- 作成日 : 2025年12月2日
建設業法第7条第2号イロハとは?専任技術者の実務経験要件と15条との違いを解説
建設業の許可を取得する際に必ず登場する「建設業法第7条第2号イロハ」という言葉。これは、建設業の一般許可における「専任技術者」の資格要件のうち、国家資格ではなく実務経験に関する規定を指すものです。
この記事では、建設業の専門家として、この少し難解な法律の条文「イロハ」が具体的にどのような内容を指すのか、そして特定建設業許可の要件である「第15条」との違いまで、発注者の皆様にも分かりやすく解説します。
目次
そもそも建設業法第7条とは何か?
建設業の許可を受けるために、事業者が満たさなければならない5つの大きな基準(要件)を定めた、建設業法の中心的な条文です。
建設業の許可は、誰でも簡単に取得できるわけではありません。工事を適正に行うための経営体制や技術力、資金力があるかどうかが厳しく審査されます。建設業法第7条では、その審査基準として以下の5項目を定めています。
- 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(経営経験)
- 専任技術者の設置
- 誠実性(不正な行為をしないこと)
- 財産的基礎又は金銭的信用(資金力)
- 欠格要件に該当しないこと
この中でも、工事の技術的な品質を担保する「専任技術者」の設置は、特に重要な要件の一つです。
専任技術者の要件である第2号イロハの違いは?
専任技術者として認められるためのルートが3つあり、第2号イが「国家資格などを持つこと」、ロが「一定期間の実務経験を持つこと」、ハが「イやロと同等以上の能力を持つと国土交通に認定された者」を定めています。
建設業法では、技術力を証明する方法として、資格と実務経験の両方を評価しています。どちらか一方の要件を満たせば、その業種の専任技術者として認められます。
第2号イ(国家資格等)の要件
許可を受けたい業種に関連する、国が定めた資格(建築士、建築施工管理技士、電気工事士など)を持っている場合、この要件に該当します。
第2号ロ(実務経験)の要件
国家資格を持っていなくても、学歴や長年の実務経験によって技術力が認められるルートです。
第2号ハの要件
イやロと同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認定した者が該当します。
この記事のキーワードである「イロハ」は、この第2号に定められた3つのパターンのことを指します。
建設業法第7条第2号「イロハ」の具体的な内容は?
「イ」「ロ」「ハ」は、専任技術者として認められるための実務経験に関する3つの異なるルートを示しています。
「イ」の要件とは?(学歴+実務経験)
許可を受けたい業種に関連する指定学科を卒業し、その後、一定期間の実務経験を積むことで認められるルートです。
| 学歴 | 指定学科 | 必要な実務経験年数 |
|---|---|---|
| 大学・高等専門学校 | 卒業 | 3年以上 |
| 高等学校・中等教育学校 | 卒業 | 5年以上 |
「指定学科」とは、建設業法施行規則で定められた学科のことで、例えば建築一式工事であれば「建築学」や「都市工学」、電気工事であれば「電気工学」などが該当します。
「ロ」の要件とは?(10年以上の実務経験)
学歴に関わらず、許可を受けたい建設工事に関して10年以上の実務経験があることで認められるルートです。
これは、資格や特定の学歴がない場合でも、長年の現場経験を積んだ技術者を評価するための規定です。実務経験は、過去の工事の契約書や注文書、請求書といった客観的な資料で証明する必要があります。
「ハ」の要件とは?
これは、上記「イ」または「ロ」に掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものとして、国土交通大臣の認定を受けた者を指します。 これは非常に専門的な要件であり、大臣特別認定と呼ばれる特別な審査を経て認められるルートです。
7条(一般建設業)と15条(特定建設業)の違いは?
15条(特定建設業)は、7条(一般建設業)よりもはるかに厳格な資格や経験が求められます。
建設業の許可には、請け負う工事の規模に応じて「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があります。
一般建設業許可(法第7条)
軽微な工事を除く、すべての建設工事を行うために必要な基本的な許可です。専任技術者の要件は、これまで解説してきた「第7条第2号イロハ」に基づきます。
特定建設業許可(法第15条)
発注者から直接請け負う1件の工事につき、総額5,000万円(建築一式の場合は8,000万円)以上の下請契約を結ぶ場合に必要となる、より上位の許可です。
特定建設業者は、大規模な工事を元請として統括し、多くの下請業者を指導監督する立場にあるため、専任技術者にも「1級の国家資格」や「指導監督的な実務経験」といった、一般建設業よりもはるかに高度な要件(法第15条第2号イロハ)が求められます。
資格だけではない、多様な技術者の証明方法
本記事では、建設業法第7条第2号イロハについて、その具体的な内容と関連する規定との違いを解説しました。
この「イロハ」の規定は、国家資格を持っていなくても、学歴や長年にわたる実務経験を積んだ技術者が、その能力を正当に評価され、建設業の担い手として活躍するための重要な道筋を示しています。
発注者の皆様にとっても、取引先の建設会社がどのような根拠で許可を得ているかを理解することは、その会社の技術的な背景や信頼性を判断する上での一つの指標となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
バックオフィス業務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 法律・許認可・制度
解体工事に必要なのは許可?登録?500万円の基準や建築一式との違い、資格要件を解説
解体工事をビジネスとして行うには、「建設業許可」または「解体工事業登録」のいずれかが必要です。この2つは、請け負う工事の金額(500万円)によって必要となる手続きが異なります。また…
詳しくみる - # 法律・許認可・制度
建設業許可の申請に必要な書類は?法人・個人事業主別の提出リスト、東京都・神奈川県の例まで解説
建設業許可をとるには、申請書本体に加え、経営経験・技術力・財産的基礎といった法律上の要件を満たしていることを証明する、多数の公的な添付書類が必要です。 この記事では、建設業許可の取…
詳しくみる - # 法律・許認可・制度
建設業許可を取得するには?必要な種類、500万円の基準、取得条件から更新まで解説
建設業許可は、建設業を営む上で法令遵守と社会的信用を得るための重要な資格です。一定規模以上の工事を請け負うには、この許可を必ず取得しなければなりません。 この記事では、建設業の専門…
詳しくみる - # 法律・許認可・制度
建設業許可は経営経験5年未満でも取れる?要件緩和の仕組みや裏ワザのリスクを解説
建設業許可を取得するためには、原則として「5年以上の経営経験」が必要です。しかし、2020年の法改正による要件緩和によって、個人としての経験年数が5年に満たない場合でも、組織体制を…
詳しくみる - # 法律・許認可・制度
建設業許可なしで工事するとバレるか?500万円の基準、無許可の罰則と通報リスクまで解説
建設業許可なしで500万円以上の工事を請け負う無許可営業は、行政の調査や第三者からの通報によって発覚(バレる)する可能性が高い違法行為です。発覚した場合、重い刑事罰や行政処分の対象…
詳しくみる - # 法律・許認可・制度
建設業法の専任技術者違反とは?罰則や違反事例、発注者が知るべきリスクまで解説
建設工事を発注する際、その建設業者が適正に「専任技術者」を配置しているかは、企業の技術力とコンプライアンスを測る上で非常に重要な指標です。この専任技術者の不在や名義貸しといった違反…
詳しくみる