
巷でFinTechという言葉が広く普及したように、経費精算においても近年の法改正によりITの活用を通じて企業の生産性を向上させようという動きが活発化しています。
しかし電子帳簿保存法という言葉自体は聞いたことがあっても、具体的な内容はまだ認知度が低いのが現状です。
そこで今回は電子帳簿保存法が平成28年度改正でどう変わったのかご紹介していきます。
マネーフォワード クラウド経費では電子帳簿保存法に対応しています。
目次
スマホでの撮影保存が可能に
大きく変わった要件として、スキャナが従来の原稿台と一体になったものだけでなく、スマートフォンでも認められることになりました。
具体的には、スマートフォン等のカメラ機能を備えた携帯型端末を利用して領収書等を撮影し、その画像データを経費精算などの資料として会社へ送信した後、会社の管理部門等でチェックを終えた段階で、画像データが原本の証憑とみなされ、書面の領収書等は破棄できるような制度です。
すなわちこの改正により経費として使ったタイミングで手軽に撮影し、データ化することが可能となりました。
データ改ざん・不正の防止
手軽に撮影保存が可能になったことによりデータ改ざん・不正のリスクが増加することとなります。そこで、それらを防止するための方策がとられています。
タイムスタンプの付与
電子データの非改ざん性を担保するために「いつ作成したデータなのか」、そして「その後の電子データの改変がないこと」を証明する措置が必要になります。その電子データの改変がないことを証明する措置がタイムスタンプです。
そこでスマホで撮影・保存の場合、受領後三日以内にタイムスタンプを付与することとされています。
自ら領収書等に署名
領収書等に署名とは、領収書等を受け取った人が手書きで領収書等に自分の姓名を書くことです。
平成27年改正前では、電子署名が義務つけられていましたが、現在は記録事項の入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにすることとされています。
適正事務処理要件
「適正事務処理要件」という一種の内部統制制度が整備・運用されていることが必要です。
実際の運用についてはまた次回で取り上げますが、具体的には
(1)相互に関連する当該各事務について、それぞれ別の者が行う体制
(2)当該各事務に係わる処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続き
(3)当該各事務に係わる処理に不備があると認められた場合において、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制
以上の要件を満たす内部統制の仕組みを構築する必要があります。
一見面倒に感じられるかもしれませんが、業務には多数の従業員が関わっているはずであり、そこには内部統制の仕組みがなければ業務が動きません。
税理士がチェックすることで、社内の相互牽制の緩和
小規模企業者(おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人以下)の事業者)においては
平成28年改正で社内で経理担当等が行う定期的な検査を税理士が担当することで、社内データの確認業務を省略できるとされました。
したがって、従業員がスマホで書類等を撮影した後、税理士がその内容を事後確認することで、書類の破棄が可能になるわけです。
まとめ
最後に、平成28年度改正の業務フローに沿ってまとめておきましょう。
スマートフォンで手軽に経費精算ができるようになることで従業員の負担軽減につながります。
また、電子データ化した原本の紙の書類等を一定の検査を経れば破棄することが可能になります。ぜひこの機会に電子帳簿保存法の対応を考えてみてください。
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領収書の電子保存始まります
平成28年改正の電子帳簿保存法にも対応
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