大手外資の日本法人、わざわざ「合同会社」に乗り換えるメリットは?

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2018年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「GAFA」。世界を席巻する巨大IT企業のGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとった言葉ですね。

もちろん各社とも日本に進出しており、いずれも東京に日本法人が置かれています。そのうちFacebookをのぞく3社は、もともと株式会社でしたが今は「合同会社」に移行していることをご存知でしょうか。

実はここ数年、合同会社の設立件数が急増しています。わざわざ株式会社から合同会社に“乗り換える”、そのメリットとは?

※追記:12月13日にパススルー課税制度について追記いたしました。

「合同会社」が急増 大手外資もこぞって“乗り換え”


現在、国内で新たに設立できる会社形態は「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4つがあります。そのうち、2006年5月施行の新会社法で「有限会社」が廃止されると同時に、新たに設けられたのが「合同会社」です。

合同会社は、アメリカの「LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)」という会社形態をモデルに、日本で導入されました。

アメリカでLLCはすでにメジャーな会社形態となっていますが、日本でも合同会社が徐々に浸透しています。東京商工リサーチによると、新設法人の合同会社の割合は、2013年の13.1%から2017年は20.4%まで上昇しています。

すでに触れたとおり、株式会社からの乗り換えも珍しくありません。冒頭の「GAFA」の3社以外にも、大手外資系企業の日本法人であるボーズ、ワーナーブラザースジャパンなどが株式会社から合同会社へと組織変更しています。

合同会社の最大のメリットは設立コストの低さ

あらためて合同会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 創業支援を手掛ける公認会計士で税理士の田中宏征さんに聞きました。

――合同会社のメリットについて教えてください。

田中さん:最大のメリットとして、合同会社は、株式会社よりも設立コストを抑えられるということがあります。

これから会社を設立して、新規事業をスタートするとします。もちろん、大きな資本を投入して、初めから大きなビジネスを展開する場合には、信用の面で株式会社の方が良い場合もあるかもしれません。

しかしながら、まずは小さくてもとりあえずスタートして、徐々にビジネスを大きくしたいと思ったら、会社設立費用も抑えたいと考えるかと思います。その場合、コスト面で合同会社はメリットがあると言えます。

まず、会社設立時の登録免許税が、株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円と合同会社の方が低く設定されています。

次に、合同会社は株式会社と同様設立時に定款を作成しなければなりませんが、作成後に公証人による認証を受ける必要はありません。定款の認証手数料が5万円かかりますので、登録免許税とあわせて14万円の差があることになります。

会社設立にかかる費用
株式会社 合同会社
登録免許税 15万円~ 6万円~
定款印紙代(電子定款の場合は0円) 4万円 4万円
公証人による定款認証手数料 5万円 なし(0円)
定款謄本手数料 2,000円 2,000円
合計 24万2,000円~ 10万2,000円~

株式会社から合同会社へ乗り換えるメリットは?

――設立だけでなく、大手外資企業などが株式会社から合同会社に“乗り換える”ケースもよく見られます。どのようなメリットがあるのでしょうか?

田中さん:会社設立時に合同会社の方がコストを抑えられることはご理解いただけたかと思いますが、Googleのような大きな会社が、なぜ、株式会社から合同会社へ乗り換えるのでしょうか。

それは、合同会社は株式会社よりもシンプルな形態であるということが理由かと思います。

ご存知のとおり、株式会社の場合は出資者としての株主と、経営を預かる取締役に分かれています。いわゆる所有と経営の分離ですね。

一方、合同会社の場合は出資者自身が経営の方針を決定し、業務も遂行することになります。つまり、所有と経営が一体となった運営がなされます。そのため迅速な意思決定ができるというメリットがあります。また、株式会社と異なり、出資比率に関係なく自由に利益配分を決定することもできます。

また、合同会社の場合は決算公告が不要ですし、役員の任期もありませんので重任登記も不要です。したがって、経営者1人で始めるような場合、これらのコストを抑えることができるということもメリットかと思います。

親会社がアメリカにある場合は、日本にある子会社が合同会社だとアメリカの税制上、パススルー課税(法人や組合などの組織には課税せず、構成員に対して課税する制度)を選択することが可能になります。アメリカの親会社が、税務上のメリットを享受することもあります。

――合同会社と株式会社で、税制面における違いはありますか?

田中さん:合同会社も株式会社も法人です。したがって、両者に税務上の取り扱いの差はないと考えていただいて結構です。合同会社だからといって株式会社に比べて税務上のメリットが制限されることがありませんので、個人事業主からのステップアップとして、合同会社を考える意味はあるかと思います。

【取材協力】田中 宏征(公認会計士/税理士)
税理士法人ビジネスナビゲーション (経済産業省認定 経営革新等支援機関)
ビジネスナビゲーショングループでは創業期の会社向けのサービスパック“BN Smart Start-up”をリリース。経営のちょっとしたお悩みから煩雑な事務処理の一括受託まで、まるっとサポート。
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参考|2017年「合同会社」の新設法人調査(東京商工リサーチ)

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

Bizpedia編集部

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