2019年に「副業ビッグバン」がくる? 西村創一朗氏が語る最新トレンド【副業JAMレポート】

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西村創一朗

「副業元年」と呼ばれた2018年に引き続き、副業や兼業は今年も注目を集めそうです。ですが、中には「副業に興味はあるけれど何から始めたらいいかわからない」「副業を始めて収入を得たけれど確定申告の方法がわからない」といった疑問を抱える人もいるでしょう。

そのような疑問を解決するため、マネーフォワードは2月9日、副業と出会える・学べるイベント「副業JAM 2019」を開催しました。今回は、当日のプログラムから、複業研究家・西村創一朗氏による講演「『副業ビッグバン』がくる? 2019年の副業トレンドを解く」の一部をご紹介します。

【プロフィール】 西村 創一朗(にしむら そういちろう)
代表取締役/株式会社HARES
1988生まれ。2011年、株式会社リクルートキャリアに入社。2016年に株式会社HARESを創業し、2017年1月に独立。現在はランサーズ株式会社のタレント社員でありながら、複業研究家として企業、個人のコンサルティング業務を行う。
Twitter:@souta6954 note:note.mu/soutaros

副業を始めたことでキャリアを変えられた成功体験

西村創一朗:こんにちは。株式会社HARESの代表取締役社長で、複業研究家の西村創一朗と申します。

簡単に自己紹介をします。僕は現在独立して複業研究家として活動をしていますが、もともとは東日本大震災があった翌月、2011年4月にリクルートキャリアに新卒入社しました。

当初は営業としてバリバリ仕事をしていたんですが、もともと新規事業を企画する仕事がしたいなと思っていました。営業の経験を積んでいるだけでは自分がやりたい新規事業の仕事はなかなか難しいと思い、入社3年目の時に、今後のキャリアについて考え始めました。

しかし、会社を辞めずに営業の仕事はしっかりやりながら、会社の外で新規事業につながる経験を積めないか……そんなことを考えて、入社3年目の2013年5月にブログメディアを始めるという形で副業をスタートしたんです。そのブログの取り組みが認められて、念願が叶い、新規事業部門に移ることができました。これが僕の「副業を始めたことでキャリアを変える」という成功体験です。

HARES創業と社名の由来

2013年頃は副業禁止が当たり前で、僕はたまたまリクルートという「副業OK」な会社にいたから、会社を辞めずに、転職というリスクを犯すことなく、自分がやりたいことにチャレンジする副業という選択ができました。まだまだ世の中はそうじゃない中で、副業という働き方をもっともっと多くの会社に広めていきたいと考えて、個人事業主で始めた自分の活動を法人化しました。

その法人が株式会社HARESという社名です。ウサギという英単語の複数形なんですが、「二兎を追うものは一頭も得ず、ではない」という意味があります。「会社員たるもの会社の仕事だけに専念すべし」というのが副業を禁止する理由だとするならば、本業は会社員として仕事をやりながらも、プライベートの時間を使って自分がやりたいことをやる、副業という選択肢を持てる、つまり二兎を追って二兎を得る、そんなことができる世の中を作りたいと考えています。

現在は「半分会社員、半分経営者」

会社員を続けながら法人化して、しばらくは会社員兼経営者として活動していました。そこからもいろんな縁と機会があって2017年1月に独立をしましたが、実は純粋に経営者でフリーランスだった期間はたった半年もありません。2017年6月からフリーランス支援を行うランサーズという会社に、週2日働く正社員という形でジョインをして、今も半分会社員、半分経営者という働き方をしています。

もともと採用中心に人事領域で仕事をしているので、人事コンサルタントを担当していますが、複業研究家として学校をやったり、副業解禁を検討している企業や働き方改革を支援する仕事をしています。

働き方改革の専門家としてメディアに出演させていただいたり、経産省の研究会の委員をさせていただいたり、のべ500人以上の方の複業の支援をしてきた中で得たノウハウを『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という形でまとめて、2018年12月に出版しました。おかげさまでたくさんの方の手に取られ、読んでいただき、翌月には重版がかかりました。

2019年4月に「副業解禁ビックバン」くる?

まず始めに、副業にまつわる「88%」という数字があるんですが、これは何だと思いますか? この数字は副業に興味がある人の割合です。

エン・ジャパンが2018年3~4月に行った「副業実態調査」で、会社員3,000人に対して「副業に興味はあるか」と聞くと、88%の人が「はい」と答えました。せっかくなので皆さんに聞きたいのですが、現在、副業をやっている方はいますか?

(参加者の挙手)

「全体の2割もいないかな」ぐらいのイメージでしたが、それよりも少ないですね。

実際そうなんです。副業に興味がある人はたくさんいる一方で、実際に副業している人はまだまだ少ないんですね

理由はシンプルで、個人の意識が変わったのに対して、企業の意識がまだ追いついていないからなんです。ただ、この2~3年で状況は大きく変わりました。毎日のように副業解禁のニュースが流れるほど、日本の副業解禁は急速に進んでいます。

厚労省モデル就業規則、副業が「原則容認」へ

僕が副業を始めたときは、副業禁止の会社がほとんどでした。3年前は14.7%しか副業を認めていなかった。しかし、2018年の調査では、「副業OK」な会社が約3割まで広がり、たった3年で約2倍に増えました。

副業解禁2015_2018
平成26年度兼業・副業に係る取組み実態調査事業報告書(リクルートキャリア)
2018年9月調査 兼業・副業に対する企業の意識調査(リクルートキャリア)

2018年は「副業解禁元年」と呼ばれた年でしたから、副業を認める会社は増えました。

厚生労働省が策定する「モデル就業規則」という、多くの企業が参考にする副業規則のテンプレートのようなものがあるんですが、これまで副業は原則禁止とされていたのが、2018年1月に原則容認に改定されました。さらに変更に合わせて、厚生労働省は「兼業副業ガイドライン」をまとめました。

2018年4月に複数の大手企業が副業解禁

このような経緯があり、2018年4月のタイミングで大手企業が副業解禁に踏み切りました。メーカーだとユニ・チャームさん、サービス業だとエイチ・アイ・エスさん、金融だと新生銀行さん、カブドットコム証券さんです。ちょっと前までは、副業を認めるのはリクルートのようなベンチャー気質の高い会社や、IT企業に限られていました。メーカーや金融など、堅いイメージの業界も含めて、全業界全業種で副業解禁の流れが進んでいます

さらに2018年4月にすぐ踏み切った会社というのはごく一部でした。では、それ以外の会社がこの1年間何をやっていたかというと、副業解禁に向けたパイロットテストをしたり、社内で検討を進めていました。2019年4月以降を「副業解禁ビッグバン」といっていますが、テストや検討を重ねた会社が今年一気に副業を解禁するだろうという見立てです。2020年頃には副業禁止の会社が少数になっていくと考えています。

今はある種、副業ブームといわれるような熱気を帯びています。けれども、一時的なブームではなく本格的なムーブメント、つまり、「1億総副業化時代」とまではいいませんが、誰もが副業を1つの選択肢として考えられる時代が当たり前になってくる。そんな1年になるんじゃないかなと思っています。

副業せずに「複業」せよ

さて、会社員の皆さんは、会社から「副業OK」と言われたらどうしますか?

とある会社ではこんなことがありました。副業を解禁したところ、従業員が一斉にスマホを開いて、求人情報サイトで平日の早朝深夜あるいは土日祝日でもできるアルバイトを探し始めました。これもある種、副業といえば副業なんですが、これが果たして本当にあるべき副業の形なのかということです。

副業は何から始めればいいかわからない

副業しようと思っても、何から始めたらいいかわからないと思います。例えばアンケートに答えたり、特定のアプリをダウンロードしたりするとポイントをもらえるポイントサイトがあります。これも副業といえば副業なんですが、1時間かけて必死にアンケートに回答して5,000円や1万円を稼げますかと言われれば、そうではないですよね。隙間時間のお小遣い稼ぎにしかなりません。

あるいは、株式投資 、FX、 仮想通貨もあります。これらも副業といえますが、どちらかという資産運用ですよね。今まで副業禁止だった会社でも株式運用自体、つまり資産運用は禁じられていなかったので、副業解禁で考える副業とはちょっと違うのかなと思います。

僕は著書『複業の教科書』で“複”という字を使っています。つまり、サブの副業ではなく、パラレルの複業です。副業せずに複業せよということを伝えています。2019年はサブの副業ではなく、パラレルの複業をより真剣に考える1年になるんじゃないかなと思っています。

「サブの副業」は副収入を稼ぐことが目的

何が違うかというと、このサブの副業というのは、その名の通りあくまでサブ的なものです。副収入、お小遣いを稼ぐことが主目的になります。先ほどのアンケートモニターやポイントサイトのように、ビジネスというよりはサブの作業になってしまいます

「パラレルの複業」は自己成長と価値貢献が目的

本来あるべき複業、こう考えたいよね、という複業についてお話します。

もちろんお小遣いを稼ぐ、副収入を得るというのは副業においてとても大事なポイントです。しかし、お金というものをよく考えると、誰かの役に立つ、つまりその役に立った対価としていただく結果なんです。あくまで結果であって、目的ではないことが大きなポイントかなと思います。では、目的は何かというと、後ほどもお話しますが、色々なメリットがあります。

本業だけでは得られないスキルやノウハウが得られるといった自己成長であったり、会社の看板に頼らずに自分の腕ひとつで誰かの役に立つという価値貢献が得られます。この自己成長と価値貢献、そして価値貢献の結果、お金が得られるという形がパラレルの複業だと思っています。

何のために複業する? 複業のメリット

副業のメリット

では、あらためて複業のメリットは何かをまとめると、1つ目は本業だけでは得られないスキルが得られる点です。スキルアップ複業と言えます。例えば、本業は営業職だけど、実はWebサービスを作るような仕事がしたいというときには、プライベートな時間を使ってプログラミングの勉強をし、自分でアプリを作ったり、友達の会社のWebサービスの開発を手伝うことでスキルアップができます。

2つ目のメリットは、会社ではできないけれどやりたいことに挑戦でき、モチベーションが上がる点です。例えば、本業は会社員として仕事をしているけれど、コーヒーが好きでカフェの経営をプライベートでやっている人がいます。

3つ目は、本業だけでは得られないスキルを身に着けられ、営業だけをやっている人にはない市場価値を発揮できる点です。スキルアップをすることによって市場価値が高まり、結果として収入源が増えるというように、複業で得たスキルを本業で活かして、転職をして年収アップを果たした方も中にはいらっしゃいます。

4つ目は、家でもない会社でもないサードプレイス、サードコミュニティが副業によってできる点です。価値観が共通している仲間との繋がりができるということや会社の外で自分は通用するんだという自信が身につくことによって、自分の考えやアイデアを、会社に忖度したり依存したりせずに主張できるようになることが大きなメリットです。

そもそも複業によって何を得たいのか考える

まず、複業を始めるということを考えるときに、どうやってお金を稼ごうかということももちろん大事ですが、そもそも自分は複業によって何を得たいのか、お金以外で得たいものは何なのかということもあります。本業だけでは得られないスキルを得たいのか、あるいは繋がりを得たいのかといった目的を、自分の中でしっかり考えることが大事かと思います。

自分の隙間時間を切り売りするようなサブの副業ではなく、価値貢献型のパラレルの複業を考えていき、時間を単に消費してしまうのではなく、自分の時間をスキルやキャリアに対して投資していくようなイメージで複業を捉えてみます。

すると、本業と切り離してどうやって稼ごうかな、と考えるのではなく、本業も含めて次のキャリアを考えた時にどんなスキル、経験が積めれば本業の選択肢がより増えるのか、あるいは本業とは全然違う趣味でやっていることを仕事にできないかといった考え方で、複業を捉えていただけると良いかなと思います。

具体的にどんな複業があるのか

ここからは具体的にどんな複業があるのかということをお話しできればと思います。

複業と言っても、100人いたら100通り、1億人いたら1億通りあると思います。

複業_3パターン_種類

その中でもパターンというのがいくつかあり、大きく3つに分けられます。

趣味型」と書いてあるのが1つ目で、いわゆる「好きを仕事にする」パターンです。YouTuberやブロガーといった例がわかりやすいかと思います。プライベートでやっている好きなことをとことん究めて、それを活かして仕事にしていく複業です。

2つ目が「プロ型」の複業。これが一番稼ぎやすいです。エンジニア、マーケター、デザイナーなど色々な仕事があると思いますが、本業で培った経験やスキルを使って、会社の外でサービスを提供するような仕事です。会社員としてエンジニアをやりながら、プライベートな時間を使ってアプリを作ったり、本業では営業マンとして活躍しながらプライベートでベンチャー企業の営業資料を作ります。このように本業のスキルを生かすパターンが「プロ型」の複業です。

3つ目は「起業型」というもので、アップルを創業したスティーブ・ジョブズのようなイメージです。いきなり会社を辞めて独立をするのはなかなかリスクがあるので、まずは会社員を続けながら自分のやりたい事業やサービスを作って、軌道に乗ってきたタイミングで会社員を辞めて、専念する。そのためにまずは複業で起業するというようなパターンです。「起業型」の複業は割合的には一番少ないですが、大きくこの3つのパターンに分けられます。

一番とっつきやすいのは「趣味型」の複業

まずは「趣味型」の複業が、一番とっつきやすいかなと思います。「プロ型」の複業が一番稼ぎやすいです。しかし、明日から人様にお金をもらえるような専門性を持っているのかというと、日本の雇用環境は海外と違い、総合職型でなかなか専門性が身につきにくいので、「プロ型」の複業をいきなりやれと言われてもなかなか難しいです。なので「趣味型」の複業から始めるケースが多いです。

趣味と言うと、アニメが好きとか音楽フェスが好きといった色々な趣味がありますが、基本的には皆さん消費型の趣味だと思います。自分が好きなものを自分が楽しんでおしまい。ギブアンドテイクのテイクが通常の趣味です。

しかし、好きな気持ちが高ぶっていくと趣味を究め始めるようになります。例えば、音楽フェスをただ楽しむだけじゃなく、いかに効率良く会場へ行くかとかどの位置を取るかといったハックをしはじめるんです。そうすると趣味が売れるノウハウに変わったり、誰かの役に立つスキルに変わっていきます。

複業

したがって、プライベートの時間を使って行う良い趣味がある方は、自分が楽しむだけではなく究めてノウハウにして売れるものはないか、あるいは続けていく中でスキルに変わっていくものはないか、変えられる可能性はないかと考えることができます。つまり、趣味を消費型から貢献型に変えてみると、趣味が複業に化ける大きなヒントになります。

YouTuberや占い師など複業はさまざま

例えば、本業では経理の仕事をやりながら、プライベートではExcelをYouTubeで教える、「エクセルYouTuber」として活躍している方がいます。彼の複業は、「プロ型」と「趣味型」の間のような感じです。経理の仕事で日々Excelを使用し、究める中で、YouTuberになりたいなと思っていました。Excelを参考書で見てもなかなかスキルは身につかないと考えていたことと、動画がマッチするではないかと思いつき、Excelの講義をYouTubeで配信し始めました。

他には、本業でキャリアカウンセラーの仕事をしながらオンラインで占いをしている方がいます。元々占いが好きだったところ、占いのメカニズムを学ぶことにハマり、占いをする側になりました。今では本業と同等の収入を得ているそうです。

さらに、完全に「趣味型」の複業の例ですが、本業では営業の仕事をしながら、プライベートで魚さばきの講師として、魚のさばき方を教える講座を毎週末開いている方がいます。このように色々なパターンの複業が存在します。

「趣味型」の複業のポイントは“オタク力”

「趣味型」の複業のポイントは、まずハマることです。そして、ハマると究めたくなります。究めて得たノウハウを自分流に伝えられるようになると、それをシェアします。シェアしたノウハウが、人の役に立ちます。結果として、シェアしたノウハウがいきなりお金に変わらなくても「これについてはこの人に聞こう」「○○といえば××さん」というブランドがついてくると、そのブランドがお金に変わり始めます

このように役に立ったという価値貢献の実感があり、またハマっていくという形で、あなたも何かの専門家になれます。つまり、好きという気持ち、オタク力が確実にスキルに変わり、それが複業に変わっていきます。

趣味型複業_プロセス

自分自身は何を究めたいのか、今ハマっている趣味があるとするならばそれを消費型の趣味から貢献型の趣味に変えられないかを考えていただければと思います。

副業関連サービスは数えきれないほど多い

シューマツワーカーの「副業サービス カオスマップ」2018年版(PR TIMES)

自分が何を究めたとしても、副業はお客さんがいなければ成立しません。そのようなときに、副業をしたい人とお願いしたい人をマッチングするような副業関連サービスが数えきれないほどあります。

クラウドソーシングの「ランサーズ」

例えば、僕の勤務先でもある「ランサーズ」はまさに仕事の百貨店のようなサービスです。翻訳の仕事やWebデザインの仕事といった色々な仕事が掲載されていて「自分もできるかも」という仕事を探して見つけることができます。あるいはプロフィールを登録しておくと、ぜひこの仕事をお願いできませんかとスカウトが来ます。「プロ型」の複業をやりたい人は、こういったクラウドソーシングのサイトに登録することが一つの方法としてあります。

スキルシェアの「ココナラ」「ストアカ」

「趣味型」の複業であれば、「ココナラ」というスキルシェアサービスがあります。これは自分の得意なことを販売出来るマーケットプレイスです。例えば、議員秘書は副業OKなのかと疑問に思いますが、「議員秘書がオススメする外さない手土産」や「社内恋愛のお悩み聞きます」といったものが出品されています。「それも仕事にできるんだ」と思うようなことがたくさん出品されているので、「自分ならこれができるかな」と参考にしていただけるかと思います。

あとは「ストアカ」というサービスがあります。これは先生になりたい人と教わりたい人をマッチングするサービスです。例えば、先ほどエクセルYouTuberの話がありましたが、Excel講座や日本酒の講座、写真の撮り方教えます、魚のさばき方教えますなど、あらゆるジャンルがあり、その分野に学びたいという人が1人でもいればマッチングが成立するサービスです。

「ココナラ」や「ストアカ」などのサイトを見て、自分が売れる物って何だろう、と考えるとヒントが得られるのではないかと思います。これだったら人にノウハウとして話せる、教えられるものがあるならば、いきなり「ストアカ」や「ココナラ」などに出品するのもあまり抵抗はないでしょう。

まずはTwitter、note、Facebookで発信しよう

複業を始める際_小さく動かす

いきなりお金をいただいてやることが難しいのであれば、まずはTwitterやブログ、簡単に発信できるサービスとしてはnote、そしてFacebookなど、どんなものでもいいので、自分が知ってることや思ってることを発信してみることが大事です。

発信に対して、必ず反応してくれる人がいます。このような反応で、自分の知ってることや、やっていることは誰かの役に立つことを実感し始めてから、実際に出品をチャレンジしてもいいと思います。

発信が苦手という場合は、友人や会社の同僚といったリアルにつながっている方と会ったときに話をすることで、空中戦、地上戦合わせて、どんなに小さくてもいいのでまずは“動かしてみて”いただければと思います。

複業は、人生やキャリアの幅を広げる「選択肢」の1つ

西村創一朗3

最後にぜひお伝えしたいのは、副業はこれだけブームになっていますが、周囲に流されて「副業がブームだけどやりたいことないんだよな……」と悩むのは不毛です。

やりたいことが本業以外にあったとき、あるいは本業で行き詰りを感じたときに、複業という形を取ることで、会社をいきなり辞めるのではなく会社の外で色々試すことができる、という選択肢の一つとして捉えていただければと思います。

ぜひ複業を、誰かに言われたわけでもない、自分自身がやりたいことをやる自分の人生を取り戻す、そんなきっかけにしていただければと思います。

複業への適性を考える2つの視点

司会:ありがとうございました。私の方から質問をさせていただきます。まず1点目なんですが、実践してみた複業について、それが自分に合うか合わないかといったところは、いつどのようなポイントで判断したら良いのでしょうか?

西村:「自分視点」と「他人視点」というポイントがあると思います。

自分視点で考えると、複業を楽しいと感じれば自分に合っていると思います。変な義務感なく続けられると思います。反対に、自分が楽しくなければ続けられないと思います。このように自分が楽しいと思えるかそうでないか、という自分視点が1つ目です。

もう1つ、他者視点というのは、自分自身は楽しいかって言われるとそんなに楽しいわけではないんだけれども他の人がすごく褒めてくれる、評価してくれる。このように自分自身が得意だと思ってないけれども他人は評価してくれることってあると思います。

なのでこれらの2つの観点で、両方揃っていなくても、自分が楽しいと思えるか、あるいは自分が楽しいと思えなくても他人が評価してくれる、このどちらかが揃ってれば、自分に合ってると言えるんじゃないかなと思います。

複業にかける時間

司会:もう1点、自分が複業にどれくらい時間をかけたらいいのか、どのようにして見積もればいいでしょうか。

西村:1日24時間しかない中で、そこから睡眠時間を引いて、本業の働く時間を引いて、残ったプライベートの時間で複業は行います。このプライベートの時間を可処分所得ではなく、可処分時間とも言います。この可処分時間がどのくらいあるかによると思います。

例えば、本業が忙しく、場合によっては終電まで働いていると、平日に副業をするのは難しく、週末にやっている方もいます。仕事が夜型なので、朝5時に起きて出勤までの時間を複業に当てている方もいます。その人のライフスタイル、ワークスタイルに合わせて複業をやるための時間を作りに行くというイメージができると思います。

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■2018年12月4日掲載:
【常見陽平×西村創一朗】副業で幸せになる人は2割? 働き方のプロに聞く「副業の心構え」

※掲載している情報は記事更新時点のものです。

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