株式会社イノシア

最大2時間かかっていた契約検索を大幅短縮。契約締結だけのデジタル化から脱却し、情報の不透明化を解消した方法とは

株式会社イノシア 代表取締役CEO 阿部雄飛さま
経営管理部 谷口由起さま
経営管理部 近藤友美さま
  • 課題

    ・契約締結までのやり取りが分散し、過去の経緯を調査するのに最大2時間かかることもあった
    ・進行中の契約状況が把握できず、未締結のまま放置されてしまうリスクを抱えていた
    ・年に100件ほど発生する契約書類の情報をExcel台帳へ手入力する作業に膨大な工数を要していた
    ・同Excel台帳のデータは、完全に整備されていた訳ではない為、契約書の期限管理が有効に機能していなかった

  • 結果

    ・システム上でデータが台帳へ自動反映される仕組みになり、手作業による入力負担がゼロになり、ミスの心配も大幅に減少した
    ・AI-OCR機能を活用することで、過去に締結した約400件の契約データを効率的にデータベース化できた
    ・期限アラート機能により更新時期の自動リマインドが行われ、能動的な契約管理体制が確立された

株式会社イノシアは、医療機関向けサービスの利用契約をはじめ、多様な契約を扱う企業です。従来は「マネーフォワード クラウド契約」の電子契約締結機能のみを利用していましたが、契約の約半数は紙で、GoogleドライブとExcel台帳を併用した管理体制に留まっておりました。また、法務相談がSlackやメールに分散し、過去の経緯確認に最大2時間を要するほか、契約未締結のままサービス提供が先行するリスクや、年100件の台帳入力負荷も課題でした。
こうした状況を改善すべく、同社はプランをアップグレード。AI-OCRでのデータベース化や台帳入力の自動化により、先回りした契約管理体制を構築しました。今回は、代表取締役CEOの阿部さま、経営管理部の谷口さま、近藤さまに、導入の背景と成果を伺いました。(以下敬称略)

過去の経緯検索に最大2時間。手入力のExcel管理と期限管理リスクが課題

ーー御社ではどのような契約書を取り扱っていますか? また、「マネーフォワード クラウド契約」導入前は、どのように管理していたのでしょうか?

阿部: 医療機関向けのサービス利用契約や業務受託契約、外部への業務委託契約、秘密保持契約などを取り扱っており、その約半数が紙の契約書でした。導入前は、GoogleドライブとExcel台帳を用いて管理していました。締結済みの書類は、紙の場合は読み取りデータとして保存し、電子契約の場合はそのまま保管したうえで、Googleドライブ内のフォルダに年月順で整理していました。あわせて、Excel管理台帳に必要情報を手入力する運用としていたのです。

ーー当時の契約業務では、どのような課題を感じていましたか?

阿部: 大きな課題は、契約締結に至るまでのやり取りが分散し、過去の経緯をたどりにくい点でした。法務への確認依頼は主にSlackで行っていましたが、所定のチャンネル以外に、個別のメッセージやメールで届くことも少なくありません。情報が一元化されていなかったのです。

その結果、契約更新時や過去の類似案件を確認する際などに、当時のやり取りを探すだけでも相応の時間を要していました。情報が各所に分散しているため、検索してもすぐには見つからず、ひたすら探し回らなければなりません。ひとつのやり取りが見つかっても、付随する関連情報まで漁る必要があるため、簡単な確認でも30分ほど、大変なものだと最大2時間かかることもあります。さらに、そこまで時間をかけてひたすら探しても半数ほどは見つからず、担当者が変わっている場合には、顧客にあらためて確認し直す場面も生じていました。

ーー契約締結までの流れや進捗管理の面では、どのような課題があったのでしょうか?

阿部: 最大の課題は、未締結の契約状況を把握できないことでした。経営管理部が確認できるのは、締結が完了した書類だけです。営業担当者が顧客に依頼し、手続きを進めている途中の契約については、進捗状況を把握できませんでした。そのため、未締結のままサービス提供が始まってしまうおそれがあったのです。

また、手入力に頼るExcel管理台帳も、入力漏れや記載不足が起こりやすく、正確な期限管理に使える状態ではありませんでした。契約の有効期限を十分に把握できないため、顧客から連絡を受けて初めて更新対応に動くこともあります。将来的には大きな問題につながりかねない。そうした強い危機感がありました。

ーーそうした課題を解決する手段として、仕組みの導入を検討し始めた経緯を教えてください。

阿部: 既存の約400件にのぼる契約データを手作業で整理するのは、現実的ではないと判断しました。そのため、専用の仕組みを導入する方針を固めました。私が24年11月に着任した直後に、すべての情報を入れ直す案も検討しています。ただ、作業量があまりに大きく、かけた労力に見合わないと考えたのです。そこで、契約業務そのものを見直すべく、クラウド型の契約管理サービスの検討を進めました。


法務相談から期限管理まで一元化し、運用の徹底で社内定着を実現

ーーシステムを検討するなかで、複数のツールから「マネーフォワード クラウド契約」の導入を決めたポイントは何でしたか?

阿部: 最大の決め手は、法務相談から承認申請までの流れを2段階で連続して管理できる点でした。

他社のシステムにも期限管理や通知機能はありましたが、契約に至る前段階のやり取りまで適切に管理できる点で、「マネーフォワード クラウド契約」が優れていました。法務相談の機能を使えば、修正履歴が自動で版として記録されます。そのため、契約内容がどのように変更されたのかを追いやすく、契約前の交渉経緯も明確になります。こうした透明性の高さが、当社の課題に最も合致していました。

谷口: 重要だったのは、案件管理の課題もあわせて解決できることです。当初は、契約更新の漏れを防ぐため、期限の通知機能を中心にシステムを探していました。ただ、提案を受けて検討を進めるなかで、契約締結前の案件進行状況が見えていないことこそ根本的な問題だと気付きました。「マネーフォワード クラウド契約」であれば、契約の進行状況から締結後の期限管理まで、一元的に管理できると考えたのです。

ーー導入後、社内に新しいシステムや運用ルールを浸透させるために、どのような工夫をされましたか?

阿部: 社内への定着に向けて実施したのは、操作手順書の作成と申請窓口の完全な一本化です。新しい運用を根付かせるには、例外を設けない姿勢が欠かせません。導入当初は一部で並行運用もしていましたが、基本的には指定したシステム以外での法務相談や申請は受け付けない運用にしました。手続きを十分に理解していない従業員には、その都度個別に連絡して使い方を説明しています。操作が難しい場合は代理で申請や修正を行いながらも、原則としてシステムの利用を徹底しました。


台帳入力の自動化とアラート通知により、先回りできる契約管理と業務の見える化を実現

ーー過去に締結された多くの契約書類のシステム移行は、どのように実施されたのでしょうか。

阿部: AI-OCR機能を活用し、効率よく情報をデータベース化しました。画質のよいPDFデータであれば、システムが社名や契約期間、金額などの内容を自動で読み取ってくれます。一からすべての情報を手入力する手間が省けたため、手作業での対応は一部の項目の確認や修正に限られました。

すべての書類を手入力で移行するのは現実的ではありませんでしたが、この機能によって、過去に締結した契約も迅速に検索し、活用できる状態になりました。読み取りが難しい一部の書類を除けば、過去の契約情報を無理なくシステムへ集約できた点は、大きな利点だったと感じています。

ーー契約管理台帳の入力作業において、システム導入後にどのような変化が生じましたか?

谷口: Excelを使った手作業での台帳入力は、完全になくなりました。導入前は、年に100件ほど発生する契約書類の情報を1件ずつ入力しており、相応の工数がかかっていました。

現在は、システム上で申請者が入力した内容が、そのまま管理台帳に反映される仕組みです。手入力の負担がなくなったのはもちろん、入力漏れや転記ミスの心配も大きく減りました。

ーー進行中の契約状況や、締結後の書類保管に関する課題は、どのように改善されたのでしょうか。

近藤: 締結が完了した書類をシステム上に直接アップロードする運用へ切り替えたことで、書類の回収漏れを防ぎやすくなりました。相手先で手続きが止まっている案件も画面上ですぐに把握できるため、担当者への確認も速やかに行えます。

また、法務相談も事前にシステムを通じて申請されるようになりました。その結果、「今日中に対応してほしい」といった急な依頼は大幅に減少しています。あらかじめ進行状況を把握できるようになり、余裕を持って業務を進められる体制が整いました。

谷口: 印紙を貼った紙の契約書についても、貼付後の画像をシステム上にアップロードして保管しています。印紙の有無や金額などの情報も台帳と紐付けてまとめて管理できるようになり、あとで確認する作業もスムーズになりました。

ーー契約の更新管理や他部署との情報共有においては、どのような効果が得られましたか?

阿部: アラート通知機能を活用することで、契約更新を先回りして管理できる体制が整いました。更新時期が近づくと、経営管理部だけでなく、申請者である営業などの担当者にも自動で通知が送られます。顧客からの連絡を待つのではなく、当社から余裕を持って更新手続きをご案内できるようになりました。

さらに、営業担当者がシステムに直接アクセスし、過去の契約情報を自ら検索できる環境も整っています。過去の契約内容を担当者同士で都度確認し合う必要が減り、全社の業務スピード向上にもつながっています。


管理台帳の柔軟な設計やタグ機能の拡充に期待。法務専任者の入社を見据え、さらなる体制強化へ

ーー今後の法務体制や契約管理における展望をお聞かせください。

近藤: これまで経営管理部が兼任で担ってきた法務業務については、今後、専任の担当者が入社する予定です。「マネーフォワード クラウド契約」を導入したことで、スタートアップでありながら、契約情報のデータベース化と管理基盤の整備を先行して進められました

その結果、新たな担当者も着任直後から、整理された環境で円滑に業務を始められる見通しです。今後も本サービスを十分に活用し、より強固な契約管理体制の構築を進めてまいります。

ーー「マネーフォワード クラウド契約」は、どのような課題を持つ企業におすすめできるかお聞かせください。

阿部: 契約管理を後回しにしてきた企業にこそ、おすすめできると考えております。過去に締結した契約書を手早くデータベース化し、すぐに活用できる状態へ整えられるからです。当社でも、過去の契約をすべて手入力で登録するとなると、非常に大きな負担になると感じておりました。一方で、AI-OCR機能の精度が高く、入力の手間は大幅に抑えられました。

こうした機能を活用すれば、これまで管理体制を十分に整えられていなかった企業でも、想像以上に早く、効率よく契約情報のデータベース化を進められるのではないでしょうか。

公開日:2026年5月20日 公開当時の情報となります

今回の導入サービス

株式会社イノシア
医療機関向けに看護業務支援や施設基準管理ソリューションを提供。更にこれらのソリューションで得られるデータを活用した新規事業の開発に取り組む。