交際費等の損金不算入制度の改正を図解でわかりやすく説明!

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平成26年4月に国税庁ホームページで「交際費等の損金不算入制度の改正のあらまし」が公表されました。これは、事業年度が平成26年4月1日以降のものに適用される「法人の交際費等の損金不算入制度に関する規定」の改正を説明したものです。

法人にとって交際費の扱いは判断に悩むことも多くあります。この改正がどのようなものかをみてみましょう。

交際費の損金不算入制度の改正前と改正後

改正前の損金不算入制度は次のとおりです。

資本金額または出資金額が1億円超(事業年度終了日)の法人:交際費として支出した全額を損金不算入とする。

資本金額または出資金額が1億円以下(事業年度終了日)の法人:交際費としての支出のうち年間800万円超の部分を損金不算入とする。

なお、資本金額または出資金額が1億円以下(事業年度終了日)であっても、資本金額または出資金額が5億円以上の法人の子会社(完全支配関係があるもの)であれば除外されます。

平成26年度税制改正での交際費等の損金不算入制度について

平成26年度税制改正での交際費等の損金不算入制度について

改正では、社内飲食費を除いた交際費に含まれる「飲食費」について、定められた項目を記載した帳簿上の飲食費(「接待飲食費」と仕訳したもの)であれば、その額の50%を損金に算入できるとしました。

その後平成28年度税制改正により、損金不算入制度の適用期限を平成30年3月31日に延長しています。

改正前は、飲食などの接待交際費が、資本金(出資金)1億円以下の中小企業を対象に年間800万円までしか認められなかった損金算入。これが、改正でどの企業でも接待飲食費の半分まで認められるようになった、つまり有効な経費として利用できるようになったということです。

なお、接待飲食費以外はこれまで同様、損金算入が認められません。

交際費(「接待飲食費」)とは

交際費とは、事業に関係する取引先・得意先(見込みを含む)への接待や贈り物などに支払う費用のことです。このなかで改正に関係するものは飲食費です。飲食費に該当するのは次のものです。

・取引先・得意先(見込みを含む)を従業員などが接待した場合の飲食に関わる費用。
・その接待の飲食に関わるサービス料やテーブルチャージ料など。
・その接待の飲食をするために使用した場所などに支払う費用。
・その接待の飲食後に飲食店から持ち帰る品物(お土産など)の費用。
・取引先・得意先が行う業務や、開催したイベントなどに提供する食事(弁当など)の費用。

飲食費に該当しないのは次のものです。

・催事(ゴルフ、観劇、旅行など)のときの飲食で支払う費用
ゴルフや旅行などに行けば、昼食やときには夕食も共にすることが多いが、これらにかかる飲食費については、飲食が主な目的とは言えないため、催事にかかる費用として考えられます。

・取引先・得意先(見込みを含む)の送迎で支払う費用
取引先や得意先の人を飲食店へ送迎するために費用を支払ったとしても、これらは飲食が目的ではなく、送迎が目的であることが明らかなため、飲食費には含まれません。

・贈答するために詰め合わせをした飲食物の費用
飲食物の詰め合わせなどを送った場合、それらは歳暮を始めとした贈答品にかかる費用は飲食費とは認められません。

また、専ら支払法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものに該当する場合は「社内飲食費」となり、50%損金算入となる接待飲食費から除かれ、交際費等として損金不算入の対象となります。

ただし、グループ内他社(親会社や子会社)の役員・従業員の接待飲食に関する費用や、同業者同士または取引先・得意先などと共同開催の食事会出席の自己負担分は、飲食費に該当します。

なお、従来どおり、1人あたり5,000円以下の飲食代(社内飲食費を除く)は交際費から除かれ、会議費等で損金に算入することができます。

帳簿書類への記載事項について

該当する交際費(「接待飲食費」)は、帳簿や書類に次の事項を記載しなければなりません。

・飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為をいいます。以下同じです。)のあった年月日
・飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
・飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
・その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

中小法人の選択適用について

資本金額または出資金額が1億円以下(事業年度終了日)の法人(中小法人)は、交際費(「接待交際費」)の50%を損金に算入する方法のほかに、年間800万円を定額控除限度額として損金に算入できる方法を選ぶことができます。

交際費の損金不算入の申告について

該当する交際費(「接待交際費」)については、申告によって経費として認められ、課税所得から差し引くことができます。

申告書には法人税申告書別表15「交際費等の損金算入に関する明細書」への記載、添付が必要になります。記載の要領は別表十五 「交際費等の損金算入に関する明細書」|国税庁を参照してください。

まとめ

損金算入の制度が選択できるようになったため、中小企業の方は交際費の金額を改めて確認することで、実は損金計上額が増えるかもしれません。これを機会に、一度交際費の額を見直してみてはいかがでしょうか。

>>接待交際費の仕訳を知ろう!会議費・寄附金・取材費との違いとは?
>>法人税で交際費を処理するときには?

参考

国税庁 接待飲食費に関するFAQ

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