• 更新日 : 2020年6月10日

別途積立金とは

別途積立金とは企業会計における利益剰余金のうち、法律による積立が義務付けられていない「任意積立金」の一種である。任意積立金には修繕積立金や配当積立金などの勘定があるが、別途積立金にはほかの積立金と異なり「目的が限定されていない」という特徴がある。
なお、貸借対照表上の勘定科目としては純資産の部・利益剰余金・その他利益剰余金に属する。

別途積立金の考え方

任意積立金と繰越利益剰余金はいずれも利益剰余金の一部であるが、繰越利益剰余金は利益処分対象になるのに対し、任意積立金は株主の判断によって利益処分対象としないことに違いがある。任意積立金は使用目的別に2つに分けられ、特定の目的があるものを「目的積立金」、目的を持たないものを「別途積立金」という。
別途積立金はいわゆる「内部留保」のひとつとして位置づけることもできる。別途積立金には前述の通り目的が限定されていないが、余裕資金・配当財源・配当余力などに役立てられる。この点においては未処分利益の性格に類似するものといえる。(ただしこれは概念上の話であり、その会計上の位置づけや扱いは全くの別物である)

会社法における任意積立金の扱い

かつての税法では、積立金は企業が提出する「利益処分案」を株主総会が承認することにより積立・取崩を決定していた。しかし会社法の制定以降、積立金を取り崩す場合は任意積立金の内容により株主総会の決議を必要としなくなった。
たとえば圧縮積立金や特別償却準備金など租税特別措置法上の準備金は、会社計算規則第百五十三条により、剰余金の項目に係る額の増加する剰余金の項目または減少する剰余金の項目の場合、株主総会の決議を必要とせず行うことができる。
なお、株主総会の決議によって承認された任意積立金は、目的外の取崩の場合は株主総会の決議が必要になるが、決議された目的にそった取崩を行うなら株主総会の決議は不要となる。

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