証券業界の経費精算システムの選び方・比較すべき項目
作成日:2024年2月28日
証券業界における経費精算業務のよくある課題
交際費精算の複雑性

証券業界では、クライアントとの信頼関係の構築は必要不可欠であるため、飲食費や手土産代、ゴルフ代などの接待交際費が発生する機会も多いです。
クライアントの拡大に伴って接待交際費も増加し、従業員による経費申請が増加するだけでなく、企業としては交際費としての正当性についても慎重に判断しなければなりません。特に高額な接待に対する内部コントロールは必須であり、経費精算のスピードとのバランス感覚が求められます。
国内外の出張に伴う精算手続き

証券会社で勤務する営業社員の場合、クライアント訪問や海外市場の調査のために頻繁に国内外へ出張します。
出張に伴う航空券や宿泊費、交通費などの経費については、一旦従業員が立て替える場合だけでなく、勤務先に対して事前に仮払申請を行うケースもあるでしょう。出張時についてはさまざまな経費が発生するだけでなく、海外出張では外国語の領収書の読み取りやレート換算が必要となるため、経理担当者の業務負担も増加します。
研修・セミナー参加費の煩雑さ

証券業界では、最新の市場動向や金融商品に関する知識が必要となるため、常に知識をアップデートしなければなりません。
そのためには、従業員が定期的に外部研修やセミナーに参加し、周辺知識に関する最新情報を収集し続けることが重要です。
これらの研修やセミナーにかかる参加費や交通費、宿泊費の経費精算は、従業員にとって煩雑な業務のひとつであり、残業して申請手続きを行うなど、会社全体の生産性低下を招きやすくなります。
証券業界の企業様が経費精算システムを比較する際のポイント
承認フローの設計による透明性確保
証券業界のように顧客との関係性構築が重要な業界では、接待交際費が増加しやすくなります。そのような業界で経費精算システムを導入する場合、経費の透明性確保が必要です。導入後も管理体制が機能不全を起こさないよう、承認フローの柔軟な設計が可能か確認しましょう。
また高額な接待に関しては特別な承認プロセスを設けるなど、経費の上限設定や内部コントロールの強化が可能なシステムを選ぶことで、管理体制を強化できます。
出張精算プロセスの効率化
証券会社の営業社員は国内外に出張する機会が多く、出張に関連する経費精算においては、複雑な申請プロセスや外国通貨の円換算が課題となります。経費精算システムを導入する場合には、領収書データによる入力作業の自動化や仮払申請機能、外国通貨の自動換算が可能なサービスを選択することで、従業員による精算手続きを効率化できます。
また自動化によって入力ミスも減少するため、経理担当者の業務負担軽減にも役立つでしょう。
業務内容に合わせたカスタマイズ性
知識のアップデートが求められる証券業界においては、従業員が外部研修やセミナーに参加する機会も多いです。研修やセミナー参加に関しては、複数名で参加するケースも多いため、経理担当者の経費精算業務の負担も増加しやすくなるでしょう。
経費精算システムを導入する際には、クレジットカード・電子マネーとの自動連携や、専用の申請フォームをカスタマイズできるサービスを選択することで、迅速な精算プロセスを追求できます。
証券業界の企業様に参考となる経費精算業務の改善事例
セブンセンスR&D株式会社様の事例
2021年冬頃より「マネーフォワード クラウド会計」や「マネーフォワード クラウド経費」などの複数のサービスを利用しています。マネーフォワード ビジネスカードを導入したことで、経費用カードとして従業員に渡しているので、立替金が減って従業員個人の負担が軽減されました。また、バーチャルカードを発行できるおかげで、経費部門ごとにカードを分けられるようになりました。
橋本総業株式会社様の事例
以前は全国から紙の申請書が届かないと作業ができず、承認のためにまとまった時間を確保したり別の作業を中断して承認作業をしていました。
現在では、随時全国からシステム上で支払い申請が送られてくるようになったため、5〜10分の業務の隙間時間に承認するなど自分のペースで承認作業ができるようになりました。
株式会社TVer様の事例
当初、当社では経理業務全般を紙面で行っていたことから、我々経理グループは月末から月初にかけて帳票を取りまとめるため出社せざるを得なかった状況にありました。
新型コロナウイルスの流行が拡大するなかで、会社として出社制限がかかり、業務体制の構築・業務改善の必要性に直面していました。
証券業界の企業様に役立つ経費精算業務の効率化に関する参考資料
証券業界がバックオフィス業務のDXを進めるべき理由
証券業界は、進むデジタル化により大きな変革を迎えています。オンライン取引の普及が進み、従来の対面や電話による取引から、スマートフォンやPCを介した取引が主流になりつつあります。この変化は、顧客の利便性を高める一方で、セキュリティリスクの増大やプライバシー保護の課題を生みました。近年、サイバー攻撃が巧妙化しており、セキュリティ対策が不十分な事案が発生しています。
また、フィンテック企業の台頭により、従来の証券会社は競争が激化し、差別化が困難になっています。このような環境下では、顧客データの活用や新たな投資商品の開発、サービスのデジタル化を進めることが、業界で生き残るための課題です。
出典:金融庁「金融行政の現状と課題」
2023年9月末に発表された調査によると、インターネット取引の口座数は4,207万口座と、前回調査時から、107万口座増加していました。個人のインターネット取引の年代別口座数を見ると、60代~80代は全体の30.4%を占めており、60代以降にもインターネット取引が増えていることから、デジタル化の重要性が窺えます。
出典:日本証券業協会「インターネット取引に関する調査結果について」
証券業界では、上記に加えてコスト削減も課題となっています。経費精算システムの導入は、作業の自動化により経理業務の効率化を実現し、誤算のリスクを減少させます。また経費の透明性が高まり、不正使用の防止にもつながります。経費精算システムの活用は、コスト削減と内部管理の強化や業界内での競争力向上の助けとなるでしょう。