• 更新日 : 2020年6月9日

遡及義務とは

遡及義務とは、約束手形為替手形などの手形に関する制度のことであり、不渡りとなった場合には裏書人や割引人に支払い義務が生じるという仕組みになっている。

約束手形や為替手形は自由に譲渡が可能な債権であるため、現金化される前に取引が繰り返されることで通貨同様に扱われるケースも多いが、手形の価値は振出人への信用によって成り立っているものである。

信用によってのみ成立している価値を譲渡する以上は、譲渡者も責任を分担すべきだという観点から、譲渡の際には手形の裏面に氏名や住所を記入(裏書き)しなければならないという義務が発生しているものだと考えることができる。

そのため、手形が期日までに決済されず不渡りになった際には、いわば裏書人もその背信行為に加担した者だということができ、これが遡及義務の根拠となっている。

不渡りになると手形の所有者は大きな損失を被ることになるが、支払い義務が順次裏書人に遡及されていくことによって、手形の価値と所有者が保護されるのである。

この裏書には連帯保証の義務も付随しているため、手形が期日までに決済されず不渡りとなった場合には、裏書人まで支払いが遡及されることになる点に注意が必要である。

企業会計の上では、裏書手形流動負債の部に仕訳されるが、これは不渡りとなった場合に偶発債務が発生する可能性があるためであり、収益として確定したものではないことが根拠となっている。


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