• 更新日 : 2026年7月13日

AI導入補助金とは?対象者・申請枠・申請手順を解説

PointAI導入補助金とは?

AI導入補助金とは、中小企業・個人事業主がAI含むITツール導入費の一部を補助する制度です。

  • 2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更
  • 補助率2分の1〜5分の4、上限450万円
  • IT導入支援事業者との共同申請が必須

Q. 申請で最も注意すべき点は?

A. 交付決定前の契約・発注・支払いは補助対象外となることです。

AI導入補助金とは、中小企業や個人事業主がAIを含むITツールを導入する際に、費用の一部を補助する制度です。2026年度からは「デジタル化・AI導入補助金」として運用され、旧IT導入補助金の仕組みを引き継ぎながら、デジタル化やAI活用をより前面に出した制度になっています。

本記事では、AI導入補助金の対象者、対象経費、申請手順や採択に向けた準備について解説します。

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※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。

AI導入補助金とは?

AI導入補助金は、中小企業や小規模事業者が、自社の課題に合ったITツールを導入し、生産性向上や業務効率化につなげるための制度です。

AI導入補助金は中小企業のデジタル化とAI活用を支援する制度

AI導入補助金は、2026年度の「デジタル化・AI導入補助金」を指す表現として使われます。正式には、2025年度まで「IT導入補助金」として運用されていた制度が、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更されています。

制度の目的は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題に合ったITツールを導入し、労働生産性の向上につなげることです。対象となるツールには、会計ソフト、受発注システム、決済システム、在庫管理、顧客管理、業務自動化ツール、セキュリティ関連サービスなどがあります。

AI-OCR、AIチャットボット、AI需要予測、AIを活用したデータ分析ツールなども、登録されたITツールであれば対象になり得ます。ただし、「AI」と名前が付いていれば必ず補助対象になるわけではありません。補助対象となるには、事務局に登録されたIT導入支援事業者とITツールを選ぶ必要があります。

2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」という名称で運用されている

2026年度から名称が変わった背景には、ITツールの導入だけでなく、より踏み込んだデジタル化やAI活用を広く促す狙いがあります。旧名称の「IT導入補助金」が完全に消えたわけではなく、申請マイページや一部の案内では旧名称が残る場合もあります。

参考:デジタル化・AI導入補助金2026|中小企業庁

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AI導入補助金の対象者・対象経費は?

AI導入補助金を利用するには、まず自社が申請対象に該当するかを確認する必要があります。対象者は中小企業・小規模事業者・個人事業主などですが、業種や組織形態によって資本金や従業員数の基準が異なります。対象経費も、ソフトウェア、クラウド利用料、導入関連費などに分かれます。

【対象者】中小企業・小規模事業者・個人事業主

AI導入補助金の主な対象者は、中小企業・小規模事業者等です。個人事業主も、事業実態があり、申請要件を満たしていれば対象になります。代表的な中小企業の基準は以下のとおりです。

業種 資本金の目安 従業員数の目安
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

小規模事業者の場合は、商業・サービス業で5人以下、宿泊業・娯楽業で20人以下、製造業その他で20人以下が目安です。ただし、申請可否は業種分類や組織形態によって変わります。最終的には、公募要領や公式サイトの申請対象者情報で確認する必要があります。

【対象経費】ソフトウェアと導入関連費が中心

補助対象となる経費は、申請枠によって異なります。通常枠では、ソフトウェア購入費、クラウド利用料、機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ、導入コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修、保守サポートなどが対象になります。

クラウドサービスの場合、一定期間分の利用料が補助対象となることがあります。AIを活用した会計ソフト、AI-OCR、顧客対応チャットボット、需要予測ツールなども、登録済みのITツールであれば対象候補になります。

ハードウェアだけを購入する目的では原則として申請できません。たとえば、パソコン単体、タブレット単体、スキャナー単体の購入は補助対象になりにくいといえます。インボイス枠では、対象ソフトウェアの利用に必要なPC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、POSレジ、券売機などが対象になる場合がありますが、ハードウェアのみの申請は認められていません。

AI導入補助金の申請枠と補助額はどう選ぶ?

AI導入補助金には複数の申請枠があり、補助率、補助上限額、対象経費が異なります。枠選びは「AIツールを入れたいか」だけで決めるのではなく、「何の業務課題を解決したいか」「インボイス対応が主目的か」「セキュリティ対策か」「複数事業者で連携するのか」で判断します。

【通常枠】幅広い業務効率化

通常枠は、自社の課題に合ったITツールを導入し、労働生産性の向上を目指す枠です。補助率は原則として2分の1以内ですが、一定の条件を満たす場合は3分の2以内となる場合があります。補助額は、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。

通常枠は、AI搭載の会計ソフト、販売管理システム、在庫管理システム、顧客管理ツール、業務自動化ツールなどを導入する場合に検討しやすい枠です。経理、営業、在庫管理、人事労務、総務、顧客対応など、複数の業務プロセスを改善したい場合に向いています。

【インボイス枠】会計・受発注・決済のデジタル化

インボイス枠には、インボイス対応類型と電子取引類型があります。

インボイス対応類型は、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済機能を持つソフトウェアの導入に使う枠です。補助率は、補助額50万円以下の部分で中小企業が4分の3以内、小規模事業者が5分の4以内です。50万円超から350万円以下の部分は、原則として3分の2以内です。

また、対象ソフトウェアの利用に必要なPC・タブレット等は10万円以下、レジ・券売機等は20万円以下の範囲で対象になる場合があります。

電子取引類型は、インボイス制度に対応した受発注ソフトを導入し、取引先にも無償でアカウントを発行して利用させるクラウド型ソフトウェアが対象です。補助額は350万円以下で、中小企業・小規模事業者等と取引する発注側の事業者も対象になり得ます。なお、補助率は中小企業や小規模事業者は3分の2以内、発注側などの取引を行うその他の事業者の場合は2分の1以内とされています。

【セキュリティ対策推進枠】サイバー対策

セキュリティ対策推進枠は、サイバーインシデントによる事業継続リスクを下げるための枠です。対象は、サイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載され、かつ事務局に登録されたサービスの導入です。

補助率は、小規模事業者が3分の2以内、中小企業が2分の1以内です。補助額は5万円から150万円までです。AIツールを導入する場合でも、セキュリティ体制が弱いと情報漏えいや不正アクセスのリスクが高まります。そのため、AI活用とあわせてセキュリティ強化を検討する企業にとって重要な枠です。

【複数者連携枠】商店街や地域単位のデジタル化

複数者連携デジタル化・AI導入枠は、複数の事業者が連携してデジタル化やAI活用を進める場合の枠です。商店街、地域、業界団体、サプライチェーンなどで共同してシステムを導入するケースが想定されています。

たとえば、地域全体にAIカメラを設置して来街者の属性や回遊データを分析し、各店舗のPOSデータと組み合わせて販売施策に活用する取り組みが考えられます。個社単独の会計ソフト導入とは性質が異なり、地域全体や複数事業者の連携による効果が重視されます。

補助上限額は経費区分によって異なり、基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計で3,000万円が上限とされています。個人事業主が単独で申請する枠ではないため、共同事業として設計する必要があります。

AI導入補助金の申請手順は?

AI導入補助金は、申請者が単独で申請する制度ではありません。登録されたIT導入支援事業者と連携し、GビズIDプライムの取得、SECURITY ACTIONの宣言、ITツール選定、交付申請、交付決定、導入、実績報告、効果報告という流れで進みます。

申請前にGビズIDプライムとSECURITY ACTIONを準備する

申請前に必要な準備として、GビズIDプライムの取得があります。GビズIDプライムは、行政サービスへのログインに使う法人・個人事業主向けの共通認証アカウントです。取得には一定の期間がかかるため、公募締切の直前に着手すると申請に間に合わない可能性があります。

また、SECURITY ACTIONの宣言も必要です。SECURITY ACTIONは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。申請枠によって「一つ星」または「二つ星」の宣言が必要になり、宣言済アカウントIDを申請時に入力します。

②IT導入支援事業者と共同で申請する

AI導入補助金では、申請者が自由にツールを購入して後から補助金を請求することはできません。事務局に登録されたIT導入支援事業者と、登録済みのITツールを選び、共同で交付申請を行います。

申請の流れは、まず自社の経営課題を整理し、課題に合うITツールを選定するところから始まります。次に、IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受け、申請者情報、必要書類、事業計画値、導入するITツール情報などを入力します。最終確認後、申請者が宣誓を行い、事務局へ提出します。

IT導入支援事業者を選ぶ際は、取り扱うツール、支援実績、導入後のサポート体制、自社業種への理解を確認すると、自社に合った事業者を見つけやすくなります。公式サイトでは、IT導入支援事業者とITツールを検索できます。

③交付決定後に契約・発注・支払いを行う

AI導入補助金で最も注意すべき点は、交付決定前に発注・契約・支払いをしてはいけないことです。交付申請を完了し、事務局から交付決定を受けた後に、ITツールの発注、契約、支払いを行う必要があります。

たとえば、展示会でAIツールを見て、その場で契約してしまうケースがあります。その後に補助金を申請しても、交付決定前の契約であれば補助対象外になります。見積もり取得や商談は事前に進められますが、契約書の締結、発注書の送付、支払いは交付決定後に行う必要があります。

導入後は、事業実績報告を提出します。実際に発注・契約・納品・支払いを行ったことが分かる証憑を提出し、事務局の確認を受けます。その後、補助金額の確認・承認を経て、補助金が交付されます。さらに、事業実施効果報告が求められるため、導入後の効果を記録しておくことが大切です。

AI導入補助金の採択率を上げるには?

AI導入補助金の採択に向けて重要なのは、「AIツールを導入したい」という希望だけでなく、自社の課題、導入するツール、期待する効果を論理的につなげることです。

事業計画では課題と解決策を数値で結びつけ

審査で伝えるべきポイントは、導入するAIツールが自社のどの課題を解決し、どの程度の効果を生むのかです。抽象的に「業務を効率化したい」と書くだけでは、導入効果が伝わりません。

たとえば、経理業務でAI-OCR付き会計ソフトを導入する場合は、次のように書くと具体性が高まります。

「現在、請求書処理に担当者2名で月40時間を要している。AI-OCR付き会計ソフトを導入し、請求書の読み取りと仕訳候補作成を自動化することで、処理時間を月20時間に削減する。削減した時間は、月次決算の早期化と経営資料の作成に充てる。」

このように、現状の作業時間、導入する機能、削減目標、削減後の活用先まで書くと、導入効果を説明しやすくなります。

加点項目や申請要件を事前に確認する

AI導入補助金には、申請枠ごとに要件や加点項目があります。賃上げに関する計画、最低賃金に関する状況、SECURITY ACTIONの宣言、インボイス制度への対応、対象ツールの機能要件などは、申請前に確認すべき項目です。

注意すべきなのは、加点を得るために無理な目標を設定しないことです。賃上げ目標が必須となる枠・類型では、要件が未達となった場合に補助金の全部または一部の返還を求められる可能性があります。実現可能性の低い計画を置くと、採択後のリスクが大きくなります。

計画書では実施体制と導入後の運用まで示す

計画書では、導入するツールの説明だけでなく、社内で誰がどのように使うのかを明記することが重要です。利用部署、管理担当者、操作研修、運用ルール、効果測定の方法まで設計する必要があります。記載項目の例は以下のとおりです。

項目 記載内容の例
現状の課題 請求書処理、問い合わせ対応、在庫管理などのボトルネック
導入ツール AI-OCR、AIチャットボット、需要予測ツールなど
選定理由 自社の課題に合う機能、既存システムとの連携性
期待効果 作業時間削減、ミス削減、対応速度向上、売上機会の増加
実施体制 社内担当者、承認者、IT導入支援事業者の役割
運用方法 研修、マニュアル、定期的な効果検証

IT導入支援事業者に計画書作成の支援を受けることはできます。ただし、自社の課題や業務フローを最も理解しているのは申請者自身です。事前に業務時間、件数、ミスの発生状況などを整理しておくと、計画に説得力を持たせやすくなります。

AI導入補助金を活用するには制度要件と導入目的をそろえよう

AI導入補助金は、中小企業や個人事業主がAIを含むITツールを導入し、業務効率化や生産性向上を進めるために活用できる制度です。申請では、GビズIDプライムの取得、SECURITY ACTIONの宣言、IT導入支援事業者とITツールの選定、交付申請、交付決定後の契約・支払い、実績報告、効果報告という流れを守る必要があります。

交付決定前の発注・契約・支払いは補助対象外になるため注意が必要です。補助金は費用負担を軽くする手段であり、目的ではありません。導入後もKPIを設定し、現場で使われる運用ルールを整えることで、AI導入補助金の効果を高めやすくなります。


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