• 作成日 : 2026年1月5日

建設業許可の専任技術者要件とは?必要な資格一覧、10年の実務経験、要件緩和まで分かりやすく解説

建設業許可をとるには、許可を受けたい業種に応じた「専任技術者」を営業所に配置することが法律で義務付けられています。この要件を満たすには、国家資格を保有するか、学歴に応じた一定期間の実務経験(原則10年)を積まなければなりません。

この記事では、建設業許可の取得を検討している経営者や個人事業主の皆様に向けて、許可の根幹となる「専任技術者」の要件について解説します。また、必要な資格一覧や実務経験の証明方法や近年の要件緩和の動向まで、分かりやすく解説します。

そもそも建設業法の「専任技術者」とは何か?

専任技術者とは、建設業の許可を受ける営業所に常勤し、請負契約の適正な締結や履行を技術的な側面から保証する技術責任者のことです。法律で、営業所に配置が義務付けられています

建設業法第7条第2号(一般建設業)および第15条第2号(特定建設業)で定められている、許可要件の5つの柱(経営・技術・誠実性・財産・欠格要件)の一つです。

専任技術者は、その営業所に常時勤務(専任)し、見積もりや契約、工事の技術的な判断を担います。実際に工事現場に配置される「主任技術者」や「監理技術者」とは役割が異なりますが、一定の条件下では兼務することも可能です。

なお、正式名称は一般建設業の場合は「営業所技術者」、特定建設業の場合は「特定営業所技術者」です。「営業所技術者等」という総称ですが、実務上では「専任技術者」と呼ばれます。

専任技術者の要件を満たす3つの方法(有資格区分)とは?

専任技術者として認められるには、「①国家資格」「②学歴+実務経験」「③実務経験のみ(10年)」という3つのルート(有資格区分)のいずれかを満たさなければなりません。

建設業法施行規則で、許可を受けたい業種(全29業種)ごとに、その技術力を証明するための具体的な資格や経験年数が定められています。

① 国家資格で要件を満たす場合(資格一覧)

許可を受けたい業種ごとに定められた国家資格(施工管理技士、建築士、電気工事士など)を保有していることで要件を満たせます。これが最も明確で、証明が容易な方法です。

業種(例)主な国家資格(一般建設業許可の例)
土木一式工事1級・2級土木施工管理技士、技術士(建設部門)
建築一式工事1級・2級建築施工管理技士(建築)、1級・2級建築士
電気工事1級・2級電気工事施工管理技士、第一種・第二種電気工事士
管工事1級・2級管工事施工管理技士
内装仕上工事1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)

② 学歴+実務経験で要件を満たす場合

許可を受けたい業種に関連する指定学科を卒業し、その後、一定期間(大学・高専卒で3年、高校卒で5年)の実務経験を積むことで要件を満たせます。

  • 大学・高等専門学校(指定学科)を卒業後、3年以上の実務経験
  • 高等学校・中等教育学校(指定学科)を卒業後、5年以上の実務経験

③ 実務経験のみ(10年)で要件を満たす場合

学歴や国家資格がない場合でも、許可を受けたい業種について10年以上の実務経験を積むことで要件を満たせます。

この場合、10年分の実務経験を客観的な書類で証明する必要があります。具体的には、過去の工事の契約書や注文書、請求書(および入金確認資料)などが必要です。

専任技術者の「配置」に関する要件(常勤性)とは?

専任技術者は、許可を受ける営業所に「常勤」で勤務していなければなりません。

専任技術者は、その営業所の業務(見積もり、契約締結など)に技術的な責任を持つため、営業所の営業時間中は常時勤務していることが求められるのです(テレワークを含む)。

そのため、他の会社の代表取締役や常勤役員を兼務していたり、勤務地である営業所から著しく離れた場所(片道2時間以上など)に居住していたりする場合、常勤性が認められない可能性があります。

常勤性の証明書類として、健康保険被保険者証の写し(事業所名が記載されたもの)や、住民税特別徴収税額の通知書などが一般的に用いられます。

特定建設業許可の場合、要件はどう違うか?

特定建設業許可の専任技術者は、一般建設業許可よりも格段に厳しい要件(原則1級国家資格など)が求められます。

特定建設業は、元請として大規模な工事を統括し、下請業者を指導監督する重い責任を負うためです(建設業法第15条第2号)。一般建設業で認められる2級資格や10年の実務経験だけでは、原則として特定建設業の専任技術者要件を満たせません。1級国家資格(1級施工管理技士、1級建築士など)または、指導監督的な実務経験(一般建設業の要件+2年以上の指導経験)が必要です。

なお、指定建設業の一部では、過去に実施された特別認定講習等に合格した「大臣特別認定者」も特定建設業の専任技術者として認められるケースがあります。

専任技術者の「要件緩和」とは何か?

近年、建設業界の技術者不足に対応するため、専任技術者や監理技術者の「配置」に関するルールについて、一定の合理化(緩和)が行われています。

建設業法改正や国土交通省の通達により、実務に即した見直しが進められています。

  • 営業所専任技術者と現場技術者の兼務:
    一定の条件(小規模な工事、営業所と現場が近接している、ICT活用など)を満たせば、営業所の専任技術者が、現場の主任技術者や監理技術者を兼務できる範囲が広がっています。
  • 監理技術者の複数現場兼任:
    従来は原則1現場専任だった監理技術者も、ICTの活用(遠隔臨場など)により、複数の現場を兼任できる要件が緩和されています。

ただし、これらは主に「配置」に関するルールの緩和です。許可取得時に必要な専任技術者の「資格」や「実務経験年数」といった根本的な要件自体が緩和されたわけではない点に注意が必要です。

専任技術者の要件と「金額」は関係あるか?

専任技術者の配置要件自体は、工事の請負金額(例:500万円)によって直接変わるものではありません。専任技術者は、あくまで「建設業許可」を維持するために、営業所に配置が義務付けられた役職です。

ただし、現場に配置する「主任技術者」や「監理技術者」は、工事の請負金額(例:4,500万円以上など)によって「専任」で配置する必要があるかどうかの基準が変わります。専任技術者がこの現場の主任技術者を兼務しようとする場合に、その工事の金額が間接的に関係してきます。

建設業許可の信頼性を支える技術力の証

本記事では、建設業許可の根幹をなす「専任技術者」の要件について、3つのルート(資格、学歴+実務経験、10年の実務経験)を中心に解説しました。

専任技術者の適正な配置は、許可業者の技術力を公的に証明するものであり、発注者からの信頼を得るための最低条件です。ご自身の経歴や保有資格がどの要件に該当するのか、また実務経験を証明する書類が揃っているかを正確に把握することが、許可取得への第一歩となります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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