アフターコロナのニューノーマル時代 飲食店はどう変わる?

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今までの常識が通用しなくなる・・・。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、ニューノーマル時代を生み出そうとしています。ニューノーマル時代では、人と人が距離を保つソーシャルディスタンスが一般化し、テレワークが当たり前になるなど、コロナ前後で人々の生活は一変することになるでしょう。それでは、飲食店はニューノーマル時代をどう乗り切ればよいのでしょうか。本記事では、飲食店が生き残っていくために必要な方策について解説します。

アフターコロナのニューノーマル時代とは

新薬やワクチンの開発により、新型コロナウイルス感染症の終息後をアフターコロナと表現することが増えてきました。アフターコロナでは、以前と変わらない生活が帰ってくるという考え方もあるかもしれません。しかし、新型コロナウイルスは、ウイルスの恐怖を人間に強烈に植え付けることになりました。また、遅々として進まなかったテレワークやデジタル化が進展し、もはや後戻りできない状態になりつつあります。つまり、アフターコロナでは、人々の価値観が変化しており、今までの常識が通用しないニューノーマル時代が訪れる可能性が高いのです。

ニューノーマル時代で人々の価値観が変化している以上、消費者行動も変化します。今までは、平日は目いっぱい仕事をし、金曜日の夜には居酒屋に繰り出し、休日は余暇を楽しむという生活が一般的でした。しかしアフターコロナでは、このような消費者行動は一変する可能性があります。そもそもテレワークなので、会社に行くという常識が通用しなくなるかもしれません。仕事の自由度が高まれば、平日でも余暇を楽しんだり、昼からお酒を飲む機会が増えたりするかもしれません。大切な人との食事でさえも、ソーシャルディスタンスが保たれたり、そもそもオフラインではなくオンラインでディナーを共にしたりするということもあるかもしれません。

アフターコロナと共に一般化している用語が、ウィズコロナです。もはや、コロナは終息せず、長期間にわたりコロナと共生する社会が築かれるという考え方です。そうなると価値観は、より強力に変化することになるはずです。飲食店は、このようなこれまでの非常識が常識になる時代を生き抜くことを求められているといえるでしょう。

飲食店に求められる変化1 ソーシャルディスタンス

ニューノーマル時代を生き抜くために飲食店に求められる変化として、ソーシャルディスタンスは避けて通れません。すでに、隣り合う席に座れないようにしたり、内装工事に着手したりする飲食店が増えてきました。

重要なことは、単純なソーシャルディスタンスを確保するだけでは、経営が成り立たないということです。ソーシャルディスタンスを確保すれば、客数は減りますが、家賃などの固定費は変わりません。ソーシャルディスタンスの確保により、売上は低下しやすいのです。

そのため飲食店は、客数の減少を客単価で上げる取り組みをしなければなりません。客にとって、ソーシャルディスタンスは広々とした食事スペースにつながります。食事のメニューの工夫などを行いながら、客単価を上げることも意識するようにしてください。

店舗内に収容可能な客の数が減るのであれば、店舗外の客をターゲットにするという考え方もあります。宅配事業の開始は、その代表例といえるでしょう。いずれの場合でも、ソーシャルディスタンスを確保して終わりという考え方ではなく、売上低下を防ぐ合わせ技を繰り出していくことが重要となります。

飲食店に求められる変化2 「味」以外の体験の訴求

コロナ以前では、味だけで勝負する飲食店も数多くありました。たしかに味覚は、人間の欲求を強く刺激し、「たまにはあの店で食べたい」と思わせることができたでしょう。しかし、アフターコロナでは、味覚を刺激する欲求だけでは、顧客を外出させる要因にはならないかもしれません。味+αの工夫が求められるのです。

飲食店は、味も重要な要素としながらも、決して家では味わうことができない「体験」を提供する必要があります。人間には、味覚以外にも視覚・触覚・聴覚・嗅覚という5感が備わっています。そのうちのどの感覚をどのように刺激するのかを考えなくてはなりません。視覚であれば、内装はもちろんのこと、食事の量、食事の色で刺激できるでしょう。視覚の場合は、SNSで拡散させやすいという特長もあります。料理の香りや、調理場からの音など、工夫次第で顧客の5感を刺激し、顧客に唯一無二の体験をしてもらうことはできるはずです。

今こそ、飲食店は味以外の自社の強みを作り出すべきです。今ある料理のメニューや食材、立地条件でどんな価値を顧客に提供できるのでしょうか。味さえよければ顧客が来てくれる時代は、ニューノーマル時代では通用しないかもしれません。

飲食店に求められる変化3 ニューノーマル世代の取り込み

ニューノーマル時代では、今までターゲットとしていた顧客が来てくれなくなる一方で、想定していなかった顧客が標的になるかもしれません。
地方にある、都市から離れた小さな居酒屋を例に挙げて考えてみましょう。今までは仕事終わりの会社員やその地域に昔から住む高齢者の男性がターゲットだったとします。しかし、テレワークで地域への移住者が増えれば、若年層が標的になるかもしれません。隠れ家的な昭和の雰囲気が評判を呼び、デートで使われるようになる可能性すらあります。

ニューノーマル時代、自社が経営する地域にどのような変化が起き、どのような顧客が標的になりうるのかを冷静に見つめなおし、店舗コンセプトを再定義する必要があるかもしれません。店舗コンセプトは、「誰に、何を、どのように」という視点で考えればよいでしょう。最上位に来る「誰に」が変われば、「何を」で考えるべき料理のメニューが変わってきます。重要なことは、「誰に」が劇的に変化する可能性があるということです。

新型コロナウイルスがもたらす変化は、私たちが考えているより早く訪れる可能性があります。今まで通りのコンセプトで店舗運営していては、いつのまにか顧客離れがおきて、本来は標的とするべき顧客が来店しづらいお店になりかねません。

ニューノーマル時代の飲食店経営の心構え

新型コロナウイルスは、外出自粛やソーシャルディスタンスの拡大により、飲食店や宿泊業者に多大な影響を与えました。この状況をただ指をくわえて見ているだけではニューノーマル時代を生き残ることはできません。資金繰りの目処が立ち、事業継続の見通しがついたならば、アフターコロナを見据えた対策を施さなければなりません。

もはや、経営環境は劇的に変化しています。飲食店は、自社の経営を早急に見直さなければ変化に追いつくことはできません。リスクを恐れていては、コロナに飲み込まれてしまいます。積極果敢な変化こそが、飲食店に求められているといえるでしょう。

当然、自社だけでやれることには限界があるはずです。新しいパートナーを見出したり、異業種と連携したりすることも視野に入れるようにしてください。今まで以上に、金融機関との関係性を良好に保つことも意識した方がよいでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスは、まったく予測がつかないニューノーマル時代を生み出そうとしています。ニューノーマル時代には、今までの常識が通用しなくなる一方で、新たな需要が生み出され、想定しなかった顧客が標的になるかもしれません。変化に対し、手をこまねいているだけでは生き抜くことができない時代が訪れようとしています。ニューノーマル時代に愛される飲食店の姿は、非常識の中にあるのかもしれません。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:香川大輔(中小企業診断士)

2015年4月中小企業診断士登録。製薬会社の医薬品分析やベンチャー企業での勤務を経て、ITベンダーで提案型のシステム営業として勤務、数多くのシステム提案実績を持つ。現在は独立し、地域密着型の中小企業診断士として、経営者に寄り添った計画づくりや補助金申請を行う。https://kagawa-c.biz/



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