日本精器株式会社

請求書業務の電子化でDX推進が加速。未対応の企業に「手作業をデジタルにすると楽になる」と気付いてほしい

日本精器株式会社 管理部 DX推進課 江藤 様
管理部 DX推進課 谷 様
  • 課題

    ・請求書業務の手作業による負担が大きかった
    ・取引先とのやり取りの非効率性が目立った
    ・社内においてDX推進への抵抗感があった

  • 結果

    ・請求書の封入作業が削減され郵送も減ったことで、保管スペースや用紙代・印刷費などの削減を実現できた
    ・支払明細書の事前送付により遅延が減少したり、メール送信により送信日時が明確化したことで不具合時の再送も容易になったりした
    ・デジタルへの理解が浸透し、社内の協力体制が得られた

空気圧機器の専門メーカーとして1955年に創業し「制御・駆動機器」「エアークリーニング機器」「空気圧応用機器」の3領域を主軸に事業展開する日本精器株式会社。高い技術力と顧客ニーズへの対応力で積極的にOEM(顧客仕様の生産)開発や知的財産経営にも取り組み、さらなる業務効率化を目指してDXの推進にも注力しています。

その一環で導入したマネーフォワード クラウドインボイスについて、採用の決め手や運用後に得られたメリット、社内に起きた変化などを伺いました。

ミッションはデジタル技術で変革をもたらすこと。DXで生産性を上げ、迫りつつある人材不足に備える。

――まずは会社概要をお聞かせください。

請求書業務の電子化でDX推進が加速。未対応の企業に「手作業をデジタルにすると楽になる」と気付いてほしい

江藤様:私たちは「空気圧の価値」を追求する企業です。空気圧の力で産業用ロボットや装置を動かす「制御・駆動機器」、圧縮した空気中の不純物を除去する「エアークリーニング機器」、冷風を発生させる「空気圧応用機器」などを製造しており、船舶用のエアークリーニング機器の冷凍式除湿機では業界トップシェアを誇ります。

高い技術力が評価され2016年には「大阪ものづくり優良企業賞」の最優秀企業賞を頂きました。地域貢献はもちろん、府内企業と連携して社会の進歩・発展にも寄与しています。

――管理部 DX推進課の概要を教えてください。
江藤様:管理部は人事労務や経理財務、社内インフラの整備、基幹システムの運用保守などバックオフィス業務全般を担っています。その中でDX推進課は文字通りデジタル技術を活用し、会社のビジネスを変えようとチャレンジを続けている部署です。

併せてDX推進課では、人材不足の時代に備え自社製品の生産性を高めつつ、業務の属人化を解消することをミッションに掲げています。

メンバーは谷と私の2人で、彼女は経理や会計の業務経験を、私はシステム関連の知見を生かしてDX推進に努めています。

まずは、2人の知見を活かして、請求書などのバックオフィスのDXを推進することから始めました。

月末ごとに一人で100通以上の請求書を印刷、封入、郵送。アナログ作業や業務の属人化が課題に。

――請求書発行業務において、以前はどのような課題を抱えていたのでしょうか?

谷様:インボイス制度の実施を控え、請求書関連の紙業務を続けることに不安を覚えるようになりました。弊社も取引先もアナログな体制のままだと手間が増えるのは明確で、対策を打たなければと思っていましたね。

江藤様:例えば確定した取引内容を基に支払明細書を作成し、あらかじめ仕入先に送付すれば、弊社はもちろんですが仕入先の負担増を抑えられると考えました。また、一連の業務をデジタル化し、帳票のやり取りを郵送からメール送信に切り替えたいとも話していました。

谷様:私は請求書周りの業務を担当してきましたが、マネーフォワード クラウドインボイスの導入前は月末になると一人で慌ただしくしていました。入金処理、印刷、封入して社印を押して…と、この作業だけで5時間近くはかかっていたでしょうか。

毎月の請求書は100通を超え、しかも「一括で送ってほしい」「宛先を変えたい」「手書きで欲しい」と、取引先の要望もさまざまです。時に、めげることもありましたね。

もしトラブルがあっても他の従業員では対応できず、子供が急に熱を出したりして休暇を取得しても気が気ではありませんでした。弊社の東京営業所でも同様で、担当者は苦労していたと思います。

11社の中から選んだのがマネーフォワード。決め手はシステムの柔軟性、企業の将来性、担当者の誠実さ。

請求書業務の電子化でDX推進が加速。未対応の企業に「手作業をデジタルにすると楽になる」と気付いてほしい

――マネーフォワード クラウドインボイスをご存じになったきっかけは何ですか?

江藤様:そこで従来の環境を変えようと、各社が出している電子請求書システムを比較・検討することにしました。調査を続ける中、谷に紹介されたのがきっかけです。

谷様:ある日、取引先がマネーフォワード製品を利用していると知りました。私自身も家計簿アプリのマネーフォワード MEを使ったことがあり、社名を覚えていたので、参考になればと江藤に報告したのが始まりです。

――導入の決め手をお聞かせください。

江藤様:結果にこだわろうと計11社から話を聞きました。次に「電子請求書と支払明細書の発行・管理が弊社のスタイルに合ってるか」をポイントに5社まで絞り込み、最終的にマネーフォワードともう一社が残りました。

決め手は「マネーフォワード クラウドインボイスなら帳票をファクスでの運用もできる」という点です。メールの扱いに不慣れな取引先も多く、柔軟に対応できるのが魅力でした。また、専任担当者も誠実でしたね。説明が丁寧な上に私たちの要求を無下に断らず、前向きに検討する姿勢に好感を持てました。別件でマネーフォワード クラウド勤怠の担当者とも話しましたが、やはり好印象でした。

商談を通じ、マネーフォワードが電子文書の国際規格・Peppol(ペポル)の普及と利活用を進めているとも聞きましたね。「顧客のために開発を続ける会社」というイメージが湧き、将来性に期待できたことも選んだ理由の一つです。

――導入前に懸念点などはございましたか?

谷様:社内の各データをひも付ける作業は経験がなく、当初は身構えました。でも、とにかく手を動かしましたね。マネーフォワード クラウドインボイスでの表示内容が誤っていたら原因を調べ、分からなければメールやチャットでサポート窓口に問い合わせ、解決していきました。

今もトライアンドエラーを重ね、つまずいたらマネーフォワードに頼っています。よく質問するのは請求書の保管期間など、電子帳簿保存法に関わる内容でしょうか。翌日には回答を得られるのでスピーディーです。

請求書の封入作業が8割減、帳票の保管スペースも減少傾向に。請求書を催促するストレスも軽減できた。

――運用開始から約1年が経過し、どのようなメリットを感じていますか?

谷様:導入効果は非常に大きく、特に請求書の封入作業が軽減されました。約8割はマネーフォワード クラウドインボイスのみで完結し、郵送は20通未満にまで減っています。

江藤様:社内で支払明細書を扱っているのは購買部門です。以前は、まず検収した内容を仕入先に送り、先方が注文書などと照らし合わせて手書きの請求書を起こし、弊社に郵送していました。そして届いた請求書は1通ずつ開封して内容を確認し、最後は管理部が受け取ってファイリングしていました。今思うと本当に面倒ですよね。

併せて購買部門では、請求書の到着が遅れている仕入先に対する催促がちょっとしたストレスだったようです。マネーフォワード クラウドインボイスを導入してからは支払明細書を送るため、仕入先からの請求書の遅延も減り、催促することもなくなり、先方からも喜ばれていると聞きます。

さらに購買部門の数字に対する意識が高まったのは思わぬ効果ですね。取引先に支払明細書を送る以上、従来よりもミスの防止を徹底するようになりました。今では誤入力なども月に1件あるかないかでしょう。

――管理部ではどのような変化が起きていますか?

江藤様:長くアナログ業務に慣れてきたこともあり、当初はDXに対する戸惑いの声もありました。でも今はデジタルへの理解が浸透し、皆さん非常に協力的です。

DXは全社的に進んでいますね。新たなシステムやソフトを導入する際、まずは私から当該部署の責任者に概要やメリットを説明し、現場との調整を谷が率先して引き受けてくれました。

谷様:重要なのは“入り口”で、初めから「難し過ぎる」「自分たちには不要」と思われないようアプローチを工夫します。その後も話し合いを重ね、最適な運用方法を一緒に探します。

――コスト面での改善は見られましたか?

江藤様:帳票の用紙や封筒の代金、印刷費、送料をはじめ、毎月1万円分ほどのコスト削減につながりました。近年は郵便料金の値上げもあり、事前に見直して正解でした。

谷様:紙の請求書の保管スペースも縮小できました。以前は2カ月もすると整理用の段ボール箱が満杯になりましたが、現在はいっぱいになるまで4カ月ほどかかります。

江藤様:郵送だと納入先に請求書が届かないこともありました。メールに切り替えたことで送信日時が明確になり、不具合があれば再送も可能です。先方担当者のアドレスを変更したり、追加したりするのも簡単ですよね。

――操作性やよく使う機能を教えてください。

江藤様:とても簡単に扱えます。ひとたび請求書のフォーマットさえ作ってしまえば、あとはデータを読み込ませるだけで自動的に発行できます。

取引先から追加で複数の請求額を聞かれた時も、手書きのメモをPDFファイルにすれば一緒に送信できます。この操作もマネーフォワード クラウドインボイスにひも付けられるので大変便利ですね。

――製造業界ならではのシステムに関する課題や活用方法をお聞かせください。

江藤様:製造業界では拠点や部署ごとに全く異なるシステムを導入している企業も少なくありません。なかなか一本化できず苦労も多いと聞きます。

対して弊社の基幹システムは、販売や生産管理などの必要なデータを選んでCSVファイルにできるのが特長です。マネーフォワード クラウドインボイスにもそのまま読み込ませるだけで連携できます。今からシステムを見直す同業の方々は、このポイントを抑えておくと良さそうです。

今回の導入を機に社内のDX推進ムードが高まる。業務効率化により生まれた余力で「アイデア探し」に注力。

――請求書発行業務の効率化により、新たに始まったチャレンジなどはございますか?

江藤様:マネーフォワード クラウドインボイスを導入したおかげで全社的にDX推進の機運が高まっています。

谷と私は「アイデア探し」に時間を使えるようになりましたね。その一環で新たに情報共有ツールを導入しました。本格的な運用はこれからですが、例えばISO規格の資料、取引先の情報、弊社の社内規定などをアップして従業員に活用してもらう予定です。

――マネーフォワード クラウドインボイスへの期待や今後の目標をお聞かせください。

江藤様:最近、マネーフォワード クラウドインボイスにWeb送付(ID認証)の機能が追加されましたよね。取引先がネット上で帳票を確認できてファイルの保管期間も長く、電子帳簿保存法にも自動対応しています。とても便利なので、もっと世の中に広まることを期待しています。

社内で取り組みたいことは山ほどありますね。個人的に、ぜひ見積書の作成業務を自動化したいものです。

谷様:DXを進めて業務の属人化を解消し「誰もが安心して休める」を当たり前にしたいですね。そのためにも、先ほど話した情報共有ツールに各自のノウハウを集約させる仕組みづくりに注力したいです。

私自身もインボイス制度への対応やマネーフォワード クラウドインボイスの活用方法を共有し、必要な時はゆっくり休んで、家族との時間を増やそうと思っています。

――最後に、導入を検討している方々にメッセージをお願いします。

江藤様:インボイス制度や電子帳簿保存法の難しさを大々的に取り上げるメディアもありましたが、弊社はマネーフォワードのおかげで大きな混乱も無く今に至ります。ぜひ「手書き、手入力、手作業をデジタルにすると楽になる」という点に気付いてほしいですね。

私たちは2人体制でここまで到達しました。従来のアナログ作業や紙文化がどう変わるのか、マネーフォワードに尋ねてみることを勧めます。

谷様:マネーフォワード クラウドインボイスの導入で大切にしたのは「関わる人が楽になってほしい」との思いです。社内にDXを浸透させる上での私の信条ですね。

この気持ちさえあれば、デジタルに抵抗のある方々への説明や話し合いもスムーズに進められると実感しています。

公開日:2025年2月13日 公開当時の情報となります

日本精器株式会社
空気圧機器の専門メーカーとして1955年創業。制御機器・駆動機器、エアークリーニング機器、空気圧応用機器の3つの事業を展開し、高い技術力と顧客ニーズへの対応力により、OEM開発や知的財産経営にも積極的に取り組んでいる。特に、船舶用エアークリーニング機器では業界トップシェアを誇り、その高い技術力が評価され、大阪ものづくり優良企業賞の最優秀企業賞を受賞。また、地域貢献にも力を入れており、府内企業との連携を強化することで、社会の進歩発展に貢献している。※掲載内容は取材当時の情報です。