• 更新日 : 2025年12月10日

キッチンカーのクレープ屋は儲からないって本当?開店費用や注意点も解説

キッチンカーでのクレープ販売は、見た目も華やかで人気のビジネスですが、一方で「クレープ屋は儲からない」という声も聞かれます。少ない資金で始めやすく、オフィス街のランチやイベントなど、いろいろな場所でチャンスが見つかる一方で、本当に利益を出し続けるのは難しいのでしょうか?

この記事では、「クレープ屋が儲からない」と言われる理由を分析しつつ、キッチンカーで失敗しないための具体的な対策と儲かる仕組みの作り方を解説します。開業準備からメニュー戦略、注意点まで、成功に必要な主なポイントを解説します。

クレープ屋はなぜ「儲からない」と言われるのか?3つの理由と対策

魅力的に見えるクレープ屋経営ですが、「儲からない」という声も聞かれます。その背景にある主な理由と、それを乗り越えるための対策を見ていきましょう。

理由1:客単価が低い

クレープは手軽なスイーツであり、1個あたりの価格(客単価)が比較的低めです(多くは500円~800円程度)。そのため、十分な利益を出すには、多くの数を販売する必要があります。

対策
  • 高付加価値メニューの開発: 旬のフルーツをふんだんに使った限定クレープや、食事系クレープ(ガレットなど)を導入し、客単価を上げる工夫をする。
  • セット販売: ドリンクやサイドメニューとのセット販売で、購入単価を引き上げる。
  • 出店場所の選定: 高い集客が見込めるイベントや商業施設など、販売数を確保できる場所を選ぶ。

理由2:原価率と利益のバランスが難しい

クレープの基本的な生地(小麦粉、卵、牛乳など)の原価は低いですが、フルーツや生クリームなどのトッピングで原価率は大きく変動します。メニューや店舗にもよりますが、クレープの原価率は25%~35%程度とされることが多いと言われます。しかし、人気のチョコバナナクレープでも、バナナやチョコレートソースの質にこだわると原価は上がります。低価格で提供しようとすると、利益が圧迫され「儲からない」状況に陥りやすくなってしまうのです。

対策
  • 正確な原価計算: メニューごとに詳細な原価計算を行い、適切な利益を確保できる価格設定を行う。
  • 仕入れの工夫: 複数の業者から見積もりを取る、旬の安いフルーツを活用するなど、仕入れコストを削減する努力をする。
  • ロス削減: 食材の在庫管理を徹底し、廃棄ロスを最小限に抑える。

理由3:競争が激しく、差別化が難しい

クレープは参入障壁が比較的低いため、競合店が多い業態です。特にキッチンカーの場合、同じイベントに複数のクレープ屋が出店することも珍しくありません。他店との差別化を図らないと、価格競争に巻き込まれやすくなります。

対策
  • 独自のコンセプト: 「米粉を使ったグルテンフリークレープ」「地元の特産品を使ったクレープ」など、他にはない強みを打ち出す。
  • 見た目のインパクト: SNS映えするような盛り付けや、おしゃれなキッチンカーデザインで視覚的にアピールする。
  • 接客とリピーター戦略: 丁寧な接客やポイントカードなどでファンを作り、リピート率を高める

キッチンカーでクレープ屋を始めるメリット

「儲からない」と言われる側面もありますが、キッチンカーでクレープ屋を始めることには、多くの魅力があります。

  • 低コストでのスタート
    キッチンカーは、従来の飲食店と比べて初期投資が少なくて済みます。店舗を持つ必要がないため、家賃、内装費、光熱費のようなコストを削減できます。
  • 自由な営業場所
    キッチンカーの最大の特長は、営業場所を自由に選べることです。イベントやフリーマーケット、観光地など、人が集まる場所に出店することで、集客のチャンスが広がります。
  • 低リスクでの営業
    キッチンカーは、トラックや車両自体を活用するため、市場の反応を見ながら、スムーズに営業スタイルを見直すことができます。需要がないと感じた場合は、別の場所へ移動したり、メニューを変更したりすることができます。
  • トレンドに合わせた柔軟性
    クレープは、トッピングやスタイルが豊富で、季節ごとのイベントや流行に応じたメニューを展開しやすいのが特徴です。

キッチンカーでクレープ屋を始めるためのステップ

キッチンカーでクレープ屋を開業するのは、独立したビジネスを持ちたい方にとって魅力的な選択肢です。ここでは、初心者でも理解しやすいように、そのステップを具体的に説明します。

  1. ビジネスプランを立てる
    最初のステップは、ビジネスプランの策定です。市場調査(地域のニーズや競合)、メニューの決定、収支計画(初期投資、運営費、売上予測)を作成し、目指す方向性を明確にします。
  2. 必要な許可を取得する
    • 飲食店営業許可:食品を販売するための許可を、営業エリアを管轄する保健所から取得します。キッチンカーの場合、どの地域まで営業できるかは自治体によって運用が異なるため、事前に管轄保健所へ確認しておくことが重要です。
    • 食品衛生責任者:各都道府県の講習会で資格を取得し、車両1台につき1名以上配置します。(調理師免許等があれば講習免除の場合あり)
    • ※注意:営業許可を受けていない自宅キッチンでの仕込み・調理は原則不可。別途許可を得た仕込み場所が必要です。
  3. キッチンカーを準備する
    ビジネスプランに基づき、必要な設備(クレープ焼き器、冷蔵庫等)を備えた車両を選定・購入またはレンタルします。お客様の目を引くデザインも重要です。
  4. 仕入れ先を探す
    クレープの材料(粉類、卵、牛乳、フルーツ、クリーム、ソース等)を提供してくれる仕入れ先を見つけます。品質とコストのバランスを見極めましょう。
  5. 宣伝・マーケティングを行う
    開業前からSNS(InstagramやXなど)でメニューや出店情報を発信したり、地域のイベント情報をチェックしたりして認知度を高めます。
  6. 営業開始と運営
    いよいよ営業を開始します。販売しながら顧客の反応を見て改善を重ね、日々の売上を記録し計画的に運営していきます。

キッチンカークレープ屋のリアルな収支

キッチンカーのクレープ屋の利益は、さまざまな要因によって異なりますが、一般的な参考値を見てみましょう。あくまでシミュレーション上の目安であり、実際の収支は出店場所や営業日数などによっても大きく変動します。

売上
  • 平均単価:クレープの価格は、600円から1,500円程度が一般的です。
  • 1日の売上:繁忙期やロケーションにより異なりますが、1日あたり30,000円から100,000円程度の売上になるケースもあります。実際の数字は出店場所や天候によって大きく変動します。
経費
  • 材料費:クレープ1枚あたりの材料費は約100円から300円程度。(原価率25%~35%と考えると妥当)
  • 人件費:スタッフを雇う場合、時給×労働時間分のコストが発生します。
  • 車両維持費や燃料代:月間で10,000円から30,000円程度。
  • その他の経費:出店料、保険料、消耗品費などで月間20,000円から50,000円程度。
利益の計算例(1日に50枚のクレープを平均800円で販売した場合)
  • 売上:40,000円
  • 材料費:10,000円 (1枚あたり200円と仮定)
  • 人件費:8,000円 (1名・8時間勤務・時給1,000円)
  • その他経費:5,000円 (1日あたり)
  • 1日の利益:40,000円 – 10,000円 – 8,000円 – 5,000円 = 17,000円

このシミュレーションでは、月20日営業で月間利益34万円となります。しかし、これはあくまである程度好立地で、天候にも恵まれた場合を想定した順調なケースの一例です。「儲からない」という声があるのは、安定してこの売上を達成することの難しさや、予想外の経費発生があるからです。この利益を出すためには、集客力コスト管理能力が不可欠です。

キッチンカーでクレープ屋を始める際の注意点

キッチンカーでクレープ屋を運営する際には、さまざまな注意点があります。

  1. 法律や規制の確認
    営業許可の種類や基準、出店場所ごとのルール(公園、道路、イベント会場など)は地域によって異なります。特に道路上で営業する場合は、警察署や道路管理者から道路使用許可等が必要になることもあります。出店予定エリアの自治体や保健所、イベント主催者などに事前に確認しましょう。
  2. 競合調査
    同じエリアに出店する他のキッチンカーや店舗のメニュー、価格帯、強みを把握し、差別化要素を明確にしましょう。
  3. 原材料の選定と在庫管理
    品質の高い食材を使うことはもちろん、売れ行きを予測し、無駄な在庫(廃棄ロス)を抱えないように計画的に仕入れを行いましょう。
  4. 衛生管理の徹底
    食品を扱う以上、衛生管理は最重要項目です。食材の温度管理、調理器具の洗浄・消毒、手洗いなどを徹底し、食中毒のリスクを最小限に抑えましょう。
  5. 天候リスクへの備え
    キッチンカーの売上は天候に大きく左右されます。雨の日や荒天時の売上減は避けられないため、複数の出店場所を確保したり、SNSで営業情報を発信したりする対策が必要です。売上が落ちても車両維持費や保険料などの固定費は発生するため、年間を通じた収支でリスクを見積もっておくことも大切です。

キッチンカーのクレープ屋におすすめのメニュー

お客様のニーズに応え、リピーターを増やすためのメニュー戦略も重要です。

  • 定番メニュー
    多くのお客様に親しまれている定番は外せません。

    • バナナチョコレート:多くのクレープ店で定番人気となっているメニュー。
    • ストロベリークリーム:見た目も華やかで若い世代や女性客から選ばれやすいメニュー。
    • 抹茶あずき:和風テイストで幅広い世代に受け入れられやすいメニュー。
  • 季節限定メニュー
    旬のフルーツを使ったり、イベント(ハロウィン、クリスマスなど)に合わせたりすることで、特別感を演出し来店動機を高めます。
  • カスタマイズメニュー
    ベース生地、トッピング、ソースをお客様が選べるようにすると、オリジナリティを求める顧客の満足度を高められます。
  • 食事系メニュー(ガレットなど)
    甘いものが苦手な層や、ランチ需要にも応えることができます。客単価アップにも繋がります。

キッチンカーのクレープはどれくらいの値段が適正?

価格設定は、利益確保と集客のバランスを取る上で非常に重要です。

一般的な相場

シンプルなもので300円~600円、フルーツやクリームが乗ると500円~900円、食事系は600円~1000円程度がひとつの目安と考えられます。実際の価格は、出店場所やコンセプト、イベントか通常営業かといった条件によっても変動します。

価格設定のポイント

  • コストを把握する:材料費だけでなく、人件費、出店料、燃料代などの運営費も考慮し、一般的に目安とされる原価率25%~35%程度を参考にしながら目標とする利益率を確保できる価格を設定します。
  • 市場調査を行う:周辺の競合店や類似商品の価格を調査し、高すぎず安すぎない価格帯を見極めます。
  • ターゲット層を考える:学生向けか、ファミリー向けか、イベントの高揚感を狙うかなどで、適切な価格帯は変わってきます。

安定した収益を上げる販売戦略

美味しいクレープができたら、それを多くの人に届け、リピーターになってもらうための戦略が必要です。

  • 出店場所の選定が売上を左右する:キッチンカーの一番の強みである「移動できる」ことを活かすには、どこに出店するかがなによりも大切。ターゲット顧客が集まる場所(オフィス街、大学、イベント会場、商業施設など)を複数確保し、曜日や時間帯によって効果的に移動します。キッチンカー専門の出店場所マッチングサービスの利用も有効です。
  • SNSを活用して集客する:
    キッチンカーにとって、SNSはとても心強い集客ツールになります。とくにInstagramやX(旧Twitter)で、毎日の出店場所や時間、限定メニューなどをリアルタイムで発信しましょう。美味しそうな写真や動画は強力な武器になります。
  • リピーター獲得のための工夫:
    ビジネスを安定させるためには、リピーターを育てることが欠かせません。ポイントカードや割引券、そして何よりお客さんとの何気ない会話や丁寧な接客が、「また来たい」と思ってもらうための鍵となります。

「儲からない」を乗り越え、愛されるクレープ屋へ

キッチンカーでのクレープ屋経営は、「儲からない」と言われることもありますが、それは客単価の低さ原価管理の難しさ、競争の激しさといった要因があると考えられます。

しかし、これらの課題に対して、高付加価値メニューの開発、徹底した原価計算と仕入れの工夫、独自のコンセプトによる差別化といった対策を講じることで、十分に「儲かる」ビジネスにすることは可能です。

この記事で解説したポイントを参考に、しっかり準備を進め、多くの人に愛されるあなただけのクレープ屋を実現してください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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