リモートワークのデメリットとは?ITツールで乗り越えよう

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近年、働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってリモートワーク(テレワーク)が注目を集めています。リモートワークにはメリットもありますが、その一方でデメリットも複数存在します。導入や運用に際しては、こうしたデメリットにも目を向けて対策を取ることが必要です。

今回は、リモートワークのデメリットとして勤怠管理・コミュニケーション・ファイル共有・情報管理の4点を指摘し、それぞれITツールの力で解消できることを説明します。

長時間労働を防ぐ勤怠管理ツール

管理者の立場からすると、まず「従業員がさぼらないようにするにはどうすればいいか」と考えるかもしれません。しかし、調査によっては逆に「働き過ぎる」というデメリットが指摘されています。

デメリット1:長時間労働になりやすい

労働政策研究・研修機構が2015年に行った調査によると、従業員が考えるテレワークのデメリットとして最も多く挙がったのが「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」であり、次が「長時間労働になりやすい」でした。

パソコンやスマートフォンさえオンラインになっていればカフェでも自宅の寝室でも仕事ができてしまいます。勤怠管理ツールの導入は、ただ従業員が真面目に働いているかを「監視」するためだけではなく、従業員の心身の健康を保つためにも必要です。

ツールでリモートワークの勤怠管理

勤怠管理のコツとして、「その日に取り組むべき業務を明確にする」「進捗を報告させる」など、業務面でのルールや習慣の整備が挙げられます。それに加えて、クラウドの勤怠管理ツールの導入の検討をおすすめします。直接管理者が目で従業員の働き具合を把握できませんから、こうしたツールはリモートワークの運用に欠かせません。

こうした勤怠管理ツールの多くは、勤務時間や作業状況の記録・保管機能を持っています。オフィスでも始業時間や就業時間を記録するツール、あるいはタイムカードを活用しているかもしれませんが、クラウドのツールであればリモートワークでも同じような機能を使えます。

ただし、勤怠管理ツールはあくまでもタイムカードの役割を担うにすぎないため、勤怠管理ツールの使い方をしっかり取り決めておくようにしましょう。例えば休憩中の社員やその日の業務を終えている社員には業務メッセージは送らないなど、ソフトウェア面での運用も重要です

働き方改革関連法案への適応も容易になる

2019年4月から、順次働き方改革関連法案が施行されています。2020年4月からは中小企業でも時間外労働の上限規制が適用されるなど、企業規模の大小を問わず長時間労働させる企業への風当たりは強くなっています。

リモートワーク運用における勤怠管理ツールの導入は、社内で働き方改革を実現するためにも必要です。長時間労働を防ぐには、まず実態を把握しなければいけません。勤怠管理ツールによってこまめに勤務状況を確認し、働き過ぎの従業員に対して早めに手を打つことができます。

リモートワークの運用に加えて法令遵守の観点からも、勤怠管理ツールは必要不可欠の存在と言えるのです。

コミュニケーションのためのチャットツールとテレビ会議システム

長時間労働に加えて、リモートワークのデメリットとしてしばしば指摘されるのがコミュニケーション面でのハードルです。同じオフィスにいる相手であれば気軽に話しかけられますが、リモートワークであればそういうわけにはいきません。遠隔にいる相手と気軽にやり取りできる環境の構築も、リモートワークの生産性向上には必要なことです。

デメリット2:上司や同僚とのコミュニケーションが難しい

先にご紹介した調査によると、長時間労働の次にデメリットとして指摘されていたのが、「仕事の評価が難しい」「上司等とコミュニケーションが難しい」といった点です。

リモートワークでは、ある従業員の働いている場に他の同僚や上司が一人もいないことを前提としてルールや環境の整備を考える必要があります。ちょっとした会話が業務を円滑に進めたり、気分転換になったりすることは、働いたことのある人であれば経験的に知っているでしょう。リモートワークですとこうしたコミュニケーションに期待できなくなってしまうのです。これは大きなデメリットと言えるでしょう。

チャットツールで気軽なコミュニケーションが可能に

ほとんどの企業が、既にメールツールを導入しているでしょう。それ以外に、チャットでメッセージを交換できるツールも導入することをおすすめします。メールですとどうしても他の仕事関連のメールに紛れてしまい確認が難しいため、気軽にコミュニケーションを取るための手段としては不向きです。

今では、テクノロジー関連の大企業がさまざまなチャットツールをリリースしています。こうしたツールを活用できる文化を確立できれば、リモートワークであっても気軽に同僚・上司とコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

テレワーク導入に際してチャットツールの使い方や利便性を社内に周知し、できれば段階的にテレワークを導入していくことで、働き方改革への対応はスムーズになると考えられます。

テレビ会議システムで会話をスムーズに

テレビ会議システムも、リモートワークには欠かせません。新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってリモートワークを余儀なくされる労働者が増える中で、テレビ会議システムに対する注目が集まっています。

ただ会議をするときだけではなく、雑談やちょっとした仕事の相談にもテレビ会議システムは活用できます。もちろんチャットでもコミュニケーションは取れますが、相手の顔を見て声を交わすメリットも多いはずです。

安全に共有情報へアクセスするためのネットワークおよびファイル共有

リモートワークを導入する際には、異なる勤務環境から職場の共有情報へアクセスできる必要があります。同じオフィスに従業員がいるなら、特定のネットワーク内でなければ機密情報にアクセスできないよう設定してしまえばよいのですが、リモートワークであればそういうわけにはいきません。ファイル共有システムの整備が必要です。

デメリット3:共有情報へのアクセスが困難になる

労働政策研究・研修機構の調査では、その他のデメリットとして「共有情報等へのアクセスが難しい」といった点も指摘されていました。

ここには、2種類の問題があります。まずはセキュリティ面です。異なる環境から従業員だけが共有情報へアクセスでき、それ以外の無関係な人や悪意のある者がアクセスできないように制限を設ける必要があります。重要情報や個人情報の漏えいは、言うまでも無く企業ブランドや信頼、ビジネスの根幹を揺るがしかねない深刻な問題につながる可能性があります。

もう一つの問題は、アクセスのしやすさです。リモートワーカーが共有情報へアクセスできない、あるいはきわめてアクセスしづらい(そのために出社する必要がある、特別な承認を毎回得る必要があるなど)環境にあると、業務の生産性を致命的に損ねる可能性すらあります。セキュリティに配慮しつつ、リモートワークしやすい情報管理の方法を実装することが求められます。

VPNでリモートワークでも社内情報へ安全にアクセス

セキュリティ向上のために、VPN(Virtual Private Network)を構築している企業も多いでしょう。VPNとは、パブリックなインターネット上に仮想的なプライベートネットワークを設けることで、オフィス以外からでも安全に企業内部の情報へアクセスできるようにする技術です。通信内容が暗号化されるため、セキュリティリスクを低減できます。

今では、街中でも無料のWi-fi環境が整っています。しかしながらやり取りの盗聴やデータの改ざんなどといったリスクがあるため、大変危険です。リモートワークを導入するなら、安全にインターネット環境へ接続するためのVPN設定は欠かせません。

クラウドのファイル共有システムがリモートワークの生産性を向上

ファイルへのアクセスや情報の管理を容易にするために、クラウドのファイル共有システムの利用がおすすめです。勤怠管理ツールと同様、クラウド上で管理されるファイルストレージサービスであれば、場所やデバイスを問わずログインIDやパスワードさえあれば利用できます。部下のアップロードしたプレゼンテーション用の資料を、上司がスマートフォンでチェックするという使い方もできるわけです。

ファイル共有システムが整備されれば、オフィス内で働く従業員とリモートワーカーとの情報格差も解消されます。リモートワークの生産性向上のためには、こうしたツールの整備も必要になってきます。

グループウェアの導入で必要機能を集約

グループウェアは、ファイル共有やワークフローシステム、メール、掲示板などビジネスコミュニケーションに必要な機能を集約したツールです。ファイルや文字情報を含めたナレッジを一元的に管理したい企業が、ぜひ導入しておきたいツールと言えます。

デメリット4:重要書類や資料が分散してしまいがち

労働政策研究・研修機構の調査では、「書類や資料が分散する」というデメリットも挙げられていました。リモートワークをする従業員が各自のPCにファイルを保管してしまうと、他人はアクセスできません。

確かにファイル共有サービスを利用し、そこにファイルをアップロードするルールにすればファイルの散逸は防げるかもしれません。しかしチャットでアドバイスをしたこと、テレビ会議で周知したことなど、文字や言葉の情報は残らずに消えてしまいます。

グループウェアがメールやファイル保管などの機能を完備

グループウェアを導入すると、ファイル共有できるだけではなく掲示板やチャット機能まであるため、情報が流れていってしまうことがありません。上司のアドバイスや経営層のメッセージなど、文字で残されたナレッジの管理にもファイル共有サービスより向いています。

グループウェアの中にメール機能もあるため、リモートワークであればグループウェアを駆使するだけでほとんどの業務を回せるという人もいるでしょう。

コミュニケーションやワークフローもグループウェアでOK

グループウェアには、先に紹介したチャットツールのようなコミュニケーション機能だけでなく、全メンバーのスケジュールの一元管理機能、書類の申請から承認までできるワークフロー機能も備わっています。

これらの機能が別システムになっている企業も多いかもしれませんが、リモートワークの導入に合わせてグループウェアに機能集約させるのも一つのアイデアでしょう。

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まとめ

リモートワークには通勤時間や経費の削減、多様な人材の確保などさまざまなメリットがある一方で、今回ご紹介したようなデメリットも存在します。デメリットを補うためにはルールの整備も有効ですが、ツールを導入してシステム的に対策をとってしまうのも一つの方法です。クラウドで導入できる(システム対応の不要な)ツールも増えていますので、ぜひご検討いただければと思います。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:恵良 信(えら まこと)

システムエンジニア。大学院卒業後、大手SI企業・ソフトウェアハウスにてシステムエンジニアとして従事。基本情報技術者、応用処理技術者。ネットワークエンジニアやデータベースエンジニアとともに、基幹システムをはじめとして多数のシステム設計・開発・運用を担当した。特に交通系システム、商業施設系システムに精通している。現在はIT領域をメインとした記事執筆、法人向けシステム導入支援などを行うフリーランスとして活動中。



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