証券会社向けの電子契約システムの選び方・比較すべき項目
作成日:2024年5月14日
証券会社が契約業務の効率化を進めるべき理由
証券会社の取引先は一般投資家や他業種における企業など、多岐にわたります。各種の契約を従来通り紙で実施していた場合、契約の作成から締結、保管に至るまで多くの業務リソースやコストがかかり、各担当者の負担が大きくなってしまいがちです。
また、各種の契約で紙の契約書の場合に発生する印紙代も、契約の数が膨大であるだけに、大きなコスト負担となってしまいます。2024年から始まった新NISAなどの影響もあり、一般投資家の参入が増えることが予想される市場の中、契約業務の効率化、ペーパーレス化は必須と言えるでしょう。
一方で、証券業界はときに莫大な資金や極めて秘匿性の高い情報などを扱います。そのため、情報セキュリティ、コンプライアンスに関しては他の業種と比較しても非常に高い水準が要求されます。そのため、安全性や法令への適合を満たした上で業務改革を進める必要があり、契約業務の見直しのハードルとなっています。
証券会社の契約業務において悩みがちなポイント
収入印紙代や郵送代を節約したい

証券会社で発行する契約書をはじめとする各種の書類は、印紙税法の課税対象となるものも少なくありません。例えば、金銭や有価証券の寄託に関する契約書(14号文書)、債権の受益証券(4号文書)、配当金領収書・配当金振込通知書(16号文書)などが該当します。
顧客の数が多い証券会社にとって各種の書類に発生する印紙代は軽視できるものではありません。また、やり取りにおいて郵送を用いる場合、郵送代も追加で発生します。
非対面の契約締結に対応したい

コロナ禍の影響もあり、一般投資家、企業双方との契約を非対面で締結するニーズが高まってきています。一方で、証券会社の契約の内容は、ときに極めて機密性の高い情報を含むため、非対面での締結であっても万全のセキュリティのもとで実施される必要があります。
証券会社の業務効率化においては、利便性と安全性を両立させた形で進める必要があり、契約の非対面化のハードルの一つと言えるでしょう。
電子帳簿保存法に対応したい

証券会社は、非常に高いコンプライアンスが求められる業界です。各種の契約業務においても極めて高い水準の業務品質が求められることは言うまでもありません。
契約業務の効率化に際して、課題となることが多いのが電子帳簿保存法への対応です。
コスト削減や業務効率化のために電子契約の導入を検討するにあたっても、法改正への対応についての取引先への説明が大きな障壁となることもあります。
証券会社の契約担当者が電子契約システムを比較する際のポイント
電子契約で印紙代や郵送費が0円に
システムで作成した電子契約は、印紙税法の課税文書に該当しません。上述の4号、14号、16号文書などをはじめとする、証券会社の業務で必要な契約関連の書類にかかる印紙代をゼロにすることができるため、コスト削減効果は非常に大きいと言えるでしょう。加えて、電子契約の場合、メールをはじめとするオンラインのやり取りでの締結が可能です。そのため、遠方の顧客とも郵送コストをかけずに契約の締結を進められます。
契約書の作成から申請、締結、保管までオンラインで完結
システム上で契約書の作成から申請、保管までがオンラインでワンストップで完結するシステムを選ぶことも重要です。証券会社の契約においては本社と支店間、支店と顧客間でのやり取りが発生します。これらのフローの中に、オフラインでの工程が少しでも入ってしまうと、タイムラグや書類紛失のリスクなどが発生してしまいます。安全かつ利便性の高いフローを実現する上で、オンライン完結は必須の要件と言えるでしょう。
電子帳簿保存法にも対応
システムの比較検討において、電子帳簿保存法の改正に対応しているかは最も重視すべきポイントの一つといえます。有効なタイムスタンプが付与されることなど、システム自体が法改正の要件を満たすのが必要なことは言うまでもありません。加えて、「契約書名」「契約開始日・終了日」「契約金額」など適切な記載がなければ、システム上でフローが進まないなどミスを防ぐ仕組みも、契約が重要な証券業界においては重要です。
電子契約システムの導入で契約業務を効率化できた事例
株式会社THIRD様の事例
不動産・建設業界向けにSaaSプロダクトを提供する株式会社THIRD様は、内部統制強化の課題に対しマネーフォワード クラウド契約を導入されました。
IPOに向けたコンプライアンス強化のニーズが高まる中、既存の紙やエクセルを中心とした業務体制を見直した結果、全社的に電子契約を展開しています。
アカウントごとに権限が設定できることで、電子契約により業務を効率化しつつ、高い水準の内部統制を実現できました。
株式会社M&A総合研究所様の事例
M&A仲介事業を行う株式会社M&A総合研究所様は、マネーフォワード クラウド契約の導入により、契約業務のコスト削減を実現されています。従来、利便性の高さから他社の電子契約システムを利用していたものの、契約書の送信ごとに課金されるモデルでは、事業拡大に比例してコストが増えることが将来的な懸念でした。
送信料0円の本サービスへの切り替えにより、将来的なコスト増の不安もなく電子契約を活用されています。
株式会社オムニバス・ジャパン様の事例
映像制作を中心に事業を展開する株式会社オムニバス・ジャパン様は、マネーフォワード クラウド契約を活用し、契約書を一元管理されています。
従来のエクセルを用いた紙ベースでの契約業務は管理が俗人化しており、管理コスト・コミュニケーションコストがかかることが課題でした。
電子契約の導入により、これまで部署ごとに管理していた契約を管理部門で一元管理できるようになり、会社全体としての業務効率化を実現しています。