ここが辛いよ入金管理 〈Vol.3〉:月末月初が入金消込作業で超多忙なので何とか解消したいです・・・

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入金消込は時期が集中しがち

経理業務は、年を通じて業務の繁忙期と閑散期の差が大きい業務だなと、実務をしていて感じることが多いです。

年を通して見ると、決算月の前後は業務の山が高いですが、期中でも特別なイベントがない月は、決算期に比べると比較的業務は落ち着く印象です。

月単位で見ると、月中はそれほど忙しくはないですが、月末月初はさまざまな業務が重なるので、月中と比較して相当程度業務量が多いです。

入金消込自体も、月中よりも月末月初に作業が集中するのが実態です。

まして、入金消込業務以外に月次決算業務をしているという方も多いのではないでしょうか。そうすると、月末月初の業務量は半端ないものになってしまいます。

人を追加で採用してくれればよいですが、なかなかすぐに補充がされないというのが実情だと思いますので、今回はどのように繁忙期を乗り越えるのかのヒントになるような話をしたいと思います。

入金消込作業が生じることに伴う繁忙さを、どのようにしたら平準化できるのかについて、具体的な方法を模索してみましょう。

締めを待たずに請求書を発行する

入金消込のうち、かなりの件数の入金が月末にあることは、月末月初が忙しくなっている大きな要因といえるでしょう。

さらに、月末で締めてから請求書を発行している会社も多くあります。当然、月末から月初にかけて請求業務に工数を要します。

この結果、月末月初に売上の締め作業と月末入金の消込作業が重なってしまうのです。

そこで、片方の業務を軽くするために実施の検討をしていただきたいのが、取引のたびに請求を行う方法です。サービスの提供が完了したタイミングや、商品を納品したタイミングで都度請求書を発行するのです。

すべての業種に適合することは難しいかと思いますが、個人あてに請求をしている場合や、継続的に取引を行う予定がない場合などは、できるだけ早く回収するためにも都度発行を検討することをお勧めします。

月末まで待たずに請求をすることで業務の平準化が実現しますし、受け取った側も、早めに請求書をもらうことで早めに支払い手続きをしてくれることが期待できます。

日本の商慣習では、締めまで請求書の発行をしない会社が多いですが、業務の平準化の観点で都度発行を検討してはいかがでしょうか。

請求書発行でクラウド型システム利用することで都度発行もスムーズに

請求書の発行に関して、郵送で発行をしている場合は都度封入作業等の手間がかかりますが、最近はクラウド型システムを導入して、専用のURLを共有して請求データを取引先に送るといった方法も可能になっています。

このようなシステムを導入すれば、都度発行をしたとしても送付の手間は縮減が可能となりますので、郵送で請求書の発送をしている場合は、システムの導入もあわせて検討するとより効果的かと思います。

郵便料金の値上げがあるなか、切手代等の通信費の節約にもなるという利点もあります。

請求書に繰越金額を表示しないという方法も選択肢

次に入金消込をどのタイミングで行うのかとも関係しますが、送付する請求書に繰越金額を載せているか載せていないかどちらですか?

繰越金額が載っている請求書の場合は、前月末残高、当月発生金額、当月入金額、翌月繰越額という内容が表示されます。これに対して繰越金額が載っていない請求書の場合は、当月発生金額しか記載がされません。

入金消込の作業タイミングで考えると、前者の請求書で発送をする場合は、締め日までの入金消し込みをしたあとでないと請求書の送付はできません。

たとえば、末日締め末日入金の会社であれば、月末入金を消し込んでからでないと繰越金額は確定しないので、入金消込を終わらせて繰越金額を算出したあとに請求書を送付します。そのため、入金消込を急いで実施しないといけません。

それに対して後者の請求書の場合は、請求額だけが確定すれば、入金消込が完了していなくても請求書を送付できます。

月末月初は経理部門にとって非常に多忙な時期なので、消し込みに時間を要しているようであれば、繰越金額が載っていない請求書を送付するようにするのも一つの方法です。

このように、入金消込を少し遅れた時期に実施することで、経理部門の社員の繁忙期を分散させることが出来るのです。

ただ、繰越金額が掲載されていない請求書を送付する場合の難点として、お客さまが送付した請求書を無くしてしまうと、その分の入金がされないままとなってしまう可能性があります。繰越残高が掲載されている請求書であれば、仮に請求書を無くしたとしても、繰越残高を支払ってもらえれば無くした分の請求分も支払ってもらえる可能性はありますので。

そのため、滞留している売掛金を速やかに督促できる仕組みができていることが導入の要件といえるでしょう。

入金消込自体の時間圧縮を図るには、前回お話をした、自動消込機能のある入金消込システムを入れることが効果的であるのは間違いないです。

ただし、今回はシステムを入れる前あるいは入れたあとでも、作業の順番や作業の方法を変えることで、入金消込業務の多忙さから少しでも解放される方法を模索してみました。

皆さまの会社の業務改善のヒントになれば幸いです。

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