- 更新日 : 2026年1月5日
建設業の許可票を現場に掲示する義務とは?緩和措置、記入例、専任の有無まで分かりやすく解説
建設業許可業者は、工事現場の見やすい場所に、法律で定められた「建設業の許可票」を掲示する義務があります。この掲示義務は、工事の透明性を高め、発注者や公衆に正規の許可業者であることを示すために不可欠です。
この記事では、工事現場への許可票の掲示義務について、国土交通省による最新の緩和措置、具体的な書き方(記入例)、そして罰則やリスクについて分かりやすく解説します。
目次
そもそも「建設業の許可票」の現場掲示義務とは何か?
「建設業の許可票」は、建設業法第40条に掲示義務として定められています。許可を受けた建設業者は、その工事現場ごとに、公衆の見やすい場所に許可番号や技術者名などを記載した標識(許可票)を掲げなければなりません。
この義務は、発注者や近隣住民、通行人といった公衆に対して、誰が(どの許可業者が)、どのような許可に基づいて、誰の責任のもとで工事を行っているのかを明示することを目的としています。営業所に掲示する標識(金看板)とは別に、工事現場ごとに設置する必要があります。
工事現場に掲示する許可票の書き方(記入例)
許可票には、許可番号といった基本情報に加え、その現場の技術的な責任者である「主任技術者」または「監理技術者」の氏名などを記載する必要があります。
国土交通省が定める様式(建設業法施行規則 様式第29号)に基づき、以下の項目を記載するのが一般的です。
主な記載事項と記入例
- 商号又は名称:許可を受けた会社名または屋号を記載します。(例:株式会社〇〇建設)
- 代表者の氏名:法人の代表取締役または個人事業主の氏名を記載します。
- 一般建設業又は特定建設業の別:自社が取得している許可区分(一般・特定)を記載します。
- 許可番号:許可通知書に記載されている番号を正確に記載します。(例:国土交通大臣許可(般-5)第123456号)
- この建設工事において設置する主任技術者(又は監理技術者)の氏名:この現場を担当する技術者のフルネームを記載します。
- 専任の有無:上記の技術者が、この現場に専任で配置されているか(専任)、他の現場と兼務しているか(非専任)を明記します。
- 資格名・資格者証交付番号:上記の技術者が保有する国家資格名(例:2級建築施工管理技士)と、その資格者証の番号を記載します。
掲示義務の「緩和措置」とは何か?(デジタル掲示)
国土交通省の通達により、従来の物理的な看板だけでなく、一定の条件を満たせば「デジタルサイネージ(電子モニター)」による掲示も認められるようになりました。
建設現場の生産性向上やDX推進の一環として、掲示方法が合理化されました。これにより、複数の標識(労災保険関係成立票なども含む)を一つのモニターにまとめて表示したり、内容の差し替えを容易にしたりすることが可能になりました。
緩和措置が適用される条件
緩和措置が適用されるための条件は、以下のとおりです。
- 常時表示:公衆や作業員が確認したいときに、常時表示できる状態であること(操作が必要ないこと)。
- 十分な明るさ:日中や夜間でも内容が鮮明に読み取れる輝度であること。
- 法定サイズの遵守:法律で定められたサイズ(縦25cm以上×横35cm以上)と同等以上の大きさで表示すること。
緩和措置は「いつから」始まったか?
2022(令和4)年1月27日付国土交通省の通知により、一定の要件を満たす場合は、許可票などの標識をデジタルサイネージ等で掲示する運用も可能となりました。すでに、多くの建設現場においてデジタルサイネージによる掲示が行われています。
掲示義務は「下請業者」にもあるか?
法律上は、元請にのみ掲示義務があります。2022(令和2)年10月1日の改正で、下請は、施工体系図等で明示する運用に変わりました。
実務上は、改正前と同様に元請業者が設置した掲示板スペースに主要な一次下請業者の許可票をまとめて掲示したり、「施工体制台帳(施工体系図)」で下請業者の情報を網羅的に表示したりする現場も多く見られます。
掲示義務に違反した場合の罰則は?
掲示義務に違反すると、建設業法第55条に基づき、10万円以下の過料(行政上の秩序罰)が科される可能性があります。
「過料」は、罰金(刑事罰)とは異なりますが、法律違反に対する金銭的な制裁です。
掲示を全くしていないケースだけでなく、記載事項に不備がある(例:主任技術者の氏名が古いまま)、サイズが規定より小さい(例:A4用紙で代用している)、公衆から見えない場所に設置しているといった場合も、義務違反として指導や処分の対象となる可能性があります。
許可票の様式(エクセル等)はどこで入手できるか?
国土交通省や各都道府県の建設業許可を管轄する行政庁から、様式のダウンロード可能です。Excelテンプレートとして無料提供するサイトもありますが、法的効力を持つためには行政庁のものを基に作成し、許可情報を正確に記入する必要があります。
自社で作成する場合は、法律で定められたサイズ(縦25cm×横35cm以上)と記載事項を必ず守るようにしてください。
正しい掲示が、現場の信頼と安全の第一歩
本記事では、建設業の許可票の現場掲示義務について、その理由から書き方、緩和措置、罰則までを解説しました。
工事現場の許可票は、その工事が適法かつ適正な技術管理のもとで行われていることを示す、社会に対する「公的な看板」です。国土交通省によるデジタル化の緩和措置なども活用しつつ、法律で定められたルール(サイズや記載事項)を正しく遵守して掲示することが、発注者や近隣住民からの信頼を得て、安全な現場運営を行うための基本といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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