総務省後援のアワード受賞。創業40年を機に経営改革を進める老舗メーカーが語る生産性向上の打ち手とは?
プロフェッショナル東日本営業部 第一支店 フィールドマーケター 佐藤めぐみ様
- 導入サービス
- 経費
- 業種
- 製造商社・卸売
- 事業規模
- 法人(51~300名)
旧態依然とした業界に一石を投じるべく、経営改革に乗り出した、ヘアケアメーカーの老舗・株式会社ビューティーエクスペリエンス。「売上だけでなく、一人あたりが生み出す付加価値が業界トップクラスとなっている」という“Vision”を達成するためにも、業務システム部門のミッションは、「膨大な事務作業を抱える営業部門の負荷軽減」にあった。
商売の特性上、社用車に乗って非常に多くのお客様とお会いするため、営業1人につき1か月で100枚ほどの領収書が出ることもままある。経費精算業務を効率することは営業担当の貴重な時間を確保する重要なテーマであり、社内アンケート実施や独自のセキュリティチェックなどを経て、マネーフォワード クラウド経費を採用。さらに、API連携で会計仕訳・支払データ生成機能を組み合わせ、営業部門の生産性向上と経理部門の支払業務効率化を実現させた。
本取り組みは評価され、総務省後援のASPIC IoT・AI・クラウドアワード2018「ベストイノベーション賞」も受賞。
導入までの経緯や導入後の効果について、業務システム部部長・石川亮様、東日本営業部フィールドマーケター・佐藤めぐみ様に話を伺った。
老舗だからこそ、業界に一石を投じたい。経営とともに進めた改革
当社の事業は大きく3つ、(1)サロン向けのヘアケア製品製造・販売、一般小売り、(2)ドラッグストア等での販売用製品の製造販売、(3)海外事業に分かれます。メインとする事業は、サロン向け事業で、売り上げの約7割を占めています。
当社は、業界内では古参であり、創業44年目を迎えます。現在、日本にヘアケアメーカーは200社以上ありますが、率直に言うと旧態依然とした、古い商習慣が色濃く残っている業界です。一方、最新のサロンは合理的で現代風のビジネスを好む傾向が見られ、ギャップを感じていました。そこで、弊社は創業40周年を機に経営陣とともに変革に乗り出しました。
佐藤可士和氏監修のもと、コーポレートアイデンティティを刷新、そして社名も「モルトべーネ」から「ビューティーエクスペリエンス」に変更。イメージはもとより社内体制も大きな転換期を迎えました。まずは、企業としての “Mission” “Vision” “Value”を決める取り組みに着手。 その“Vision”には、「売上だけでなく、一人あたりが生み出す付加価値が業界トップクラスとなっている」が掲げられています。新たな理念を具体的な行動規範にブレイクダウンする過程で、長時間労働の蔓延から脱却して、社員の付加価値を高めていく取り組みを展開することになりました。
企業理念「bex way」における、“bex Vison”。
弊社には約60名の営業社員が日々、販売代理店様へ商品説明や販促企画の提案、サロン様への営業活動を行っています。商売の肝として、どれだけ密にコミュニケーションをとれるかで、新製品の売上が大きく左右されるため、それ以外の時間の喪失を防ぐ取り組みが求められます。現場からは「経費精算に時間がかかる」という声も上がっておりましたので、会社の方針転換に相まって、働き方改革の文脈でプロジェクト化することになりました。
営業がラクになることが最優先、経理業務はAPI連携で効率化
営業活動では、代理店様やサロン様へ対面で商品の紹介をすることがメインになります。地方まわりも多くあるため、車を使用することも多く、駐車場やETC代などの交通費精算、他にもサロン様へのサポートに関連する諸経費やサロン様との交際費など、営業ひとりあたり100枚ほどの領収書が発生することも珍しくありません。そのため、外出先から会社に戻って領収書を出したり、月末に交通費や駐車代を処理したりといった業務が負担になっていました。
こうした経費精算にかかる手間を省力化できないものかと考えていたのです。弊社のバリュー(行動指針)にもある通り、最新のテクノロジーを取り入れることで業務改善を図っており、業務システム部門としてはクラウドサービスを積極的に採用してきました。
これまで、基幹システムは保有していましたが、経理業務はそれほどシステム化されていませんでした。使い勝手が良かったわけでもなく、地味な確認作業が発生し、営業と経理、双方に負荷がかかってしまう状態でした。そこで現状への打ち手として、新たなシステム導入を推進することにしました。
どのサービスを選択するかについては、経費精算ツールだけで10以上を検討しました。特に重視したのは、営業部門にとっての使い勝手の良さです。当事者である営業部門の7人ほどに実際に数社のシステムを見て触ってもらい、アンケートを実施して選定をするという形を採用しました。
その結果、「営業にとって入力が楽かどうか」という点で、歴然とした優位性を示していたのがマネーフォワード クラウド経費です。営業は普段ほとんど外出しているので、モバイルで使えるかどうかも重要でしたね。こうした過程を経て、マネーフォワード クラウド経費を選択するにいたりました。
ただ、既存の基幹システムがあったので、マネーフォワード クラウド経費に入れたデータをAPIに流して変換、加工したデータを基幹システムに取り込むという工夫をしました。ワークフローツールとして利用していたクラウド型システム共通基盤上に機能を構築したいと考え、イントラマート社が提供する「Accel-Mart」とAPI連携で経費データを取り込み、集計処理・会計仕訳連携・FBデータの生成などの機能を補完しています。私たちとしては、やはり現場の生産性改善、というのが最優先事項でしたので、後続処理となる支払や会計仕訳といったところについては、API連携で工夫することで解決できると考えました。
マネーフォワード クラウド経費と「Accel-Mart」をAPI連携し、自社に適した後続処理を実現。
経費精算業務の50%削減により、1人あたり2.5時間/週の残業削減
プロジェクトを推進した結果、営業部門の業務負荷を大きく軽減することができました。もちろん経理部門にも効果があり、全社的な業務効率化へつなげることができました。また、経理部門と現場部門のコミュニケーションが改善したのも思わぬ効果でした。
- 営業部門の業務負荷軽減
– ⽴替経費精算の交通費のうち約90%(全体の75%)が、外部サービス連携やICカード連携から入⼒されることにより、経費精算申請業務の工数が約50%削減、データの正確性向上
– 外出後に帰社不要となり、1人あたり約10時間 /月 の残業時間の削減
- データと原本の突合や修正、原本管理にかかる負荷軽減
– 申請データと領収書原本の画像が同時に確認できることにより、上⻑チェックの品質向上及び経理部門のチェックの重点化
– 台紙に貼付した領収書チェック・綴じ込みの⼿間や保管に係る場所の削減
- 煩雑な経理部門の支払業務の負荷軽減
– 詳細な機能設計により、経理部門の作業時間短縮やミスの削減、修正履歴の取得によるガバナンスの向上
- その他の効果
– 社内教育を通じて、社員の経費に関する意識が向上するとともに、経理部門と現場部門のコミュニケーションが改善
ETC連携やモバイルアプリを活用。経費精算のために深夜帰社することがなくなった
やはり普段は、営業の仕事で外回りがメインですので、正直なところ経費処理は面倒な作業で、後回しにしたいという気持ちがあったのも事実です。マネーフォワード クラウド経費が導入されて、最初は使い慣れない部分があり、入力に時間がかかっていましたが、慣れてくるとスマートフォンから移動時間などのスキマ時間に申請できるので、格段に効率が良くなったと思います。
以前は、申請書を印刷してから領収書を貼って提出する、という流れだったので、領収書の枚数が異常に多い分手間がかかり、提出期限を越えてしまうこともしばしば。営業の仕事自体は、基本的に直行直帰なので帰社するのは週1日から2日程度、経費精算にかける時間は設けられずにいました。サロンさんとの商談はお店の営業終了後、22時以降からはじめることなども頻繁にあるので、月末は深夜に経費精算をするためだけに帰社することもありました。
今では、経費精算のためだけに戻ることはなくなりました。外出先から帰宅後、PCを開かずスマホだけで申請ができるのはやはり楽ですし、マネーフォワード クラウド経費とETC連携によって電子領収書だけで経費処理ができるのも紙の処理自体が減って助かっています。
経費精算に時間を集中して割くことはなくなったので、その時間を営業活動に回せるようになりました。
ユーザーの要望を取り入れ、これから成長するシステムであることへの期待感
ETC連携で、高速道路利用料のペーパーレス化を実現できた点は高く評価しています。ETCに限らず、多様な電子領収書をマネーフォワード クラウド経費に自動連携できる機能だけでも導入の価値があったと感じています。
さらに、これから弊社も電子帳簿保存法にも対応する予定ですので、自動で取得した領収書は、3日以内の登録や手書き署名も不要とあって、工数削減には欠かせないと思います。
また、現在はマネーフォワード クラウド経費で得意先やブランド別など各種セグメント別に損益管理ができるよう、新機能の付与を打診しているところです。目下、得意先の経費精算はすべて共通費として処理していますが、具体的な項目を取れた方が営業の実態を分析することもできるはずです。
将来的にはAD(アクティブディレクトリ)連携など、アクセスセキュリティやSSO(シングルサインオン)に特化した製品との連携も実現させたいと考えていますが、現在開発中とのこと。今後に期待しています。
マネーフォワード クラウド経費は、クラウドサービスならではのフレキシブルな機能改善も魅力です。完成されたシステムでは、リニューアルでもない限り進化は見込めませんが、マネーフォワード クラウド経費は要望を取り入れながら日々機能が刷新されています。BtoCで培ったノウハウによって、使い勝手の良いUIに仕上がっているのも特長だと思います。今後も、引き続きスピーディーなアップデートに期待しています。
今回の導入サービス
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