インボイス制度の開始に合わせてコスト削減を実施!

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コストダウンという視点でインボイス制度を考えてみる

いよいよ開始したインボイス制度

何かと面倒、手間という声が聞かれますし、実際に実務に携わると負担感の大きさを感じざるを得ないというのが率直な意見でしょう。

以前、インボイス制度に合わせてインボイス発送業務のカイゼンを進めている事例について解説をしました。今回は、インボイスの発行に関して、コスト削減という視点で見ていきたいと思います。

社風によっては、新しい取り組みをする場合に、“業務改善”というキーワードが刺さる会社もあれば、“コストダウン”というキーワードの方が経営陣を動かしやすいという会社もあると思います。

コストダウンというキーワードが刺さりそうだなと思う方は、ぜひともご一読ください。

紙でのインボイス発行の場合のコストは?

紙で請求書(ここでは、請求書がインボイスに該当する前提で考えます。)を送付する場合、まずは人件費について考える必要があります。

紙で送付する場合は、

“印刷”、“封入”、“投函”

という作業を、人を介して行うことが一般的なので、その業務に要する人件費を考える必要があります。

作業に費やす時間×時間当たり人件費

が請求書発行・発送業務にかかるコストということになります。

例えば、月末から月初にかけて3日間で2名の社員が作業に関与しているとします。社員の時間単価が3,000円/時間としましょう。(年収450万円のスタッフが年間1,800時間労働するとした場合に、法定福利費の会社負担分も勘案すると、時給はおよそ3,000円に相当します。)

8時間×3日×2名×3,000円/時間 ⇒ 144,000円

が1ヶ月にかかるコストとなります。1年で考えると172万8千円かかっていることになります。

管理部門の人件費は個別の業務ごとに測定することは少ないと思いますが、実際はこのくらいのコストがかかっているのです。

仮に単価の高い社員が業務に関与すれば当然コストはもっとかかることになります。逆に単価の低い人で処理をしたり、作業時間を短縮できればコスト削減が可能です。

封入業務の時間を短縮する視点で、封入封緘機(インサーター)を導入している会社もあります。機械が想定通り動いてくれれば時間短縮に寄与するので、人件費を圧縮し、封入封緘機の購入費用を上回る削減効果が出るケースもあります。

ただし、紙詰まりなどが発生しないかなどの確認のため、封入封緘機の前で30分ほど待機をしていたり、ここぞという時にうまく稼働してくれなかったという話もあります。忙しい時にこのような事態に陥るとストレスが溜まってしまいますね。

目に見えないコストも考える

ストレスという観点で考えると、紙で請求書を発行・発送する場合は、原則として会社に出社して業務を行う必要があります。

最近はアフターコロナということもあり、全体的に出社率も上がっているようですが、いざという時に在宅勤務ができるということは働く人の安心感にもつながるでしょう。

紙の発行・発送で業務を実施している場合は、どのような時も出社をしなければならないということを意味していて、その点に対して苦痛を感じている人がいるとしたらそれは損失といえるでしょう。

最近は、オンラインで発行・発送ができるクラウド型のシステムを導入する会社も増えています。導入することで、在宅で請求書発行・発送業務が完了できるということも導入の背景にあるようです。

クラウド型のインボイス発行システムでコスト削減は可能か

それでは、クラウド型のインボイス発行システムを導入する場合、コスト削減には寄与するのでしょうか。

クラウド型のインボイス発行システムは、基本的に紙の印刷を行わないペーパーレスが前提で、さらにオンラインで発送を完了させることを前提(一部のサービスでは紙の郵送代行にも対応)としています。

そのため、印刷コスト、インク代などは一切かからなくなるのでその分のコストは削減されます。また、先ほど少し触れた封入封緘機ですが、封入する必要がないので、これも購入する必要はありません。

すでに購入している会社は「もったいない!」と思われるでしょうが、将来的に削減されるコストと比較する視点で考えましょう。

さらに保管コストに関しても、紙で保存をする場合は、保管場所を確保する必要があり、家賃の高い本社で保管する場合はその賃料分がコストです。家賃の低い外部倉庫に預けるとしても外部倉庫の賃料がかかることになります。

ペーパーレス化をして、電子帳簿保存法対応をする場合は、賃料を削減ができます。もちろん、サーバやクラウドストレージに保管する場合は、その分のコストがかかりますが、賃料よりも安いケースが多いでしょう。

他にも、紙の発行の場合は郵送代もかかりますので、その分もコスト削減となります。

クラウドサービス利用料と比較してみる

クラウドサービスを利用するとなると、当然その分の利用料がかかってきます。

導入後にコストダウンになるのかどうかを比較する際は、クラウドサービス導入によってどの程度作業時間が圧縮されるのかも考慮します。

紙の請求書発行後の封入時間、投函のための時間が削減されるでしょうから、その分の時間に人件費単価を乗じた額が削減額となります。また、システム利用で業務効率化された縮減時間も削減額と考えることができます。

削減される人件費の他に印刷代、郵送代、保管のための賃料などを加えたコストよりもクラウドサービスの利用料金が低い場合は、クラウドサービスの利用を検討する価値はあります。

さらに、クラウドサービスを利用する場合は在宅勤務、多様な働き方の導入が可能となり、従業員満足度を上げることにも寄与するでしょう。

なお、既存のシステムをお持ちの会社の場合は、そのシステムをメンテナンスして利用し続ける、あるいはシステムを切り替えることに後ろ向きで切り替えの検討をしないというケースも見られます。

しかし、将来継続してシステムのメンテナンスをすることを考えた場合、今回のインボイス制度導入に合わせてシステムを入れ替えた方が、長期的視点に立つと有益ということもあります。そのような視点も持ってシステムの切り替えを考えるとよいでしょう。

また、既存のシステムを利用したまま請求書の発行のプロセスからクラウドシステムを利用することで、ペーパーレス化が実現できるというタイプの製品もあります。

「取引先によっては紙の請求書の発行が不可欠」という場合には、データでの送付だけでなく郵送代行も行なっているサービスもあります。このようなサービスだと、1クリックであらゆる送付方法に対応できるので、取引先ごとの個別対応が不要になるケースもあります。

幅広く新たなサービスをリサーチしていただくとニーズに適合する製品もきっとあると思います。

今回は、インボイスの発行に関して、コストダウンという視点で見てきました。コストダウンの余地がありそうな方の参考になれば何よりです。

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