はじめまして、元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな言葉は「増税」です。
ぼくは、大学を卒業して東京国税局に入り、辞めて、よしもとで芸人になりました。今月から『Bizpedia』で月1回の連載を始めることになりました。知らない方がほとんどだとは思いますが、なんとなく、“税金に詳しい芸人”と認識していただければ幸いです。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)
「#税務童話」をつくってみた
突然ですが、「#社畜童話」をご存知でしょうか。最近、ツイッターで「#社畜童話」というハッシュタグを付けた投稿が話題になっています。
「#社畜童話」とは読んで字のごとく、“社畜”と化したサラリーマンの悲哀に満ちたエピソードを、童話のパロディにして紹介したものです。『桃太郎』や『浦島太郎』といった名作が、理不尽な上司、長時間労働、パワハラなどの“あるあるネタ”に様変わりし、涙なしでは読めないとバズっているのです。
そのまとめ記事を友人から紹介されたぼくは、すぐに影響を受け、ツイッターに「#税務童話」を投稿しています。今回は、まだ公開していない新作の税務童話を先んじて紹介したいと思います。税金を少しでもわかりやすく、たのしく知っていただければと思います。
税務童話とは、おなじみの童話の設定やストーリー、セリフを「税法上の取扱い」で茶々をいれる、あるいは、童話を「税」に関することになぞらえて改変したものです。
『桃太郎』
おばあさんが川で張り込みをしていると、川の上流から、どんぶらこどんぶらこと簿外資産が流れてきました。
おばあさんはそれを持ち帰って、統括官に報告しました。
おじいさんは空振りしたようです。
『笠地蔵』
シャンシャンシャン シャンシャンシャン ドサドサドサ
おじいさんとおばあさんがおそるおそる戸を開けてみると、家の前には、米やモチ、野菜、魚が山のように積まれていました。
「こりゃあ、大変じゃあ」
おじいさんとおばあさんは、それらを一時所得として申告するはめになりました。
スポーツ選手などに、自社商品を大量にプレゼントするのはやめましょう。
『笠地蔵2』
地蔵たちは、みんなで話し合い、笠のお礼として、米やモチ、野菜、魚を、おじいさんの家に持っていくことにしました。
その噂を聞きつけた町の人々が、地蔵にたくさんのお供えをするようになったので、地蔵の税理士は、米やモチ、野菜、魚の購入代金を広告宣伝費として処理しました。
めでたし めでたし。
思わぬ広告効果で、広告宣伝費に。
『かぐや姫』
「私と結婚したければ、配偶者控除と配偶者特別控除と扶養控除と寡婦控除と勤労学生控除を同時に受けられるようにしてください」
5人の税理士はかぐや姫との契約を諦めてしまいました。
残念ながら上記の控除をすべて同時に受けることはできません。
『おおきなかぶ』
うんとこしょどっこいしょ。
税務調査に非協力的な税理士法人ができました。
※サブ=副署長
調査で大活躍のOB税理士さん。
『嘘つき村と正直村』
経理担当者は正しい帳簿、社長は裏帳簿を見せるつもりです。目の前に一人の男が立っていますが、どちらかは分かりません。
一度だけの会話で正しい帳簿を見るために、あなたはなんと言いますか。
「どっちも見せなさい」
「あなたの村に連れてけ」では裏帳簿は見つかりませんからね。
迷える納税者にならないために
みなさんにとって、確定申告や年末調整などの税務処理はストレス以外の何ものでもないと思います。小難しくてよくわからないし、学校で教わるものでもないし、おまけに税務署に行けばいつも混んでいる。
「税」に無関心な人やうんざりしている人は多いでしょうが、無視できないのも事実です。例えば、政府が「働き方改革」の一環として副業を推進していますが、副業を始める人が増えたら確定申告しなければならない人も当然増えます。
今後も2月、3月の確定申告のシーズンになれば、税務署は迷える納税者であふれかえることでしょう。それを回避するためには、税金の知識を身につけて、新しい税制に負けない体作りを行うことが必要です。あなたが損しそうなとき、助けてくれるのはあなたしかいません。この連載で、少しずつ税に慣れていっていただければ幸いです。
誰も教えてくれない節税テクは人気マンガから学べ!
人気マンガを例に「税金」をやわらかく解説した著書もぜひチェックしてみてください。
書名 :元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話
著者 :さんきゅう倉田
出版社:総合法令出版
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