会計の専門家としての目標は「効率的に数字を作り、効果的に数字を使い」会社の夢を応援すること

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会計の専門家としての目標は「効率的に数字を作り、効果的に数字を使い」会社の夢を応援すること

町田パートナーズは「社長の夢の全力応援団」をミッションに掲げ、会計を軸として企業をサポートしている会計事務所です。代表の町田孝治さんは早稲田大学理工学部で業務効率化・プログラミング・統計学を学んでおり、理系的なアプローチを会計士・税理士の仕事に導入して、経理の業務効率化を進めてきています。事務所開設当初は拡大路線を取り、事業の拡大をしましたが、数年前に方向を転換して事務所をスリム化。「入力しない会計事務所」として経営コンサルティングに軸を置き、会社を応援する業務を展開しています。企業のサポートの仕方と新しい会計事務所のあり方について、お話を伺いました。


町田 孝治(まちだ たかはる)様

公認会計士、税理士、町田パートナーズ公認会計士・税理士事務所 代表。1975年4月23日、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学理工学部で業務効率化、プログラミング、統計学を学ぶ。大学卒業後、公認会計士試験二次試験に合格。有限責任監査法人トーマツに入社。2006年、「町田公認会計士・税理士事務所」を開業。10年間で延べ1,000社の経理を担当。現在は「社長の夢の全力応援団」をミッションとして、社長の幅広い悩みを解消できるサポート体制を確立。新世代の経営者が集うワールドユーアカデミー「ヒーローズクラブ」に在籍し、次世代の会計事務所像を形にするため奔走している。著書に「会社のお金を増やす 攻める経理」(フォレスト出版)

 

目指しているのは業務の代行ではなくて業務の効率化

社長の役に立つ仕事をしたいと考えたことが独立のきっかけ

――町田さんは町田パートナーズ公認会計士・税理士事務所の代表であり、公認会計士、税理士でもあります。現在に至るまでの経緯を教えていただけますか?

もともと私の家は、父が税理士で兄も会計士という会計一家でした。理系科目が好きだったため、早稲田大学理工学部に進み、プログラミングや統計学を学びました。家族が会計士をやっていたこともあり、会計についても勉強してみようと思い、学び始めたら楽しくなってしまい、会計の世界にのめり込んでしまいました。そして公認会計士の資格を取り、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)に入社しました。

その頃から「社長のお役に立てる仕事がしたい」と考えていました。しかし、監査という仕事は会計処理の間違い探しをすることが業務の中心です。監査法人での仕事は有意義なものではあるのですが、自分が本当にやりたいことをやるためには、違う道を選ぶべきだと決断しました。会社を辞め、半年間海外を放浪したのちに、税務について学び、兄の事務所で税理士として修業しました。

兄の事務所で中小企業に寄り添い、企業のサポートする仕事が、自分にはしっくり来ました。経営者の方々と話をさせていただく中で、「打てば響く」という感触を持ち、自分にとっても、ありがたい仕事だと感じたのです。自分の力を試したい、ゼロからやってみたいと思い、2006年に独立して現在に至っています。

大きな成功体験となった年末調整の効率化

――事務所を設立されて、どのような経営方針で運営されていたのですか?

最初の頃は「自分たちにできることはなんでもやります」というスタンスで、仕事をどんどん広げていきました。社長の役に立ちたいという気持ちとともに、事務所を大きくしたいという気持ちもあり、目標として「社員数100人」という数字を冗談半分に掲げていた時期もありました。

事業としてもいろいろな取り組みを行いました。その中の一つが「経理代行」です。やり始めたのは2013年で、その当時は「経理代行」という言葉はまだありませんでした。会計事務所の一般的な仕事に「記帳代行」というものがあります。「経理代行」は記帳代行も行いますが、それ以外の振込・経費精算・給与計算など総務的な仕事も含めて、トータルで代行するというものです。

例えば、経理担当者が退職した場合、新たに同じポジションで採用して育てたとしても、また退職する可能性はなくなりませんよね。自社で人材を抱えている限りそれは変わりません。「担当者が辞めてしまう」リスクをゼロにするために、我々に「経理代行」を依頼いただければ、担当者が辞めることで経理の仕事に穴を空けてしまう心配がなくなりますし、我々の「経理代行」にはスキルも経験値もあります。更に「経理代行」にかかる経費は、新たに経理の人間を採用するよりは安く済む利点もあります。
このような特徴がお客さまのニーズとマッチしたこともあり、「経理代行」は事務所の収益の大きな柱の一つになりました。

私自身、大学時代に業務効率化について学んだことが活きて、ITを使って業務効率化することが好きになりました。業務の効率化でターニングポイントになったのは、大量の年末調整の仕事を引き受けるようになったことでした。2016年のことです。当時、年末調整の仕事を1,500人分ほどやっていたのですが、新たに「約3万人分の年末調整の仕事を受けてくれないか」という話がきました。1,500人分に3万人分が加わるとなると、普通に対応していたら、担当する人数を10倍くらいに増やす必要があります。しかし、現実的にはそんなに短期間で新たに雇うことはできません。

工夫して乗り切るしかない状況になり、年末の2か月間、派遣社員を20人ほど雇用することにしたのです。派遣社員は素人ですから、数日間教育して、なおかつ年末調整のプロセスを可能な限り細分化して振り分けました。「あなたは生命保険料控除です」「あなたは年金保険です」といった役割分担です。一人ひとりに仕事を細分化することで、それぞれが半日で100件くらい担当することになります。そうすると、その細分化された役割に関しては、1日でどの職員よりもくわしいプロになるのです。

細分化した役割をつなぐフローを作り、さらにお客さまの会社とつなげるシステムを作りました。いつ誰から問合せがあっても、状況を把握できる仕組みを作ったことによって、仕事をスムーズに行えるようになりました。この仕組みを作ったことは、私の中でも大きな成功体験となったのです。

「経理代行」の仕事は、これまでお客さまが行っていた仕事を職員が代行するものであり、仕事の量自体は減っていません。一方、年末調整の仕事では大幅な効率化になりました。自分が目指している業務の効率化を実現できたという意味でも、この年末調整の仕事は大きな経験になりました。

会社を良くすることが社会貢献につながっていく

重要なのはミッションや方向性を社内で共有すること

――町田パートナーズは拡大路線から少数精鋭路線へと方向を転換されています。その理由と、どのように実現していったのかを教えていただけますか?

事務所を開業した当時は「人も増やして、仕事も増やして、みんなで楽しくやっていこうよ」という体育会系ノリなところがありました。実際に人も仕事も増えていきましたが、数年前から事務所を辞める社員が目につくようになり、事務所内の雰囲気も悪くなったタイミングがありました。A派、B派といった対立が生まれて、会社全体の統率が取れず混乱していました。

大きな反省点は、私のリーダーシップが足りなかったということです。職員の採用の仕方もラフすぎだったと反省しました。事務所を大きくすることに気を取られて「仕事ができて、スキルがあればOK」という基準で社員を採用するようになっていたのです。

「社長の夢の応援団」というミッションを掲げていましたが、その方向性を共有できず、社員とぶつかるケースも出てきました。一人ひとりとしっかり向き合って、説得・説明する努力が足りなかったのです。社員側にも不満が溜まっていたと思います。事務所を辞める人間が出てくると、残っている人間にも仕事のしわ寄せがあります。残った社員の不満も大きくなるという悪循環があり、1、2年の間に20人ほどが辞めました。

立て直すことができたのは、骨のあるメンバーが残ってくれたことが大きかったと思います。「自分たちが立て直すのだ」という気概を持って頑張ってくれました。とはいえ、社員がたくさん辞めたこともあり、事務所の仕事の内容も見直すことにしました。それはこれまでやってきた入力の作業を無くすことです。入力作業が入ってくると、他の作業ができなくなり、身動きが取れなくなります。やるべきことに集中するためにも、必要なことだと考え判断したのです。

プロ同士がタッグを組み、役割分担するのが効率的

――入力作業をしないというのは会計事務所にとって大きな決断だと思われます。具体的にはどのように実現していったのでしょうか?

基本的には、外部の会社に入力作業を委託することにし、数多くのメリットを享受できました。具体的には、自社では会計の専門的な業務、外部には入力に特化した業務と、各々がプロとしてより得意な業務に集中できるため効率的になりますし、自社で入力業務について一から教育する必要もなくなり、完成度の高いアウトプットが期待できます。そして、入力作業が無くなった分、自社でやるべき仕事を選び、それに集中することができました。

同時に、会計ソフトや自動記帳サービスなどのクラウド・自動化のサービスを組み合わせることで、手入力していたものを徐々に減らしていくようにしています。

お客さまに入力作業の効率化を直接お願いする場合もあります。今はクラウド会計やネットバンキング、クレジットカードなどのネット上の情報を組み合わせることで、利用者が半自動化まではできるようになりました。つまり、お客さまの入力作業については、かなりハードルが下がっているということです。お客さまに提案するとありがたいことに引き受けてくださることが多く、経理担当がいないにも関わらず、半自動で運用するケースも増えてきています。

私たちの事務所で得意としているのは、ITを駆使して会計や税務の業務を効率化することなので、効率化のためのサポートはかなりやっています。例えば、エンドユーザー向けの仕事をされているお客さまの場合は、通帳を20冊くらい使用しているケースもありますが、20冊をいちいち記帳してコピーするだけでも相当の労力も時間もかかります。それらをネット上で連携させることで、ボタン一つで確認できるため、かなりの時間と労力の節約になります。入力作業の削減でできた時間を、会社の将来的な戦略の構築など重要な業務のために使うこともできるでしょう。

職員全員がすべての仕事をできることが理想

――事務所内の部署を「お役立ち事業部」に統合するなど、組織変革を行ったとのことですが、その意図を教えていただけますか?

以前は経理代行部・税務サービス部・人事サービス部など、いくつかの部署を作っていたのですが、現在は「お役立ち事業部」に統合しました。年末調整の様に完全に機械的な作業を除き、部署を分けることによって自分の仕事に境界線を作ってしまい「これは私の部署の仕事ではありません」と言う縦割り意識が障害になケースがあるからです。

「お役立ち事業部」を作ったのは全員がすべての仕事をできるのが理想だと考えたからです。大きな目的は2つあります。1つ目は、部署の壁を無くすことです。2つ目は、「お客さまのお役に立つことをする」という共通認識を持つこと。「お役立ち事業部」という名前がついていることで、お客さまから「その部署は何するところですか?」と聞かれるケースも出てくるでしょう。そうすると、「お客さまのお役に立つことが私たちの仕事です」って答えるじゃないですか。「別の部署の仕事です」ではなくて、「なんでも私に聞いてください」とお応えできるようになり、意識も明確になりますし、お客さまにとっても利便性が高まります。

採用方法も改めました。採用条件だけを提示するのではなくて、事務所のミッションを説明し、「目指していることに共感してくれる」ことも重視しています。また、社員に「ヒーローズクラブ」という私が在籍している活動に参加してもらうことで、社内の意志統一を図ることができていますし、社員の活動が仕事にもつながっていると実感しています。

現在は少数精鋭の体制で、私と正社員2人とアルバイト4人の体制となりました。社員が20人くらいまでに減ってからは、明確なビジョンを持ってこの形に移行してきました。「社長の夢の全力応援団」というミッションを掲げるとともに、社会貢献の活動も積極的に行っています。単に自分のスキルを高めたいという人とは、どこかでズレが生じてしまうので、方針の違いから、卒業していった社員もいます。

この1年間くらいでお客さま層も変化しました。「我々は作業の代行業者ではなくて、会計を使って会社を応援することがメインです」ということを説明させていただいて、ご理解をいただき、仕事をさせていただいてます。お客さま側の反応はかなり分かれますね。「入力作業は行いません」と説明した際に、「会計を入力しないなら、会計事務所の意味はないでしょ」と言われたこともありました。しかし、私は入力代行よりも会社の経営に対するコンサルティングのほうがより大事なことだと考えています。お客さまにご理解をいただき、仕事を進めているところです。職員が生み出す付加価値も確実に上がっていますし、やりたい仕事に集中できており、現在はとても良い状態にあると考えています。

手入力から自動入力への橋渡しをするのが自分の役割

――会計事務所として、どんな方向を目指そうと考えていますか?

会計事務所の「数字の作り方」は時代とともに、どんどん変化しています。私がまだ子どもの頃、父親の税理士事務所を走り回っていた時代には、手書きの伝票を使用しており、「そろばんが得意な人」「1円違わず転記できる人」が事務所のエースでした。その後、コンピューター会計が登場すると、計算間違いがなくなり、1時間に何百件入力できる人、つまり「より早く入力できる人」が重宝がられました。手入力が少なくなり、自動化が進んでいる今の時代の会計事務所のエースとは、「仕組みを作り込める人」だと考えています。

今は手入力から自動化へとシフトチェンジする「橋渡しの時期」だと考えています。橋渡しの作業は、私が得意とし、好きな領域ですので、どんどんお任せいただけたらと考えています。ポイントは、今までのフローを変えずにソフトだけ入れ替えても逆効果なケースが多いことです。「全て手入力するフローから一部自動取り込みで便利になった」という話ではなく、「自動取り込みを前提とした全く新しい業務フローを作る」ということです。そして、お客さまの会社のシステムを変えていく際に重要なのは、お客さま側の変えていこうという意識です。システムの変更は実際の運用が始まって慣れるまでには面倒な部分もありますが、1~2ヶ月すると、ほとんどのことを自動で行えるようになり、利便性を実感してもらえるでしょう。

会計ソフトの進化の流れに乗ると顧客もハッピーになれる

町田パートナーズ
公認会計士・税理士事務所  町田 孝治 様(代表)

――会計ソフトとの関わり方について思うことはありますか?

会計ソフトが日々進化していることが、とてもありがたいと感じています。2022年1月から電子帳簿保存法の規制が緩和され、会計業務の効率化がさらに進めやすくなりました。会計ソフトの経費精算システムを使って領収書の写真を撮影すれば、領収書を保存する必要もなくなりました。そのまま経費精算にまわして、承認されたら、振込・仕訳まで連動するので、経費精算の業務での手間がほとんどかからなくなりました。

会社が業務効率化を目指す際に大切なのは、会計ソフトの進化にきちんと乗っかっていくことです。最新のサービスに乗せ換えていくことで、お客さまもハッピーになれます。うちの事務所としても、そのお手伝いをできたらと考えています。私が会計の専門家として目指しているのは「最も効率的に数字を作り、最も効果的に数字を使う」ことです。経営コンサルティングにもさらに積極的に関わっていこうと考えています。

「会社を良くする」ことを目指すのはもちろんなのですが、その先の目標としてあるのは「日本を良くする」ことです。会計事務所としてできることをするのはもちろんですが、社会を良くしていくのだという意識を持って、社会貢献を行っていけたらと考えています。

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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