- 作成日 : 2026年2月26日
ChatGPTで学習させるとは?方法や注意点を解説
ChatGPTの学習には大きく分けて3つのレベルがあり、目的によって適切な手段が異なります。
- 指示・設定:口調や役割の指定(カスタム指示)
- 知識参照:社内データの回答(GPTs/RAG)
- 再教育:モデル自体のカスタマイズ(ファインチューニング)
Q. 独自のデータを学習させる最も手軽な方法は?
A. プログラミング不要でファイルをアップロードするだけの「GPTs」が最適であり、高コストな「ファインチューニング」は最終手段として検討すべきです。
ChatGPTを業務で使う際、「自社の情報を学習させたい」「回答の癖を教育したい」と考える方は多いでしょう。しかし、一口にChatGPTの学習と言っても、実は手軽な設定から高度な開発まで3つのレベルがあり、目的によって最適な手段が異なります。
この記事では、ChatGPTに学習させるとはどういうことか、その具体的な方法や情報漏洩を防ぐための注意点について、初心者にもわかりやすく解説します。
なお、本記事では便宜上「学習」という言葉を使用しますが、多くの場合、ChatGPTはモデル自体を再学習しているわけではありません。指示による設定や外部知識を参照することで、学習したように振るまっている点には注意が必要です。
※(免責)掲載情報は記事作成日時点のものです。最新の情報は各AIサービスなどの公式サイトを併せてご確認ください。
目次
ChatGPTで「学習させる」とは?
ChatGPTにおける学習は、大きく3つのレベルに分類されます。 具体的には、ユーザーの目的によって「指示による設定(カスタマイズ)」「外部知識の参照(RAG)」「モデル自体の再教育(ファインチューニング)」を正しく使い分けることが、AI活用の第一歩です。
3つの学習・カスタマイズ手法
ユーザーが意図する「学習させたい」という要望の大半は、モデルそのものを書き換える必要はなく、特定の情報を読み込ませたり指示を与えたりするだけで解決します。
まず、自身の目的が以下のどのレベルに該当するかを確認しましょう。
| 手法・機能名 | 難易度 | 目的・用途 |
|---|---|---|
| 指示・設定 (カスタム指示 / メモリ) | 低 | 口調の指定、役割の付与、前提条件の共有 |
| 知識参照 (RAG / GPTs) | 中 | 社内マニュアルや特定のPDFの内容に基づいた回答 |
| 再教育 (ファインチューニング) | 高 | 特定の業界用語への特化、出力形式の厳密な固定 |
学習の使い分けが重要な理由
手法を誤ると、膨大なコストがかかる割に効果が出なかったり、逆にAIの汎用的な能力が低下したりするため、目的に合致した最適な手段を選ぶ必要があります。
例えば、最新ニュースを知りたいだけなら「知識参照」で十分ですが、ここで「再教育」を選んでしまうと、時間と費用の無駄になってしまいます。最も手軽で効果的なのは「知識参照(GPTsなど)」であり、莫大なコストがかかる「ファインチューニング」は最終手段として検討すべきです。
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ChatGPTに自分好みの回答ルールを学習させる方法は?
カスタムインストラクションやメモリ機能を使えば、擬似的に学習したような挙動を実現できます。
特定の回答トーンや前提情報を固定したい場合に、非常に有効な設定方法です。これらはAI自体を賢くするわけではありませんが、ユーザーごとの文脈を理解した振る舞いを固定化できるため、実用上の「学習」として最も頻繁に使われます。
ステップ1:カスタムインストラクションで基本設定を行う
あらかじめ「あなたの情報」と「回答への要望」を登録しておく機能です。以下の手順で設定するだけで、すべての新しいチャットに反映されます。
- 設定画面を開く 画面左下のユーザー名(またはアイコン)をクリックし、「パーソナライズ」を選択します。
- プロフィールの入力(下段) 「あなたについて」の欄に、職業なたについての詳細(趣味や興味、住んでいる場所や価値観など)を入力します。
- 回答指針の入力(上段) 「特性」の欄にて、「温かみ」や「熱量」などのスタイルやトーンの設定を行います。見出しやリストの使い方や絵文字などの利用頻度も決められます。
ステップ2:メモリ機能(Memory)で特定の情報を記憶・管理する
メモリ機能は、会話の中でAIが覚えた情報を長期的に保持し、次回の会話に活かす機能です。設定画面だけでなく、普段の会話からも学習させることができます。
- 会話の中で覚えさせる チャット中に「以下の点について、メモリに保存してください『私はトマトが嫌いです』プロジェクトAの締切は月末です』」のように伝えます。AIは「記憶しました」と反応し、情報を保存します。
- 記憶された内容の活用 次回以降、特に指示しなくても「トマト抜きのレシピ」や「月末の締切」を前提に回答が生成されます。
- 記憶の確認と削除 設定 > パーソナライズ > メモリの管理 を開くと、AIが現在覚えている事項がリスト表示されます。不要な記憶はここから三点アイコンを押し、ゴミ箱アイコンで削除できます。
ChatGPTに独自のデータ(PDFや社内情報)を学習させる方法は?
GPTsを作成し、ファイルをアップロードする方法が最も手軽で最適です。
厳密には学習(重みの更新)ではなく検索(RAG)の仕組みを使いますが、ユーザー体験としては「特定のデータを学習した専用AI」と同等の効果が得られます。プログラミング不要で、以下の手順で作成可能です。
ステップ1:GPTの作成画面へ移動する
まずは、自分専用のGPTを作成するための「GPTの詳細を見る」画面にアクセスします。
- ChatGPTの画面左上の「+作成する」をクリックします。
- 編集画面が開き、GPTsの作成が可能になります。
ステップ2:構成で基本設定を行う
AIの名前や、どのような振る舞いをするかの基本ルールを入力します。対話形式ではなく「Configure」タブで直接設定する方が確実です。
- 名前: GPTの名前を入力します。(例:社内規定AI)
- 説明:GPTの機能説明を記載します。
- 指示: AIへの指示を入力します。(例:アップロードされたファイルに基づいて、従業員の質問に答えてください)
- 会話のきっかけ:GPTが起動するきっかけとなるセリフを入力します
ステップ3:知識にデータをアップロードする
ここが学習の核となる作業です。AIに参照させたいファイル(マニュアルやデータ)を登録します。
- 画面下部の「知識」セクションにある「ファイルをアップデート」をクリックします。
- 学習させたいデータ(PDF, Word, Excel, CSV, テキストファイルなど)を選択してアップロードします。
- ポイント: ファイルの中身は、AIが読み取りやすいように「見出し」や「箇条書き」で整理されたテキストデータであるほど回答精度が向上します。
ステップ4:公開範囲を設定して保存する
最後に、作成したGPTを誰が使えるかを設定し、利用可能な状態にします。
- 画面右上の「作成する」ボタンを押します。
- 公開範囲(自分のみ、リンクを知っている人のみ、GPTストアに公開)を選択して保存すれば完成です。
ChatGPTで本格的なファインチューニング(追加学習)を行う方法は?
既存のモデル自体をカスタマイズし、特定のタスクに特化させたい場合に限り、OpenAI APIを経由して「ファインチューニング(Fine-tuning)」を行います。
APIを利用して学習用データセットをトレーニングする
ファインチューニングとは、大量の質問と回答のペアをモデルに追加学習させ、特定の出力形式や言語スタイルを厳密に模倣させる技術です。
GPTs(RAG)では対応しきれない極めて特殊な出力フォーマットの遵守や独特な口調の完全コピーが必要な場合に利用されます。コストと手間がかかるため、一般的な知識参照目的には不向きです。ブラウザ版のチャット画面では行えず、以下の手順で開発を行います。
事前準備:APIキーの取得
ファインチューニングを実行するには、OpenAIのアカウント登録と、外部から操作するための認証情報である「APIキー」の取得が必須です。
- OpenAIのプラットフォーム(API管理画面)にログインします。
- メニューから「API keys」を選択し、「Create new secret key」をクリックします。
- 発行されたキー(sk-から始まる文字列)をコピーし、厳重に保管します。これが後のコマンド実行時に必要となります。
ステップ1:学習データの準備(データセット作成)
まずはAIに学習させるための「質問(プロンプト)」と「理想的な回答(コンプリーション)」のペアを大量に用意します。
- データを「JSONL形式」という特定のフォーマットで作成します。
- データ量の目安: 最低でも数十件、実用レベルでは数百〜数千件の高品質なデータが推奨されます。
ステップ2:ファイルのアップロード
作成した学習データをOpenAIのサーバーへ転送し、読み込ませる準備を行います。UI画面からのアップロードではなく、Pythonなどのプログラミング環境からコマンド(コード)を実行する必要があります。
- Python環境などでOpenAIライブラリをインストール・設定します。
- 作成したJSONLファイルを指定してアップロードコマンドを実行し、固有の「File ID」を取得します。
ステップ3:トレーニングジョブの実行
実際にAIモデルに対して追加学習(トレーニング)を実行させる工程です。この処理には時間とコストがかかります。
- ステップ2で取得したFile IDを指定し、トレーニング開始のコマンドを実行します。この間、処理量に応じたトークン課金が発生します。
ステップ4:カスタムモデルの利用
学習が完了して生成された「専用モデル」を、実際のシステムやアプリから呼び出して利用します。
- トレーニング完了後に、独自の「モデルID」が発行されます。
- APIリクエストを送る際、このモデルIDを指定することで、ファインチューニングされた挙動のAIを利用できます。
ChatGPTに学習させる際の注意点とは?
業務データを扱う際は、「入力データがOpenAIのモデル学習に使われるかどうか」を正しく理解し、必要に応じてオプトアウト(学習拒否)設定を行うセキュリティ対策が必須です。
情報漏洩を防ぐため学習拒否(オプトアウト)を設定する
適切な設定を行わない場合、入力した機密情報が汎用モデルの学習に使われ、他者への回答として出力されてしまう(情報漏洩)リスクがあります。以下のいずれかの方法で、学習に使われない設定を必ず行ってください。
- ChatGPT Business / Enterprise プランを利用する これらの法人向けプランでは、デフォルトで入力データが学習に使用されません。業務利用では最も安全な選択肢です。
- 設定で学習をオフにする(無料版・Go版以上) 「設定」>「データコントロール」>「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。 ※現在は履歴を残しつつ、学習のみをオプトアウトすることが可能です。
学習させない(オプトアウト)ための設定方法は、以下の記事でも詳しく紹介しています。
ハルシネーション(嘘の回答)への対策を行う
独自データを学習(参照)させたとしても、AIは時折、事実と異なる回答(ハルシネーション)を生成することがあります。
これを防ぐために、GPTsのInstructions(指示書)には「アップロードされたファイルに記載がない場合は、無理に回答せず『わかりません』と答えてください」と明記することが重要です。これにより、AIが知識を捏造する確率を大幅に減らすことができます。
ChatGPTに学習させる最適な方法を選び、業務活用を加速させよう
この記事では、「ChatGPT 学習」をテーマに、設定変更から高度な開発技術まで多様なアプローチを解説しました。
重要なのは、「本当にファインチューニング(再教育)が必要か?」を常に見極めることです。回答の癖を変えたいだけならカスタムインストラクションを、特定の資料について答えさせたいならGPTsを、そしてAI自体の性能を特化させたい場合にのみファインチューニングを選ぶといったように、目的に応じた適切な手段を選びましょう。
まずは、ノーコードで誰でも簡単に作成できる「GPTs」を使って、手元のマニュアルや資料を読み込ませることから始めてみてください。それだけで、業務効率を劇的に改善するあなただけの「専用AI」を手に入れることができます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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