コロナによる影響を受けた事業者必見! 家賃支援給付金の対象者と申請方法は?

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新型コロナウイルス感染症の影響により一定の売上が減少した事業者に対して、最大600万円支給される家賃支援給付金制度が経済産業省のコロナウイルス支援策として2020年7月14日から開始されました。同給付金は持続化給付金と同様、申請は全てオンライン申請となっております。すでに受付は開始されておりますが、早くも書類不備等の報告が少なからずあるようです。家賃支援給付金を素早く受給するためにも、不備なく申請することが重要になります。今回は家賃支援給付金の対象者や申請方法などを詳しく解説します。

家賃支援給付金とは?

家賃支援給付金の概要

新型コロナウイルス感染症を契機とした2020年5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上減少に直面する事業の継続を支えるため、賃料(地代、家賃)の負担を軽減することを目的として、賃借人である事業者に対して給付金を支給する制度です。

申請の対象者

<法人の場合>
次の全ての要件を満たす法人

(1)2020年4月1日時点で、原則として資本金10億円未満の法人であること。

(2)2019年12月31日以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。

(3)2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、以下のいずれかにあてはまること。

1.いずれか1カ月の売上が前年の同じ月と比較して 50%以上減少していること。
2.連続する3カ月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して 30%以上減少していること。

(4)他人の土地・建物を自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益としていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。

<個人事業主の場合>
個人事業主の場合は上記法人の(2)~(4)の要件を満たす方が給付対象者となります。

なお、自宅兼事務所の方も支給対象となります 。この場合、居住部分は対象となりませんので、事業用の地代・家賃として税務申告している部分の金額を記載します。

売上減少要件

売上減少要件の「いずれか1カ月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減少している」とは、例えば、2019年5月の売上が100万円であった場合、2020年5月の売上は50万円以下(50%以上減少)となっていれば対象になります。
また「連続する3カ月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減少している」とは、例えば、2019年5月から7月(連続した3カ月間)の売上合計が100万円であった場合、2020年の5月から7月の売上合計が70万円以下(30%以上減少)となっていれば対象となります。

給付額の算定方法

給付額は法人と個人事業主の場合で異なります。具体的には次のとおりです。

<法人の場合>
法人の場合の給付額は、月額賃料が75万円以下であればその月額賃料の3分の2、月額賃料が75万円を超える場合には、75万円以下の家賃給付金相当額の50万円(75万円×3分の2)と、75万円を超える額に3分の1を乗じた額を加算した金額(100万円が上限)となります。
給付金の上限は、月額給付額(上限100万円)の6倍の最大600万円となります。

給付額の算定例

(1)月額賃料20万円の場合
賃料20万円×2/3×6=80万円

(2)月額賃料90万円の場合
75万円×2/3×6=300万円
(90万円―75万円)×1/3×6=30万円
300万円+30万円=330万円

<個人事業主の場合>
個人事業主の場合の給付額の計算は、月額賃料が37.5万円以下であればその月額賃料の3分の2が、月額賃料が37.5万円を超える場合には、37.5万円以下の家賃給付金相当額の25万円(37.5万円×3分の2)に37.5万円を超える額に3分の1を乗じた額を加算した金額(50万円が上限)となります。
給付金の上限は、月額給付額(上限50万円)の6倍の最大300万円となります。

なお、給付額は、申請日の直前1カ月以内に支払った金額を算定の基礎とします。
2020年4月1日以降に賃料の変更があった場合は、2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている1カ月の賃料と比較して、いずれか低い方の金額が給付額の算定の基礎となりますので、賃料の変動があった場合は金額間違いをしないように気を付けましょう。

給付額の算定の基礎となる契約・費用とは?

給付額の算定の基礎となる契約

給付の対象となる契約は、2020年3月31日時点で、有効な賃貸借契約があること、申請日時点で、有効な賃貸借契約があること及び申請日より直前3カ月間の賃料の支払いの実績があることの全ての要件を満たす必要があります。
また、転貸(又貸し)を目的とした取引、賃貸人と賃借人が実質的に同じ人物の取引(自己取引)や賃貸人と賃借人が配偶者又は一親等以内の取引(親族間取引)は給付の対象とならない契約となりますので注意が必要です。
したがって、親から借りている地代や、賃貸人が賃借人の代表取締役である場合(自己取引に該当)は給付金の対象とはなりません。

対象・対象外となる費用

賃料、共益費及び管理費が給付の対象となり、水道光熱費、保険料、敷金、礼金、動産の賃借料などの費用は対象外となります。なお、消費税分も対象となります。
ただし、共益費および管理費が、賃料について規定された契約書と別の契約書に規定されている場合は、給付額算定の対象には含まれません。
賃料については、地代・家賃として税務申告しているなど申請者自らの事業のために使用・収益としている土地・建物の賃料が対象となります。
また、賃借人が借りている土地・建物の一部を第三者に転貸した場合、自らが使用・収益としている部分のみが給付対象となります。その場合の申請は転貸している部分の金額を減額して申請することとなります。

申請方法について

申請期間

給付金の申請期間は、2020年7月14日から2021年1月15日までとなります。

申請方法の手順

申請方法は、持続化給付金と同様にオンラインでの申請となります。
まずは、家賃支援給付金ホームページへアクセスしてマイページを作成します。その際にID・パスワードを設定しますので忘れないようメモを取っておきましょう。
マイページを作成したら添付書類を事前に準備して、会社情報、賃貸借情報、売上情報、口座情報などを入力(必要に応じて書類を添付)していきます。入力が完了したら申請ボタンを押して申請完了となります。不備などがあればメールでお知らせがきますので事務局からのメールの確認漏れがないように注意しましょう。

主な添付書類

<法人の場合>
法人の場合の主な添付書類は、誓約書、2019年確定申告書別表一の控え、法人事業概況説明書の控え(両面)、受信通知(e-tax申請の場合)、売上関係資料 (会計ソフトやエクセルで作成したものなど)、通帳、賃貸借契約書の写し、直近3カ月分の賃料の支払い実績を証明する書類(通帳の見開きページ及び記帳面、振込明細書、領収書など)です。なお、売上関係書類については、売上金額や期間に下線を引くこと、賃貸借契約書については、賃貸借契約であることが確認できる箇所、土地・建物の契約であることが確認できる箇所、対象の物件の住所がわかる箇所、申請する該当費用(賃料、共益費、管理費)などに印をつけるよう指示がなされております。

<個人事業主の場合>
個人事業主の主な添付書類は、上述した法人の確定申告書別表一の控え及び法人事業概況説明書の控え(両面)に替えて、確定申告書第一表の控え及び月別売上の記入のある2019年分の所得税青色申告決算書の控え(両面)となります。

添付書類の保存形式は、PDF・JPG・JPEG・PNG形式となります。また、画像の容量は1ファイル10MBまでとなります。
なお、各書類は1書類につき1ファイルまで添付できます。書類が複数ページにわたる場合は、全ページを1つのPDFファイルに出力して添付するようにしましょう。

よくある不備事項

7月14日に申請が開始されましたが、よくある不備が公開されております。主な不備の内容は次のとおりです。

  • 確定申告書の別表一または確定申告書第一表ではなく、消費税の確定申告書が添付されている。
  • 該当する年度のものではない古い確定申告書が添付されている。
  • 申請画面で入力した売上と、確定申告書に記載されている売上が異なる。
  • 法人事業概況説明書の1枚目に売上の記載がない。
  • 法人事業概況説明書の2枚目に月別の売上の記載がない。
  • 確定申告書別表一または確定申告書第一表の控えの収受日付印がない。
  • e-Taxの受信通知が添付されていない。
  • 売上台帳の売上と、入力した売上が一致しない。
  • 売上台帳の月・期間と、入力時に選択した月・期間が一致しない。
  • 売上台帳ではなく、勤務日報、通帳の入金記録、請求書などを添付している。
  • 今年の売上台帳ではなく、昨年の売上台帳を添付している。
  • 添付された売上台帳に記載されている月が対象期間外になっている。

創業特例、連結納税特例、罹災(りさい)特例、公益法人特例や賃貸借契約書の賃貸人の名義と現在の賃貸人の名義が異なる場合など家賃支援給付金制度はイレギュラーケースにも対応しております。さまざまなケースに応じた書類が適宜必要となりますので、イレギュラーケースなどの場合には交付要領を参照してください。

まとめ

不備事項があると全体の給付の遅れにつながります。早く給付を受けるためには、申請要領を確認し不備なく申請することが重要となります。
今後、2020年1月~2020年3月の間に設立(開業)した法人や個人事業主についても給付対象に含める方向で検討しているとのことですので、経済産業省の最新情報は随時チェックするようにしましょう。

【参考】
中小企業庁 家賃支援給付金
経済産業省「家賃支援給付金に関するお知らせ」
中小企業庁 家賃支援給付金申請要領中小法人等向け別冊

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。



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