- 作成日 : 2026年7月6日
DeepSeekとは?特徴・使い方・料金・危険性を徹底解説
DeepSeekは、中国のAI企業が開発した低コスト・高性能な大規模言語モデルと対話型生成AIサービスです。
- ChatGPT並みの性能を1/18のコストで実現
- Web版・アプリは無料、API料金も格安
- データが中国保存で機密情報入力は危険
Q. 企業で安全に使うには?
A. 機密情報を入力せず、可能ならローカル実行やプライベートクラウドで運用する。
DeepSeekとは、中国のAIスタートアップが開発した大規模言語モデル(LLM)と、それを搭載した対話型生成AIサービスの総称です。低コストかつ高性能なオープンソースAIとして注目される一方、データ保存先や情報漏洩リスクの観点で企業利用には慎重な判断が求められます。
この記事では、DeepSeekの概要、モデルの種類、使い方、料金、技術的特徴、安全性、業務活用事例まで、バックオフィス担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。
目次
DeepSeekとは?
DeepSeekは、中国・浙江省杭州市に拠点を置くAI企業「深度求索(DeepSeek)」が開発した大規模言語モデルおよび対話型AIチャットサービスです。ChatGPTに匹敵する性能を、極めて低い開発コストとAPI利用料金で実現したことから「DeepSeekショック」と呼ばれる衝撃を世界のAI業界に与えました。
DeepSeekを開発した企業と設立の背景
DeepSeekは、2023年に中国のヘッジファンド「High-Flyer Capital Management(幻方量化)」の創業者である梁文鋒(リャン・ウェンフォン)氏によって設立されたAI開発企業です。研究主導型の組織体制を取り、AI単体での収益化を主目的としない点が他社と異なります。ヘッジファンドで蓄積した計算リソースとデータ分析の知見を背景に、低コスト・高性能なLLMの開発に注力しています。
DeepSeekショックの実態
DeepSeekが世界を驚かせたのは、米国の最先端AI企業と同等の性能を、圧倒的に少ない予算で実現した点にあります。OpenAI のGPT-4は開発コストが約1億ドル(約150億円)規模とされる一方、DeepSeek は約550万ドル(約8億円)程度でV3の学習を完了したとされており、約1/18という大幅な低コスト化が話題となりました。
この発表をきっかけに、2025年1月27日、NVIDIA株が一時18%下落し、時価総額で約93兆円が消失するという株式市場への影響まで生み出しました。また、DeepSeekのiPhoneアプリが米国App Storeの無料ランキングでChatGPTを抜き1位を獲得する事態も話題を呼びました。
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DeepSeekのモデルにはどのような種類がある?
DeepSeekは複数のモデルを提供しており、2026年6月現在では業務利用では汎用型「DeepSeek-V4-Flash」と推論特化型「DeepSeek-V4-Pro」の2つが試験的に導入されています。
DeepSeek-V4-Flash(汎用型モデル)の特徴
DeepSeek-V4-Flashは、文章作成・翻訳・要約・データ分析など幅広いタスクに対応する汎用型LLMです。2026年4月に試験導入された汎用型モデルです。翻訳・文章作成・データ分析など幅広い業務に適しており、ChatGPT-5.4miniに近い感覚で使えます。
DeepSeek V4-Flashは約1兆6,000億のパラメータを持ちますが、実際の推論時に動作するのはMoEアーキテクチャにより全体の約490億のみです。
DeepSeek-V4-Pro(推論特化型モデル)の特徴
DeepSeek-V4-Proは、数学・コーディング・論理推論に特化した推論型モデルで、OpenAIの5.5Proに匹敵する性能を持ちます。DeepSeek-V4-Proは、DeepSeek-Vシリーズを元に推論に特化した大規模言語モデル(LLM)です。回答前に「思考プロセス」を挟むことで精度を高めており、複雑な問題解決や分析業務に向いています。
モデル一覧と用途の比較
| モデル名 | リリース時期 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| DeepSeek Coder | 2023年11月 | コード生成特化 | プログラミング支援 |
| DeepSeek-V3 | 2024年12月 | 汎用型・MoE採用 | 文章作成、翻訳、要約 |
| Janus-Pro | 2025年1月 | マルチモーダル | 画像理解・生成 |
| DeepSeek-R1 | 2025年1月 | 推論特化型 | 数学、コーディング、論理分析 |
| DeepSeek-V3.2 | 2025年12月 | 最新フラッグシップ | 高度な汎用タスク |
| DeepSeek V4-Flas または DeepSeek V4-Pro |
2026年4月 | 汎用型および推論特化型の強化 | 高性能な文章作成、翻訳、要約または数学、コーディング、論理分析 |
DeepSeekの技術的な特徴は?
DeepSeekが低コストで高性能を実現できる理由は、MoE(Mixture of Experts)と知識蒸留という2つの先進技術にあります。これらの仕組みにより、計算リソースを抑えつつ高品質な出力を可能にしています。
MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャ
MoEは「専門家混合」と訳される機械学習の構造で、複数の専門家サブモデルを組み合わせ、入力に応じて最適なものだけを動作させる仕組みです。これにより、全パラメータを毎回稼働させずに済み、処理速度とコスト効率が大きく向上します。
知識蒸留(Knowledge Distillation)
知識蒸留は、高性能な「教師モデル」の知識を、軽量な「生徒モデル」へ伝達する技術です。DeepSeekはこの手法でR1の能力をLlamaやQwenベースの軽量モデルへ移植し、「DeepSeek-R1-Distill」シリーズとして公開しています。これにより、一般的なPC環境でも推論能力の高いモデルを動かせるようになりました。
また、この技術を拡張して、現在ではDeepSeek V4-Proへとさらなる性能飛躍を実現しています。
MITライセンスのオープンソース提供
DeepSeekはモデルの重み(オープンウェイト)をMITライセンスで公開しており、商用利用・改変・再配布が自由に行えます。これはChatGPTやClaudeなどクローズドソースのAIにはない大きな特徴で、自社用にカスタマイズしたい企業にとって有力な選択肢となります。
DeepSeekの使い方は?登録から利用までのSTEP
DeepSeekは、Webブラウザ・スマホアプリ・APIの3通りで利用できます。最も手軽なのはWeb版で、Googleアカウントまたはメールアドレスがあれば無料で開始可能です。
STEP1:公式サイトにアクセスしアカウントを作成する
DeepSeekの公式サイトにアクセスし、メールアドレスまたはGoogleアカウントでサインアップします。類似名の偽サイトも存在するため、必ず公式URLからアクセスしてください。
STEP2:チャット画面で質問を入力する
ログイン後のチャット画面に、質問や指示を日本語で入力します。日本語にも実用レベルで対応しており、ビジネスメール作成や翻訳、要約などに活用できます。
STEP3:必要に応じて「DeepThink」「Search」を有効化する
高度な推論やWeb検索を活用したい場合は、入力欄下部のボタンで機能を切り替えます。[DeepThink]をオンにすると高性能なモデルを利用できます。また、Web検索が必要な知識系の質問をする場合は、[スマート検索]をオンにします。DeepThinkとWeb検索の併用で、最新情報を踏まえた高品質な回答が得られます。
STEP4:スマホアプリやAPIで利用範囲を拡張する
外出先での利用にはiOS/Android向け公式アプリ、自社サービスへの組込にはAPIを使います。APIはOpenAI互換仕様のため、既存のChatGPT用コードを軽微な書き換えで移行できます。
DeepSeekの料金は?
DeepSeekのWeb版とスマホアプリは基本無料で、料金が発生するのはAPIで自社システムに組み込む場合のみです。同等性能の他社AIと比べてAPI料金が極めて安価な点が大きな特徴です。
利用形態別の料金一覧
Webチャット・スマホアプリは基本無料で利用できます。有料になるのはAPIを使ってシステムに組み込む場合のみです。API料金はDeepSeek-V4 Flashの場合は、 入力トークンで0.14ドル(約21円)/100万トークン、キャッシュヒットの場合は、0.0028ドル(約0.4円)/100万トークンと、GPTやClaudeと比較して大幅に低価格です。
| 利用形態 | 料金 | 主な対象 |
|---|---|---|
| Webチャット | 無料 | 個人・一般業務 |
| スマホアプリ | 無料 | モバイル利用 |
| API(V4 Flash・入力) | 0.14ドル(約21円)/100万トークン | 開発・システム統合 |
| API(V4 Flash・出力) | 0.28ドル(約4.2円)/100万トークン | 開発・システム統合 |
DeepSeekには危険性やリスクはある?
DeepSeekには、データ保存先や利用規約の観点で重大なセキュリティリスクが指摘されています。機密情報や個人情報をクラウド版に入力することは避けるべきで、日本政府も業務利用への注意喚起を発出しています。
データが中国国内のサーバーに保存される
DeepSeekに入力したデータは中国本土のサーバーに保存され、中国の法令が適用されます。当該サービスの利用に伴いDeepSeek 社が取得した個人情報を含むデータは、中華人民共和国に所在するサーバに保存され、中華人民共和国の法令が適用されます。日本国内とは異なる法令によって個人情報が管理されることもあり、デジタル庁が令和7年(2025年)2月に注意喚起しています。中国企業は、中国の国家情報法にもとづき、国家情報活動に協力する義務があるため、状況によってはサーバーに保管された個人情報が国家活動に利用される可能性があります。
入力データがAI学習に再利用される
DeepSeekはオプトアウト機能を提供しておらず、DeepSeek の利用規約では、ユーザーが入力したデータがAIモデルの改善や学習目的で活用される可能性があることを確認できます。 入力内容がモデル学習に使われる可能性が常に存在します。
iOSアプリのセキュリティ上の問題
NowSecure社は、DeepSeekのiOSアプリに問題があることを報告しています。iOSアプリは機密データを暗号化せずに通信したり、解読可能な暗号化方式を採用したりしており、公式アプリ自体の脆弱性も指摘されています。
特定の話題への回答制限
中国の政治的に敏感な話題については、回答が制限されたり政府見解に沿った回答が返される傾向があります。中立的な情報収集には、用途に応じて他のAIとの使い分けが推奨されます。
参考:DeepSeek 等の生成AI の業務利用に関する注意喚起|デジタル庁
DeepSeekを安全に業務で活用するには?
DeepSeekを業務で活用するには、機密情報を入力しないルールの徹底と、利用環境の工夫が不可欠です。クラウド版以外にも、ローカル環境やプライベートクラウド上で動かす方法でリスクを抑えられます。
機密情報を入力しない社内ルールを設ける
最も基本的な対策は、入力内容のルール化です。顧客情報・社内資料・財務データなどは絶対に入力しないよう徹底し、代替案としてサンプルデータや匿名化データに置き換えて利用します。
ローカル環境やプライベートクラウドで運用する
DeepSeekはオープンウェイトのため、公式Web版やAPI以外にも、自社管理の環境で動かす方法があります。ローカルPCや社内サーバーで実行すれば、入力データをDeepSeek社のサーバーへ送信せずに利用できます。AWSやAzureなどのクラウド上に構築する場合も、保存先やアクセス権限を自社で管理しやすくなりますが、クラウド事業者の環境で処理されるため、契約条件やログ管理の確認が必要です。
日本語追加学習版の活用
サイバーエージェントが2025年1月にDeepSeek-R1をベースに日本語データで追加学習したモデルを無償公開しており、日本語精度を高めた状態で社内利用する選択肢もあります。
| 利用方法 | 安全性 | 難易度 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 公式Webチャット | 低 | 易 | 機密情報を扱わない検証 |
| ローカル実行 | 高 | 中〜高 | 開発リソースのある企業 |
| プライベートクラウド | 高 | 中 | 中堅以上の企業 |
参考:話題の「DeepSeek」を利用してみる|NECセキュリティブログ
バックオフィスでDeepSeekを活用できる業務は?
DeepSeekは、文章作成・要約・翻訳・データ整理などバックオフィスの定型業務で活躍します。ただし社外秘を扱わない範囲に限定するのが原則です。
文書作成・校正の効率化
社内向けの議事録ドラフト、社内通達文、マニュアル草案などの作成にDeepSeekは有効です。固有名詞を伏せて入力すれば、機密リスクを抑えつつ品質を高められます。
翻訳・要約タスク
英語や中国語の公開資料の翻訳・要約はDeepSeekの得意分野です。ニュース記事や業界レポートの要点把握など、情報収集の初動を高速化できます。
データ整理・分類
CSVに整理されたデータの分類ルール作成、Excel関数の作成補助、データ集計の手順説明など、表計算(Googleスプレッドシート、Excel)に関連する業務支援にも使えます。
DeepSeekに関するよくある質問
DeepSeekの利用検討時によく寄せられる疑問とその回答をまとめます。
DeepSeekは日本語に対応していますか?
日本語に対応しており、ビジネス文書作成や翻訳など実用レベルで利用可能です。ただし英語・中国語に最適化されているため、専門的な日本語表現ではChatGPTやClaudeに分があります。
DeepSeekはChatGPTと何が違いますか?
最大の違いはオープンソース(MITライセンス)であることと、API料金の安さです。一方、データ保存先が中国国内である点と、オプトアウト機能がない点はChatGPTより劣ります。
企業で導入する場合の注意点は?
クラウド版に機密情報を入力しないルールを徹底することが第一です。本格運用ではローカル実行またはプライベートクラウドへのデプロイを推奨します。
完全に無料で使えますか?
Web版とスマホアプリは無料で、利用回数の制限も他社より緩やかです。API利用時のみ従量課金が発生します。
押さえておきたいDeepSeek活用のポイント
DeepSeekとは、低コストと高性能を両立した中国発の生成AIで、Web版やアプリは無料、API料金も他社より安価です。MoEや知識蒸留などの先進技術により大規模言語モデルとして高い実力を備える一方、データは中国国内のサーバーに保存されるため、機密情報の入力は避け、必要に応じてローカル実行やプライベートクラウドの利用を検討するのが安全です。
DeepSeekショックを象徴するこのオープンソースAIは、適切なルールと環境を整えれば、バックオフィス業務効率化の強力な選択肢となります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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