• 作成日 : 2025年8月19日

併合の意味は?合併・買収との違いを解説

企業の成長戦略や再編の文脈で耳にする「併合」という言葉。しかし、その正確な意味や「合併」「買収」といった類似用語との違いを正しく理解しているでしょうか。一般的には複数を一つにまとめる行為を指しますが、会社法では公式用語ではなく、文脈によって「統合」や「合併」を指すことが多い言葉です。

この記事では、併合の基本的な定義や類語との違いをわかりやすく解説します。

併合の基本的な意味

併合とは、一般に複数のものを一つに合わせる行為を指し、ビジネスの文脈では、複数の組織や権利などが一つに統合される状態を示します。法的な側面と一般的な使われ方の両面から、その本質を理解することが大切です。

併合の定義

併合は、複数の主体が一つに統合される状態を指す広い概念です。日本の会社法においては「併合」という言葉は定義されていませんが、他の法分野では用いられています。

会社法で定められているのは「合併」であり、これが法的な意味での組織の統合手法にあたります。したがって、ビジネス実務上の「併合」は、多くの場合、この会社法の「合併」を指して使われるか、より広義の組織統合として表現されることが一般的です。

複数あるものを一つにまとめること

言葉の本来の意味通り、併合は二つ以上のものを一つにまとめる行為そのものを指します。例えば、別々に管理されていた複数の部署を一つにまとめたり、散在していたデータやファイルを一元管理したりすることも広義の併合といえるでしょう。企業の組織再編においては、複数の会社を一つの法人格に統合することを意味し、これにより経営資源の集中や意思決定の迅速化などを目指します。

併合と類似用語との違い

企業の組織再編においては、「併合」のほかにも「合併」「買収」「統合」といった言葉が使われます。これらは混同されやすいですが、それぞれに明確な違いがあります。正確な意思疎通のためにも、各用語の意味合いを把握しておきましょう。

「合併」との違い

前述の通り、法的な観点では「合併」が正式な用語です。合併は、会社法に定められた手続きに則り、複数の会社が一つの法人格になる組織再編行為を指します。

一方、「併合」は、この法的な「合併」を含む、より広い意味で組織が一つになる状態を表現する言葉として使われる傾向にあります。日常的な会話や報道などでは、法的な厳密さを問わず「A社とB社が併合した」といった表現がなされることも少なくありません。

合併についてより詳しく知りたい場合は、こちらの記事も併せてご覧ください。

「買収」との違い

買収は、ある会社が他の会社の発行済株式の過半数などを取得し、経営権を支配下に置く行為です。買収された側の会社は、買収した側の会社の子会社として存続し、法人格は消滅しません。ただし、事業譲渡型や合併を伴う買収では法人格が消滅することがあります。

これに対し、併合(合併)では、少なくとも一方の会社の法人格が消滅し、一つの会社に完全に統合される点が異なります。買収が「経営権の取得」に主眼を置くのに対し、併合(合併)は「組織の一体化」を目指す行為といえるでしょう。

「統合」との違い

統合は、複数の会社が共同で持株会社(ホールディングス)を設立し、各社がその傘下に入る経営形態を指すことが多いです。この場合、各社の法人格は維持されたまま、持株会社のもとでグループとしての一体的な経営が行われます。

この場合、併合(合併)のように法人格が一つになるわけではないため、各社の独立性を保ちやすいのが特徴です。組織再編の手法として、より緩やかな結びつきを意図する場合に選択されます。

併合(合併)の主な種類と手法

法的な組織再編行為である併合(合併)には、その手法によっていくつかの種類が存在します。どの手法を選択するかは、当事者となる会社の状況や統合の目的によって決定されます。ここでは代表的な二つの種類と、実務上の手法について解説します。

新設合併と吸収合併

合併には、大きく分けて「新設合併」と「吸収合併」の二種類があります。新設合併は、合併する全ての会社が解散し、新たに設立した会社に全ての権利義務を承継させる手法です。

一方、吸収合併は、一方の会社(存続会社)がもう一方の会社(消滅会社)の権利義務の全てを承継し、消滅会社は解散する手法です。実務上は、手続きが比較的簡便であることなどから、吸収合併が選択されるケースが大多数を占めます。

実務上の具体的な手法

合併を実際に行う際には、まず当該会社間で合併比率(消滅会社の株主に対して、存続会社の株式をどの割合で交付するか)を算定し、合意形成を図ります。

この比率は、各社の純資産や収益性などを基に、第三者機関の評価も参考にしながら慎重に決定されます。その後、合併契約を締結し、それぞれの会社で株主総会の特別決議による承認を得るという流れが一般的です。

併合の意味を理解して知識を増やそう

併合は、複数の組織を一つに束ねることで、事業規模の拡大や経営効率の向上といった多大な効果をもたらす可能性を秘めた経営戦略です。特に法的手続きを伴う「合併」は、企業の競争力を飛躍的に高める原動力となり得ます。

一方で、その成功は、類似用語との正確な意味の理解、目的の明確化、そして手続きやリスク管理の徹底にかかっています。組織文化の融合といったソフト面への配慮も欠かせません。


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