棚卸の管理も固定資産管理システムでラクに!

作成日:2024年6月20日

棚卸とは?

棚卸とは、企業が保有する在庫の数量や金額を確認・評価する作業のことを指します。在庫には、原材料や仕掛品、製品、商品などが含まれます。棚卸の目的は、実際の在庫状況を把握することで、適正な期間損益計算を行うことです。

なお棚卸を行う頻度について上限はありませんが、法人や個人事業主の場合、少なくとも会計期間の末日には棚卸を行い、在庫金額を計上しなければなりません。

仕入れた商品などのうち、期末時点で売れ残った在庫がある場合には、それらを経費から取り除くことで、売上に紐づく売上原価を計算できます。
一般的には、売上原価は以下の算式によって計算します。
■売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高

棚卸を行い、会計上の損益計算に反映することで、会計期間における正確な利益状況を算出することが可能です。一方で、在庫の計上漏れなどがある場合には、過少申告によって追徴税額が発生するリスクもあるため、注意が必要です。

商品棚卸と固定資産棚卸

一般的に「棚卸」とは、自社の商品や製品などの在庫に関する棚卸をイメージしますが、自社が保有する機械装置や車両など、固定資産に関する棚卸も大切です。

固定資産台帳が実態に即していなければ、正しい期間損益計算が損なわれてしまうだけでなく、資産の盗難や不正使用のリスクも高まります。

商品棚卸に加え、固定資産棚卸を計画的に実施することで、企業全体の財務健全性強化につながるでしょう。

帳簿棚卸と実地棚卸

棚卸には「帳簿棚卸」と「実地棚卸」の2種類があります。それぞれの意味や特徴を正しく理解したうえで、適正な期間損益計算に役立てましょう。

帳簿棚卸

帳簿棚卸とは、企業が仕入れた商品のうち、販売した商品を差し引くことで計算される「在庫の理論値」を表します。

帳簿棚卸の場合、現物を確認しなくても在庫金額を算出できるため、手軽に期間損益を計算することが可能です。

ただし帳簿棚卸が実地棚卸と一致しないケースも多く、実地棚卸とのズレが大きいほど、帳簿棚卸で計算された利益の正確性や信頼性が損なわれます。ズレが生じる原因としては、計上漏れや破損、紛失などが考えられるため、原因の調査や再発防止策の徹底が求められます。

実地棚卸

実地棚卸とは、企業が実際に保有する在庫を現物で確認し、その数量や状態を評価するプロセスです。具体的には、倉庫や店舗などの保管場所において、在庫アイテムをひとつずつ数えたり、品質をチェックしたりする作業が一般的です。

実地棚卸の目的は、帳簿上の在庫データの理論値と実際の在庫状況を照合し、差異がないか確認することです。

なお帳簿棚卸と実地棚卸にズレが生じた場合、実地棚卸の数値に基づいて、帳簿棚卸の残高を修正します。

実地棚卸の流れ

実地棚卸を行う場合には、以下のような手順にしたがって実施するケースが一般的です。商品数が多いほど棚卸も煩雑になりやすいため、計画的な作業を心掛けましょう。

棚卸計画を策定する

棚卸を効率的に実施するためには、あらかじめ棚卸計画を策定し、適切な準備を行うことが重要です。具体的には、棚卸作業のスケジュールに加え、対象となる在庫商品の範囲や担当者の割り当てを決定します。

また棚卸作業を効率的に行うために、前もって倉庫内を整理整頓しておくと、見落としやカウント間違いなどのリスクを軽減できるでしょう。従業員への事前説明やマニュアル作成を行うことも効果的です。

また社内以外に、外部の倉庫などに保管されている「預け在庫」が存在する場合には、計上漏れとならないように注意しなければなりません。反対に他社の在庫を預かっている場合には、自社在庫と混在しないように管理を徹底しましょう。

棚卸を実施する


棚卸計画を策定したら、実際の棚卸作業に入りましょう。自社の倉庫や店舗などに保管されている在庫商品を直接確認し、数量をカウントします。

棚卸作業を行う際には、少なくとも2人一組で行うことが重要です。どちらかが在庫数をカウントし、もうひとりが在庫表へ記録する方法が一般的です。このように役割分担することで、数え間違いや入力ミスを防ぎ、正確なデータを収集できます。

また2人の役割を入れ替えてダブルチェックを実施したり、倉庫や店舗内の特定エリアごとに担当者を割り当てたりすることで、棚卸作業の効率化や精度向上を追求しやすくなるでしょう。
なお在庫をカウントする方法については、「タグ方式」と「リスト方式」の2つがあります。

タグ方式
タグ方式では、あらかじめ在庫が保管されている棚にタグを取り付け、商品ごとにカウントした数量を記入し、ひと通り棚卸作業が完了した段階でタグを回収して在庫を集計します。

棚や商品ごとにタグ付けしてカウントするため、棚卸の確実性は高い一方で、手間のかかる作業といえるでしょう。

リスト方式
リスト方式では、事前に帳簿や在庫管理システムから作成したリストに基づいて棚卸を行います。

リストにしたがって数量をカウントするため、比較的短時間で棚卸作業が可能となる一方で、正確なリストをリアルタイムで作成するためには、専用システムの導入が前提になりがちです。
また記録されていない在庫がリストから漏れないよう、注意しなければなりません。

帳簿棚卸と照合する

記録した棚卸データを集計し、帳簿上の在庫データと照合します。帳簿上の在庫金額と実地棚卸の差異を確認し、ズレが発生した場合には、その原因を追究することが重要です。

ズレが発生する原因としては、在庫の紛失や破損、入力ミスなどが考えられます。また取引先からの伝票や納品書の遅延などにより、帳簿棚卸との差異が生じるケースもあるでしょう。

ズレの原因を正確に把握し、再発防止策を講じることで、その後における帳簿棚卸の正確性や信頼性向上にもつながります。

棚卸管理は固定資産管理システムで楽になる?導入のメリット

①棚卸業務の効率化と正確性の向上

棚卸管理では、業務の効率化とデータの正確性を追求することが極めて重要です。専用のシステムを導入することで、商品棚卸の作業を効率的に実行できるだけでなく、データの入力ミスや人為的なエラーを減少させることが可能です。

特に商品棚卸に関する在庫管理システムの場合、バーコードやQRコード、RFIDタグを利用して迅速かつ正確に在庫を確認できるため、従業員が手作業で行う手間を大幅に削減します。

また固定資産の棚卸も同様に、システムの活用によって、資産の保管場所や状態をリアルタイムで管理できるため、固定資産管理の精度が向上し、定期的に行う棚卸作業の負担を軽減できます。

さらにクラウドサービスなどを活用し、社内全体で情報共有できれば、固定資産が保管されている事務所や作業場とのスムーズなやりとりを実現できるため、固定資産棚卸の作業効率向上にも効果的です。

②リアルタイムな在庫状況の把握

在庫管理システムなどの専用ツールを導入することで、商品棚卸においてリアルタイムな在庫状況を逐一捕捉することが可能です。

システムを通じて在庫の増減をリアルタイムで記録し、最新の在庫情報を即座に把握することで、商品や製品在庫の過不足を防ぎ、適切な在庫数量を確保しやすくなります。

また固定資産の棚卸においても、固定資産管理システムによって機械装置や車両の取得、廃棄、減価償却の状況などに関する詳細な情報をリアルタイムで管理できるため、自社の固定資産の正確な状態を常に把握できます。

また取得時の請求書や納品書も合わせて保存・共有できれば、証憑書類の確認もスムーズに行えるため、経理業務の効率化にもつながるでしょう。

③コンプライアンスと内部統制の強化

棚卸管理において、コンプライアンスと内部統制の強化は重要な課題です。
専用システムを導入することで、商品棚卸の記録を自動化し、監査証跡を明確に残すことにも有益です。またシステムに変更履歴を詳細に記録することで、迅速かつ正確な情報提供が可能となり、組織の透明性確保に貢献します。

固定資産の棚卸においても、固定資産管理システムは資産の取得から廃棄までのサイクル全体を管理し、固定資産台帳の内容が実態と乖離するリスクを軽減できるため、内部統制の強化に役立ちます。

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