広告宣伝費のポイントと交際費との区分について

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事業で取り扱う商品やサービス、さらに会社や個人経営の事業体そのものを知らしめるのは、ビジネスにとって重要な課題です。これを可能にしてくれるのが、広告宣伝です。

そしてまた、広告宣伝費は損金算入ができるため、節税にも役立ってくれます。そんな頼もしい広告宣伝費ですが、使い方を誤ると広告宣伝費として認められず、損金としても算入できなくなってしまいます。

広告宣伝費の範囲や要件、損金不算入にならないためのポイントなどをみていきましょう。

広告宣伝費と交際費の違いについて

広告宣伝費の対象は、広く一般を対象にしていることが要件になります。つまり、対象は不特定多数でなければなりません。一方で、対象が特定された場合、広告宣伝費と認められず、交際費に仕訳けられます。

交際費とは、慰安、接待、贈答、供応などを特定の関係先に対して行う際に支払う費用のことです。交際費は、大企業では、接待飲食費の50%までしか損金に算入できず、残りの接待飲食費と接待飲食費以外は損金不算入になります。

ただし、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や次のような不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。

交際費に含まれず広告宣伝費となるもの

不特定多数の人に対して宣伝効果を目的とした次のような費用については、交際費ではなく広告宣伝費として仕訳けすることができます。

1. 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用又は一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
2. 製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
3. 製造業者や販売業者が、一定の商品を購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品を購入した一般消費者を招待するための費用
4. 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
5. 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
6. 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
7. 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

不特定多数に当たらない人

費用を負担する会社とその相手先が次のような関係の場合は不特定多数の一般消費者としては認められません。したがって、広告宣伝費ではなく交際費となり、損金不算入となりますので注意が必要です。

◇医師や病院に対する医薬品の製造・販売業者

◇建築業者(大工や左官など)に対する建築材料の製造・販売業者

◇鉄鋼業者に対する機械・工具の製造・販売業者、理美容業者に対する化粧品の製造・販売会社

◇理美容業者に対する化粧品の製造・販売会社

◇農家に対する農業用資材(飼料、肥料など)の製造・販売会社

広告宣伝費における広告宣伝用印刷物の取り扱いについて

広告宣伝用に作成した印刷物は、原則として広告宣伝に使用した際に広告宣伝費として計上します。印刷に対する支払い期日や購入日ではないので注意が必要です。

使用していない分は期末の棚卸しによって貯蔵品として計上します。ただし、要件を満たせば在庫としての計上を省略することができる場合があります。要件は次の3つで、すべてを満たす必要があります。

・取得数量(支出)が毎事業年度ごとほぼ一定であること。

・年度中に一定量が継続して消費されていること。

・取得・購入時の損金算入を継続していること。

消費税については、取得・購入時に課税仕入れとなり、仕入税額控除ができます。

広告宣伝費における広告宣伝用贈与品の取り扱いについて

少額な物を広告宣伝を目的として贈与(配布・提供)する場合は、原則として広告宣伝用印刷物と同じ扱いになります。広告宣伝用贈与品のうち物品切手(商品券、旅行券、ギフト券、テレホンカードなどのプリペイドカード類)については消費税の扱いが異なります。詳細は「物品切手の購入費用|国税庁」を参照してください。  

広告宣伝費における見本品・試用品などの製作費の取り扱いについて

配布・提供される見本品・試用品などについての法人税と消費税の扱いは、原則として広告宣伝用印刷物と同様になります。
消費税は製作・購入の際の課税仕入扱いとなります。

まとめ

不特定多数に対して宣伝を目的として支出するのであれば、原則として広告宣伝費として認められ、損金に算入することが可能になります。

広告の出稿(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、折り込み広告など)についても、原則として事業年度内で契約期間が終了するのであれば、損金に算入することが可能になります。

事業年度をまたぐ契約では、原則として前払費用として処理しなければなりません。

大企業では、宣伝を目的にしたものであっても、取得の際に一組(一式)10万円以上のもので、1年以上使用する場合は固定資産となります。原則として、ホームページの制作費は金額損金算入が可能ですが、10万円以上で高い機能を有するホームページはソフトウェアとして資産計上になる場合があります。

参考:
交際費等と広告宣伝費との区分|国税庁

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