月3,980円~の労務顧問 – 社会保険労務士法人Amatriaが覆す“エライ士業”のイメージ

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月3,980円~の労務顧問 社会保険労務士法人Amatriaが覆す“エライ士業”のイメージ

高い専門性を持つ“士業の先生”でありながら、つい仕事の愚痴をこぼしたり、趣味の話をしたくなったりしてしまう──。社会保険労務士法人・行政書士法人Amatriaの代表社員 東 智春さんは、そんな聞き上手の社労士・行政書士です。顧問サービスを「月額基本料3,980円+事務手続きの発生ごとに追加料金」というユニークな料金プランで提供しているのも、相談しやすい雰囲気づくりの一環だと東さんは話します。実際にどのような相談に応えてきたのか、これまでの東さんの歩みとともにお話しいただきました。

士業業界では資格がないと稼げない?! 法人設立までの過酷な道のり

──現在は社労士・行政書士として活躍されている東さんですが、もともとは税理士事務所にいらっしゃったと伺いました。そこから社労士になろうと思った経緯はどのようなものだったのでしょうか。

新卒で税理士事務所に就職したのは「社会のことを知るためには、まずお金の知識が必要だ」と思ったからです。世間知らずだったせいもあってか就職活動がうまくいかない中、簿記検定を受けてなんとかこぎつけた就職先でした。従業員がわずか6人ほどの小さな事務所だったので、いきなり即戦力として駆り出されて、結構ハードでしたね。入所翌日に資料をどっさり渡されて決算を組まされたのは今でも忘れられません。

これだけ大変な仕事をしていたらさぞ稼げるだろう……と思いきや、税理士の資格がないために、給料は手取り13万円。税理士を目指すことも検討しましたが、10年勉強しても合格できるかどうかがわからないという非常に難しい試験だと知って、別の選択肢を考えるようになりました。働きながらなんとか取得できる資格を探した結果、たどり着いた現実的な選択肢が社労士だったんです。実は税理士事務所でも時々労務相談を受けたり、年末調整に対応していたりしたので、比較的馴染みのある業務領域だったことも決め手になりました。

──税理士事務所の労働環境がそれほどキツかったとは驚きです……。資格取得のための勉強にはどのように取り組んだのですか?

週2回ほど資格取得予備校に通って勉強しました。勉強に対する苦手意識がかなり強かったのですが「手取り13万円の生活からとにかく脱したい」という気持ちは強い原動力になりましたね。2回目の受験で合格したのち、資金をためて2015年に独立。自宅を事務所にして開業しました。

──悲願の独立ですね! 実際に社労士になってみてからの生活はいかがでしたか?

「これで貧乏生活から卒業!」と言いたいところですが、集客が難しく、最初の半年は月2万円しか売上がないなど、むしろ収入は悪化してしまったんです。時間が有り余っていたので、また予備校に通って行政書士の資格取得を目指しました。どんどんお金もなくなっていく中で、月20万円の受講料を身を削って払っていたので、ますます死ぬ気になって勉強しましたね。

──士業の集客は一般企業とはちょっと事情が違いそうなイメージも強いです。当初は苦労されたとのことですが、どのように仕事を獲得していったのでしょうか。

知り合いからの紹介で徐々に仕事を増やしていきました。特に税理士の知人から「労務系の相談が来たのだけれど、税理士では対応できない領域だからお願い!」といった形で依頼されるケースは今でも多いですね。できるだけ人脈を広げようと、異業種交流会へ頻繁に足を運んでいた時期もあります。

また、あるタイミングで助成金申請の仕事を何件かまとめて紹介してもらったのは大きな契機になりましたね。助成金申請は経営者に対して目に見えるメリットを提供できるので、すごく感謝されるんです。そこで信頼関係を築けた顧客から、アウトソーシングや労務顧問も依頼してもらえるようになりました。

こうして次第に事業が軌道に乗り、2019年に法人化して今に至ります。

東 智春さん1

「話してもらわなければ始まらない」親しみやすい社労士にこだわる理由

士業の“先生扱い”に抱く違和感

──ずっと士業業界にいらっしゃった東さんですが、こうしてお話を伺っていると、いい意味で“先生っぽくない”といいますか、つい楽しくおしゃべりしたくなってしまう親しみやすさを感じます。

「社労士に堅いイメージを持たせない」「親しみやすい社労士でありたい」ということにはこだわっていますね。人事労務の課題に対する改善策を提案するにしても、事務作業を依頼してもらうにしても、まずは顧客に話してもらわなければ始まりません。にもかかわらず、社労士は士業というだけで堅い、近寄りがたいイメージが付きまといます。ずっと士業業界にいた私でさえ、士業にそうした印象を持っているのですから、顧客にとってはなおのことだろうなと。そのイメージを払拭したいと常に考えています。

──確かに「こんな簡単なことを士業の先生に相談していいのだろうか」「『こんなことも知らないの?』と言われたらどうしよう」といった不安から、なかなか相談に踏み出せない人は多いと思います。

実際、初対面でいきなり専門用語を多用するなど、顧客が委縮してしまうようなコミュニケーションをしている社労士、行政書士も少なくないのが残念ですね。そういった雰囲気にならないよう、私の場合は話し始めからガッツリ仕事の話をするのではなく、まずは雑談から入ることが多いです。なかなか緊張感の抜けない方には「ちょっといじってみたらツッコんでくれるかな?」とジャブを打ってみたりもします。失敗もしますけどね(笑)

資格を持っているからといって過度に“先生扱い”されるほど、社労士や行政書士がエライ職業だとは私は思わないんです。もっと士業が身近な存在になればと思いますね。

値切られて生まれた課金制の顧問料金

──月額3,980円~という課金制の顧問料金体系も、相談しやすい雰囲気づくりの一環なのかなと思います。具体的にどのような仕組みになっているのですか?

基本料金を3,980円に抑え、事務手続き(退社手続き、労働保険の年度更新など)が発生した月のみ、人数単位で追加料金が発生する仕組みになっています。もともとは一般的な月額数万円の顧問料金だったのですが、お客さんからどんどん値切られて、いつの間にかこの料金体系のほうがデフォルトになってしまいました。

──顧客からのリクエストだったのですね。料金体系を変えてみて、手ごたえはありましたか?

顧問契約の解約がほとんどなくなりました。一般的な料金体系だと、何も相談しなくても、またひとつも作業を依頼しなくても毎月数万円の支出が発生してしまうので、経営者としてはどうしても無駄を感じやすいです。加えて、月数万円で対応してもらえる範囲が不明瞭なので「どこでお金を取られるかがわからないから気軽に相談できない」という心のブレーキがかかりやすくなります。

これに対して、毎月の支出が3,980円なら「この金額でいろいろ相談できるなら続けていてもいいか」とより気楽に感じてもらえますよね。相談以外の部分はすべて追加料金という明朗会計でもあるので、課金に対する心理的なハードルも下がります。

それで社労士事務所の事業として成り立つのかとも思われるかもしれませんが、実際、月額3,980円の基本料金だけという顧客は少ないんです。多くの企業がプラスαの料金を払って利用してくださっていますよ。

東 智春さん2

労務トラブルから経営者の愚痴まで こんな相談に応えてきました

行政書士資格や税理士業務経験で広がる間口

──行政書士業務に対応できるのもAmatriaの強みですよね。

はい。会社設立時、開業時の許認可手続きから、その後の就業規則・制度の整備までワンストップで対応できるので、独立したての起業家の方からよく相談いただいています。ベンチャー企業の経営者は新規事業を立ち上げるたびに新しく会社を作るケースも多いため、繰り返しご依頼いただくケースも多いですね。そのほか、副業でお店を開きたいという方から「忙しくて自分だけでは手続きできないので手伝ってほしい」とご相談いただくこともよくあります。

──「行政書士の領域はここまで」「ここからは社労士の領域」といった縦割りでなく、一気通貫で相談に乗ってもらえるのは、経営者としてはありがたい限りだと思います。

さらに税理士事務所に勤務していた経験を活かして、税に関する初歩的な質問にお答えしたり、財務諸表を見ながら経営の相談に乗ったりもできます。社労士として対応できない部分が出てきたら、税理士さんを紹介することも可能です。

基本的に相談されたら断れないですし、なんとかお応えしようと努力していますね。「これは社労士、行政書士の領域ではないのでわかりません」とは言いたくないんです。幅広い知識を身に着けるのは大変ですが「何でも相談できてありがたい」と思っていただけるほうがやりがいがあるなと感じます。

ネットからの誤った知識に悩まされる経営者も

──現在では全国に120の顧問先がいらっしゃると伺っています。きっと幅広い相談、依頼に応えていらっしゃるのだと思いますが、具体的にはどういった相談が来るのでしょうか。

いくつか例を挙げてみると、まず、会社設立時の手続きからずっとお付き合いしているようなベンチャー企業の顧客からの相談では、愚痴を聞くところから始まるケースが大半ですね。「人の入れ替わりが激しいんだよねぇ」などとおっしゃいながら、入退社の手続きを依頼してくださったりします。

一方、実際にトラブルが起こってからの痛切な相談も少なくありません。最近の事例でいうと、ある美容業界の顧客から「従業員がほかのスタッフを引き抜いて退職してしまった」という痛切な相談を受けて、就業規則を整えたことがありました。

かと思えば「PC操作がわからないので教えてほしい」といったトンチンカンな質問もよく来ます(さすがにメーカーに問い合わせてもらうよう案内しました笑)。「もっとちゃんとした人事労務の相談をしてくれよ」と思うこともありますが、何でも話せる社労士としてはある意味成功なのかもしれません。

──経営者の方々の人生模様を垣間見る思いです……。同じ月額3,980円の入り口から、本当にさまざまな相談が来るのですね。ちなみに、特にここ最近で特徴的な相談の傾向はありますか?

社内から「うちの就業ルールは間違っているのではないか」と問い合わせを受けて相談に来られる経営者が増えているなと感じます。よくよく話を聞くと、従業員がインターネットなどで調べてから問い合わせをしてきているようで、今っぽいなと思いますね。ただ、実際には従業員側が誤った理解をしてしまっているケースも多いです。例えば、1カ月単位の変形労働時間制(就業時間が月ごとの法定労働時間以内、1週間平均で40時間を超えなければ残業代が発生しない)を採用している企業で、従業員の方が「時々1日8時間以上働いている日があるのに残業代が支払われておらず、労働基準法に違反している」と主張している事例がありました。調べてみると、実際の就業時間は上記の規定を超えておらず、労務上は問題なし。その従業員の方はネットで調べて知った「(労働基準法によると)8時間以上の労働には残業代が出る」という断片的な情報を取り上げて、ちょっとした勘違いで問い合わせしてきていたんです。経営者からするとヒヤッとしてしまう話かもしれませんが、正しい知識をもとに丁寧に説明すれば、従業員はちゃんと理解してくれます。その際の説明の仕方をアドバイスしたり、場合によっては直接社内に向けて説明したりするのも、私たち社労士の役目ですね。
東 智春さん3

労務コンサルで経営者の「勝利」を助けたい

──今後、東さんがAmatriaで取り組んでいきたいことはありますか。

コンサルティング業務を強化して、人事労務の生産性向上をお手伝いしたいと考えています。人事労務は社内のほかの部門に比べるとどうしても効率化が遅れがち。勤怠をエクセルに手打ちして集計して、給与計算の際にまたシステム上で集計し直す……といった運用もまだまだ残っています。こうした状況に対して、経営的な視点も含めた人事労務アドバイスを積極的に行っていきたいなと思っています。先述の例でいえば「勤怠集計をクラウド化して給与システムと連携させれば、空いた手で売上を作れますよ」といった具合ですね。

さらに必要に応じてクラウドツールの活用方法までレクチャーしたり、クラウドツールに合う形で就業規則や制度の整備を手伝ったりするところまでカバーしていきたいなと思っています。

──経営者に伴走して、経営的なコンサルティングからクラウドツールの活用サポートまで対応してくれるのは非常に心強いですね。「クラウド化しよう」「そのために運用を整備しよう」などというとつい腰が重くなってしまいますが、普段から顧客に寄り添って何でも相談に乗ってくれている東さんからの提案なら、すっと受け入れられそうです。

事務所名の「Amatria」は私の造語ですが、「勝利を愛する」という意味を込めているんです。顧客である企業、経営者の成功を少しでも手助けしたい──そうした想いで日々業務に取り組んでいます。こんな言い方をするとちょっとエラそうかもしれませんが、今後も社労士の既存の価値観やイメージにとらわれず、経営者の気軽な相談相手として、ますます力になれればと思います。

社会保険労務士法人・行政書士法人Amatria

今回取材させていただいた社会保険労務士法人・行政書士法人Amatria。
お問い合わせ・ご相談については、以下事務所のWebサイトから:https://amatria.jp/

取材・文:西東美智子

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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