若手経理担当者が陥りがちなミスの紹介

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経理業務は、数字を扱う作業が多く、ほとんどの場合、正しい処理がある業務です。また、処理の結果は記録に残り、さかのぼって検証することが可能です。

そのため、正しくない処理を行った場合のミスが発生しやすいといえます。

経理業務経験の浅い人が行いやすい、代表的な失敗例

勘定科目の間違い

経理業務では、取引の内容に応じて適切な勘定科目を記帳する必要があります。勘定科目を間違えると、場合によっては、決算や税務申告の内容に誤りが生じることもあります。

通常は上席者によるチェックがあり、ミスは修正されますが、勘定科目の意味やルールをしっかりと理解しておくことが重要です。

二重計上

売上や経費の二重計上も起こりやすいミスといえるでしょう。売上であれば、同じ内容や修正前、修正後の請求書が発行されたことなどが原因で、二重に売上仕訳を入力してしまうことがあり得ます。

また、売上の相手勘定として売掛金を計上しておきながら、入金時にも売掛金のマイナスではなく売上で処理してしまうと、結果として売上を二重計上してしまうことになります。

経費についても、クレジットカードで物品購入をし、カード利用明細と領収書を元に仕訳計上すると、二重計上が発生してしまいます。また、納品書と領収書、請求書と領収書を入力した場合でも、二重計上が発生します。

このように、少しでも注意不足があると二重計上は起こりやすく、経験の浅い経理担当者はミスを起こしがちといえるので、他スタッフのフォローが必要でしょう。

書類の不備・紛失

領収書や請求書などの書類は、仕訳入力の基礎となるだけでなく、保存義務があります。書類に不備があると、処理に時間がかかったり、ミスを誘発したりする可能性があります。

また、処理が終わった書類を適切に整理しないと、紛失の原因になります。経理業務は仕訳処理をして終了するのではなく、書類整理が必須であることを、キャリアのスタートから学んでおくとよいでしょう。

期限の誤り

経理業務には、納税や決算など、期限が定められているものが多くあります。期限を守らないと、ペナルティを科されたり、会社に損害を与えたりする可能性があります。

また、上場企業の場合は、会計処理の適否について、監査法人に事前相談が必要なケースもあります。期限と必要日数を意識し、スケジュール管理を徹底しましょう。

コミュニケーション不足

経理業務は、他部署との連携が欠かせません。しかし、新人の場合は、他部署の担当者との関係構築が十分にできていないことも少なくありません。その場合に、分からないことや疑問点を解消しないまま経理処理すると、思わぬミスにつながる危険性があります。

経理部内だけでなく、営業部門などの関係部署についても、相談できる体制を構築することを目指すとよいでしょう。

在庫計上のミス

決算時には在庫や貯蔵品の棚卸が必要です。メーカーが所有している商品の在庫や、海運会社が保有している燃料油などは、賃借対照表の「資産」として計上されることから、少なくとも決算時には数量をカウントし、棚卸資産として反映させる必要があります。

このとき、在庫数のカウントを誤ってしまうと、棚卸資産を計上する仕訳も間違いになります。

単純な入力ミス

請求書や領収書を見ながら手作業で仕訳を入力している場合、単純に数字を打ち間違える可能性があります。仕訳入力は上席のチェックが通常は入るため、仕訳自体が誤ったまま修正されないことは多くないかもしれません。

ただし、仕訳入力の根拠となる基礎資料をエクセルなどで作っている場合、そちらの資料までは細かいチェックが及ばない可能性もあります。そうすると、結果として誤った数字で経理処理が行われてしまうことになります。

ここで紹介したミスは、いずれも私が経理担当者になってすぐに起こしてしまった失敗です。振り返ると冷や汗が出ますが、チームのフォローもあり、大きな問題にはなりませんでした。

ミスを未然に防ぐ方法

経理業務のミスを防ぐ絶対的な対策はありません。凡事徹底により、チェックを繰り返すことがミスの減少につながります。

1. 経理の基本知識を学ぶ

経理業務は、会計基準などでルールが定められているため、知識を身に着けることによってミスを減らすことができます。

2. ダブルチェックの徹底

数字を扱う作業は、一人で担当するとどうしてもミスが起こりやすくなります。入力や基礎資料の作成は、なるべくダブルチェックすることが望ましいでしょう。

3. マニュアルの整備

経理業務のマニュアルを整備しておくと、新人が迷ったときに参照できるため、ミスを防ぐのに役立つでしょう。

ミスをした際の対応と学び

ミスをした際は記録に残し、チームで共有することで、同じミスを繰り返す可能性を減らすことができます。マニュアルを整備している場合は、ミスをした項目に注意点を書き加えるとよいでしょう。

チームでのサポートとコミュニケーションの重要性

経理業務は覚えることが多く、初めて処理を担当する際は、誰でもミスをする可能性があります。上席者やチームのフォロー、ダブルチェックによってミスを減らせるため、コミュニケーションは重要です。

若手担当者を速やかに戦力とするためにも、チームでサポートを行ってミスを減らし、コミュニケーションを高めて、成長が早くなるよう心がけましょう。

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