-流通業界向け-請求書ソフトの選び方・よくある課題・導入事例
更新日:2024年2月13日
流通業界の現状と課題、DXや業務効率化の必要性
卸売業や小売業などの流通業界では、近年においてさまざまな課題に直面しています。長引く物価高の影響で仕入コストやエネルギーコスト、物流コストが高騰しており、それらを売価に反映しきれないことで利益率の低下に苦しむ企業も多いです。
さらに物価高に加え、人件費高騰への対策も必要不可欠です。労働人口の減少だけでなく、流通業界では雇用者に占めるパート・アルバイトの割合が大きく、社会全体での最低賃金の引き上げによる影響を受けやすい業界といえるでしょう。
総務省が公表する「労働力調査」によると、2022年における全産業平均のパート・アルバイト比率は約24.3%であるのに対し、卸売業・小売業の場合は約39.9%であり、さらに飲食料品小売業では約71.4%まで達しています。
参考:労働力調査 | 政府統計の総合窓口
このような労働生産性の低迷が利益状況を悪化させるひとつの要因になっているため、DX化やバックオフィス業務の効率化などによって、社内のリソース確保に取り組みましょう。
流通業界における請求業務のよくある課題
①請求書の受取や送付作業が多く、郵送・管理コストに工数がかかっている
流通業界では、たくさんのクライアントを抱えるケースが多く、自社で発行する請求書の枚数も増加しやすいという特徴があります。そのため請求書の送付作業にもまとまった時間が必要となり、特に郵送する場合には担当者の業務負担が大幅に増加する可能性も高まります。
さらに商品の仕入先や経費の支払先が多岐にわたっている場合も多く、請求書の受領や振込手続き、管理業務も煩雑となることから、請求業務全体の工数増加に苦慮する企業も少なくありません。
②経理担当者の人数が少なく、負荷がかかっていることも多い
卸売業や小売業では複数の拠点を持つ企業も多く、それぞれの職場に複数名の現場社員を配置して業務にあたるケースが大半です。それに対して経理業務に関しては、本部などでまとめて手続きを行う場合が多く、少人数のスタッフによってさまざまな業務に対応しなければならないケースもあります。
そのような仕事環境では特定の担当者に負荷が偏るケースも多く、業務の属人化が加速しやすいため、担当者の離職リスクも拡大することとなるでしょう。
③紙の請求書を扱っていることや手作業も多く、転記ミス・原本紛失のリスクがある
流通業界では、古くから独自の業務フローが確立されている場合もあり、手作業による業務遂行や既存システムの老朽化によって非効率な労働環境に陥ってしまう場合も多いです。
特に請求業務においては、紙の請求書をメインで取り扱っている企業が多く、転記ミスや支払い漏れの発生リスクがあります。各拠点が紙で受領した請求書を本部へ郵送している場合には、原本の紛失リスクが高まるだけでなく、請求業務や経理業務のタイムラグも拡大します。
流通業界の請求書関連の課題解決に向けたDX例
①請求書作成~送付を効率化したい場合
毎月の請求業務を効率化するためには、自社が発行する請求書の作成から送付までの一連の業務フローを踏まえ、担当者による手作業をできる限り削減することが重要です。
「マネーフォワード クラウド請求書Plus」では、社内のCRMや販売管理システムと連携し、手入力なしで簡単に請求書データを作成することが可能です。
社内の申請・承認を行った請求書についてはメールや郵送で一括送付でき、担当者の発送業務の負担を大幅に軽減できます。さらに作成した請求書の情報は会計システムにも売上仕訳として反映でき、自社の損益状況をリアルタイムで把握する際にも有用です。
②帳票送付業務を自動化したい場合
作成した請求書を取引先に送付する際、郵送の場合には印刷や封入、発送作業が必要となり、送付件数によっては担当者がまとまった時間を拘束されてしまいます。
「マネーフォワード クラウドインボイス」では、作成した帳票データをアップロードすれば、あとはワンクリックで一括送信することが可能です。
またWeb送付や郵送、メール送信などの送付方法は取引先ごとに設定できるため、取引先の都合などによって急に送付方法を変更しなければならない場合にも、設定を変更するだけで対応できます。
③請求書の受領~会計処理を効率化したい場合
仕入先などから受領する請求書については、社内での承認作業や振込手続き、会計システムへの入力、請求書の保存などの業務フローを踏まえ、業務効率化のための最適な方法を実践しましょう。
「マネーフォワード クラウド債務支払」では、メールで受領した請求書データを自動で取り込み、AI OCR処理を行うことで、支払条件などの情報を読み取ることが可能です。
受領した請求書については、あらかじめ設定した社内のワークフローに基づいて承認作業を行ったあと、ワンクリックで振込指示ができます。APIを用いたシステム間連携もできるため、「マネーフォワード クラウド債務支払」の情報を会計システムやマスタ管理にも活用し、バックオフィス業務全体の効率化を追求することが可能です。
流通業界の企業様に参考となる請求書業務の改善事例
請求書発行業務の改善例
ドイツ製のマッサージオイルを治療院に卸売販売する株式会社リフル様では、請求書をエクセルで作成して郵送していたため、請求業務に充てる時間の捻出に苦労されていました。
また取引先からはカード決済を希望する声があったことから、それらの要望に応える方法についても模索していたようです。
請求書受領業務の改善例
株式会社ガイアドリーム様では、取引先からメールや郵送、FAXなどのさまざまな形式で請求書を受け取るため、電子帳簿保存法への対応に悩んでいました。
元々導入していたストレージサービスにはOCR機能がなかったため、スキャンした請求書については、取引先や金額などの情報を手入力しなければならず、非効率な業務体制に陥っていたそうです。
請求書受領・経費精算業務の改善例
製菓・製パンメーカー向けに食品香料や原材料の製造販売、輸入販売を行う株式会社ナリヅカコーポレーション様では、紙やエクセルを中心に行う経理業務に課題を抱えていました。
各拠点から、紙媒体で経費精算の申請書や請求書を本社へ郵送・一括処理しており、経理業務にタイムラグが発生していました。
請求書受領・送付業務の改善に役立つお役立ち資料
流通業界の企業様が請求書ソフトを導入する際のチェックポイント
自社の課題が解決できる機能があるかどうか
卸売業や小売業では、バックオフィス業務に大きな負荷がかかり、経理担当者などの残業時間が増えてしまうケースも多いです。さらに特定の社員に対する依存度が高まることで、業務の属人化が進み、組織としての潜在的なリスクが拡大する要因になります。
請求書ソフトを導入する場合には、自動化などの機能によって請求業務の効率化を追求するだけでなく、担当者などへの依存体質から脱却することも重要です。
自社の抱える課題を的確に把握し、それらを解消するために効果的なシステムの導入を心掛けましょう。
既存システムとの整合性はあるかどうか
流通業界に属する企業では、すでにCRM・販売管理システムや会計ソフト、レジシステムなどを利用しているケースが大半です。いくらシステム単体の機能が優れていたとしても、システム間連携ができずに手作業が必要な場合には、余分な入力工数が発生したり、ミスの発生リスクが高まったりするなど、十分な導入効果を得られません。
新たに請求書ソフトを導入する場合には、社内の既存システムとの整合性や連携機能を確認し、導入効果の最大化に努めましょう。
請求書送付作業を効率化できるかどうか
取引先に対して請求書を郵送している場合には、毎月の送付作業の工数だけでなく、郵送コストにも着目しなければなりません。また送付ミスなどが発生する可能性もあるため、単純作業ではあるものの、取引先との信頼関係に直結するようなリスクの大きい仕事といえるでしょう。
請求書ソフトを導入する場合には、請求書作成の自動化に加え、メールまたは郵送による送信機能が整備されたサービスを選択し、「安全性」と「効率性」の両方を追求することが重要です。