- 作成日 : 2025年12月10日
シーシャ屋は儲からないって本当?開業資金、年収、失敗しないための秘訣を解説
「シーシャ屋は儲からない」「やめとけ」という声を聞くことがありますが、それは必ずしも真実ではありません。確かに、他の飲食業態とは異なる特有の難しさや、安易な開業による失敗・廃業のリスクは存在します。しかし、しっかりとした計画と戦略があれば、十分に収益を上げることが可能です。
この記事では、シーシャ屋(シーシャバー、水タバコ専門店)がなぜ「儲からない」と言われがちなのか、その背景にある開業資金やコスト構造、そして失敗を避け、安定した経営を実現するためのポイントまで、分かりやすく解説します。
目次
なぜ「シーシャ屋は儲からない」と言われるのか?
主に、予想以上にかかる初期投資と運営コスト、集客の難しさ、そして法規制への対応といった、シーシャ屋特有のビジネス上の課題があるためです。
シーシャは、独特のリラックス空間とコミュニケーションを楽しむ文化として人気を集めていますが、ビジネスとして成り立たせるにはいくつかのハードルが存在します。
高い初期投資と設備費
シーシャ屋を開業するには、店舗の物件取得費や内装費に加え、シーシャ機材一式、そして煙を適切に排出するための強力な排煙・換気設備が不可欠です。この排煙設備工事には数百万円単位の費用がかかることもあり、初期投資が予想以上に膨らむ要因となります。
意外とかかる運営コスト(フレーバー仕入れ、人件費)
シーシャのフレーバーは輸入品が多く、仕入れ価格が比較的高めです。また、お客様に快適な時間を提供するためには、ドリンク作りや接客だけでなく、シーシャの準備・交換・清掃といった専門的な作業が必要となり、相応の人件費(店長、バイトスタッフなど)がかかります。炭代や設備のメンテナンス費用も継続的に発生します。
集客の難しさと競合激化
シーシャはまだニッチな市場であり、ターゲットとなる顧客層が限られます。また、近年シーシャバーの数は増加傾向にあり、特に都市部では競争が激化しています。新規顧客を獲得し、リピーターになってもらうための継続的な努力が必要です。
法規制とイメージの問題
シーシャ(水タバコ)はたばこ事業法や健康増進法、場合によっては風営法などの規制対象となります。これらの法令を遵守するための対策(例:20歳未満の入店禁止、喫煙専用室の設置など)が必要です。また、「たばこ」に対するネガティブなイメージが、集客の妨げになる可能性も考慮しなければなりません。
シーシャ屋の開業資金はどれくらい必要か?
店舗の規模や立地、内装へのこだわりによって大きく変動しますが、概算で500万円〜1,500万円程度かかることが多いと言われています。その内訳として特に、排煙設備の工事費が大きな割合を占めることがあります。
主な初期投資の内訳
- 物件取得費:保証金、礼金、仲介手数料など。(都心部では高額に)
- 内装工事費:デザイン費、施工費。居心地の良い空間づくりが重要。
- 排煙・換気設備工事費:シーシャ屋の生命線。最もコストがかかる部分の一つ。
- シーシャ機材購入費:本体、ホース、ボウル、ヒーターなど一式×席数分。
- フレーバー・炭仕入れ費:開業当初に必要な量の確保。
- 厨房・ドリンク設備費:ドリンク提供に必要な最低限の設備。
- 家具・什器費:ソファ、テーブル、照明、音響など。
- その他:POSレジ、広告宣伝費、許認可申請費用など。
- 運転資金:開業後、経営が軌道に乗るまでの数ヶ月分の家賃、人件費、仕入れ費など。
シーシャ屋の利益構造と年収の目安は?
売上の中心はシーシャ代とドリンク代で、適切な原価管理と客単価の維持が利益確保の鍵となります。オーナーの年収は、店舗の規模や収益性によって大きく変動します。
売上の構成要素
- シーシャ代:1台あたり1,500円〜3,000円程度が相場。
- ドリンク代:ソフトドリンク、アルコール類など。
- チャージ料(席料):設定している店舗も多い。
- その他:フードメニュー、物販(シーシャグッズなど)。
主要なコスト
年収の目安
「シーシャ屋 オーナー 年収」といった検索も多いですが、一概にいくらとはいえません。個人経営の小規模な店舗であれば、オーナー自身が店長として働き、一般的な会社員と同等(300万円〜600万円程度)の収入を得るのが現実的な目標となることが多いでしょう。もちろん、人気店となり、複数店舗を展開するなど事業が拡大すれば、年収1000万円以上も不可能ではありませんが、そのためには卓越した経営手腕が必要です。
シーシャ屋経営で失敗・潰れる原因は?
甘い資金計画、集客戦略の失敗、サービスの質の低下、そして法令遵守の不備などが、廃業(潰れる)に至る主な原因として挙げられます。
甘い資金計画と運転資金不足
初期投資の見積もりが甘かったり、開業後の売上予測が楽観的すぎたりして、早い段階で運転資金が尽きてしまうケースです。特に「思ったよりコストがかかった」という声は多く聞かれます。
集客不足とリピーター獲得の失敗
お店の存在を知ってもらえず、新規顧客が獲得できない、あるいは一度来店したお客様が再来店してくれない、という状況です。シーシャはリピーターの存在が非常に重要となります。
質の低いサービス・商品
シーシャの味が安定しない、店内の清掃が行き届いていない、スタッフの接客態度が悪い、といった基本的なサービスの質の低さは、顧客離れに直結します。
法令遵守の不備
風営法の無許可営業(深夜営業など)、受動喫煙防止条例への違反(標識の未掲示、喫煙室の基準不適合など)、20歳未満の入店などが発覚した場合、行政指導や営業停止処分を受け、経営継続が困難になる可能性があります。
儲かるシーシャ屋にするためのポイントは?
独自のコンセプトを打ち出し、居心地の良い空間と高品質なシーシャを提供し、適切なコスト管理と集客努力を継続することが成功の鍵です。
① 明確なコンセプトとターゲット設定
「どんな雰囲気で」「誰に」「どのようなシーシャ体験を提供したいのか」を明確にします。例えば、「初心者向けのカフェ風」「隠れ家的なバー風」「特定の趣味と組み合わせた空間」など、コンセプトを具体化することで、内装やメニュー、価格設定の方向性が定まります。
② 魅力的な空間づくりと居心地の良さ
シーシャは滞在時間が長くなる傾向があるため、お客様がリラックスして過ごせる空間づくりが非常に重要です。ソファの座り心地、照明の明るさ、BGM、清潔感などにこだわりましょう。
③ 高品質なシーシャとドリンクの提供
美味しいシーシャを提供できるかどうかは、お店の生命線です。フレーバーの種類を豊富に揃えるだけでなく、スタッフ(店長、バイト)の知識や技術を高め、常に安定した品質を提供することが求められます。ドリンクメニューにもこだわり、シーシャとの相性を考えた提案ができると良いでしょう。
④ 適切な価格設定とコスト管理
安売り競争に陥らず、提供する価値に見合った価格を設定します。そのためにも、フレーバーや炭などの原価計算を正確に行い、無駄なコスト(過剰な仕入れ、光熱費など)を削減する努力が不可欠です。
⑤ 集客戦略(SNS活用、イベント開催)
InstagramやX(旧Twitter)など、写真映えするSNSはシーシャ屋と相性が良いです。店内の雰囲気やシーシャの写真を積極的に投稿し、お店の魅力を伝えましょう。初心者向けの体験会や、常連客向けのイベントなどを開催するのも、新規顧客獲得やリピーターとの関係構築に有効です。
⑥ 法令遵守の徹底
開業前に、たばこ事業法、健康増進法、風営法(深夜営業する場合など)といった関連法規を十分に確認し、必要な許認可を取得し、ルールを遵守した運営を徹底します。
フランチャイズ加盟は有効な選択肢か?
未経験からシーシャ屋を開業する場合、フランチャイズ(FC)への加盟は、リスクを低減し、早期に事業を軌道に乗せるための有効な選択肢の一つとなりえます。
フランチャイズのメリット
- 確立されたブランド力と集客力:本部のブランドイメージを利用できるため、ゼロから認知度を高めるよりも集客しやすい場合があります。
- 運営ノウハウの提供:シーシャの作り方、接客マニュアル、仕入れルート、物件選定、許認可申請のサポートなど、開業から運営までのノウハウを提供してもらえます。
- 研修制度:スタッフ向けの研修制度が整っている場合が多く、サービスの質を均一化しやすいです。
フランチャイズのデメリット
- 加盟金・ロイヤリティ:開業時に加盟金、運営中は毎月売上に応じたロイヤリティの支払いが必要です。これが収益を圧迫する要因にもなりえます。
- 経営の自由度の制限:メニュー、内装、サービス内容などが本部によって定められており、オーナー独自のアイデアを反映させにくい場合があります。
- 本部の経営状況の影響:本部の経営が悪化したり、ブランドイメージが低下したりすると、加盟店もその影響を受けます。
フランチャイズに加盟する場合は、契約内容を十分に理解し、本部のサポート体制や経営方針が自身に合っているかを慎重に見極める必要があります。
「儲からない」を乗り越え、愛されるシーシャ屋へ
本記事では、「シーシャ屋は儲からない」と言われる背景にある課題と、その中で成功するためのポイントについて解説しました。
シーシャ屋経営は、他の飲食店とは異なる特有の難しさがありますが、魅力的な空間と美味しいシーシャ、そして心のこもったサービスを提供できれば、熱心なファンを獲得し、安定した収益を上げることが可能です。「儲からない」という声に惑わされず、しっかりとした事業計画と競合との差別化戦略、そして法令遵守の意識を持って挑戦することが、成功への道筋となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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