やっておけばよかった、発行インボイスのシステム導入

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いよいよスタートとなるインボイス制度。準備万端の会社もあれば、まだ出遅れている会社もあるかもしれません。

今回は、発行する請求書に関して、準備不足のために追加の対応に追われてしまうケースを見ていきたいと思います。

まだリカバリーすることは可能ですので、自社にあてはまる事項がありましたら、軌道修正をはかってみてください。

インボイス制度では発行側に義務がある

インボイス制度の特徴の一つとして、受取側がインボイスを入手しないと、仕入税額控除ができないという点があります。

仕入税額控除ができないと、その分消費税の納税額が増えることになりますので、インボイスを入手することが非常に重要となってきます。

加えて、インボイス制度においてインボイスの要件を満たしていない請求書等をもらった場合に、受取側で修正をすることは認められず、インボイス要件を満たした書類を改めて発行してもらう必要があります。

このように考えると、発行側がいかに適切にインボイスを発行するかが、インボイス制度の安定稼働のためのカギとなるのです。

経理以外でこんなに発行していたなんて・・・

そのような背景から、多くの企業では、インボイス制度導入に向けて、自社の発行する請求書のひな型をインボイスの要件に合うように調整を図っています。

☑登録番号を記載する
☑税率ごとに区分した対価の額を税抜きあるいは税込みで記載する
☑税率ごとに区分した消費税額等を記載する
☑1つのインボイスにつき、税率ごとに1回の端数処理とする

といった、いくつかのチェックポイントをクリアするようにインボイスのひな型を決めていくことになります。

インボイスのひな型を決めるにあたっては、経理部門が中心となって実施しているケースが多いと思います。

ここで、意外と盲点となっているのが、経理部門があまり把握をしていない請求書の存在です。

全ての請求書発行が経理部門を通過していれば、インボイスのひな型を決定する際に通常要件が満たされます。しかし、経理部門以外が独自に請求書を発行している場合に、インボイス要件を検討しないまま、発行が続けられているケースもあります。

件数は少ないのですが、他部門に経理部門が介在していない請求書の類が存在する会社は一定程度あるというのが実感です。

エクセル作成が多いのも課題のひとつ

このような場合は、会計ソフトベンダー等が提供する請求書発行システムを使わずに、発行部門がエクセル等のソフトで請求書等を作成しているケースが多いです。

発行枚数が少ないのと、現場の人が適宜作成しやすいということで、このような実務が定着している面があると考えます。

ただし、インボイス制度がスタートすると、先ほどお話ししたように発行した請求書がインボイス要件を満たしていない場合、受取側から修正の依頼を求められる可能性があります。そしてその場合は、改めて修正した請求書を、修正インボイスとして発行する必要が生じてくるのです。

エクセル等で作っているので、都度修正すればそれで問題ないのではないか、と考える向きもあるかもしれません。しかし、今後も新たに経理部門が関知しない部門で請求書を発行するとなると、同様の事象が今後も続くことが想定されます。

さえない請求書を送付すると、受け取った取引先から会社の信頼を失うことにもなりかねませんので、このような手戻りは減らしていきたいですよね。

これを機会にエクセル発行から脱却して業務改善につなげる!

このような場合に、まず経理部門として確認すべきことは、

経理部門を通過していない請求書の発行の有無の確認
その場合に、どのようなシステムで請求書を発行しているか

です。

確認した結果、エクセル等で作成している場合は、経理部門が導入している請求書発行システムを他の部門においても導入することが検討の一つです。

経理部門が導入をしているものなので、インボイス対応は適切に行われており、先ほどのような手戻りが発生することは、今後はなくなるでしょう。

また、現在経理部門を経由せずに請求書が発行されているということは、会計システムでの売上計上にあたって、システム間の連携が図れていない可能性もあります。

経理部門で導入している請求書発行システムを利用すれば、通常は会計システムと連携が図られることになるので、業務効率も上がることになります。

発行件数が少ないからと言って、システム間の連携が図れていないと、請求書のための売上入力と会計伝票のための売上入力という2重入力が行われている可能性もあるので、業務改善の余地がありえます。

また、システム間連携がされていないということは一元管理がされていないため、計上漏れや残高の不一致等の不整合が発生する可能性もあります。

インボイス制度の導入を業務改善の機会ととらえて、全社の発行請求書のシステムを見直した企業もあります。

イレギュラー対応となっている請求書の発行がないか、改めてチェックしてみてください!

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