
経費承認にかかる時間が半減、月3,000枚分の領収書をペーパーレス化。仕訳や科目のカスタマイズで建設業特有の経費科目にも対応!
経営企画部財務管理室 坂上卓様
経営企画部財務管理室 吉原望来様
- 導入サービス
- 経費
- 業種
- 建設・不動産
- 事業規模
- 法人(501~1000名)
同社はペーパーレス化による経費精算業務の効率化を目指し、1年間の選定期間を経て、マネーフォワード クラウド経費を導入しました。今回は導入に至った経緯や課題、導入後の効果についてお話を伺います。
ワークフローと紙の二重管理で経費精算が複雑化。月3,000枚の領収書を保管する物理的・人的コストが悩み

ーマネーフォワード クラウド経費を導入する前の経費精算フローを教えてください。
宮澤様:導入前の経費精算フローは次のとおりです。
まず領収書をコピー用紙に貼り付けてからスキャンし、PDF化します。PDFを旧ワークフローシステムにアップロードしたら、申請者が仕訳と金額を入力して申請書データを作成していました。紙で出力した申請書は領収書原本とともに、上席者や予算管理者など3〜4名に回覧された後、データ上の承認が行われます。各本支店で承認されたデータは、本社の財務管理室で最終のデータ承認を行い、それが終わり次第、紙の申請書と領収書は各本支店で保管する…という流れでした。
一ヶ月あたりの経費申請者は500〜600名ほどで、申請件数は1,000件、領収書は3,000枚にも上ります。さらに申請の半数を占める交通費の精算においては、移動区間と金額を承認者がスムーズに確認するための専用フォーマットを別途提出していました。
ーマネーフォワード クラウド経費を導入する前に感じていた課題をお聞かせください。
宮澤様:紙とワークフローシステムを併用するという、以前の経費申請フローには多くの課題がありました。 1つ目の課題は、紙管理に伴う手間とコストの高さです。領収書の貼付やスキャンなど、生産性の低い作業に手間がかかるだけでなく、書類を各本支店へ送る郵送代なども発生します。また、作業過程での書類の紛失リスクも課題に感じていました。
承認者としても書類の管理・保管は悩みの種でした。申請書と月3,000枚もの領収書をファイリングする際の人的コストはもちろん、賃貸倉庫を利用したり、保管用のダンボールやファイルを大量に購入したり、さまざまな費用がかかっています。例えば領収書貼付には申請者一人あたり平均5枚のコピー用紙を使用するため、領収書の台紙のためだけに毎月2,500〜3,000枚の紙が消費されていました。
2つ目の課題は、誤入力による修正の多さです。旧システムでは、消費税区分やインボイスの有無により選択肢が細分化されており、勘定科目の選択ミスが起こりやすい状況となっていました。勘定科目や摘要名を修正することで、紙の申請書も差し替える必要が出てくるため、そのような修正対応による無駄な手間が承認者の負担となっていました。
3つ目の課題は、申請・承認業務に要する時間の長さです。申請者は領収書を台紙に貼付し、ワークフローに入力するのに10〜20分要します。また、財務管理室では多いときで日に80件の申請がある経費の承認に毎日2時間費やしており、日々の中心業務になっていました。財務管理室における最終承認の主な作業は科目や金額、社内ルールに適合しているかどうかのチェックですが、工事部門と内勤部門で経費科目が細分化されているといった建設業特有の事情もあり、一般的な経費承認に比べてチェック作業も複雑だったと思います。
吉原様:承認待ちの申請があっても、以前の経費精算フローでは領収書原本が届かない限りシステムとの照合ができません。この待機時間も処理スピードを遅らせていた要因でした。
3社の経費精算システムを1年かけて比較・検討。トライアルを経て、連携サービスが豊富なマネーフォワード クラウド経費に決定

―マネーフォワード クラウド経費導入の背景と、システムの選定基準を教えてください。
宮澤様:従来の経費精算フローは、社員から「もっと時代に合った方法があるのではないか」という声が上がっていました。電子帳簿保存法への対応も迫られるなか、業務改善の必要性を強く感じ、システム導入を考え始めたのです。
2022年10月より経費精算システムの情報収集を進めた結果、マネーフォワード クラウド経費を含む3社のシステムが候補に上がりました。そのなかからシステムの導入コストを考慮して早い段階で2社に絞り、マネーフォワード クラウド経費ともう1社でトライアルに進み、慎重に比較・検討をおこないました。
―マネーフォワード クラウド経費導入の決め手となったポイントがあればお聞かせください。
宮澤様:マネーフォワード クラウド経費の導入を決定したのは2023年10月です。最終候補のシステムとは価格や使い勝手ともに互角でしたが、大きな決め手となったのは、マネーフォワード社の営業担当者の対応でした。検討過程でたびたびシステム説明やデモを依頼したのですが、マネーフォワード社はすべて快く受け入れてくださり、社内デモンストレーションを10回以上実施していただきました。そこで築いた信頼がその後の社内交渉にも効果を発揮したと感じています。
さらに、2,500を超える豊富なサービスと連携できることも決め手のひとつでした。また、他社システムではコーポレートカードを前提としたサービス連携が多く、カードを持たない当社のケースでは導入ハードルが高いと感じました。一方、マネーフォワード クラウド経費は従業員ごとに発行する個人IDさえあれば、交通系ICデータや電子マネーといった外部サービスと連携でき、明細が取得できます。カード発行はハードルが高いと感じる企業には魅力的だと思います。
運用面で障害が生じないかを十分に検討し、デモやトライアルを通して実務のイメージを各関係者に事前に掴んでもらったことなどから、社内稟議は問題無く通りました。システム導入の社内告知の際も、紙での運用が廃止されることに対するポジティブな反応が多かったです。
作成したワークフローは200パターン!「サポートサイトの手順どおりにやれば、特に困ることはない」
―マネーフォワード クラウド経費の社内定着にあたり、従業員におこなったサポートがあれば教えてください。
宮澤様:当初2024年1月頃からの稼働を予定していましたが、社内で検討を重ねた結果、もう少し時間をかけて定着を目指すことになりました。おかげで従業員に対する説明会を多く開催できたことや、運用面の課題や疑問を網羅的にカバーしたマニュアルやQ&Aの整備といった時間に費やすことができました。
吉原様:特に有意義だったのは承認パターンを細かく設定できたことです。部門ごとに承認者を変えたり、ルート分岐を設定したり、約200パターンのワークフローを作成しています。これにより申請が自動的に正しい承認者に回るようになり、処理がスムーズになりました。
宮澤様:準備期間中はマネーフォワード社のサポートサイトを活用しました。設定の手順や操作方法がわかりやすく説明されており、実際の設定画面の画像も掲載されています。画面に沿って設定を進めればいいので、特に困ることはありませんでした。サポートサイトで解決できない場合は、導入支援担当者とのやり取りを通して解決しています。
宮澤様:こうして2024年7月に本店・支店・営業所でマネーフォワード クラウド経費の一斉稼働を開始しています。まずは本社のみで利用を始めるといった段階的な導入も検討しましたが、かえって混乱を招くのではと懸念がありました。定着に時間をかけたことも加味し、全社一律での稼働に踏み切った次第です。
申請時間は1/6に短縮、承認もスマートフォンで可能になりタイムラグが解消

―マネーフォワード クラウド経費を導入した後の経費精算フローを教えてください。
坂上様:導入後の経費精算フローは次のとおりです。
まず、領収書の内容をOCR入力やオペレーター入力で取り込みます。すると金額や支払先、適格請求書発行事業者登録番号などが自動的に反映されるので、申請者は内容を確認し、間違いがなければ経費科目等を補完的に入力し、承認者を選択後に申請します。たまに読み取りができず修正することもありますが、許容できる範囲かと思います。承認者は申請内容を確認し、財務管理室での最終承認を終えたら紙の領収書は破棄する…という流れです。

―マネーフォワード クラウド経費導入後の具体的な効果についてお聞かせください。
宮澤様:具体的な導入効果は3つあります。
1つ目は、紙での運用を廃止したことにより業務の効率化が大幅に進んだことです。紙が不要になったことで外出先からでも経費申請ができるようになり、現場に直行直帰する従業員もスムーズに精算が可能です。また、承認者も領収書の到着を待たずにPCやスマホアプリですぐに承認できるため、無駄な待ち時間も削減でき、ストレスなく作業を進められるようになりました。文書管理にかかるダンボール代・用紙代の出費もなくなり、コストも削減できました。
2つ目は、領収書読み取り機能により手入力が減少したことです。OCR入力・オペレーター入力による領収書の読み取りと自動仕訳機能のおかげで、申請者の手作業が減少し、誤入力の予防に高い効果を発揮しています。また、旧システムに存在した無駄な項目や選択肢を極力削減したことから、申請者が入力すべき項目が以前と比べ少なくなったこともミス防止に起因していると考えられます。数をこなして不慣れさから来るミスがなくなれば、差し戻しはさらに減っていくと思います。
3つ目は処理時間を削減できたことです。申請者が経費申請にかかる時間は、従来の10分からおよそ半減して5分ほどに短縮されました。要因として考えられるのが、領収書のコピー用紙への貼り付け作業が無くなったこと、経費精算のための各種専用書式を作成する手間が無くなったことなどから、工数が減少しました。
吉原様:作業時間が短縮したのは承認者も同様です。以前は申請内容を確認するため、毎回紙やPDFの領収書を開いて照合しなければなりませんでしたが、導入後は領収書と仕訳内容を一画面で確認できるようになりました。効率よくチェックできるようになり、以前は1日2時間程度かかっていた承認作業が、現在は1時間弱にまで短縮されています。マネーフォワード クラウド経費は承認者の視野や導線がよく考えられていると感じます。
宮澤様:オペレーター入力もかゆいところに手が届く機能だと思います。一般的な領収書やレシートの読み取り精度が高いのはもちろん、手書きの領収書にも対応できる点は非常に優れていると思います。特に飲食店は手書きの領収書が発行されることが多いのですが、機械での読み取りが難しくてもオペレーター入力ならば人の目が入るので、安心して利用できますね。
ほかにはチャット機能も有効活用しています。以前は申請者による科目相違などの修正依頼は電話が主体でしたが、離席中などの理由からつながらないケースも多々ありました。チャットならお互いのタイミングで確認できるため、スムーズな意思疎通が可能です。
チャット内で修正履歴や担当者名が確認できる点もメリットが多く、ミスの再発防止や判断根拠の確認に役立っており、内部統制にも貢献していると思います。
―マネーフォワード クラウド経費導入の経緯で、苦労した点はありますか。
宮澤様:経費申請は全役職員が関わる業務であり、システム導入は大変だと感じるかもしれませんが、社内で完結する業務分野のため、運用の周知さえ徹底すれば導入はスムーズにいくと思います。当社においては、その拠点ごとのローカルルール等もあり、正直やってみないとわからない部分も多くやや手探り状態だったことは否めません。しかし、マネーフォワード クラウド経費はシンプルなUIで直感的に操作できるため、慣れることにより定着はスムーズにいくのではないかと感じました。
建設業はもちろん、あらゆる業界の経費精算にフィットできるカスタマイズ性が魅力。

―マネーフォワード クラウド経費導入から2ヶ月経過しましたが、社内の反応はいかがですか。
宮澤様:システムを一斉導入したことによる稼働直後の問い合わせの多さは想定内でしたが、現在は落ち着いてきました。操作に関する問い合わせはまだありますが、ログインがうまくいかないといった基本的なものも多いため、従業員がシステムに慣れるにつれて解消されると期待しています。現在の目標はシステムを完全に定着させ、社内からの問い合わせをゼロにすることです。
宮澤様:短期間で効果を実感できたことに非常に満足しています。全社員の作業時間の短縮により人的コストが削減され、空いたリソースをどう活用すべきか人材活用にも大きな可能性を感じています。
―マネーフォワード クラウド経費の導入を検討されている方に向けて、メッセージをお願いいたします。
宮澤様:当社の場合、慎重なシステム選定を最重要視しておりました。これから経費精算システムの導入を検討している企業にも、後悔のないシステム選定をしてほしいと思います。トライアルでは単なる使用感だけでなく、仕訳の作成や支払いなど、より踏み込んだ操作を試してみることをおすすめします。
宮澤様:マネーフォワード クラウド経費は我々のような建設業界だけでなく、あらゆる経費ルールに適用できるシステムだと感じています。
例えば、工事現場には工事コードというものが設定され、従事する人材の経費はコードごとに紐づけするなどのルールがあります。さらに建設業特有の科目も多く、導入前は一般的な経費システムでどこまで対応できるかという懸念がありましたが、仕訳や科目の高いカスタマイズ性により、不便を感じることなく運用できています。マネーフォワード クラウド経費はさまざまな業界のニーズに応えられる汎用性の高いシステムだといえますね。
公開日:2024年10月29日 公開当時の情報となります
今回の導入サービス

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