ニューノーマル時代の働き方とは? アフターコロナに対応するためのポイント

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新型コロナウイルス感染拡大を受け、厚生労働省から「新しい生活様式」の実践事例が公表されました。コロナ収束後の「ニューノーマル時代」には、働き方も大きく変わると見られています。会社に出勤して仕事をするという、これまで当然だった勤務形態が、大きく様変わりする可能性もあるのです。そこでこの記事では、ニューノーマル時代に予想される働き方や、ビジネスモデルの変化について解説していきます。

「定時でオフィスに出社」モデルの終焉

「ニューノーマル」の名前通り、これまで標準的(ノーマル)だったことが古いものとなる一方で、過去の非常識が新しい日常になる時代が迫っています。毎日決まった時間にオフィスへ出社するという従来の当たり前の働き方は、すでに変革の時を迎えていると言えるでしょう。

コロナで一気に広まるテレワーク

働き方における変化の兆しは、数字でも明確に表れており、厚生労働省が提唱する「新しい生活様式」では、テレワークの積極的活用を推奨しています。

東京都が実施した「テレワーク導入率緊急調査」によると、従業員が30名以上の都内企業におけるテレワーク導入率は2020年3月時点で24.0%でした。しかし、緊急事態宣言が発出された4月には62.7%となり、わずか1カ月で導入率が2.6倍へと急増。また4月時点では、テレワークを実施する社員数も約5割に達しています。

緊急事態宣言解除後は出社率が高まっているという報告もありますが、西村経済再生担当相が2020年7月末、各企業のテレワーク率を7割にするよう、経済界へ要請する考えを発表するなど、今後もテレワークが定着すると予想されます。

「オフィスでしかできない仕事」とは何か

テレワークは企業側にとって、社員の通勤費・オフィス賃料・印刷代といった費用の削減を実現できます。つまり、テレワークのメリットに気づいた企業は、今後もテレワークを推進する可能性が高いのです。

そうなると、働く側には、テレワークを中心とした働き方への対応が求められます。当然、仕事の中には対面が前提になるものや、その場所に行かないと遂行できないものもあるはずです。どんな仕事をテレワークで実施し、どんな仕事をオフラインで実施するのか、見極めることも求められます。

評価軸は労働時間から成果へシフト

テレワークが広まることによって、人事評価制度も大きく変わる可能性があります。テレワーク中は個人の働く様子が見えづらいため、対面業務と異なり仕事のプロセスを評価しづらいからです。

日本企業の多くは、長らく「労働時間」を評価の基準として採用してきました。「長い時間働いている社員=頑張っている」といった価値観や、残業代ありきの給与制度などがこれに当たります。

しかし、テレワークが広がるニューノーマル時代には、労働時間を正確に把握することは困難です。ニューノーマル時代には、成果重視の評価軸へと切り替わっていく可能性が高いと言えます。働き手は、「我慢して会社に行っているのだから、給料がもらえるのは当然だ」という甘い考えは通用しません。どんなに頑張ろうと、成果を上げなくては評価されないという時代がもうすぐそこに来ているのです。

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ニューノーマル時代の面接は、新たな可能性を切り開く

ニューノーマル時代には、企業における採用活動のあり方も変わっていくと考えられます。中でも、変化が大きいのが面接です。対面が前提だった採用面接は、今後オンラインと対面型の併用になっていくでしょう。

オンライン面接のメリット、デメリット

PCなどを介して行うオンライン面接には、さまざまなメリットがあります。その中でも大きなメリットとして挙げられるのが、次のような点です。

  • 交通費や移動時間を節約できる
  • 面接機会を増やせる
  • 地方や海外といった遠隔地でも面接できる

上記のように、企業側・応募者側双方にメリットのあるオンライン面接ですが、次のようなデメリットもあります。

  • 非対面のコミュニケーションなので慣れが必要
  • 通信トラブルが発生する可能性がある
  • 画面越しでは分からない、空気感や雰囲気は把握できない

裾野が広がるオンライン面接

一長一短のオンライン面接において、大きなメリットと言えるのが裾野の広さです。遠隔地の応募者とも簡単に面接ができるため、従来は応募機会のなかった人にも門戸が開かれることになります。

これは、応募者側にとっても大きなチャンスです。企業の立地や自身のスケジュール・金銭面(交通費)を気にすることなく、純粋に興味のある企業の採用面接を受けられます。ただし、人気企業ではこれまで以上に優秀な人材が多く集まる可能性があり、競争倍率が高まることも予想されます。

面接はこれまで以上に準備が大切になる

オンライン面接が一般的になれば、「面接を受ける場所をどこにするのか」「通信環境は整っているか」といった、オンライン面接ならではの準備が大切になります。

オンライン面接は自由度が高い分、応募者側の採用に対する姿勢が如実に伝わります。準備不足の場合、「実際の仕事でも準備ができない人」と思われてしまう可能性もある点に注意しましょう。

営業や会議も対面からオンラインへ

オンライン化の波は採用活動にとどまらず、営業や会議といったビジネスシーンにも波及しています。対面からオンラインに変わることで、どのような点に注意が必要なのでしょうか。

オンライン営業だからこそ気をつけたいこと

オンライン営業は、距離的な制約を超えて、気軽に顧客と商談を進めることができるので、生産性は飛躍的に向上します。ニューノーマル時代には、出張という概念はなくなり、オンラインを前提とした営業スタイルが一般化するかもしれません。

その一方で、オンライン営業でも対面型の営業と同等の提案や説明をしなくてはなりません。WEB会議システムに実装されている資料を共有したりデモンストレーションしたりする機能を有効的に活用するようにしてください。

オンライン営業が普及したとしても、対面の営業が全くなくなるわけではありません。ニューノーマル時代では、オンラインと対面の営業を組み合わせ、効果的な営業ができるよう工夫をする必要もあるでしょう。

その会議は必要?効率性を重視したいWEB会議

アフターコロナのニューノーマル時代においても、人と人が意見を出し合い、物事の方向性や新しいアイディアを生み出す会議はなくなりません。会議といえば、3密空間において人が集うことが当たり前でした。ニューノーマル時代では3密空間を避けてWEB会議で実施することが一般化することになるでしょう。すでに、普及したWEB会議では誰しもがその有効性に気づいたはずです。アフターコロナでも、従来型の人が集まる会議は過去のものになる可能性が高いのです。

従来型の会議では、まったく意見を出さない参加者もたくさんいました。なぜ自分がこの会議に参加しているのか分からず、無駄な時間を過ごすこともあったでしょう。しかしアフターコロナ時代は、できる限り無駄を省き、高い成果を出すことが求められます。

ニューノーマル時代のWEB会議では、自分の存在感を示してしっかりと成果を出さなければ、次回以降は会議に参加できなくなるかもしれません。

コミュニケーションの取り方にも工夫を

ニューノーマル時代の働き方として、もう一点着目したいのがコミュニケーションの取り方です。コロナ禍において、業務の一部あるいは全部が在宅ワークになっている人も多いと思います。

このような働き方の中で、他の社員とのコミュニケーションの取りづらさを感じている人も少なくないでしょう。テレワークが一般化している現在、コミュニケーションの取り方も変革と工夫が求められるのです。

ニューノーマル時代に活用したいのが、社内チャットツールです。普段対面で交わしていたような些細な会話でも、WEB上で気兼ねなくやり取りできます。

>>「文字は独り歩きする」ビジネスチャットでモヤッとしないための心構え

ニューノーマル時代はビジネスモデル変革の時代

ニューノーマル時代はデジタル化やオンライン化が急速に進み、ビジネスモデルに変革が求められます。こうした変革に対応できるかどうかが、企業や働き手が生き残っていくための秘訣と言えるでしょう。

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見直しを迫られる「接客」「体験型」ビジネス

ダイレクトに影響を受けるのが、接客や体験型コンテンツを中核とするビジネスモデルです。飲食業や宿泊業、エンタテインメント産業など、業種は多岐に亘ります。

これらの産業ではその場所に行って、飲食などのサービス提供を受ける必要があるので、今後、急激に需要が縮小する可能性があります。アフターコロナにおいては、従来と同じ対面型の事業モデルが復活するという見方もあるかもしれません。しかし、コロナの影響が長期化するという「ウィズコロナ」という用語も普及してきました。「接客」「体験型」ビジネスには、今こそ変革が求められていると言えます。

そこで検討したいのが、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。ITの活用によって生活をより良い方向に変化させるDXには、従来型のビジネスモデルを一変させる可能性を持ちます。特に体験型の場合は、自宅に居ながらでもVRゴーグルを使って世界中を旅行するなど、さまざまな体験が可能になるかもしれません。
リスクを恐れず、ビジネスモデルを変革する必要があるのです。

>>アフターコロナのニューノーマル時代 飲食店はどう変わる?

自分自身や会社のビジネスを振り返る必要性

ニューノーマル時代は、過去の普通が通用しなくなり、過去の非常識が受け入れられる時代です。従来の枠組みにとどまっているようでは、新しいビジネスを生み出すことなど、到底できません。

まずは、今ある常識を打ち破ることです。誰も正解が分からない不透明な時代において、果敢に挑戦し、変化できる者が次の時代を生き抜くことができます。受け身の姿勢では、企業も従業員も淘汰されていきます。答えは、今の非常識の中にこそあるのかもしれません。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大は収束が見通せない状況ですが、アフターコロナでは従来と異なるニューノーマル時代がやってくると考えられます。テレワークや業務におけるオンラインの浸透はもちろんのこと、働き方やビジネスモデル自体が大きな転換点を迎えているのです。ニューノーマルという言葉には、現時点での常識が全く通用しない、異質な世界という語感もあります。来るべき異質な世界において自分が何をするべきか、考えてみてはいかがでしょうか。

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