経理業務のグローバル化に対応する方法

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1. グローバル化の進行に伴う経理業務の変化

会社の規模や国際取引の状況によって、会計処理も変わることがあります。

会社が国内のみに取引を限っていれば、基本的に国内の法令や会計基準に準拠した会計処理が行われているはずです。

ところが、本業がグローバル化すると、海外の法令や会計基準にも対応する必要が生じます。また、それに伴い、海外の取引先とのコミュニケーションも重要になります。具体的には、以下の変化がみられることが多いでしょう。

第一に、業務範囲が拡大することです。

従来の国内に限った業務では、国内にのみ拠点がある自社の会計処理や決算作業、税務申告が中心となります。グローバル化によって、以下も業務範囲に含まれるようになります。

・海外子会社、関連会社の会計処理
・海外取引先との取引に関する会計処理

また、業務が複雑化する可能性も高いといえます。

海外の法令や会計基準は、国内とは異なる点があるため、適用される法令等に関する知識が求められます。税制の変更もありうるため、変更に伴うリスク管理にも配慮する必要があります。

さらに、海外子会社や海外取引先の担当者とのコミュニケーションが重要になるため、経理担当であっても、英語などで会話やメールのやり取りができることが求められます。

これらを総合すると、グローバル化に伴う変化に対応するために、経理担当者に求められるスキルは、主に以下のようになります。

・海外子会社や取引先が所在する国に関する会計や法令に関する知識
・英語などの語学をビジネスで使用する能力
・外国人とのコミュニケーション能力
・リスク管理能力

海外の法令や会計基準を理解するためには、会計に関する幅広い知識が必要です。このほかにも、IT化が進むなかで、連結システムなどの会計システムは日進月歩の進化を続けており、それらのソフトを操作するスキルも求められます。

また、一口に英語力と言っても、ビジネスレベルの会話や文書のやり取りができる力に加え、会計用語や専門用語を理解できるスキルも必要です。

海外の子会社や取引先との信頼関係を築くためには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。相手の立場に立って考え、わかりやすい説明ができるよう心がける必要があるでしょう。

ビジネスのグローバル化は、今後も進んでいくことが予想されます。そのため、経理担当者は、これらのスキルを身につけて、変化に対応していくことが求められます。

環境に応じたスキルを身につける方法として、研修や自主学習を通じて、簿記や会計に関する資格の取得、英語の勉強、外国人とのコミュニケーション能力の向上などを目指すとよいでしょう。

また近年では、クラウドシステムなどのITツールを活用することで、業務効率化やグローバル化への対応を図る企業が増えています。経理担当者は、これらのツールを活用できるスキルも身につけておくことが望ましいでしょう。

2. 国際財務報告基準(IFRS)の基本

国際財務報告基準(IFRS)は、企業が作成する財務諸表の作成基準となる一連の会計基準です。この基準は、国際会計基準審議会(IASB)によって策定され、世界中の多くの国々で採用されています。

米国、日本等においては、従来の自国基準が存在していたため、それらを保持しながら自国基準とIFRSとの差異を縮小することによって、IFRSと同様な会計基準を採用しようとする「コンバージェンス」が進められてきました。

しかし、欧州連合(EU)がEU域内上場企業の連結財務諸表にIFRSの適用を義務付け、域外上場企業にも「IFRS又はこれと同等の会計基準」の適用を義務付けたことを契機に、IFRSを自国の基準として採用する「アドプション」を表明する国が増加し、世界的に「アドプション」ないしは「フル・コンバージェンス」への方向転換が加速化しています。

一般的に、上場している企業などが日本国内において採用している会計基準は、企業会計基準(J-GAAP)です。

また、日本国内の中小企業は、「中小企業の会計に関する基本要領」を採用していることが多いです。「中小企業の会計に関する基本要領」は中小企業の実態に即した簡便な処理を認めたものとなっています。

このように、会社の規模や取引状況によって、適用されている会計基準は異なります。

会計基準や税法は毎年のように改正されるので、キャッチアップが必要です。求められるスキルを学ぶ努力を継続するとよいでしょう。

3. 多言語・多文化環境で働くためのスキル

多言語・多文化環境で働くためには、語学力が必要です。

多言語・多文化のビジネス環境では、英語に加え、現地の言語を話せると有利です。また、ビジネスレベルの語学力だけでなく、日常会話やメールのやり取りなど、円滑なコミュニケーションが行える幅広い語学力も求められます。

異なる文化や価値観を持つ人と仕事をするためには、相手の文化を理解し、尊重する姿勢が大切です。また、自分の文化の常識を押し付けることなく、相手の文化に適応する柔軟性も必要です。

4. グローバル人材として活躍する方法

グローバル人材として活躍するためには、専門知識に加え、語学力と異文化理解力を身につけ、相手の文化を理解し、尊重する姿勢が大切です。

また、常識を押し付けることなく、相手の文化に適応する柔軟性も必要です。

コミュニケーション能力を高め、グローバル環境で活躍できるよう心がけましょう。

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