-医薬品業界向け-請求書ソフトの選び方・よくある課題・導入事例
更新日:2024年4月12日
医薬品業界の現状と課題、DXや業務効率化の必要性
医薬品業界は、長年にわたって「少子高齢化」という大きな課題に直面しています。超高齢化社会により、高齢者向けの医療サービスや医薬品に対する需要が増加し続ける一方で、社会保障制度を支える現役世代の割合が減少しています。
厚生労働省の「薬剤費等の年次推移について」によると、年々増加する国民医療費に関しては、令和元年には約44.4兆円にまで達しており、そのうち薬剤費は約9.6兆円(約21.6%)を占めています。
参考:薬剤費等の年次推移について|厚生労働省
今後も医療制度を維持するために、ジェネリック医薬品の使用促進や薬価の引き下げなど、政府は医薬品費の抑制を進める政策を実施しています。これらの施策は医薬品メーカーにとって大きな圧力となり、業界全体の収益性を損なう要因となりかねません。多額のコストや長期的なプランを要する新薬開発についても、大きなリスクが伴うでしょう。
これらの課題に対応するためには、DX化や業務効率化が必要不可欠です。特にAIを利用した新薬の開発は、開発期間の短縮とコスト削減などの効果が期待されます。またバックオフィス業務の効率化に取り組むことで、経営資源の最適化に貢献し、持続可能な業界構造の実現に向けた一歩となるでしょう。
医薬品業界における請求書受領・発行業務のよくある課題
【受領】請求書や納品書の入力作業が煩雑になりやすい
医薬品業界においては、請求書や納品書の入力作業にまとまった工数を費やすケースが多いです。たとえば実験用の試薬や機器、外部ラボサービス、臨床試験のための外注費など、研究開発や医薬品生産に関わるさまざまな取引が頻繁に行われており、それらに比例して証憑書類の枚数も増加しやすくなります。
それぞれの納品書や請求書に記載された詳細情報の入力は時間がかかるうえ、人為的なミスが発生しやすい作業といえるでしょう。
【受領】会計ソフトと連携していない
医薬品業界では、社内の請求システムが会計ソフトと連携していない企業も少なくありません。システム間連携ができない場合には、請求書の情報を手作業で会計ソフトに入力する必要があり、経理業務の効率性が低下します。特に規模の大きな製薬会社や研究機関では、毎月受領する請求書も多く、経理担当者の業務負担が増加します。
また、そのような業務体制ではミスも発生しやすく、経理処理の正確性を損なうリスクも高まるでしょう。
【発行】取引先が少ないとExcelで書類を作成・管理していることも
中小企業では、取引先が限られている場合が多く、Excelで請求書を作成することも多いです。たとえば医薬品業界では、研究開発に特化した企業が特定の化学品サプライヤーや機器メーカーのみと取引するケースも多く、請求書作成をExcelで行うケースもあります。
Excelによる請求業務は低コストである一方で、データの整合性やエラーチェックの面で課題があり、入力ミスなどにつながる場合もあるため注意が必要です。
医薬品業界の請求書関連の課題解決に向けたDX例
①請求書の受領~会計処理を効率化したい場合
仕入先などから受領する請求書については、社内での承認作業や振込手続き、会計システムへの入力、請求書の保存などの業務フローを踏まえ、業務効率化のための最適な方法を実践しましょう。
「マネーフォワード クラウド債務支払」では、メールで受領した請求書データを自動で取り込み、AI OCR処理を行うことで、支払条件などの情報を読み取ることが可能です。
受領した請求書については、あらかじめ設定した社内のワークフローに基づいて承認作業を行ったあと、ワンクリックで振込指示ができます。APIを用いたシステム間連携もできるため、「マネーフォワード クラウド債務支払」の情報を会計システムやマスタ管理にも活用し、バックオフィス業務全体の効率化を追求することが可能です。
②請求書受領業務や保管業務をなくしたい場合
受領請求書には、依然として紙の請求書も多く、相手先のことを考えるとすべて請求データで受領することは現実的ではありません。そこでBPOサービスが付帯しているシステムを選択すると、導入したシステムに合わせて、業務プロセスの一部分を委託できます。
「マネーフォワード クラウド債務支払のBPOサービス」では、紙の請求書のデータ化・システムへのアップデート代行・請求書明細の下書き入力代行・証憑のファイリングと保管業務の代行などが可能です。支払申請の下書き入力をアウトソースすることにより、会社では内容を確認し、支払業務のみに業務を減らすことができます。
③請求書作成~送付を効率化したい場合
毎月の請求業務を効率化するためには、自社が発行する請求書の作成から送付までの一連の業務フローを踏まえ、担当者による手作業をできる限り削減することが重要です。
「マネーフォワード クラウド請求書Plus」では、社内のCRMや販売管理システムと連携し、手入力なしで簡単に請求書データを作成することが可能です。
社内の申請・承認を行った請求書についてはメールや郵送で一括送付でき、担当者の発送業務の負担を大幅に軽減できます。さらに作成した請求書の情報は会計システムにも売上仕訳として反映でき、自社の損益状況をリアルタイムで把握する際にも有用です。
医薬品業界の企業様に参考となる請求業務の改善事例
請求書受領業務の改善例
放射線治療や薬物療法を中心に、切らずに治す「低侵襲がん医療」に特化した医療法人社団神戸低侵襲がん医療センター様は、紙媒体で受領する請求書の支払いをエクセルで管理していました。
また、仕訳入力も手作業で行っており、非効率な業務体制に課題を感じていました。
請求書発行業務の改善事例
クラスメソッド株式会社では、業務拡大につれて月に数百件の請求書が発行されるようになり、バックオフィス効率化のため請求業務の見直しを行いました。
これまでは月末に2人がかりで、請求書を紙出力して営業担当に確認を行い、毎月100件ほど請求書の郵送があったそうです。
請求書受領・送付業務の改善に役立つお役立ち資料
医薬品業界の企業様が請求書ソフトを導入する際のチェックポイント
請求書受領に関するソフト導入の場合
請求書ソフトを導入し、請求書受領業務を効率化する際には、業務フローを見直し、自動化できる部分を精査してから行いましょう。
たとえば、PDFなどで受信する請求書データの自動読み取り機能が備わったソフトを活用すれば、請求書のデータ入力を自動化できます。実験用の試薬や臨床試験のための外注費など、研究開発や医薬品生産に関するさまざまな取引が行われる医薬品業界でも、請求書受領の手間を大幅に削減できるでしょう。
また会計ソフトと連携できるソフトを導入すれば、受領した請求書データから仕訳を自動生成できます。経理処理の自動化が実現されることで、経理担当者の負担軽減につながるうえ、入力ミスの削減にも効果的です。
請求書発行(送付)に関するソフト導入の場合
請求書発行業務を効率化するためにソフトを導入する場合には、請求書作成や売掛金残高の管理を省人化できるかどうか検証しましょう。
請求書ソフトでは、取引先や品目などの登録機能が備わっているものが多く、反復継続的な請求書作成を自動化できます。またソフト内で入金処理を行うことで売掛金残高も確認できるため、Excelへの入力作業を省略する場合にも効果的です。
特に医薬品業界では、スタートアップ企業や研究開発に特化した企業の場合、Excelによって請求業務を行うケースも多いです。しかし事業規模の拡大に伴い、請求書作成や未回収残高の確認を自動化するニーズも高まり、請求システムの導入に踏み切る企業も増加しています。