• 更新日 : 2020年6月10日

配当可能限度額とは

配当可能限度額とは、会社法に定められている余剰金の分配(配当)の上限額についての取り決めである。

配当可能限度額の概念

会社法によって株式会社は事業年度中、株主総会の決議を経れば何度でも余剰金の配当を行うことが可能になった(会社法第453条、454条1項)。
剰余金の配当とは本来株主に利益を還元するものであるが、決算上は赤字の会社においても、健全な資本状況を維持できる範囲なら配当を行うことができるとされている。

配当の限度額については、年度末の配当可能限度額から当該配当を行う日までの配当および自己株式の償却等を加減算した後の額となる。この配当可能限度額には期中に生じた損益は含まれないため、その期中の損益を加減算するためには臨時決算が必要となる(同法461条)。

配当可能限度額の算定方法

配当可能限度額は「純資産額-(資本の額+資本準備金+利益準備金+その決算期に積み立てるべき利益準備金)」の計算式で求められるが、その算定方法の詳細は下記の3段階である。

1、事業年度末日の剰余金の額を算定する。
2、決算日以降分配時点までの剰余金の増減を計算し、分配時点における剰余金の額を算定する。
3、分配時点の剰余金の額から自己株式の簿価額と期中の自己株式の処分価額を差し引いたものが分配可能限度額となる。

まず事業年度末日の剰余金の額の算定であるが、これは資産の額に自己株式の帳簿価額を加え、負債・資本金・準備金の額、その他法務省令で定める格勘定科目に計上した額の合計金額を控除することで求められる。結果的に「その他資本金剰余金の額」と「その他利益剰余金の額」の合計が剰余金となる。

次に分配時点における剰余金の額の算定であるが、これは会社法446条2~7号により、上述の剰余金に対して事業年度の末日後の自己株式の処分損益、資本金・準備金の減少、自己株式の消却額、剰余金の配当、その他法務省令で定める額が加減される。

最後に分配可能限度額(=分配可能利益)の計算であるが、これは分配時点の剰余金の額から分配時点における自己株式の帳簿価額と事業年度末日後に自己株式を処分した場合の処分価額、その他法務省令で定める額を減じて算出される。

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