駄な長時間営業を避けることで削減、広告費はSNSや口コミを活用して低予算でも集客できる工夫をします。これらの積み重ねが経費率の改善につながり、結果として利益率向上に寄与します。
ハンバーガー屋の開業費用
開業初期費用は、店舗の規模や業態によって大きく幅があります。一般的に路面店のハンバーガー屋を新規開業する場合、1,000万~1,500万円程度の資金が必要とされています。この中には物件取得費(敷金・礼金など)、内装工事費、厨房設備・備品購入費、開業準備費、数ヶ月分の運転資金などが含まれます。
小さなテイクアウト専門店や既存店居抜きで設備が揃っている場合は1,000万円未満で開業できるケースもあります。一方、客席を備えた中規模以上の店舗をゼロから作る場合や、一等地に出店する場合は2,000~3,000万円超の初期投資を見込んでおいた方が安全です。
費用内訳の例(店舗型開業の場合)
物件取得費が数十万~数百万円、内外装工事費が数百万円、厨房機器・備品に数十万~100万円超、開業前研修や広告に数十万円、そして開業後数ヶ月の運転資金に数百万円といった配分になります。実際の費用は店舗の広さや状態によって変動し、例えば「スケルトン物件」(内装ゼロの空室)を借りる場合は内装費が高額になりますが、設備付きの「居抜き物件」なら大幅にコストカットできます。
フランチャイズと個人経営の開業費比較
フランチャイズ加盟で開業する場合、上記に加えて加盟金や保証金など本部への支払いが発生します。ハンバーガーチェーンの加盟金相場は数百万円程度(例えば200~300万円)で、保証金も数十万~数百万円と設定されるケースがあります。
さらに本部指定の内外装や厨房レイアウトに沿った設備投資が必要となり、結果として独立開業より高めの初期費用がかかる傾向です。その代わり、フランチャイズでは開業ノウハウ提供や研修サポート、資金調達支援を受けられるメリットもあります。
またキッチンカー(移動販売)なら車両代込みで500万~600万円が目安となり、より低コストで始められます。
初期投資を回収するには、開業後の売上・利益計画を慎重に立てる必要があります。投下資本が大きいほど毎月の返済・減価償却負担も重くなるため、無理のない予算で計画することが大切です。近年は自治体や金融機関による開業支援融資、日本政策金融公庫の創業融資、あるいは補助金・助成金の活用も盛んです。自己資金だけで不足する場合はこれら制度を活用し、計画的に資金を準備しましょう。
ハンバーガー屋を開業するまでの流れ
ハンバーガー店開業までの基本的なステップを説明します。開業準備は余裕をもって進め、抜け漏れのないよう計画しましょう。
市場調査とコンセプト策定
まず出店予定エリアの市場リサーチを行います。周辺に競合となるハンバーガー店は何店舗あるか、地域の客層や人気メニューの傾向などを調べます。競合が多いエリアでは差別化がより重要になるため、自店のコンセプト(例えば「ボリューム満点のグルメバーガー」「地元食材を使った地域密着バーガー」「ヘルシー志向バーガー」等)を明確に打ち出します。コンセプトに沿ってターゲット客層も設定し、商品の価格帯やサービス内容の方向性を固めます。
事業計画と資金調達
開業に必要な資金の見積りと収支計画を立てます。自己資金で不足する場合は銀行融資や公的融資制度を検討します。フランチャイズなら本部の支援策(融資紹介など)が利用できることもあります。事業計画書には初期投資額の内訳、想定売上・経費・利益、返済計画まで盛り込み、計画的な資金繰りをシミュレーションしておきます。
物件探し(テナント選定)
希望エリアで出店物件を探します。不動産業者を複数あたり、候補物件の家賃や広さ、設備状況を比較検討します。「人通りはあるが家賃も高い」場所か、「家賃は安いが立地はやや劣る」場所か、コンセプトと予算に合致する物件を選びましょう。物件を決め契約する際には、賃料以外に共益費や契約期間の条件も確認します。居抜き物件なら既存設備の状態や追加工事の要否もチェックしてください。
内装工事と設備準備
テナント引き渡し後、店舗の内装工事に着手します。カウンターや客席配置、厨房区画をレイアウトし、必要な厨房機器(グリドル、フライヤー、冷蔵庫など)を設置します。イートイン席を設ける場合とテイクアウト専門の場合でレイアウトや工事費用は大きく異なります。居抜きで設備が残っている場合は不足機器を追加する程度で済みますが、スケルトン物件では一から工事するため時間と費用を要します。工事と並行してメニュー開発や仕入先選定も進め、食材の発注ルートを確保します。
各種許認可の取得
飲食店営業には営業許可が必要です。保健所に営業許可申請を出し、店舗設備が衛生基準を満たしているか検査を受けます。営業許可を取得するためには食品衛生責任者の資格保持者を店舗ごとに置かねばなりません。通常はオーナーまたは店長が1日講習を受けて食品衛生責任者の資格を取得します。また深夜営業する場合は深夜酒類提供飲食店営業の届出、フランチャイズなら本部との契約手続きなども漏れなく行います。
スタッフ採用・研修
必要に応じてスタッフを募集し、開店前に研修します。接客マナーやハンバーガーの調理手順、レジ操作などマニュアルを用意して教育するとスムーズです。フランチャイズの場合、本部の研修プログラムが用意されていることもあります。オペレーションの練習を重ね、開店直後に慌てないよう準備します。
宣伝・集客準備
オープン日が決まったらプレオープン告知を行います。SNS(XやInstagram、Facebook等)で開店情報やメニュー写真を発信したり、地域にチラシやクーポンを配布して認知度を上げます。最近では開店前からSNSでファンを集める戦略も有効です。「◯月◯日に新規オープン!◯◯バーガー先着○名無料」といったキャンペーンで話題作りをすると良いでしょう。またグランドオープン前日に知人や関係者向けの試食会(プレオープン)を行い、オペレーションの最終確認をするケースもあります。
開業(グランドオープン)
準備が整ったらいよいよ開店です。開業直後は想定より集客が伸び悩むこともありますが、焦らずにSNS発信やチラシ配布を継続しつつ、来店客一人ひとりに丁寧な対応を心がけリピーター獲得に努めます。オープン後数ヶ月は軌道に乗るまで試行錯誤の時期です。売れ筋商品のデータを分析して仕入れや人員配置を微調整し、徐々に経営を安定させていきましょう。
出店準備から開業までは概ね上記の流れとなります。開業には多岐にわたるタスクがありますが、一つ一つ計画的に進めることで成功への道筋が見えてきます。
まとめ
ハンバーガー業界はトレンドの移り変わりも早いですが、自店の強みを軸にブレない経営を続ければ安定した収益を確保できます。他店との差別化ポイントを磨き上げ、効果的にアピールしていくことが成功への鍵となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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